ケフラールの効果や副作用|飲み合わせや小児の使用についても

ケフラールの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ケフラールの特徴|第1世代のセフェム系

ケフラールはセファクロルを成分とするセフェム系の抗生物質です。咽頭炎や肺炎、中耳炎、膀胱炎などの様々な感染症の他、歯周組織炎など歯科領域での化膿止めとしても効果を発揮する薬です1)
ケフラールの特徴は細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌的に作用し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に対する抗菌作用を持ちます2)。セフェム系の中でも第一世代に分類され、比較的古くから使用されており、安全性も確立されている薬です。
ケフラールにはカプセル剤であるケフラールカプセル250mgの他、主に小児で使われるケフラール細粒小児用100mg、持続性製剤であるL-ケフラール顆粒があります。
今回は主にケフラールカプセル250mgについて確認していきます。
1) ケフラールカプセル250mg 添付文書
2) ケフラールカプセル250mg インタビューフォーム

ケフラールの略語はCCL

ケフラールをはじめとした抗生物質には略語が決められており、ケフラールの略語は成分のセファクロル(cefaclor)から「CCL」となっています。

ケフラールの効果、効能

ケフラールカプセルは咽頭炎や肺炎、中耳炎、膀胱炎などの様々な感染症の他、歯周組織炎など歯科領域での化膿止めとしても使われる薬です。
ケフラールカプセルの効能効果の詳細は以下の通りです。

○ 表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎
○ 咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染
○ 膀胱炎,腎盂腎炎
○ 麦粒腫
○ 中耳炎
○ 歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎
○ 猩紅熱

ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの作用機序

ケフラールが細菌による感染症に対して効果を示す機序は、細菌の細胞壁の合成を阻害することによるものです1)
細胞壁は人にはない構造であり、細菌のみが持っている構造のため、ケフラールは人に対しては毒性が少なく、細菌に効果的に作用します。
1) ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの効果は82.5%の有効率

ケフラールの実際の患者さんに対する効果は臨床試験において確認されており、全体の有効率は82.5%とされています。各種疾患別の有効率は以下の通りであり1)、実際の患者さんに対しても効果が確かめられている薬です。

疾患名 有効例数/有効性評価対象例数 有効率(%)
表在性皮膚感染症 2/4
深在性皮膚感染症 87/101 86.1
リンパ管・リンパ節炎 6/9
慢性膿皮症 71/85 83.5
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染 31/36 86.1
乳腺炎 30/34 88.2
咽頭・喉頭炎 8/10 80.0
扁桃炎 59/63 93.7
急性気管支炎 60/77 77.9
肺炎 31/52 59.6
慢性呼吸器病変の二次感染 30/45 66.7
膀胱炎 453/532 85.2
腎盂腎炎 108/144 75.0
麦粒腫 25/32 78.1
中耳炎 21/30 70.0
歯周組織炎 63/67 94.0
歯冠周囲炎 17/22 77.3
顎炎 63/70 90.0
猩紅熱 5/5

1) ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの使い方

ケフラールカプセルの使い方は1回1カプセルを1日3回使用するのが一般的です。
ケフラールカプセルの用法用量の詳細は以下の通りです。

通常,成人及び体重20kg以上の小児にはセファクロルとして1日750mg(力価)を3回に分割して経口投与する。重症の場合や分離菌の感受性が比較的低い症例には1日1500mg(力価)を3回に分割して経口投与する。
なお,年齢,体重,症状等に応じ適宜増減する。

ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの小児の使用

小児にケフラールを使用する場合は、20kg以上であれば、大人と同様の使い方となり、1回1カプセルを1日3回使用します。20kgに満たない小児の場合は、医師の裁量で使用量を調節したり、もしくはケフラール細粒を用いたりします。

ケフラールの副作用

ケフラールの主な副作用として、頻度が0.1%とされているものは、発疹、AST上昇、ALT上昇、悪心、下痢、腹痛などです1)
ケフラールで下痢が出てしまう理由は、ケフラールの成分であるセファクロルが体内の細菌に対して殺菌的な効果を発揮する際、腸内の環境を整えている細菌に対しても影響を及ぼしてしまうことがあるためです。従って、ケフラールの投与により下痢が起こることはやむを得ない面もあり、基本的にはケフラールの使用を止めればほとんどのケースで回復するため、大きな心配は要りません。
ただし、あまりに症状がひどい下痢が続く場合は医師に相談し、服薬を継続するか判断を仰ぎましょう。また、日常的に腸が虚弱な体質の方などでは医師に相談すれば整腸剤を予め処方してもらえるケースもありますので、必要に応じて相談しましょう。
下痢以外の副作用として、薬の副作用の定番といえる眠気についてですが、ケフラールに関しては眠くなる成分は含まれておらず、眠気の副作用も製薬会社からは注意喚起されていないため、ケフラールが原因で眠くなることはまずないと考えられます。
1) ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの飲み合わせ

ケフラールは飲み合わせが悪い薬は基本的にありません。
製薬会社からも併用禁忌や併用注意に該当する薬剤は注意喚起されておらず1)、基本的にはどの薬とも併用することが可能と言えます。
1) ケフラールカプセル250mg 添付文書

ケフラールの授乳中の使用

ケフラールは授乳中に関して、製薬会社からは薬の成分が母乳中に移行するため、授乳を一時的に中止するよう注意喚起されています。

授乳中の婦人には投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は授乳を中止させること。[ヒト母乳中へ移行することが報告されている。]

ケフラールカプセル250mg 添付文書

専門家による見解として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは小児にも適応がある薬のため、授乳婦に使用可能という内容です3)。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、母乳中への移行は少量であり、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です4)

小児に適応があり、母乳への移行は少なく、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

母乳中への移行は少量で、母乳育児に適している。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にケフラールを使用するかは処方医の先生の判断が必要です。ケフラールに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
4) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

ケフラールの妊娠中の使用

ケフラールは妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

ケフラールカプセル250mg 添付文書

ただし、上記のような注意喚起はされているものの、動物実験においては明確な危険性は確認されていません。生殖発生毒性試験でも胎児に対しては明確な毒性は確認されていません2)
専門家の意見と一つとして、知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)では妊娠中の使用に関して問題ないという見解です3)

催奇形性、胎児毒性を示すデータなし。
セフェム系抗生物質は妊婦に使用可能と考える。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にケフラールを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ケフラールに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) ケフラールカプセル250mg インタビューフォーム
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)

ケフラールの薬価、ジェネリック

ケフラールカプセルの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1カプセルあたり53.7円、となっています。
なお、厳密にはケフラールカプセルにはジェネリック医薬品の扱いとなる医薬品はありません。一般的なジェネリック医薬品メーカーが販売しているセファクロルの製品として、トキクロル、セファクロルといった名称の医薬品がありますが、これらはジェネリック医薬品の分類はされておらず、薬価もケフラールと同じ53.7円であるため、これらの医薬品を洗濯しても経済的なメリットはありません。

ケフラールの市販での購入

ケフラールの成分を含む薬は市販で買うことはできません。必ず処方箋が必要となる薬であるため、医師の適切な診断を受けて処方してもらうようにしましょう。
また、手元にケフラールが残っているケースや知人や家族からケフラールをもらって自己判断で使用するのはリスクが高い種類の薬です。自己判断で使用するのはやめましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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