エピナスチンの効果や副作用|眠気の頻度やジェネリック、ステロイドの併用も

エピナスチンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

エピナスチンの特徴

エピナスチンは抗アレルギー・抗ヒスタミン成分であり、飲み薬では蕁麻疹や花粉症を含むアレルギー性鼻炎、湿疹、気管支喘息などに効果がある薬剤です1)。エピナスチンを成分として含む薬剤の代表例としてアレジオン錠の他、ジェネリック医薬品であるエピナスチン錠などがあります。
エピナスチンの特徴は、抗ヒスタミン作用のほかにロイコトリエンやPAF(血小板活性化因子)、ブラジキニン等に対する抗メディエーター作用を持つ点や1日1回で効果が得られる点などが挙げられます2)
エピナスチンの製剤には通常の錠剤である20mg錠、10mg錠の他、主に小児で使用されるドライシップ剤、目薬であるアレジオン点眼があります。
今回は主にエピナスチンの錠剤について確認していきます。
1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書
2) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 インタビューフォーム

エピナスチンはアレジオンのジェネリック医薬品もしくは成分名を指す

「エピナスチン」には2種類の意味があり、
①アレジオンのジェネリック医薬品を指す場合
②アレジオンの成分名(一般名)を指す場合
があります。
近年ではジェネリック医薬品の販売名は、薬の成分名で統一させる方針となっており、成分名がそのままジェネリック医薬品の販売名となります。
したがって、エピナスチンとはアレジオンのジェネリック医薬品の販売名もしくはアレジオンの成分名を指すことになります。

エピナスチンとアレジオンの違い

エピナスチンは上記の通り、アレジオンのジェネリック医薬品もしくは成分名を指すため、エピナスチンとアレジオンの違いは
①ジェネリック医薬品と先発医薬品の違い
②成分名(一般名)と販売名の違い
と言えます。
なお、ジェネリック医薬品の場合は、厳密にはエピナスチンの後に製薬会社名が販売名として加えられるため、エピナスチン塩酸塩錠20mg「サワイ」、エピナスチン塩酸塩錠20mg「日医工」などがジェネリック医薬品の正式な販売名となります。

エピナスチンの効果

エピナスチン錠は蕁麻疹、花粉症を含むアレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状)、湿疹・皮膚炎、気管支喘息などに対して効果がある薬剤です。
エピナスチン錠の製品例の効能効果は以下の通りです。

気管支喘息
アレルギー性鼻炎
蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う尋常性乾癬

エピナスチン塩酸塩錠「サワイ」 添付文書

エピナスチンの作用機序

エピナスチンの主な作用機序はアレルギーを引き起こす原因物質であるヒスタミンに対しての拮抗作用です1)
花粉などやアレルギーなどでアレルギー原因物質が体内に取り込まれると、体の防御反応が働き体内で免疫反応が起こりますが、この反応が過剰になってしまっているのがアレルギー状態であり、この際にヒスタミンが過剰に放出されることが知られています。
エピナスチンなどの抗ヒスタミン薬はこれらのヒスタミンの受容体(ヒスタミンが作用する部分)を阻害することによってヒスタミンの作用を抑制します。これにより鼻水・鼻づまり・くしゃみなどが症状となるアレルギー性の鼻炎や蕁麻疹、皮膚炎などの症状が和らぎます。
1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書

エピナスチンの効果時間

エピナスチンの作用発現時間の参考となるデータとして、健康成人に対するヒスタミン誘発皮膚膨疹抑制作用を確認した臨床試験の結果があります。エピナスチン塩酸塩10mg及び20mgの投与で、1時間後にはプラセボ(偽薬)と比較して統計学的に有意に膨疹を抑制している結果となっています2)
また、効果持続時間については、臨床試験における1日1回の使用で気管支喘息、通年性アレルギー性鼻炎、瘙痒性皮膚疾患などに対して効果が確認されており、1回の使用で24時間程度の効果が得られることが確認されています。
これらの点からエピナスチンの効果時間は、使用後比較的速やかに効果が発現し、その効果は1日持続することが考えられます。
2) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 インタビューフォーム

エピナスチンの実際の患者さんへの効果

エピナスチンの実際の患者さんに対する効果は、エピナスチンの成分を含む先発医薬品のアレジオンにおける臨床試験において確認されています。
アレジオンの臨床試験では、気管支喘息に対して47.0%、通年性アレルギー性鼻炎に対して47.7%、搔痒性皮膚疾患に対して74.2%という結果が得られています1)
1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書

エピナスチンの使い方・飲み方

エピナスチン錠はを1回1錠、1日1回使用するのが一般的な使い方・飲み方となります。
エピナスチン錠の製品例の用法用量の詳細は以下のとおりです。

1.気管支喘息、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹、そう痒を伴う尋常性乾癬
通常、成人にはエピナスチン塩酸塩として1回20mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
2.アレルギー性鼻炎
通常、成人にはエピナスチン塩酸塩として1回10~20mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

エピナスチン塩酸塩錠「サワイ」 添付文書

エピナスチンの小児の使用

エピナスチン錠は小児に対する安全性は確立されていないとされていますが、ドライシロップ剤では3際から用法用量が設定されています。

ただし、ドライシロップ剤では気管支喘息に対する効能効果が認められていない点について注意しましょう。

エピナスチンの副作用|眠気についても

エピナスチンの副作用の頻度として、先発医薬品であるアレジオンの臨床試験の結果が参考になり、アレジオン錠の主な副作用は、眠気(1.21%)、口渇(0.33%)、倦怠感(0.32%)、胃部不快感(0.20%)、嘔気(0.18%)等であったとされています1)
頻度の面からもエピナスチンで最も注意が必要な副作用は眠気と言えます。
エピナスチンを含めた抗ヒスタミン薬で眠気がでる、眠いと感じる理由は、アレルギーの原因となるヒスタミンは同時に脳の覚醒に影響する作用をもっており、抗ヒスタミン薬はそのヒスタミンの作用を阻害してしまうため、脳の覚醒が阻害され、眠気が出ると考えられています。
抗ヒスタミン薬の中でも脳内に移行しにくければ、脳のヒスタミン作用を阻害することが少なくなるため、近年は脳内移行率の低い抗ヒスタミン薬が開発されており、それらがアレグラやクラリチンをはじめとする眠くなりにくい抗ヒスタミン薬です。ただし、眠気の出にくいものは効果もマイルドである場合が多く、自分にあった薬剤を選ぶのが重要と言えます。
エピナスチンは抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の中でも眠気が出にくい方とされていますが、一定の頻度で眠気がでるため、車の運転などに関して注意喚起されています。

重要な基本的注意
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に注意させること。

エピナスチン塩酸塩錠「サワイ」 添付文書

1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書

エピナスチンの飲み合わせ

エピナスチンには飲み合わせを注意喚起されている薬はありません1)
基本的にどのような薬と一緒に使用しても問題ないと言えるでしょう。花粉症シーズンなどでは特に多い組み合わせとして、抗ロイコトリエン薬のオノン(プランルカスト)、キプレス・シングレア(モンテルカスト)、ステロイド配合薬のセレスタミン、点鼻薬のナゾネックス、アラミスト、フルナーゼ、リノコート、エリザス、目薬のリボスチン(レボカバスチン)、ザジテン(ケトチフェン)点眼液、パタノール、アレジオン点眼液、フルメトロン・オドメール(フルオロメトロン)などの薬は組み合わせることが多い薬剤と言えます。
その他にも解熱鎮痛剤であるロキソニン(ロキソプロフェン)、カロナール(アセトアミノフェン)、ブルフェン(イブプロフェン)、去痰薬のムコダイン(カルボシステイン)、ムコソルバン(アンブロキソール)、鎮咳薬のアスベリン、メジコン、アストミン、炎症を緩和するトランサミン(トラネキサム酸)、抗生物質・抗菌剤のサワシリン、メイアクト、フロモックス、クラリス、クラビットなどとも併用・飲み合わせは問題ないと言えます。
また、各種疾患で様々な剤型のステロイドが併用されるケースがありますが、これらも特に問題ありません。プレドニンなどのステロイドの飲み薬を始め、点鼻薬であるアラミストやナゾネックス、エリザス、目薬であるフルメトロン、オドメール、リンデロン、吸入薬であるアドエア、フルティフォーム、レルベア、塗り薬のリンデロンやアンテベート、マイザーなども併用は各種ステロイドで問題ありません。
注意したい点として、同じ第二世代の抗ヒスタミン薬に分類される薬とは基本的に同時に使用しません。アレグラ(フェキソフェナジン)、アレロック(オロパタジン)、タリオン、ザイザル、ジルテックなどの薬剤とは医師からの特別な指示があるような場合を除き、自己判断で併用するようなことは避けましょう。また、市販の風邪薬などは抗ヒスタミン薬を含んでいるケースが多く、眠気が強く出る可能性があるため、エピナスチンを使用中は自己判断で市販の風邪薬を使用するのは避けるようにしましょう。
1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書

エピナスチンとお酒(アルコール)との飲み合わせ

エピナスチンは前述の通り、飲み合わせに関しては特別な注意喚起はなく、お酒(アルコール類)に関しても特別な注意喚起はありません1)
ただし、それでもエピナスチンを使用中にお酒を飲むことはあまり推奨されるとは言えません。エピナスチンには眠気の副作用が一定の頻度で認められる薬であり、アルコールと併用することで眠気が強く出る可能性も否定できません。
エピナスチンとアルコールの併用は明確に禁止されているものでないので、絶対に避けるものではないと言えますが、可能であれば事前に医師や薬剤師に相談しておき、飲酒をする場合でも量を控えたり時間を空けるなどを検討するようにしましょう。
1) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 添付文書

エピナスチンの授乳中の使用

エピナスチンは授乳中の場合は使用しない、もしくは使用する場合は授乳を中止することが推奨されています。

授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。〔動物実験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。〕

エピナスチン塩酸塩錠「サワイ」 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、エピナスチンは乳汁中に移行することが動物実験にて確認されています。
ただし、専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、実際の有害事象の報告がなく、小児にも適応があるため、授乳婦に使用可能と考えられるという内容です3)

動物での母乳への移行が報告されているが、授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらない。小児にも適応があり、使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に授乳中にエピナスチンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。エピナスチンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)

エピナスチンの妊娠中の使用

エピナスチンは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、妊娠前及び妊娠初期試験(ラット)では受胎率の低下が、器官形成期試験(ウサギ)では胎児致死作用が、いずれも高用量で認められている。〕

エピナスチン塩酸塩錠「サワイ」 添付文書

上記の注意喚起がされている理由として、濃度は高くないもののエピナスチンが胎盤を通過する点、動物における生殖発生毒性試験において、エピナスチンの高用量の使用にて一定のリスクが確認されている点が挙げられます2)

ただし、専門家の意見と一つとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)では、ヒトでの催奇形性、胎児毒性を示唆するデータがないため、使用可能という見解です3)

ヒトでの催奇形性、胎児毒性を示唆するデータなし。妊婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にエピナスチンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。エピナスチンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) アレジオン錠10/ アレジオン錠20 インタビューフォーム
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)

エピナスチンの薬価、ジェネリック

エピナスチン錠の各種ジェネリック医薬品の薬価は、エピナスチン塩酸塩錠20mgで29.4〜69.5円、エピナスチン塩酸塩錠10mgで18.7〜54.4円とされており、メーカーによって薬価が異なります。エピナスチン錠のジェネリックには、エピナスチン塩酸塩錠という名称の他、アズサレオン錠、ピナジオン錠、ユピテル錠、アルピード錠などの名称でも販売されています。
なお、エピナスチンの先発医薬品であるアレジオン錠では、アレジオン錠20で120.3円、アレジオン錠10で91.0円とされており、いずれもエピナスチンのジェネリック医薬品を使用した方が経済的と言えます。

エピナスチンの市販での購入

エピナスチンの成分は市販薬でも使用されている成分であり、市販で購入することができます。
エピナスチンの代表的な市販薬が、処方薬名とほぼ同じアレジオン20とアジレオン10です。市販薬のアレジオン20は処方薬のアレジオン錠20と、市販薬のアレジオン10は処方薬のアレジオン錠10と同じ成分量であり、基本的に同じ効果が得られると考えられます。ただし、市販薬では効能効果は「鼻のアレルギー症状の緩和」のみであり、蕁麻疹や皮膚疾患、気管支喘息は効能効果の範囲外である点に注意しましょう。
なお、市販薬は保険適用となる処方薬のエピナスチンと比較すると割高になるケースが多いと考えられます。一時的に使用する分には手軽に手に入る市販薬は向いていると言えますが、長期的に使用する場合には医師の適切な診断のもと、処方箋を発行してもらい処方薬を使用するのが合理的と言えるでしょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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