ルパフィンの効果や副作用|新薬の特徴や発売日、効果時間なども

ルパフィンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中の使用、妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ルパフィンの特徴

ルパフィンはルパタジンを成分とし、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚炎などに効果が認められている抗アレルギー薬です((ルパフィン錠10mg 添付文書))。
ルパフィンの最大の特徴は従来の抗アレルギー作用に加え、抗PAF(血小板活性化因子)作用を有し、遅延型アレルギー症状の抑制も期待できます((ルパフィン錠10mg インタビューフォーム))。

ルパフィンの発売日と承認日

ルパフィンは2017年9月に承認され(承認日:2017年9月27日)、11月に薬価収載(薬価収載日2017年11月22日)されました。
そして2017年11月に発売(発売日:2017年11月27日)となりました。

ルパフィンの海外での販売

ルパフィンは海外ではすでに多くの国で販売されている薬剤です。
2001年7月にスペインにて承認されて以降、アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹の治療薬として、世界80ヵ国以上で承認されています((ルパフィン錠10mg インタビューフォーム))。

ルパフィンの効果

ルパフィンは季節性及び通年性アレルギー性鼻炎における鼻症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉、鼻内そう痒感)や、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うかゆみに対して効果が認められている薬です。
ルパフィンの効能効果の詳細は以下の通りです。


アレルギー性鼻炎
蕁麻疹
皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒

ルパフィン錠10mg 添付文書


ルパフィンの作用機序

ルパフィンの主な作用機序はヒスタミンH1受容体拮抗作用とPAF (血小板活性化因子)に対する拮抗作用です。
花粉などのアレルギー原因物質が体内に取り込まれると、体の防御反応が働き体内で免疫反応が起こりますが、この反応が過剰になってしまっているのがアレルギーであり、この際にヒスタミンが過剰に放出されることが知られています。ルパフィンなどの抗ヒスタミン薬はこれらのヒスタミンの受容体(ヒスタミンが作用する部分)を阻害することによってヒスタミンの作用を抑制します。これによりアレルギー性の鼻炎などの症状が和らぎます。
また、ルパフィンの特徴的な作用機序として抗ヒスタミン作用に加えて抗PAF作用が知られています。PAFは炎症や気管支収縮等に関与するとされており、遅延型アレルギー症状の抑制も期待できます。

ルパフィンの効果時間

ルパフィンの効果発現時間は15分程度から発揮され、さらに効果持続時間として、1日1回の使用で1日中効果が持続することが想定されます。
ルパフィンの効果発現時間は外国人成人アレルギー性鼻炎患者45例を対象とした調査の結果が参考となり、ルパフィンの成分を使用した場合にアレルゲン曝露装置の曝露15分時点から総鼻症状スコアを統計学的に有意に減少させたとされています。
ルパフィンの効果持続時間は外国人健康男性被験者8例を対象とした調査が参考となり、ルパフィンの成分10mg投与では、ヒスタミン誘発性発赤抑制率の平均抑制率は4時間後に41%、24時間後に最大 69%となり、96 時間後でも43%が維持されたとされています。ルパフィンの成分20mg投与では、平均抑制率は4時間後に53%、12時間後に最大82%となり、96時間後でも40%が維持されたとされています((ルパフィン錠10mg インタビューフォーム))。

ルパフィンの臨床成績

ルパフィンの実際の患者さんに対する効果は臨床試験によって確認されています。
季節性アレルギー性鼻炎患者を対象にした臨床試験では、投与2週間後に総鼻症状スコア(くしゃみ、鼻汁、鼻閉及び鼻内そう痒感の合計)のベースラインからの変化量において、プラセボに対するルパフィンの優越性が確認されています((ルパフィン錠10mg 添付文書))。

アレルギー性鼻炎:投与2週後までの総鼻症状スコアのベースラインからの変化量

10mg群 20mg群 プラセボ群
ベースラインa) 9.57±2.37
(298)
9.76±2.39
(300)
9.56±2.45
(302)
投与2週後b) 7.69±2.71
(296)
7.47±2.69
(298)
8.79±2.66
(301)
ベースラインからの変化量 -1.86±2.62
(296)
-2.29±2.79
(298)
-0.78±2.46
(301)
プラセボ群との差
[95%信頼区間]c)
片側p値c)、d)
-1.09
[-1.47. -0.71]
P<0.001
-1.42
[-1.79. -1.04]
P<0.001

平均値±標準偏差(例数)
a)治療期開始前3日間の平均値
b)治療期8~13日後の6日間の平均値
c)投与群、年齢区分(12~17歳/18~64歳)及びベースライン値を説明変数としたANCOVAモデル
d)10mg群とプラセボ群の比較において統計学的有意差が認められた場合に20mg群とプラセボ群の比較を行う閉手順により多重性を調整、有意水準は片側2.5%
 
また、慢性蕁麻疹患者を対象とした臨床試験でも、主要評価項目である投与2週後における総そう痒スコア(日中の痒み及び夜間の痒みの合計)のベースラインからの変化量において、プラセボに対するルパフィンの優越性が確認されています((ルパフィン錠10mg 添付文書))。

蕁麻疹:投与2週後までの総そう痒スコアのベースラインからの変化量

10mg群 20mg群 プラセボ群
ベースラインa) 5.06±1.12
(91)
4.70±1.20
(91)
4.69±1.26
(94)
投与2週後b) 1.72±1.54
(91)
1.40±1.52
(90)
3.51±1.82
(93)
ベースラインからの変化量 -3.34±1.63
(91)
-3.30±1.79
(90)
-1.16±1.66
(93)
プラセボ群との差
[95%信頼区間]c)
片側p値c)、d)
-1.96
[-2.41. -1.50]
P<0.001
-2.12
[-2.58. -1.67]
P<0.001

平均値±標準偏差(例数)
a)治療期開始前3日間の平均値
b)治療期7~13日後の7日間の平均値(治療期2週目に1つも有効性の評価項目の値がない場合、治療薬投与後の全ての評価値〔本登録日の2日後以降に得られた全ての評価値〕の平均値を治療期2週目の値として補完した。)
c)投与群、年齢区分(12~17歳/18~64歳)及びベースライン値を説明変数としたANCOVAモデル
d)10mg群とプラセボ群の比較において統計学的有意差が認められた場合に20mg群とプラセボ群の比較を行う閉手順により多重性を調整、有意水準は片側2.5%

ルパフィンの使い方

ルパフィンは大人、および12歳以上の子供に対して、1回1錠を1日1回使用するのが一般的な使い方となります。また症状によって1回2錠まで増量することがあります。
ルパフィンの用法用量の詳細は以下の通りです。


通常、12歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして1回20mgに増量できる。

ルパフィン錠10mg 添付文書


ルパフィンの副作用|眠気に注意

ルパフィンの副作用は日本における臨床試験において頻度が確認されており、全体の副作用発現率は12.7%、主な副作用は眠気(9.3%)、口渇(0.7%)、倦怠感(0.6%)、ALT(GPT)上昇(0.5%)、AST(GOT)上昇(0.5%)、尿糖(0.4%)、尿蛋白(0.4%)等とされています((ルパフィン錠10mg 添付文書))。
上記の頻度からもルパフィンの最も注意が必要な副作用は眠気と言えます。
ルパフィンを含めた抗ヒスタミン薬で眠気がでる理由は、アレルギーの原因となるヒスタミンは同時に脳の覚醒に影響する作用をもっており、抗ヒスタミン薬はそのヒスタミンの作用を阻害してしまうため、脳の覚醒が阻害され、眠気が出ると考えられています。
抗ヒスタミン薬の中でも脳内に移行しにくければ、脳のヒスタミン作用を阻害することが少なくなるため、近年は脳内移行率の低い抗ヒスタミン薬が開発されており、それらがアレグラやクラリチンをはじめとする眠くなりにくい抗ヒスタミン薬です。ただし、眠気の出にくいものは効果もマイルドになることが多いため、自分にあった薬剤を選ぶのが重要と言えます。
ルパフィンは眠気がでるため、車の運転などに関して注意喚起されています。


重要な基本的注意
(3)眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること

ルパフィン錠10mg 添付文書


ルパフィンの飲み合わせ

ルパフィンは飲み合わせに注意が必要な薬がいくつかあり、エリスロマイシンなどのCYP3A4阻害剤の成分を含む薬剤や、グレープフルーツジュース、アルコールなどに注意が必要となります。

成分名等 代表的な薬剤
CYP3A4阻害剤 エリスロシン
グレープフルーツジュース
アルコール

比較的多くの人に該当する可能性があるのがグレープフルーツジュースやアルコール(お酒)です。
グレープフルーツジュースと飲み合わせに注意が必要な理由はCYP3A4という代謝酵素が阻害されルパフィンの代謝が阻害され、ルパフィンの効果が強く出る可能性があるためです。
お酒(アルコール類)と飲み合わせに注意が必要な理由は、中枢神経系に影響を与える可能性があり、眠気などが強く出る可能性があるためでやや危険が伴う飲み合わせと言えます。
ルパフィンを使用中は基本的にはグレープフルーツジュース、お酒(アルコール類)を控えるようにし、仮に服用する場合でも最低限の頻度、最低限の量などを心がけるようにしましょう。また、可能であれば、医師や薬剤などに事前に相談するようにしましょう。

ルパフィンの授乳中の使用

ルパフィンは授乳中では使用するのを避けるのが望ましいとされ、使用する場合は授乳を避けるよう注意喚起されています。


授乳中の婦人には、投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[本剤の活性代謝物であるデスロラタジンではヒト母乳中への移行が報告されている。]

ルパフィン錠10mg 添付文書


ルパフィンは日本では開発されてから比較的新しい薬であり、乳幼児への影響もわかっていない点もあるため、可能であれば使用を避けるのが安全と言えそうです。
実際に授乳中にルパフィンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ルパフィンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ルパフィンの妊娠中の使用

ルパフィンは妊娠中の場合は使用を避けるのが望ましいとされています。


妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与を避けることが望ましい。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、動物試験(ラット)で胎児の発育遅延等が認められている。]

ルパフィン錠10mg 添付文書


ルパフィンは日本では開発されてから比較的新しい薬であり、胎児への影響もわかっていない点もあるため、可能であれば使用を避けるのが安全と言えそうです。
実際に妊娠中にルパフィンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ルパフィンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ルパフィンの薬価、ジェネリック

ルパフィンは1錠あたり69.40円の薬価となっています。
この薬価は同じ1日1錠を使用するクラリチン錠10mg(薬価:86.7円)、ビラノア錠20mg(薬価:79.7円)よりも安価であり、デザレックス錠5mg(薬価:69.4円)と同じ薬価となっているため、同系統の薬剤と同程度の価格と言えます。
ルパフィンは新薬であるため、ジェネリック医薬品は販売されていません。通常新薬は承認されてから一定の年数がたった後に再度審査を受ける必要があり、この期間を終えるまではジェネリック医薬品は販売されません。ルパフィンの再審査期間は2017年9月27日~2025年9月26日とされており、この期間の間はジェネリック医薬品は販売されません。また、特許期間に該当する場合はその期間もジェネリック医薬品は販売できません。

ルパフィンの市販での購入

ルパフィンの成分は市販では販売されておらず、市販薬として買うことはできません。
同じ抗ヒスタミン薬の中で、比較的近い薬としてセチリジンの成分などがあり、この成分を含んでいる市販薬としてコンタック鼻炎ZとストナリニZが販売されています。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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