プランルカストについてその効果や作用機序、風邪への効果、112.5や250、DSなどの種類、授乳への影響、薬価やジェネリックなどについて添付文書等から解説していきます。
Contents
プランルカストの種類と特徴|112.5と225、DSも
プランルカストはロイコトリエン受容体拮抗剤に分類され、気管支喘息やアレルギキー性鼻炎の治療に使われる薬です。
プランルカストには色々な種類の剤型があり、先発医薬品(ジェネリック医薬品が発売される前の製品)では「オノン」という名称で販売され、プランルカストの成分が112.5mg含有されているカプセルのオノンカプセル112.5mgと、主に子供用の粉薬(DS;ドライシロップ)であるオノンドライシロップ10%が販売されています。
ジェネリック医薬品では成分名のまま「プランルカスト」という名称で販売されており、カプセルではプランルカストカプセル112.5mgに加え、2倍の成分量である225mgが含まれるプランルカストカプセル225mgがあります。また、カプセルの他にも通常の錠剤があり、プランルカスト錠112.5mgとプランルカスト錠225mgが販売されています。粉薬ではオノンと同様にプランルカストDS(ドライシロップ)10%があります。
先発医薬品 | ジェネリック | |
カプセル (112.5mg) |
オノンカプセル112.5 | プランルカストカプセル112.5 |
カプセル (225mg) |
– | プランルカストカプセル225 |
錠剤 (112.5mg) |
– | プランルカスト錠112.5 |
錠剤 (225mg) |
– | プランルカスト錠225 |
DS10% (ドライシロップ) |
オノンドライシロップ 10% |
プランルカスト DS10% |
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こちらの記事も参考にしてください。
プランルカストの効果と作用機序|風邪に対する効果も
プランルカストは気管支喘息とアレルギー性鼻炎に対して効果がある薬です。
プランルカストの効能効果の詳細は以下の通りです。
気管支喘息
アレルギー性鼻炎オノンカプセル112.5mg/オノンドライシロップ10% 添付文書
プランルカストの作用機序はLT受容体拮抗作用|効果発現はゆっくり
プランルカストの作用機序はロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用によるものです。
ロイコトリエンとは、気管支の収縮やアレルギー反応に関与する物質であり、プランルカストはこのロイコトリエンが受容体に結合するのを抑制し、気道の炎症を抑え、気管支喘息の症状を起こりにくくしたり、鼻炎の症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ)を抑えます。
また、プランルカストはどちらかと言うと即効性がある薬ではありません。一部の効果は即時的に実感できるケースもありますが、一般的に効果を実感するには通常2〜4週程度はかかるとされており、継続して使用することが重要となります。
プランルカストの効果は喘息、鼻炎ともに65%程度
プランルカストの効果は臨床試験で確認されており、気管支喘息とアレルギー性鼻炎に対する効果としていずれも65%程度の有効率が確認されています。
プランルカストの気管支喘息に対する臨床試験では、改善以上と判定された症例は334例中217例(65.0%)という結果でした。アレルギー性鼻炎に対しては、改善以上と判定された症例は358例中235例(65 . 6%)という結果が報告されています1)。
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書
プランルカストは鼻炎症状の中でも鼻づまりに有効
プランルカストは鼻水、鼻づまり、くしゃみといった鼻炎症状の中でも特に鼻づまりに対して効果が高いとされています。
その理由として、プランルカストの作用点であるロイコトリエンは、鼻粘膜血管の拡張などに大きく関与しており、プランルカストにより鼻粘膜の血管を収縮させることによって鼻づまりが改善します。
実際の臨床試験においても、鼻閉(鼻づまり)を含む病型では61 . 2%の改善率、鼻閉を含まない病型では 54 . 5%の改善率であったとされており、鼻づまりがある鼻炎に対して効果が高いことが窺えます。また、症状別の改善率は、鼻閉では 71.8%、鼻汁(鼻水)では60.3%、くしゃみでは 54.4%とされており、症状別でも特に鼻づまりに有効であることがわかります1)。
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書
プランルカストは風邪の鼻炎症状に対しても一定の効果が期待出来る
プランルカストは風邪における鼻炎症状に対しても一定の効果が期待出来ると考えられます。
特に小児においては喘息を合併しているようなケースが多く、抗アレルギー剤であるプランルカストでも効果のある鼻づまりが多いことが想定されます2)。
鼻炎の症状で風邪と思ってクリニックにかかったらプランルカストを処方された、というケースでも指示された通り薬を使用して問題ないと言えるでしょう。
2) 大久保公裕; 小児耳 31(3); 264-269, 2010
プランルカストの使用方法|授乳への影響についても
プランルカストは大人では1日に450mgを朝食後と夕食後の2回に分けて使用します。112.5mgの錠剤・カプセルの場合は1回2錠(カプセル)で1日合計4錠(カプセル)、225mgの錠剤・カプセルでは1回1錠(カプセル)で1日合計2錠(カプセル)を使用します。
小児では体重1kgあたり7mg(DSでは70mg換算)を朝食後と夕食後の2回に分けて使用します。
プランルカストの用法用量は以下の通りです。
通常、成人にはプランルカスト水和物として1日量450mg(本剤4カプセル)を朝食後及び夕食後の2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。オノンカプセル112.5mg 添付文書
通常、小児にはプランルカスト水和物として1日量7mg/kg(ドライシロップとして70mg/kg)を朝食後および夕食後の2回に分け、用時懸濁して経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。1日最高用量はプランルカスト水和物として10mg/kg(ドライシロップとして100mg/kg)とする。ただし、プランルカスト水和物として成人の通常の用量である450mg/日(ドライシロップとして4.5g/日)を超えないこと。
オノンドライシロップ10% 添付文書
DSの体重別の標準投与量は、下記の用量を 1 回量とし、1 日2 回、朝食後および夕食後に経口投与します。
体重 | ドライシロップ1回量 |
12〜18kg未満 | 0.5g |
18〜25kg未満 | 0.7g |
25〜35kg未満 | 1.0g |
35〜45kg未満 | 1.4g |
プランルカストは食後に使用した方が効果が高い
プランルカストは食後に使用した方が薬の濃度が高くなることが確認されており、食後に使用することによって高い効果が得られると考えられます。
プランルカストを食前と食後に使用した場合の比較の調査が行われており、その結果は、食後投与の方が最高血漿中濃度(Cmax)、薬物血漿中濃度推移曲線下面積(AUC)の増加が認められたという結果でした3)。
食前に使用すると十分な効果が得られない可能性もあるため、特別な理由がない限りは食後に使用するようにしましょう。
3) オノンカプセル112.5mg インタビューフォーム
プランルカストは授乳への影響はほとんどない
プランルカストは授乳への注意喚起はされてなく、授乳中でも比較的安全に使用出来る薬と言えます。
プランルカストの添付文書においても、使用上の注意における「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の記載で、授乳婦に関する注意喚起はありません1)。
動物実験でプランルカストの乳汁中への移行を確認した実験でも、移行はほとんどなかったとされています3)。
また、プランルカストは粉薬のドライシロップ(DS)にて子供でもよく使われる薬であり、1歳未満でも安全性に問題はないといった報告もあり4)、仮に母乳経由で乳児が摂取してもあまり問題にならない成分と考えられます。
その他、専門家による見解も以下の通り、授乳中の使用は問題ないという内容となっています5,6)。
授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらない。小児にも適応があり、授乳婦に使用可能と考えられる。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
ヒトでの評価が見当たらない。血漿蛋白結合率が95%以上で乳汁中へ移行しにくい。
母乳とくすりハンドブック
1) オノンカプセル112.5mg 添付文書
3) オノンカプセル112.5mg インタビューフォーム
4) 岩田力; 小児科臨床 62(5); 987-1000, 2009
5) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
6) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)
プランルカストの薬価とジェネリック
プランルカストの薬価に関して、先発医薬品のオノンと、ジェネリック医薬品とを比較し確認していきます。
プランルカストの薬価は28.7〜52.8円、DSで40.7円
プランルカストの薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)ではカプセルと錠剤では112.5mgで28.7円(オノンカプセルでは53.7円)、225mgで52.8円、DS10%で1gあたり40.7円(オノンドライシロップでは70.8円)となっています。
上記の通り、先発医薬品であるオノンは、ジェネリック医薬品のプランルカストに比較してやや割高となっています。
プランルカストの先発医薬品とジェネリックの薬価をまとめると以下の通りです。
先発医薬品 (オノン) |
ジェネリック | |
カプセル (112.5mg) |
53.7円 | 28.7円 |
カプセル (225mg) |
– | 52.8円 |
錠剤 (112.5mg) |
– | 28.7円 |
錠剤 (225mg) |
– | 52.8円 |
DS10% (ドライシロップ) |
70.8円 (1gあたり) |
40.7円 (1gあたり) |
プランルカストの副作用|プランルカストは安全な薬
プランルカストは副作用はほとんどなく、安全性が高い薬と言えます。
プランルカストの副作用で参考なるのが、先発医薬品であるオノンの副作用発現頻度です。その結果は、気管支喘息に使用した場合の頻度は3.5%で、主なものが発疹・掻痒等の0.6%、腹痛・胃部不快感の0. 6%、下痢の0. 4%、嘔気(吐き気)の0.3%、アレルギー性鼻炎に使用した場合の頻度は4.7%で主なものが下痢の1. 0%、腹痛・胃部不快感の0. 8%、発疹・掻痒等の0 . 6%、眠気の0 . 4%)、嘔気の0 . 3%という内容でした。
上記の通り、比較的頻度が高いものでも1%以下の発現率であり、副作用の心配はあまり入らない薬と言えます。
また、通常は12kg以上の小児から使用される薬ですが、前述でも紹介した通り、1歳未満の子供に対して使用した調査でも有効性と安全性に大きな問題はないという報告もあり4)、乳幼児でも比較的安心して使用出来る薬と言えます。
4) 岩田力; 小児科臨床 62(5); 987-1000, 2009
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。