ロキソプロフェンNaに関して、60mg錠、細粒、テープ、湿布などの種類、ロキソプロフェンとロキソニンとの違い、頭痛や生理痛などに対する効果、副作用、授乳しているときの使用などについて添付文書などから解説します。
Contents
キソプロフェンの効果
ロキソプロフェンは様々な痛みや、風邪などの熱に対して効果が期待できます。
ロキソプロフェンを成分とするもののうち、処方薬のロキソニン錠60mg、ロキソニンテープ、市販薬のロキソニンSの効能効果を見ていきましょう。
処方薬ロキソニン錠60mgの効能効果
1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書
処方薬ロキソニンテープの効能効果
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg 添付文書
市販薬ロキソニンSの効能効果
○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱ロキソニンS 添付文書
ロキソプロフェンの頭痛や生理痛などに対する効果は
前述の通り、処方薬のロキソプロフェンには効能効果に生理痛の記載がなく、頭痛に関しても風邪などともなう痛みの場合のみ効能効果に該当します。
一方、市販薬のロキソニンSには頭痛や生理痛が明記されていおり、これらの症状に対して高い頻度で使用されていることが予想されます。
処方薬のロキソプロフェンも市販薬のロキソニンSも当然同じ成分ですので、実際には処方薬のロキソプロフェンでも通常の頭痛や生理痛に対しても効果があると考えられますが、処方薬のロキソプロフェンではリウマチなどより専門性が高い疾患に対する適応がメインとされているようです。
実際にはロキソプロフェンの頭痛や生理痛への効果は非常に高いと考えられますので、市販薬のロキソニンSなどは十分に効果が期待できるでしょう。
ロキソプロフェンの頭痛や生理痛に対して何錠使う?用量は?
ロキソニンSなどロキソプロフェンを頭痛や生理痛に使用する場合は、基本的に1錠の使用となり、用量は60mgとなります。ロキソニンSなどは1回で2錠を使用することはできませんのでご注意ください。ただし、新しく発売されたロキソニンSプレミアムに関しては、1錠中のロキソプロフェンの量が半分になっているため、1回で2錠の使用となります。
ロキソプロフェンの授乳中の使用と影響
ロキソプロフェンは授乳中に使用することは推奨されていません。
その理由は動物実験でロキソプロフェンが乳汁中へ移行することが確認されているからです。
ロキソプロフェンの代表製品であるロキソニンの添付文書には以下のように書かれています。
授乳中の婦人に投与することを避け、やむをえず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]
ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書
ただし、確認されているのは動物実験での結果であり、人においてはロキソプロフェン投与の1~6時間後の乳汁中の濃度は測定限界以下(測定できないほど成分が少ない)であったという報告があり1)、人においてはあまり影響がないという予想もできます。
1)ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% インタビューフォーム
授乳中でも使用可能という見解も
実際の臨床の現場では授乳中でも使用可能という見解もあります。
社団法人の「愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班」が発行している手引きではロキソプロフェンは人の乳汁中には移行する量が少ないため、授乳可能という見解を示しています2)。
ロキソプロフェンの授乳中の使用はリスクが全くないわけではありませんが、実際にはさほど大きな影響はないと考えるのが一般的であり、医師に授乳中であることを伝えた上でロキソプロフェンを処方された場合はあまり心配せず使用して問題ないと言えるでしょう。
ただし、自己判断で市販のロキソニンSなどを使用するのはやめ、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。
2)妊娠・授乳と薬 対応基本手引き
ロキソプロフェンを使用した後に授乳の間隔を空けたい場合は何時間?
ロキソプロフェンは使用中に授乳してもあまり影響がないという話をしましたが、それでも万全を期してロキソプロフェンを使用した後は授乳の間隔を空けたいと思う方もいるかと思います。ではそのくらいの時間を空けるのが適切でしょうか。
動物実験のデータからは24時間あければ安全と考えられます。
動物実験ではロキソプロフェンを使用してから、4時間後に乳汁中のロキソプロフェンの濃度が最高になり、6時間後には最高濃度の84%、24時間後には11%になったとされています1)。
この結果からは24時間空ければ乳汁中の薬の濃度は1割程度になることが予想され、授乳をしても影響がないということが予想されます。
ただし、上記はあくまで動物実験の内容であるため、必ずしも人でも同じ結論になるとは限らない点はご注意ください。
1)ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% インタビューフォーム
ロキソプロフェンの副作用
ロキソプロフェンの特に飲み薬で注意が必要な副作用は胃痛や腹痛、吐き気、下痢などのいわゆる消化器症状、浮腫(むくみ)、発疹や蕁麻疹などの皮膚症状、眠気などが挙げられます。
ロキソプロフェンと胃痛や腹痛の副作用
胃痛(胃部不快感)や腹痛などの消化器症状はロキソプロフェンを含めたNSAIDsというグループに分類される解熱鎮痛剤で全般的に見られる副作用です。対策としては食後に多めの水で服用すること、ムコスタやセルベックスといった胃粘膜を保護する薬と一緒に処方されることで、ある程度症状を抑えられるとされています。また、市販薬のロキソプロフェンを含んだものでは、一緒に胃粘膜を保護する成分を含んだ製品も販売されていますので、それらを利用するのも手です。
ロキソプロフェンと眠気の副作用
ロキソプロフェンで見られる眠気はあまり頻度は高くはありません。通常はロキソプロフェン自体は眠くなる成分としては扱われておらず、ごく稀に眠気が出てしまうことがある程度の認識でいれば問題ありません。ほんとんどの人ではロキソプロフェンを使用しても眠気とは無縁と言えるでしょう。
ロキソプロフェンと腸閉塞などの副作用
2016年3月に新たな重大な副作用として、小腸・大腸の狭窄・閉塞(いわゆる腸閉塞)が報告され大きなニュースになりました。このニュースでロキソニンをはじめとしたロキソプロフェンの使用に対して不安をもった方もいるかと思いますが、正しく使用している分にはあまり心配する必要はありません。腸閉塞の副作用は頻度としては非常に稀であり、普通に使用している分にはまず経験することはありません。そのような副作用の可能性もあるということを知っておく程度で問題ないと言えるでしょう。
ロキソニン(ロキソプロフェン)の新たな副作用の腸閉塞に関しては冷静な対応を
ロキソプロフェンに限らず、このような薬の副作用を抑える最良の手段は用法用量を正しく守ることです。説明書をよく確認の上使用するようにしましょう。
ロキソプロフェンの種類とロキソニンとの違い
ロキソプロフェンは解熱鎮痛作用を持つ薬の成分であり、処方薬のロキソニンや市販薬のロキソニンSなどに含まれてます。含まれる成分は正式にはロキソプロフェンNa(ロキソプロフェンナトリウム)水和物であり、錠剤にはロキソプロフェンNaが60mg含まれています。
ロキソプロフェンの種類には60mgの錠剤の他、粉薬の細粒、貼り薬のいわゆる湿布であるテープ剤やパップ剤などがあります。
ロキソプロフェンとロキソニンの違いは主に以下の2パターンに分類されます。
①薬の成分名か製品名かの違い
②先発医薬品かジェネリック医薬品かの違い
①は薬の成分名か商品名(製品名)かの違いという話であり、実質同じものと言えます。
このケースでは、ロキソニンの成分はロキソプロフェンNaであるため、同じものを指していると言えます。
②はジェネリック医薬品の製品名がロキソプロフェンという場合です。
近年はジェネリック医薬品の製品名として成分名がそのまま用いられるため、ロキソニンのジェネリック医薬品はロキソプロフェンという名称で販売されているのが一般的です。したがって、ロキソプロフェンとロキソニンの違いは先行して販売している先発医薬品とジェネリック医薬品の違いとも言えます。
先発医薬品とジェネリック医薬品は成分が同じため、同じ作用が期待できますが、添加物などがメーカーによって異なるケースも多く、場合によっては効き目に差が出てくる場合もあります。
成分としてロキソプロフェンを含むものとして主に以下のようなものがあります。
区分 | 製品名 | ロキソプロフェン以外の成分 |
代表製品 | ロキソニン錠60mg | – |
代表製品 | ロキソニン細粒10% | – |
代表製品 | ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg | – |
代表製品 | ロキソニンパップ100mg | – |
ジェネリック医薬品 | ロキソプロフェンNa錠60mg「サワイ」など | – |
ジェネリック医薬品 | ロキソプロフェンNa細粒10%「サワイ」など | – |
ジェネリック医薬品 | ロキソプロフェンNaテープ50mg「トーワ」など | – |
ジェネリック医薬品 | ロキソプロフェンNaパップ100mg「トーワ」など | – |
市販薬 | ロキソニンS | – |
市販薬 | ロキソニンSプラス | 酸化マグネシウム |
市販薬 | ロキソニンSプレミアム | アリルイソプロピルアセチル尿素、 無水カフェイン、 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム |
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
コメント