PL配合顆粒の効果や副作用|薬価、ジェネリック、妊婦、授乳中、子供の使用も

PL配合顆粒についてその特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、妊婦・授乳中の使用、薬価、ジェネリックなどについて添付文書等から解説していきます。

PL配合顆粒の特徴

PL配合顆粒は風邪をひいたときに処方される総合感冒薬のひとつです。
その特徴として複数の成分を含み、解熱鎮痛成分のサリチルアミドとアセトアミノフェン、鼻水や鼻づまりに効果のある抗ヒスタミン成分のプロメタジンメチレンジサリチル酸塩、眠気や倦怠感を改善し鎮痛作用の増強が期待できる無水カフェインの4成分が含まれることにより、風邪の症状に対して効果が期待できます1)

成分・含量(1g 中)
サリチルアミド 270mg
アセトアミノフェン 150mg
無水カフェイン 60mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 13.5mg

PL配合顆粒 添付文書

また、PL配合顆粒には主に子供に使用する幼児用PL配合顆粒も販売されています。幼児用PL配合顆粒は成分は同じであり、主に2歳以上の子供から11歳までを目処に使用されることが多い薬です。

成分・含量(1g 中)

サリチルアミド 45mg
アセトアミノフェン 25mg
無水カフェイン 10mg
プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 2.25mg

幼児用PL配合顆粒 添付文書

1) PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の一般名や英語表記は

PL配合顆粒は複数の成分を含む薬であり、処方箋に書かれる一般名としては厚生労働省の一般名処方マスタとして使用されている「プロメタジン1.35%等配合非ピリン系感冒剤」が用いられることが多いようです2)。また、医薬品の検索などでは「非ピリン系感冒剤(4)顆粒」の一般名も用いられています3)
PL顆粒の英語表記としては、「くすりのしおり」の英語版において、商品名(Brand name)として、「PL Combination Granules」の表現が用いられています4)
2) 厚生労働省ホームページ
3) かんじゃさんの薬箱ホームページ
4) PL配合顆粒 くすりのしおり 英語版

PL配合顆粒の効果

PL配合顆粒の効果は風邪に伴う鼻水、鼻づまり、喉の痛み、頭痛、関節痛、筋肉痛、発熱の症状を改善、緩和します。
PL配合顆粒の効能効果の詳細は以下のとおりです。

感冒若しくは上気道炎に伴う下記症状の改善及び緩和
鼻汁,鼻閉,咽・喉頭痛,頭痛,関節痛,筋肉痛,発熱

PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒は咳に対する効能効果はない

PL配合顆粒は総合感冒剤であり、風邪の幅広い症状に効果がありますが、咳に対して作用する成分は含まれていません。
アレルギーが原因の咳に対しては、抗ヒスタミン薬であるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩の成分が作用する可能性もありますが、正式な効能効果には咳の症状の記載はなく、基本的に咳には効果がないと言えます。
咳の症状に対しては別途、咳止めを処方してもらうなど医師に相談しましょう。

PL配合顆粒の作用機序

PL配合顆粒の風邪の諸症状に対する作用機序は、痛みや熱に対しては、サリチルアミドとアセトアミノフェンによる作用、鼻水や鼻づまりに対してはプロメタジンメチレンジサリチル酸塩による作用によって効果がもたらされます。
サリチルアミドはアスピリンなどの同様の機序、アセトアミノフェンは体温調節中枢に作用して解熱作用、痛覚閾値の上昇による鎮痛作用、無水カフェインは中枢神経の興奮、プロメタジンメチレンジサリチル酸塩は抗ヒスタミン作用によりその効果を発揮します。

作用部位・作用機序
1) サリチルアミド
サリチルアミドは他のサリチル酸誘導体と同様の機序によって奏効するものと考えられる。
2) アセトアミノフェン
解熱鎮痛作用はサリチル酸類と同様中枢性で,体水分の移動と末梢血管の拡張とが相まって起こる発汗を伴う解熱と,視床と大脳皮質の痛覚閾値の上昇効果とによる。平熱時にはほとんど 体温に影響を及ぼさない。その解熱鎮痛作用はアスピリンと同じく緩和な痛みに限られている。 抗炎症作用はほとんどない。
3) 無水カフェイン
大脳皮質を中心に中枢神経系を興奮,脳幹網様体の賦活系の刺激により知覚が鋭敏となり精神機能が亢進する。
4) プロメタジンメチレンジサリチル酸塩
プロメタジン塩酸塩は,強力な抗ヒスタミン作用のほかに,すぐれた抗アナフィラキシーショック作用,抗コリン作用を持つ。中枢神経抑制作用,催眠増強・鎮痛・体温下降・制吐作用, また局所麻酔・鎮けい・血圧降下作用等も実験的に認められている。

PL配合顆粒 インタビューフォーム

 

PL配合顆粒の効果時間

PL配合顆粒の効果発現時間や効果持続時間は、成分ごとによって異なります。
解熱鎮痛作用があるアセトアミノフェンは外国人のデータとして、1~3時間後から効果が発現し、3~4時間の効果持続時間とされています5)
鼻水、鼻づまりに効果が有るプロメタジンメチレンジサリチル酸塩は、プロメタジンとして外国人のデータが確認されており、15〜60分以内に効果が発現し、4~12時間の効果持続時間とされています5)
上記のデータから、熱と痛みに対しては1〜3時間で効果がでて、3〜4時間持続、鼻水や鼻づまりなどの鼻症状に対しては15分〜1時間程度で効果が出て、4〜12時間持続することが予想されます。
なお、サリチルアミドと無水カフェインは該当資料はなしとされています5)
5) PL配合顆粒 インタビューフォーム

PL配合顆粒の効果は各症状に73.2%〜85.7%の改善率

PL配合顆粒の実際の効果は臨床試験によって確認されています。
PL配合顆粒の臨床試験では、鼻水(鼻汁)に対しては86.3%の改善率、鼻づまり(鼻閉)に対しては91.7%の改善率、喉の痛み(咽頭痛)に対しては82.8%の改善率、頭痛に対しては91.1%の改善率、発熱に対しては89.5%の改善率、それ以外の症状に対しては、確認した症例が10例未満のため、改善率としては表記されていませんが、関節痛に対しては8例中7例、筋肉痛に対しては5例中4例に効果があったとされています1)

症状 改善例数/
有効性評価対象例数
改善率
(%)
鼻汁 63/73 86.3
鼻閉 44/48 91.7
咽頭痛 53/64 82.8
頭痛 41/45 91.1
関節痛 7/8
筋肉痛 4/5
発熱 17/19 89.5

 
子供に使用する幼児用PL配合顆粒の結果では、鼻水(鼻汁)に対しては75.6%の改善率、鼻づまり(鼻閉)に対しては73.2%の改善率、喉の痛み(咽頭痛)に対しては85.7%の改善率とされています。それ以外の症状に対しては、確認した症例が10例未満のため、改善率としては表記されていませんが、頭痛に対しては5例中3例、関節痛に対しては1例中1例、筋肉痛に対しては2例中2例、発熱に対しては9例中8例に効果があったとされています6)

症状 改善例数/
有効性評価対象例数
改善率(%)
鼻汁 31/41 75.6
鼻閉 30/41 73.2
咽頭痛 12/14 85.7
頭痛 3/5
関節痛 1/1
筋肉痛 2/2
発熱 8/9

1) PL配合顆粒 添付文書
6) 幼児用PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の使い方

PL配合顆粒の使い方は大人の場合は1回に1包が基本的な使い方であり、幼児用PL配合顆粒の場合は年齢によって使い方が異なります。

PL配合顆粒を大人が使用する場合は1回1包を1日3〜4回

PL配合顆粒は通常1回1包を1日4回使用します。ただし、多少の増減が可能であり、1日3回の用法で処方されるケースも多くあります。
PL配合顆粒の用法用量の詳細は以下のとおりです。

通常,成人には1回1gを1日4回経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。

PL配合顆粒 添付文書

子供の場合は年齢に応じて幼児用PL配合顆粒の用量が異なる

11歳程度までの子供の場合は幼児用PL配合顆粒を使用するのが一般的です。
2〜4歳では1回に1包、5〜8歳では1回に2包、9〜11歳では1回に3包を目安に1日3〜4回使用するケースが多い薬です。
幼児用PL配合顆粒の用法用量の詳細は以下のとおりです。

通常,次の区分による。
2~4 歳 1 回 1g(1 包)1日4回
5~8 歳 1 回 2g(2 包)1日4回
9~11 歳 1 回 3g(3 包)1日4回
その他,症状により適宜増減する。

幼児用PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の副作用

PL配合顆粒の主な副作用は眠気、口渇、胃腸障害等であり、副作用の頻度は9.1%とされています1)
眠気に関しては、抗ヒスタミン成分のプロメタジンメチレンジサリチル酸塩が原因となるケースが多く、花粉症やアレルギーの薬などと同じ原理で眠気が起こります。花粉症やアレルギーの薬で眠くなった経験がある場合は、PL配合顆粒でも注意が必要と言えます。
1) PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の飲み合わせ

PL配合顆粒には飲み合わせに注意が必要な薬が数種類あります1)
特に注意が必要なものとして、アルコールが挙げられます。アルコールとの飲み合わせに注意が必要な理由として、相互に中枢神経抑制作用を増強することがある、という点と、アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ肝不全を起こしたとの報告がある、という点が挙げられています。とくに前者の中枢神経抑制に関しては、睡眠時間が自分の意思に反して長時間に及ぶケースなどもあり、危険性があるため、基本的にPL配合顆粒を使用する場合はアルコールを控えるようにしましょう。

成分名等 代表的な薬剤等
クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
ワーファリン
糖尿病用剤
インスリン製剤、
トルブタミド 等
ランタス
中枢神経抑制剤
アルコール
降圧剤
抗コリン作用を有する薬剤
フェノチアジン系化合物、三環系抗うつ剤 等
コントミン

1) PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の妊婦、授乳中の使用

PL配合顆粒は妊婦、授乳中の使用に関して注意喚起がされています。

妊娠中の使用は注意が必要

PL配合顆粒は妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、医師の判断によっては使用できるケースがあります1)。ただし、特に妊娠後期においては動物実験でのリスクも確認されており、特に注意が必要な期間となります。

(1)妊婦(12週以内あるいは妊娠後期)又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[サリチル酸製剤(アスピリン等)では動物試験(ラット)で催奇形作用が,また,ヒトで,妊娠後期にアスピリンを投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。]
(2)妊娠後期の婦人へのアセトアミノフェンの投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
(3)妊娠後期のラットにアセトアミノフェンを投与した試験で,弱い胎児の動脈管収縮が報告されている。

PL配合顆粒 添付文書

 
専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きがあり、この中では比較的安全であることが知られているという内容です7)

通常量の短期使用では安全であることが知られている。末期投与では、新生児の出血異常の報告がある。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

また、その他の情報として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、妊娠中にPL配合顆粒の使用した事例が収集されていますが、その結果からは「本配合剤暴露群の児の出産結果は国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」という見解が述べられています8)

実際に妊娠中にPL配合顆粒を使用するかは処方医の先生の判断が必要です。PL配合顆粒に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

1) PL配合顆粒 添付文書
7) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
8) 株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版

授乳へも影響の可能性

PL配合顆粒の授乳中の使用は、長期連用を避けることとされています1)

授乳婦には長期連用を避けること。[本剤中のカフェインは母乳中に容易に移行する。]

PL配合顆粒 添付文書

PL配合顆粒の成分は乳汁中に移行することが確認されており、乳児が母乳経由で成分を摂取してしまう可能性があります。

(3) 乳汁への移行性

1) サリチルアミド:該当資料なし

2) アセトアミノフェン
母親に本剤 650 mg を単回投与すると,乳汁中の濃度は 1 ~ 2 時間後に最高 10 ~ 15 µg/mLとなったが,乳児の尿中には未変化体及びその代謝物も検出されなかった。乳汁中の半減期は1.35 ~ 3.5 時間である。(外国人データ)

3) 無水カフェイン:該当資料なし
〔参 考〕
カフェイン
授乳を行っている女性2例に配合鎮痛剤(1錠中,アスピリン454 mg,フェナセチン324 mg,カフェイン 64 mg,リン酸コデイン 60 mg)2 錠を投与したときの母乳中へ移行する割合は,投与量の 0.66%(12 時間後),2.3%(48 時間後)であった。(外国人データ)

4) プロメタジンメチレンジサリチル酸塩:該当資料なし
〔参 考〕
プロメタジン
プロメタジンを含む抗ヒスタミン薬は少量母乳中へ移行する可能性がある。(外国人データ)

PL配合顆粒 インタビューフォーム

ただし、専門家による見解では、PL配合顆粒は授乳をしている場合でも使用できるという内容がいくつかあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き通常量では安全という内容です7)。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでもやはり、通常量であれば可能という内容であり、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です9)

母乳に移行するが通常量では安全と考える

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

各成分共に乳汁中へ移行する。通常量で長期連用を避ければ授乳との両立可能

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にPL配合顆粒を使用するかは、やはり処方医の先生の判断となります。妊娠中の使用と同様、PL配合顆粒に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) PL配合顆粒 添付文書
7) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
9) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

PL配合顆粒の薬価とジェネリック

PL配合顆粒の2016年4月改定(2018円3月まで)の薬価は1g(1包)あたり6.4円となります。幼児用PL配合顆粒についても同様に6.4円の薬価です。
PL配合顆粒にはジェネリックがあり、サラザック配合顆粒、セラピナ配合顆粒、トーワチーム配合顆粒、マリキナ配合顆粒が該当しますが、その薬価は1g(1包)あたり6.2円であり、1日あたりで五捨五超入する薬価では同じ価格になる可能性が高く、あまりジェネリック医薬品のメリットを感じられないケースもあります。幼児用PL配合顆粒にはジェネリックはありません。
なお、PL配合顆粒と同様の目的で使われる、ピーエイ配合錠は含まれる成分とその割合は同じものの、1回に2錠使用するため、1日量の薬価ではPL配合顆粒よりも高くなります。また、やはりPL配合顆粒と同様の目的で使われる、ペレックス配合顆粒は厳密には含まれる成分が異なるため、PL配合顆粒とは別の成分の薬となります。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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