トラネキサム酸の妊娠中・授乳中の使用|妊婦や授乳への影響は?風邪や喉の炎症で使用する薬

 
トラネキサム酸について、授乳中、妊婦・妊娠中の使用について確認していきます。

トラネキサム酸の特徴|風邪や喉の痛みで使用、シナールと併用も

トラネキサム酸は抗炎症作用、抗出血作用などの効果を持つ薬の成分です((トランサミン錠 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_3327002B1027_2_05.pdf))。
風邪などの時、喉の炎症を和らげる目的使用されたり、出血傾向を緩和する目的で使用されることが多い薬です。また、近年はシミを改善する目的で肝斑に対して使用されるケースもある薬であり、ビタミン剤のシナールなどともよく併用されます。
処方薬では代表的な製品としてトランサミンがあり、その他、ジェネリック医薬品としてリカバリン、ヘキサトロン、トラネキサム酸などの名称でも販売されています。
また、トラネキサム酸は市販薬としても販売されている成分であり、喉の痛みなどで使うペラックT錠や風邪薬のルルシリーズ、ベンザブロックシリーズの一部、口内炎の治療薬にも含まれていることがある成分です。その他、シミ(肝斑)に対して使用する市販薬にも含まれているケースがあり、化粧品のようなイメージを持つ場合もありますが、抗出血などの作用も持つれっきとした医薬品であるため、その使用には十分に注意する必要があります。

トラネキサム酸の妊娠中・妊婦の使用

トラネキサム酸の妊娠中・妊婦に関して、処方薬においては製薬会社から妊娠中の使用に関する注意喚起はなく((トランサミン錠 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_3327002B1027_2_05.pdf))、基本的に妊娠中でも使用可能な薬剤と言えます。
妊婦への影響に関しては、動物実験において胎盤の通過性は認められているものの、生殖発生毒性試験では、妊娠マウス及びラットの器官形成期にトラネキサム酸を投与した結果、胎児ならびに新生児に対する致死、発育抑制及び催奇形作用は認められなかったとされており((トランサミン錠 インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/2/430574_3327002B1027_2_T11_1F))、妊婦や胎児への影響はあまりないことが考えられます。
なお、トラネキサム酸の市販薬に関しては、基本的にトラネキサム酸以外に他の成分が配合されているものがほとんどであり、妊娠中・妊婦の使用に関してはほとんどの製品で「相談すること」とされています。このような場合、禁止されているわけではないものの、可能であれば避けるのが安全と言えます。

トラネキサム酸の妊娠中・妊婦の使用に関する専門機関の見解は

専門機関の見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、トラネキサム酸の妊娠中の使用に関して、妊娠中の危険を示すデータがないため、妊婦でも使用可能という内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

ヒトでの催奇形性を示唆するデータなし。妊娠中の出血に対して使用される。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

また、その他の情報として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、妊娠中にトラネキサム酸の使用した事例が収集されていますが、その結果からは「異常に共通性はなく、国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」という見解が述べられています((株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版))。
実際に妊娠中にトラネキサム酸を使用するかは処方医の先生の判断となります。トラネキサム酸に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、なるべく自己判断でトラネキサム酸を使用するようなことは避けましょう。
市販薬のトラネキサム酸を含む製品についてもなるべくは専門家に相談し、自己判断での使用は避けるようにしましょう。

トラネキサム酸の授乳中の使用|授乳への影響は

トラネキサム酸の授乳中の使用に関して、製薬会社からは特別な注意喚起はなく((トランサミン錠 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_3327002B1027_2_05.pdf))、基本的に授乳中でも使用できる薬と言えます。
授乳への影響を確認した動物実験では、トラネキサム酸を使用した際の乳汁中の濃度は、血清中のピーク時の濃度の約100分の1であることが確認されており((トランサミン錠 インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/2/430574_3327002B1027_2_T11_1F))、母乳中にはほとんど薬は移行しないことが考えられます。
また、トラネキサム酸はシロップなどでは1歳未満の乳児でも使用されることがある薬であり、仮に母乳経由で乳児に移行したとしても大きな影響はないと考えられます。
なお、トラネキサム酸の市販薬に関しては、基本的にトラネキサム酸以外に他の成分が配合されているものがほとんどであり、授乳中の使用に関しては製品によって「相談すること」などの注意喚起がされているケースがあります。このような場合、禁止されているわけではないものの、可能であれば避けるのが安全と言えます。
 

トラネキサム酸の授乳中の使用に関する専門機関の見解は

専門家による見解でも、トラネキサム酸は授乳をしている場合でも使用できるという内容がいくつかあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは授乳による乳児への有害事象の報告がないため、授乳婦に使用可能という内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでもやはり、授乳中のトラネキサム酸の使用による有害事象報告がなく、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です((大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。

授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらず、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

授乳婦服用による有害事象の報告が見当たら ない。小児に適応を持ち、移行したとしても問題にならないと思われる。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中でもトラネキサム酸を使用するかは処方医の先生の判断が必要です。トラネキサム酸に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断でトランサミンを使用するようなことは避けましょう。
また、市販薬のトラネキサム酸を含む製品についてもなるべくは専門家に相談し、自己判断での使用は避けるようにしましょう。

トラネキサム酸で授乳を中止した際の再開する時間は

トラネキサム酸の授乳中の使用に関しては前述の通り、基本的に授乳の中止は必要ないケースがほとんどです。しかし、医師の判断により授乳を中止するような場合、授乳を再開するタイミングについても医師の指示通りにしましょう
参考になるデータとして、トラネキサム酸の薬物動態のデータがあり、薬物の血中の濃度が半分になる時間である半減期(t1/2)が約3時間となっています((トランサミン錠 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_3327002B1027_2_05.pdf))。体内から薬がなくなる目安が半減期の4〜5倍とされているため、トラネキサム酸の服用から15時間程度経てばトラネキサム酸の成分は体内にほとんど残っていないと考えられます。ただし、上記は血中濃度の指標であり、正確には乳汁中のデータとは異なる点に注意が必要です。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました