サイベース軟膏の効能やステロイドの強さ|妊婦の使用や市販での購入は

サイベース軟膏について効能効果、ステロイドの強さ、使い方などについて添付文書等から解説していきます。

サイベース軟膏の特徴、ステロイドの強さ

サイベース軟膏はジフルプレドナートを成分とした抗炎症作用のあるステロイドの塗り薬です((サイベース軟膏0.05%/ サイベースローション0.05% 添付文書))。
サイベース軟膏の特徴としてステロイド外用剤の中でも比較的に強い作用がある点が挙げられます。

サイベース軟膏のステロイドの強さ

サイベース軟膏のステロイドとしての強さは上から二番目に強いとされるⅡ群(VeryStrong)に分類され、比較的強い抗炎症効果が期待できる薬です。
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群(Strongest)が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群(Weak)が最も弱い分類となります。

サイベース軟膏はジェネリック|先発はマイザー

サイベース軟膏と同じジフルプレドナートを成分とするステロイド剤としてマイザーが挙げられます。サイベース軟膏はジェネリック医薬品に該当する医薬品であり、サイベース軟膏の先発医薬品はマイザーとなります。

サイベース軟膏の効能効果

サイベース軟膏は様々な効能効果があります。代表的なものはかゆみなどを伴う湿疹皮膚炎の他、虫刺されやけどの後の肥厚性瘢痕ケロイドなどにも使用されます。
サイベース軟膏の効能効果の詳細は以下の通りです。

湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、脂漏性皮膚炎、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹、結節性痒疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、ジベルばら色粃糠疹、薬疹・中毒疹、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、紅皮症、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、円形脱毛症、アミロイド苔癬(斑状アミロイドーシスを含む)、肥厚性瘢痕・ケロイド

サイベース軟膏0.05%/ サイベースローション0.05% 添付文書

サイベース軟膏の作用機序

サイベース軟膏が湿疹、皮膚炎などの皮膚疾患に対して効果を示すのは、ステロイド成分による抗炎症作用が働くためです。
ステロイドの成分は一般的に抗炎症蛋白のリポコルチンを産生を促進させ、ホスホリパーゼA2を阻害し、結果として抗炎症作用を示すとされています。

サイベース軟膏はヘルペスや水虫には基本的に使用しない

サイベース軟膏に含まれる成分はステロイドであり、ウイルスの感染に対しては基本的に効果は期待できません。
ヘルペスなどもウイルスが原因の感染症であり、サイベース軟膏には適さない皮膚疾患です。医師から特別に指示された場合を除き、自己判断で使用することはやめましょう。
その他、皮膚の疾患の代表的なものにかゆみを伴う水虫がありますが、基本的にサイベース軟膏の成分は水虫の原因には効果がありません。ステロイドによって免疫が低下して逆に悪化するような可能性もあり、サイベース軟膏は積極的に水虫に使用する薬でありません。サイベース軟膏を自己判断で水虫に使用するのは避けましょう。

サイベース軟膏はニキビにはあまり使用しない

ニキビに対しては基本的にはサイベース軟膏の効能には含まれません。炎症を鎮める目的で効果があるケースも中にありますが、ステロイド外用剤には一般的に痤瘡様疹(ニキビのような状態)の副作用の可能性が知られており、ニキビが悪化してしまうケースもあります。また、サイベース軟膏は比較的に強いステロイドであるため、基本的に顔に使うケースはほとんどありません。自己判断で顔のニキビに使用することは避けましょう。

サイベース軟膏の使い方

サイベース軟膏は1日1〜数回患部に塗って使用します。
サイベース軟膏の用法用量の詳細は以下の通りです。

通常1日1~数回適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。

サイベース軟膏0.05%/ サイベースローション0.05% 添付文書

サイベース軟膏の使用部位|顔や唇、陰部などにはあまり使用しない

サイベース軟膏はその作用の強さから比較的皮膚が厚い部分に使用することが多いステロイドであり、顔や唇、陰部などの粘膜は薬の吸収率が高くなるため、サイベース軟膏のような作用の強いステロイドはあまり使用されません。
医師から指示されているケースを除き、自己判断でサイベース軟膏を顔や唇、陰部などのデリケートな部分に使用するのは避けるようにしましょう。

サイベース軟膏の授乳中・妊娠中の使用

サイベース軟膏の授乳中・妊娠中の使用についてそれぞれ確認していきます。

サイベース軟膏の授乳中の使用

サイベース軟膏は授乳中の使用については、メーカーから特別な注意喚起はされてなく((サイベース軟膏0.05%/ サイベースローション0.05% 添付文書))、基本的にはあまり気にせず使用できると言えるでしょう。
実際に授乳中にサイベース軟膏を使用するかは、処方医の先生の判断となります。サイベース軟膏に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

サイベース軟膏の妊娠中の使用

サイベース軟膏の妊娠中の使用に関しては、大量又は長期にわたる広範囲の使用は避けるよう注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。[動物実験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている。]

サイベース軟膏0.05%/ サイベースローション0.05% 添付文書

上記のような注意喚起がされている理由として、動物実験にてにサイベース軟膏の成分を皮下投与した試験で、ウサギの器官形成期投与において口蓋裂等の奇形が観察された報告などが挙げられます((マイザー軟膏0.05%/マイザークリーム0.05% インタビューフォーム))。ただし、この内容は皮下投与の結果であり、実際の使用法である皮膚に塗布した場合とは異なる可能性が考えられ、また高用量での結果です。
実際には皮膚に塗布する外用剤では影響は大きくないと考えられ、専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでも、サイベース軟膏の成分は大量、長期の使用でなければ使用可能という見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

局所作用であり、大量、長期でなければ使用可能

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にサイベース軟膏を使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。サイベース軟膏に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

サイベース軟膏の市販・通販での購入

サイベース軟膏などの処方薬(医療用医薬品)は、処方せん医薬品と、処方せん医薬品以外の医薬品に分類され、サイベース軟膏は処方せん医薬品以外の医薬品となります。
このため、法律上は処方箋がなくても医療用医薬品を扱っている薬局などでサイベース軟膏を購入することが可能となります。
しかし、実際にはサイベース軟膏を売ってもらえるケースは稀であり、その理由として、医療用医薬品は処方せんに基づいて調剤してから患者さんに販売することが原則であるため、薬局には処方せんがない患者さんには販売の応需義務がないからです。
従って、処方せん医薬品以外の医薬品と言えども薬局で処方箋なしで購入するのはあまり現実的とは言えず、基本的には医師に処方してもらった上で入手することになります。
別の手段として、サイベース軟膏を通販などで個人輸入することも法律上は可能です。
厚生労働省のサイトにおいても、一部の医薬品を除き、海外から個人輸入で医薬品を買うことは認められています。サイベース軟膏は個人輸入することが可能な医薬品に該当し、インターネット上でも通販として個人輸入を実施するサイトがあります。
しかし、この方法にはいくつかのリスクがあり、リスクの一つとして、海外の医薬品であるため、品質が粗悪な可能性があります。また、価格についても適正価格でない可能性があるというリスクや万が一重い副作用などが出てしまうケースの場合、国から受けれられる救済が受けられいない可能性があるというリスクもあります。
その他の手段として、サイベース軟膏と同じ成分が含まれる市販薬で代用するという方法も考えられますが、残念ながらサイベース軟膏と同じ成分を含む市販薬は販売されていません。市販で販売されている最も強いステロイドはⅢ群(Strong)に分類されるベタメタゾン吉草酸エステルの成分を含むベトネベートです。Ⅱ群に分類されるサイベース軟膏よりも強さが一段階弱いステロイドです。
以上の点から、サイベース軟膏の最も合理的な入手方法はやはり医師の診察を受けて処方せんを発行してもらうことと言えます。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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