デルモベートの効能や使用部位、副作用などについて

デルモベートの種類と強さ、アンテベートやリンデロンとの違い、軟膏・クリーム・スカルプローションの効能効果、やけどなどへの使用、顔などへの使用部位、副作用、市販での購入の可否など添付文書等から解説します。

デルモベートの種類と強さ

デルモベートは皮膚などに塗って使用するステロイド外用剤の一種であり、医師からの処方によって使われる処方薬です。湿疹、皮膚炎などに使用されるケースが多く、外用剤ではよく使用される薬の一つです。
デルモベートの成分はクロベタゾールプロピオン酸エステルというステロイドです。デルモベートの剤型の種類には軟膏クリームスカルプローションがあり、用途によって使い分けたりします。軟膏、クリーム、ローションの使い分けや使用感はおおよそ以下の通りとなります。

剤型 メリット デメリット 向いているケース
軟膏 保湿性が高く、刺激が少ない ベタベタし使用感がイマイチ 傷があったり、ジュクジュクしている部分
クリーム 軟膏よりもベタつかず、吸収も良い 軟膏よりも効果が低い可能性、刺激を感じることも 乾燥している部分、皮膚が厚い部分
ローション 吸収が最も速く、使用感も良い 最も刺激を感じやすく、効果が続かない 頭部への使用

 
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群が最も弱い分類となります。
デルモベートはこの中で最強のⅠ群(strongest)に分類されるステロイド剤であり、非常に高い効果が期待される外用剤です。
比較されることの多い薬としてアンテベートリンデロンがありますが、アンテベートはⅡ群(very strong)、リンデロンはⅢ群(strong)(ただし、リンデロンDPはvery strong)であり、強さはデルモベート>アンテベート>リンデロンとなります。

デルモベートの効能効果

デルモベートの効能効果は湿疹や皮膚炎の他、乾癬、虫刺されなどにも用いられます。効能効果の詳細は以下の通りです。

デルモベート軟膏0.05%/クリーム0.05% 効能効果
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(蕁麻疹様苔癬、ストロフルス、固定蕁麻疹を含む)、掌蹠膿疱症、乾癬、虫さされ、薬疹・中毒疹、ジベルばら色粃糠疹、慢性円板状エリテマトーデス、扁平紅色苔癬、紅皮症、肥厚性瘢痕・ケロイド、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、アミロイド苔癬、天疱瘡群、類天疱瘡(ジューリング疱疹状皮膚炎を含む)、悪性リンパ腫(菌状息肉症を含む)、円形脱毛症(悪性を含む)

デルモベート軟膏0.05%/クリーム0.05% 添付文書

デルモベートスカルプローション0.05% 効能効果
主として頭部の皮膚疾患湿疹・皮膚炎群、乾癬

デルモベートスカルプローション0.05% 添付文書

デルモベート軟膏やデルモベートクリームは上記の通り、湿疹皮膚炎以外にも様々な疾患に使用され、やけどの跡などに起こる肥厚性瘢痕ケロイドなどにも使用されることがあります。
一方デルモベートスカルプローションは主に頭部の疾患に対して使用されることが多い薬です。
また、皮膚感染を伴う湿疹・皮膚炎には使用しないことが原則となっています。これはステロイドによって免疫が低下して逆に悪化するようなケースもあるためです。水虫なども感染症の一つと言えますので、デルモベートを使用するのは向いていないケースです。

デルモベートの使用部位

デルモベートは前述の通り、ステロイド中でも最も効果が強いグループに分類される薬であり、使用する部位には注意が必要です。
一般的に陰部は他の皮膚の部分よりも薬をよく吸収されることが知られており、ステロイドなどの塗り薬は同じ量を使用してもかなり効果が強く出る傾向があります。顔の中でも目の周りは特に吸収されやすく、顔や陰部に使用する場合は医師からの指示であっても十分に注意して使用する必要があります。また、子供はより効果が強く出てしまう傾向があります。子供の場合は、大人よりも1段階程度弱い薬を使う傾向があります。
デルモベートは最強クラスの外用剤であるため、基本的に顔や陰部に使用するケースはほぼありません。医師からの特別な指示があるような場合を除き、自己判断で使用するようなことは絶対にやめましょう。

デルモベートの副作用

ステロイドは副作用が心配と思う方も多いかと思いますが、最強クラスの効果をもつデルモベートに関しても正しく使用する分にはそこまで副作用の心配をする必要はありません。デルモベートの添付文書に記載されている副作用の頻度は、軟膏・クリームでは3.0%、スカルプローションに関しては2.3%とされており、決して高い頻度ではないことがわかります。
その中でも比較的頻度が高い副作用として、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)、毛のう炎(毛包に細菌が感染して起こる皮膚の病気)、皮膚刺激かゆみも含む)などとされています。
頻度はそれほど高くないものの、魚鱗癬様皮膚変化という皮膚がうろこの様にはがれたり、乾燥する症状や、長期で使用する場合に比較的知られている副作用として、酒さ様皮膚炎が挙げられます。この副作用は顔がほてったようになり、赤いブツブツができ、ステロイドの使用をやめると悪化するといったものになります。上記のような症状が現れた場合には少し注意し、医師の判断を仰ぐようにしましょう。
その他にもステロイドは免疫を弱めてしまう傾向があります。その結果、ステロイドの外用剤には皮膚の感染症を起こしてしまうリスクも少なからずあることを覚えておきましょう。
頻度としては非常に稀ですが、重大な副作用として、目に症状が出る副作用があります。具体的には眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障です。これらは目の周辺に使用した場合や、特に長期にステロイドを使用している際に可能性があります。万が一目に異常を感じた場合は直ちに医師に相談するよう心がけましょう。

デルモベートは市販で買えるか

デルモベートはステロイドの中でも最強クラスのクロベタゾールを成分に含む薬です。残念ながらクロベタゾールを含む市販薬は販売されていないため、デルモベートと同じ効果が得られる薬は市販では買うことができません。
デルモベートは使用方法を間違えると非常に危険な薬とも言えますので、家族や知人との間での授受も避け、必ず医師の診察を受けた上で処方してもらうようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました