プリンペランの効果や副作用｜ナウゼリンとの違いや市販での購入など

プリンペランの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中の使用、妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

プリンペランの特徴

プリンペランはメトクロプラミドの成分を含む消化器機能治療薬であり、悪心（吐き気）・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感などの消化器機能異常に効果がある薬です¹⁾。
プリンペランの特徴として、消化器機能をつかさどる脳幹部に作用して、消化器の機能的反応や運動異常を改善し、悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感等の症状を緩解するとされています²⁾。
プリンペランには通常の錠剤であるプリンペラン錠5の他、シロップ剤であるプリンペランシロップ0.1％、粉薬であるプリンペラン細粒2％、注射であるプリンペラン注射液10mgの種類があります。
今回は主にプリンペラン錠5について確認していきます。
1) プリンペラン錠5 添付文書
2) プリンペラン錠5 インタビューフォーム

プリンペランとナウゼリンの違いは

プリンペランと同じ消化器機能治療薬にナウゼリンがあります。
いずれも悪心（吐き気）・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感などの症状に使用されますが、プリンペランとナウゼリンの大きな違いとして、脳への移行性が挙げられます。
プリンペランは脳へ移行する率がナウゼリンよりも高く、中枢性の嘔吐にも効果が期待できる反面、錐体外路障害の副作用のリスクもあります。一方、ナウゼリンは脳へ移行しにくいことが知られており、小児にも使いやすい薬となっています。
なお、ナウゼリンは妊婦には使用できないため、妊娠中は一般的にプリンペランが用いられます。一方、授乳中に関してはナウゼリンの方が使われる傾向があります。

プリンペランの効果

プリンペランは胃炎や胃潰瘍などに基づく悪心（吐き気）・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感などの消化器機能異常に対して効果がある薬です。
プリンペラン錠5の効能効果の詳細は以下の通りです。

次の場合における消化器機能異常（悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感）
胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤（制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤）投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後
X線検査時のバリウムの通過促進

プリンペラン錠5　添付文書

プリンペランの作用機序

プリンペランの作用機序は、消化管中枢に作用し、消化器の機能的反応ないしは運動異常の改善によるものです。この作用によりプリンペランは中枢性の嘔吐、末梢性の嘔吐いずれに対しても効果を発揮するとされています²⁾。
2) プリンペラン錠5 インタビューフォーム

プリンペランの効果時間

プリンペランの効果発現時間、効果持続時間の参考になるデータとして、薬物動態の最大血中濃度到達時間、半減期などのデータがあります。
プリンペランの成分は約1時間後に最高血漿中濃度に到達¹⁾するため、それまでには効果が得られることが予想されます。また、消失半減期4.7時間で減少¹⁾することが確認されており、1日2〜3回程度使用することで効果がほぼ1日中得られることが想定されます。
1) プリンペラン錠5 添付文書

プリンペランの実際の患者さんでの効果

プリンペランの実際の患者さんに対する効果は、様々な文献を集計した結果が確認されており、計2332例の患者さんの効果が確認されています。
代表的な結果として、胃炎、胃・十二指腸潰瘍に伴う消化器機能異常に対して、胃炎では84.8%、胃・十二指腸潰瘍では91.7%の有効率の有効率¹⁾が確認されており、実際の患者さんにおいても効果が認められています。
1) プリンペラン錠5 添付文書

プリンペランの使い方

プリンペランは1回1〜3錠を1日2〜3回、食前に使用するのが一般的です。その他、症状がある時に頓服として使用するケースもあります。
プリンペラン錠の用法用量の詳細は以下の通りです。

メトクロプラミドとして、通常成人1日7.67～23.04mg（塩酸メトクロプラミドとして10～30mg、2～6錠）を2～3回に分割し、食前に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

プリンペラン錠5　添付文書

プリンペランの禁忌

プリンペランは消化管に出血、穿孔又は器質的閉塞ある場合や、以前にプリンペランの成分で過敏症を起こした経験がある場合、褐色細胞腫の疑いがある場合は禁忌とされています。
プリンペラン錠の禁忌の詳細は以下の通りです。

1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.褐色細胞腫の疑いのある患者［急激な昇圧発作を起こすおそれがある。］
3.消化管に出血、穿孔又は器質的閉塞のある患者［本剤には消化管運動の亢進作用があるため、症状を悪化させるおそれがある。］

プリンペラン錠5　添付文書

プリンペランの副作用

プリンペランは副作用の頻度が明確になるような調査はされておらず、明確な副作用の頻度は公表されていません¹⁾。
注意したい副作用として錐体外路障害が挙げられます。錐体外路障害は脳のドパミン受容体が阻害されることなどによって引き起こされることがあり、症状としては手指振戦（ふるえ）、筋硬直、頸・顔部の攣縮、眼球回転発作、焦燥感などがあります。
また、薬の副作用の定番である眠気やめまいなどの報告もあり、自動車運転などの機械操作についても注意喚起されています。

重要な基本的注意
（2）眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

プリンペラン錠5　添付文書

プリンペランの飲み合わせ

プリンペランには併用禁忌でないものの、飲み合わせに注意が必要なものがいくつかあります¹⁾。
プリンペランとの飲み合わせに注意が必要な薬（併用注意薬）は以下の通りです。

上記の併用注意の薬はいずれも継続的に使用する薬が多く、新たな医療機関にかかる場合には普段から飲んでいる薬について必ず医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。
1) プリンペラン錠5 添付文書

プリンペランの授乳中の使用

プリンペランは授乳中に使用する場合は、授乳を中断することが推奨されています。

授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。［母乳中に移行することが報告されている。］

プリンペラン錠5　添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、母乳への移行が認められていることが挙げられます²⁾。ただし、移行する量は少なく、実際には授乳中に使用されるケースもあります。
専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、母乳中への移行は少なく 、使用可能と考えられるという内容です³⁾。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、短期間で通常量以下であれば使用可能としており、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です⁴⁾。

母乳中への移行は少なく、使用可能と考えられる。乳汁分泌促進を期待して使用されることがある。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

母乳産生量を増やす。通常量かそれ以下で短期処方であれば授乳との両立可能。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にプリンペランを使用するかは、処方医の先生の判断となります。プリンペランに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) プリンペラン錠5 インタビューフォーム
3) 愛知県薬剤師会　「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)（2012）
4) 大分県「母乳と薬剤」研究会　母乳とくすりハンドブック（2010）

プリンペランの妊娠中の使用

プリンペランの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。［妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。］

プリンペラン錠5　添付文書

上記の注意喚起がされている理由は、妊婦に対する安全性が明確になっていないためであり、血液－胎盤関門通過性のデータではプリンペランの成分は胎盤は通過するものの、新生児に対する影響はみられていないとされています。また、動物実験の生殖発生毒性試験においても催奇形作用は認めらていないとされています²⁾。
専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、催奇形性、胎児毒性を示唆するデータはなく 、使用可能と考えられるという内容です³⁾。

プリンペランの薬価、ジェネリック

プリンペラン錠5の2016年4月改定（2018年3月まで）の薬価は1錠あたり6.4円となっています。
なお、プリンペラン錠にはジェネリック医薬品が販売されており、アノレキシノン、エリーテン、テルペラン、プラミール、メトクロプラミドなどの名称で販売されています。ジェネリック医薬品は1錠あたり5.6円となっておりプリンペランよりもやや経済的と言えます。

プリンペランの市販での購入

プリンペランの成分を含む薬は市販では購入することができません。また、プリンペランと比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
市販薬の吐き気止めになるような薬としては胃の不調が原因であれば制酸剤のサクロンや健胃薬の太田胃散、車酔いなどが原因であれば鎮うん薬のトラベルミンなどがありますが、プリンペランの代替として使用するには向いておらず、プリンペランを使用する場合は必ず医師の診察の上、処方してもらう必要があります。
 
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。