ボアラ軟膏0.12%の効能効果や副作用|ニキビ・やけど・とびひなどの使用、効果の強さなど

ボアラ軟膏の特徴、効果、使い方、副作用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ボアラ軟膏の特徴と強さ

ボアラ軟膏はステロイドの成分であるデキサメタゾン吉草酸エステル製剤を含んだ外用剤であり、湿疹、皮膚炎、虫刺されなど幅広い皮膚疾患の効能を有している薬です((ボアラ軟膏0.12% 添付文書))。
ボアラには塗り薬である軟膏、クリームの2種類の剤型があります。今回は主にボアラ軟膏について確認していきます。

ボアラ軟膏の強さは上から3番目

ボアラ軟膏のステロイド外用剤としての強さは上から三番目の強さであるⅢ群(Strong)に分類され、中程度の強さとなります。
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群(Strongest)が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群(Weak)が最も弱い分類となります。
ボアラ軟膏は中程度の強さであるため、様々な皮膚疾患、体の色々な部位、幅広い年齢層に使用される、使い勝手の良い外用剤と言えます。
他のステロイド剤と強さを比較すると、ロコイドやキンダベート(それぞれⅣ群)よりは強く、リンデロンV・VGやメサデルム(それぞれⅢ群)と同等の強さ、アンテベートやマイザー(それぞれⅡ群)、デルモベート(Ⅰ群)よりは弱いという位置付けになります。

ボアラ軟膏の効能効果

ボアラ軟膏は湿疹や皮膚炎、虫刺されなど幅広い皮膚疾患に対する効能を有する薬です。
ボアラ軟膏の効能効果の詳細は以下の通りです。


湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、乾癬、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、固定蕁麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、虫刺症、慢性円板状エリテマトーデス、扁平苔癬

ボアラ軟膏0.12% 添付文書


ボアラ軟膏の作用機序

ボアラ軟膏が湿疹、皮膚炎などの皮膚疾患に対して効果を示すのは、ステロイド成分による抗炎症作用が働くためです。
ステロイドの成分は一般的に抗炎症蛋白のリポコルチンを産生を促進させ、ホスホリパーゼA2を阻害し、結果として抗炎症作用を示すとされています。

ボアラ軟膏の効果は46.9〜95.5%の有効率

ボアラ軟膏の実際の患者さんに対する効果として、臨床試験の結果が公表されています((ボアラ軟膏0.12% 添付文書))。
ボアラ軟膏は各疾患における有効率を確認しており、代表的なところでは、湿疹や皮膚炎症では90.7%、その他の疾患でも76.5〜98.4%の有効率が確認されています。

対象疾患名 改善率(%)
〔改善以上〕
軟膏
湿疹・皮膚炎群 90.7〔731/806〕
乾癬 80.7〔222/275〕
痒疹群 81.7〔58/71〕
掌蹠膿疱症 76.5〔65/85〕
虫刺症 98.4〔61/62〕
慢性円板状エリテマトーデス 81.8〔27/33〕
扁平(紅色)苔癬 86.7〔26/30〕

ボアラ軟膏はニキビには基本的に使用しない

ボアラ軟膏の効能効果としてニキビは含まれず、基本的には使用しません。炎症を鎮める意味では効果があるケースも考えられますが、ステロイド外用剤には一般的に痤瘡様疹(ニキビのような状態)の副作用の可能性が知られており、ニキビが悪化してしまうケースもあります。従って自己判断でニキビに使用するのは避けましょう。

ボアラ軟膏はとびひには通常使用しない

ボアラ軟膏はとびひ(伝染性膿痂疹)に対しては使用しないのが一般的です。
ボアラ軟膏などのステロイドは炎症には高い効果が期待できますが、免疫を抑制する作用があるため、感染症には使用しないのが一般的です。抗生物質が入っているステロイドなどは使用されるケースもありますが、ボアラ軟膏はステロイド成分のみの軟膏であり、とびひに対して適しているとは言えない薬です。自己判断でとびひに使用することは避けるようにしましょう。

ボアラ軟膏のやけどへの使用

ボアラ軟膏はやけどに対する効能効果は明記されていません。
炎症を抑えるという意味では効果が期待できる面もあり、同じⅢ群ステロイドのメサデルムなどはやけど後の「肥厚性瘢痕・ケロイド」などが効能に明記されています。
ただし、第2度深在性以上の熱傷・凍傷に対しては禁忌とされているため、自己判断でやけどに使用するようなことは避けましょう。

ボアラ軟膏の使い方

ボアラ軟膏は1日1〜数回患部に塗って使用します。
ボアラ軟膏の用法用量の詳細は以下の通りです。


通常1日1~数回適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。

ボアラ軟膏0.12% 添付文書


ボアラの顔や陰部への使用

ボアラ軟膏は場合によっては陰部に使用することもあります。
一般的に顔や陰部は他の皮膚の部分よりも薬をよく吸収されることが知られており、同じ量を使用してもかなり効果が強く出る傾向があります。また、同じ顔でも目の周りは特に吸収されやすく、顔や陰部に使用する場合は医師からの指示であっても十分に注意して使用するようにしましょう。

ボアラ軟膏の子供や赤ちゃんの使用|おむつかぶれなどにも

ボアラ軟膏は子供や赤ちゃんに対しても使用するケースがある薬です。
ただし、子供や赤ちゃんは一般的に大人に使用するよりも効果が強く出てしまう傾向があります。子供や赤ちゃんでも医師からの指示であればボアラ軟膏を使用しても問題ないと考えられますが、大人よりも慎重に使用するようにしましょう。また、必ず医師から指示があった場合のみ使用するようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
また、おむつかぶれに使用する場合には、基本的に医師や薬局からの指示通りとなりますが、あまり気密性を高めるとステロイドの効果が強くなるケースもあります。おむつかぶれに使用する場合は念のため、患部を密封しすぎないよう少し注意してみましょう。

ボアラ軟膏の副作用

ボアラ軟膏はステロイドの一つであり、副作用が心配という人もいるかと思いますが、正しい使用法で使用する分にはあまり心配は必要ないと言えます。
副作用の頻度として参考になるものとしてボアラ軟膏の副作用頻度は、副作用全体が0.66%の頻度であり、主なものは毛嚢炎・せつ(0.17%)、ざ瘡様疹(0.10%)、そう痒感(0.09%)、刺激感(0.08%)などとされています((ボアラ軟膏0.12% 添付文書))。
起こりうる副作用は基本的には塗布した部分におけるものがほとんどであり、塗った部位を様子を見ながら使用すれば副作用が問題になるようなことはあまりないと言えるでしょう。
なお、頻度はまれですが、報告されている重大な副作用として目に関わる副作用もあり、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障が報告されています。これらは目の周辺に使用した場合や、特に長期にステロイドを使用している際に可能性があるため、目の周辺や長期で使用しているような場合は念のため、定期的に目にも異常がないか確認するようにしましょう。
その他、ステロイドは免疫を弱めてしまう傾向があるため、皮膚の感染症を起こしてしまうリスクが共通してあることも念のため覚えておきましょう。

ボアラ軟膏の薬価・ジェネリック

ボアラ軟膏の薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で、1gあたり22.2円とされています。軟膏では1本あたり5gのものでは111円、1本あたり10gのものでは222円となります。
なお、ボアラ軟膏にはジェネリック医薬品はありません。
ボアラ軟膏と同じ成分を含む塗り薬としてザルックス軟膏0.12%があります。薬価はややザルックスの方が高く設定されており、1gあたり25.4円とされています。

ボアラ軟膏の市販での購入

ボアラ軟膏の成分であるデキサメタゾン吉草酸エステルの塗り薬は、残念ながら市販では販売されていない成分であり、市販薬としては購入することはできません。
ただし、同じⅢ群(strong)のステロイド成分で市販されているものとして、ベタメタゾン吉草酸エステルがあり、ベトネベートクリームSとベトネベートN軟膏ASという商品名で販売されています。
ベトネベートクリームSはステロイド成分のベタメタゾン吉草酸エステルのみ、ベトネベートN軟膏ASはステロイドの他にフラジオマイシン硫酸塩という抗生物質が含まれているため、患部が化膿しているような場合はベトネベートN軟膏ASが適しています。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
 

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