ロキソニンの処方薬、市販薬について、歯痛に対して使用する際の使い方、効果の時間、使用間隔、効かない場合の対処法、飲み合わせなどについて確認していきます。
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ロキソニンは歯痛にも効く痛み止め
ロキソニンはロキソプロフェンという成分を含み、熱を下げたり痛みをとったりする作用がある薬です。
ロキソニンは風邪をひいた時の頭痛や腰痛の他、歯痛(歯の痛み)にも効くことが確認されている薬であり((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_1149019C1149_1_08.pdf))、様々な場面で使われている薬です。痛み止めの中でも比較的速い時間で効果が現れるため、使い勝手がよく、現在最も使われている痛み止めの一つです。
さらにロキソニンは処方薬の他、市販薬としてもロキソニンS、ロキソニンSプラス、ロキソニンSプレミアムなどの販売名で市販で買うことのできる薬です。市販薬のロキソニンでも歯痛に効くことが確認されています((ロキソニンS 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/K1101000003_07_A.pdf))。
今回は主にロキソニンを歯痛で使う際の注意点等について確認していきます。
ロキソニンの歯痛での使い方と空ける間隔|何錠使うか
ロキソニンを歯痛で使う際の何錠使用するかの使い方や、空ける間隔について確認していきます。
処方薬のロキソニンを歯痛で使う場合は1回に最大2錠まで
処方薬のロキソニンについては、歯痛に対しては頓服で使用する場合に1回に最大2錠使用する場合があります。
ただし、1回量は自己判断でなく、医師に処方に従う必要があるため、1回1錠と指示されている場合はその内容に従うようにしましょう。
1. 下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
2. 手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書
市販薬のロキソニンは歯痛でも頭痛などと同様1回1錠まで
市販薬のロキソニンSなどでは、歯痛に対しても1回1錠までとなります。これは頭痛などの他の痛みと同じ使い方となります。自己判断で1回に2錠使用するようなことは避けましょう。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):1錠:2回まで。
症状があらわれた時,なるべく空腹時をさけて服用して下さい。
ただし,再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。
服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満:服用しないで下さい。ロキソニンS 添付文書
ロキソニンを歯痛に使用する時の空ける間隔は4〜6時間
ロキソニンを歯痛に使用する場合に、空けるべき間隔は、4〜6時間となります。
一般的に薬を頓服で使用(症状に応じて使用)する場合は、2回目の服用は1回目の服用から6時間程度は開けたほうが良いとされています((伊賀立二, JJNスペシャルNo.59 ナースのためのお薬相談Q&A, 28-31,1998))。
また、市販薬のロキソニンSでは服用間隔は4時間以上と明確に注意喚起されており((ロキソニンS 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/K1101000003_07_A.pdf))、最低でも4時間、できれば6時間以上の間隔を設けるのが安全と言えます。
ロキソニンの歯痛に対する効果の時間
ロキソニンの歯痛に対する効果時間として、参考になる文献では、抜歯後の痛みに対してロキソニンを2錠使用した場合は、痛み止めの効果が15分以内に51.6%、30分以内に83.9%の患者さんに認められたことが確認されており((内田安信 ほか:歯科薬物療法 1984; 3(1):32-48))、比較的速い効果の発現時間が期待できます。
また、効果が続く時間としては、抜歯後もしくは小手術後の痛みを抑えた時間として、平均7時間であったという報告があります((清水正嗣 ほか:歯科ジャーナル 1994;39(6) :893-903))。
ロキソニンの歯痛に対する実際の効果
ロキソニンの歯痛に対する効果は、実際の患者さんにおいて確認されています。
ロキソニンの抜歯後の痛みに対する治験では、有効以上の結果であった患者さんが70.1%、やや有効も含めると96.0%であったという結果が得られています((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_1149019C1149_1_08.pdf))。
ロキソニンが歯痛に対して効かない場合の原因と対処
ロキソニンが歯痛に対して効かないという場合はまず正しい用法用量で使用できているか確認しましょう。
処方薬のロキソニンは、抜歯後の痛みに対しては、最大で1回2錠使用するケースがあります。自分に処方された内容を確認し、1回2錠のところ1錠になってないかを確認しましょう。
また、ロキソニンは効果が比較的早く出る薬ですが、それでも30分前後は効果を感じない可能性があります。飲んですぐの場合はまだ効果がでてないため効かないと感じる可能性もあります。
逆にロキソニンの効果がすでに切れているため、効かないと感じる可能性もあります。症状に応じての使用(頓服の使用)の場合は、前回の使用から6時間程度間隔が空いている場合は再度使用することができます。
上記の確認、対処をしても効かないと感じる場合は、痛みに対してロキソニンの成分があっていない可能性もあるため、処方医に相談するようにしましょう。
ロキソニンを歯痛で使用する場合の飲み合わせ|お酒の可否など
ロキソニンを歯痛に対する痛み止めの目的で使用する場合にも他の薬の飲み合わせとはいくつか注意が必要です。
まず、ロキソニンには絶対に併用できない薬(併用禁忌薬)はありません。ロキソニンの飲み合わせで気をつけるものは全て併用に注意が必要というレベルとなります。
ロキソニンとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
クマリン系抗凝血剤 | ワーファリン |
スルホニル尿素系血糖降下剤 | アマリール |
ニューキノロン系抗菌剤 | クラビット、ジェニナック |
メトトレキサート | リウマトレックス |
リチウム製剤 | リーマス |
チアジド系利尿薬 | フルイトラン |
降圧剤 | インヒベース、オルメテック、ディオバン |
上記のうち、クラビットやジェニナックをはじめとしたキノロン系と言われるの抗菌薬は、併用注意の理由として痙攣を誘発する可能性があるためであり注意が必要となりますが、実際には併用されるケースもあり、医師の判断の上で併用をする場合はあまり心配はいらないでしょう。ただし、自己判断でこれらの抗菌薬とロキソニンを併用するのは避けましょう。
その他の併用注意薬剤については降圧剤や糖尿病治療薬、ワーファリンなど長期に使用するものがほとんどであり、一時的にロキソニンを併用する分にはあまり問題にならないことが多い薬剤ですが、これらの薬剤についても念のため、自己判断は極力避け、医師の判断の上で併用するようにしましょう。
ロキソニンとお酒の併用
処方薬のロキソニンは歯痛に対して使用する場合においても、特にお酒(アルコール)との注意喚起はされていません((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/430574_1149019C1149_1_08.pdf))。
ただし、お酒との併用はやはり避けたほうが安全と言えます。アルコールによって血流に影響がでて痛みの感じ方にも影響がある可能性や現在の症状に何らかの影響を与える可能性も否定できません。
また、市販薬のロキソニンSについては「してはいけないこと」として「服用前後は飲酒しないで下さい。」と注意喚起されているため((ロキソニンS 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/otc/PDF/K1101000003_07_A.pdf))、この注意喚起を守るようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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