ザイザルの特徴、子供に対する効果、用量、1日2回の理由、眠気などの副作用、誤飲などについて添付文書等から確認していきます。
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ザイザルの特徴と子供の使用
ザイザルはレボセチリジンを成分として含み、花粉症を含めたアレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚疾患などに対して効果が認められている薬です((ザイザル錠5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_4490028F1027_1_07.pdf))。
ザイザルの特徴は、ジルテックなどのセチリジン製剤の改良版と言える薬剤であり、セチリジンの効果的な成分を取り出した薬剤(ラセミ体であるセチリジンのR-エナンチオマー)です。ジルテックなどのセチリジン製剤の半量で同程度の効果を効果を期待することができ、眠気の副作用は抑えられているという特徴があります。
子供に対してもシロップ剤では生後6ヵ月の小児から、錠剤では7歳以上の小児から使用できる第2世代抗ヒスタミン薬です((ザイザル錠5mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340278_4490028F1027_1_009_1F))。
ザイザルには錠剤とシロップ剤の2種類があり、シロップ剤は主に子供に使用、錠剤も7歳以上の小児から大人まで幅広く使われます。
今回は主にザイザル錠の子供に対する使用について確認していきます。
ザイザルの小児への効果
ザイザルは子供の花粉症を含めたアレルギー性鼻炎や蕁麻疹・皮膚疾患のかゆみなどの対して効果が認められています。
ザイザル錠の小児に対する効能効果の詳細は以下の通りです。
アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒ザイザル錠5mg 添付文書
ザイザルの効果時間
ザイザルの効果が出るまでの時間や効果が持続する時間の目安として、ザイザル錠での臨床試験の結果が参考になります。
ザイザル錠を使用した結果、効果発現時間が1時間後程度、効果が最大になるのが6〜8時間後、持続時間が32時間以上であることが確認されています((ザイザル錠5mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340278_4490028F1027_1_009_1F))。
この結果からザイザルの子供の使用においても同様の傾向があると考えられ、1時間程度で効果が出始め、一定の効果持続が想定されます。
ただし、小児においては一般的に薬の代謝が成人よりも早いと考えられており((湯田厚司, 小児耳 2015; 36(3): 335-341))、効果が持続する時間は成人よりも短い可能性が考えられます。
上記の臨床試験の結果は成人に対する結果であり、小児の動態とは多少異なっている可能性もあります。ザイザル錠の小児における用法は1日2回であり、成人の用法の1日1回よりも効果時間が短くなる可能性を考慮していることが考えられます。
ザイザルの小児に対する効果
ザイザルの小児の患者に対する実際の効果は、ザイザルと類似の成分であるセチリジン(製品名:ジルテックなど)の臨床試験の結果が参考となります。
アレルギー性鼻炎に対してはくしゃみ発作、鼻汁(鼻水)、鼻閉(鼻づまり)、鼻内そう痒感(かゆみ)の症状が、プラセボ(偽薬)に比較し、セチリジンの効果の方が統計学的に有意であったことが確認されています。また、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒(かゆみ)に関しては、ケトチフェンフマル酸塩(製品名:ザジテンなど)と比較し、セチリジンの効果が劣らなかったことが確認されています((ザイザル錠5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_4490028F1027_1_07.pdf))。
ザイザルの小児の用量|1日2回の理由
ザイザル錠を小児に使用する場合はザイザル錠5mgを1回に半錠の2.5mg、これを朝食後と寝る前の1日2回に使用します。
ザイザル錠の小児に対する用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、7歳以上15歳未満の小児にはレボセチリジン塩酸塩として1回2.5mgを1日2回、朝食後及び就寝前に経口投与する。
ザイザル錠5mg 添付文書
なお、用法では朝食後となっていますが、ザイザルは食事の影響は大きくないため((ザイザル錠5mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340278_4490028F1027_1_009_1F))、朝食後に飲み忘れて少し時間が経ってから服用したり、食事を取らずに服用しても大きな影響はないと考えられます。
また、15歳以上では子供でも成人と同じ用法で使用することになり、7歳未満ではザイザルシロップを使用するのが一般的です。
ザイザルの小児用法が1日2回なのはなぜ
ザイザルを15歳未満の小児に使用する場合は、15歳以上の成人と異なり1日2回の使用となります。
この用法の理由として、小児の代謝速度の違いが考えられます。
一般的に小児は成人よりも薬の代謝が早いと考えられており、代謝を考えて成人では1日1回の薬でも小児では1日2回で投与する薬剤も多いとされています((湯田厚司, 小児耳 2015; 36(3): 335-341))。
代謝が異なると薬の効果の出やすさ、効果時間、副作用の出やすさなどいろいろな面に影響がでてくるため、小児の代謝の点を考慮して1日2回の用法が設定されていると考えられます。
ザイザルの小児の副作用|眠気は
ザイザルの小児に対する副作用に関して参考になるものとして、類似の成分であるセチリジンのドライシロップの臨床試験の結果があり、副作用の頻度は全体で4.2%、主なものは肝機能の指標となる検査値のALT(GPT)上昇が1.3%、眠気が1.0%という内容でした((ザイザル錠5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_4490028F1027_1_07.pdf))。
また、ザイザルドライシロップの国内で行われた臨床試験では、60人中、副作用が出た症例はないという結果でした。
上記の結果から、ザイザルは小児の使用に関しても副作用の心配はあまり必要ないと考えられます。長期で服用するような場合は肝機能の検査値などに多少注意してみましょう。
ザイザルの眠気の副作用
ザイザルの眠気の副作用について、参考になるものが類似の成分であるセチリジン(製品名:ジルテックなど)国内4つの小児臨床試験の併合解析の結果であり、セチリジン塩酸塩の眠気の発現率は1.0%(5/480例)という結果でした((ザイザル錠5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_4490028F1027_1_07.pdf))。
ザイザルは類似の成分であるセチリジン(製品名:ジルテックなど)よりも眠気が少ないと考えられていますが、そのジルテックに関しても子供に対する臨床試験で眠気の頻度は高くないため、眠気に関しても多少の注意が必要なものの、大きな心配は必要ないと考えられます。
ザイザルを子供が誤飲した場合は
ザイザルを間違って子供が誤飲してしまった場合、量によって対応を考える必要があります。
まず、ザイザル錠を半錠〜1錠程度、ザイザルシロップ10mL程度くらい(通常大人が使う量程度)を誤飲してしまった場合ですが、あまり過剰な心配はあまり必要ないと考えられます。眠気の副作用などが出る可能性はありますが、子供の様子を観察し、1日程度特別な異常がなければそれ以降はあまり問題ないと考えられます。ただし、子供が普段と様子が大きく異なる場合は医師の診察をすぐ受けましょう。
次にザイザル錠を何十錠やザイザルシロップを何十mLも誤飲してしまった場合は、念のため、医師の処置を受けた方が安全と考えられます。過量に摂取しまってしまった場合の徴候、症状として、傾眠傾向(眠気)の他、子供においては逆に興奮症状である激越、落ち着きのなさがあらわれる可能性もあります。特異的な解毒剤はなく、透析で除去できないため((ザイザル錠5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340278_4490028F1027_1_07.pdf))、医師の判断で対症療法を行うことになります。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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