ロキソニンの解熱の効果や時間|風邪やインフルエンザの使用や何度下がるか、何度で使うかなど

ロキソニンの解熱目的の使用について、特徴、解熱の効果、解熱の効果時間、風邪の解熱、インフルエンザでの解熱、何度下がるか、何度以上で使用するか、飲み合わせ、副作用、授乳中・妊娠中の使用について、添付文書等から解説します。

ロキソニンの特徴|代表的な解熱鎮痛剤

ロキソニンはロキソプロフェンナトリウムを成分として含み、いわゆる解熱鎮痛剤の代表的な薬剤です。解熱効果と鎮痛効果が認められており((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書))、最も使用される解熱鎮痛剤の一つです。
ロキソニンの特徴として、生体内で活性体に変換されたのち作用を示すプロドラッグであり、他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に比べ消化管障害が比較的少ない点((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% インタビューフォーム))や、速やかな効果発現が期待でき、半減期も短いため安全性のバランスが良い点(Pocket Drugs 2017, 医学書院)などが挙げられます。
また、ロキソニンSの商品名で市販薬としても販売されており、全く同じ成分を含むため、市販薬でも同様の解熱効果、鎮痛効果が期待できます((ロキソニンS 添付文書))。
今回は主にロキソニンの解熱効果に着目していきたいと思います。

ロキソニンの効果|風邪などの解熱に

ロキソニンは処方薬では風邪などの急性上気道炎に対する解熱・鎮痛のほか、腰痛や肩こり、歯痛などの痛みに対して効果を持つ薬です。
ロキソニンの処方薬の効能効果の詳細は以下の通りです。


1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書


解熱目的では基本的に急性上気道炎が対象となります。一般的な風邪も上気道炎に含まれるため、風邪で熱が出たり汗をかいたりしているときに使用し効果が期待できる薬です。
また、市販薬のロキソニンSでも同じように風邪のときの解熱や、各種の痛み止めとしての効能効果となりますが、頭痛や生理痛が明記されている点が処方薬と異なり、また、関節リウマチや変形性関節症については明記されていおらず、一時的な痛みを想定していることが窺えます。


○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱

ロキソニンS 添付文書


ロキソニンの解熱効果は何時間で現れる?

風邪などの上気道炎に対してロキソニンを使用した場合、解熱効果はおよそ30分程度で現れると考えられます。
ロキソニンを使用した解熱効果は臨床試験によって確認されており、ロキソニンの成分を60mg使用した場合と120mg使用した場合で検討した結果、いずれも一定の解熱効果が確認されています。
上気道炎の患者さんに対して、ロキソニンの成分を60mg、120mg使用する群に分け、その30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後で体温を確認した結果、30分後にはそれぞれの投与群で平均で0.2、0.3℃体温が下がっており、統計学的に有意な解熱作用が確認されています((勝 正孝 他:臨床医薬 9(10), 2321-2331,1993))。
この点からロキソニンの解熱効果は使用から比較的速やかに現れ、30分後には一定の効果が確認できると考えられます。

ロキソニンの解熱効果は何時間持続する?

ロキソニンの解熱効果は4時間以上の持続が期待できます。
ロキソニンの解熱効果の持続時間についても同様に臨床試験の結果が参考となります。
上気道炎の患者さんに対して、ロキソニンの成分を60mg、120mg使用する群に分け、その30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後で体温を確認した結果、4時間ではそれぞれの群で平均で1.3、1.4℃の体温低下が確認されており、統計学的に有意な解熱作用が確認されています((勝 正孝 他:臨床医薬 9(10), 2321-2331,1993))。
この点からロキソニンの解熱効果は使用から4時間後でも効果が持続していると考えられます。

ロキソニンの解熱効果は何度下がる

ロキソニンを解熱目的で使用した際に、実際に何度下がるかという点についても、前述の臨床試験の結果が参考となります((勝 正孝 他:臨床医薬 9(10), 2321-2331,1993))。
ロキソニンの成分を60mg使用した群では投与前の平均体温が38.0℃であり、ロキソニン使用後30分後では37.8℃、1時間後で37.4℃、2時間後で36.9℃、3時間後で36.7℃、4時間後で36.7℃という結果であり、最大で平均で1.3度熱が下がっています。
実際に使用しない用量である120mgの投与群では、投与前の平均体温が38.1℃であり、ロキソニン使用後30分後では37.8℃、1時間後で37.5℃、2時間後で37.1℃、3時間後で36.8℃、4時間後で36.7℃という結果であり、最大で平均で1.4度熱が下がっています。

60mg
使用群
120mg
使用群
投与前 38.0 38.1
投与30分後 37.8 37.8
投与1時間後 37.4 37.5
投与2時間後 36.9 37.1
投与3時間後 36.7 36.8
投与4時間後 36.7 36.7

ロキソニンの風邪などの解熱効果の実際

ロキソニンの風邪などの上気道炎に対する実際の患者さんへの効果についても臨床試験で確認されています((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書))。
一般臨床試験成績においては、風邪などを含めた急性上気道炎に対して、97例の患者さんに使用され、有効以上は66.0%、やや有効以上では95.9%という有効率でした。
二重盲検比較試験においても急性上気道炎に対して、255例の患者さんに使用され、有効以上は6918%、やや有効以上では89.4%という有効率が確認されています。

ロキソニンの使い方|解熱には1回1錠

ロキソニンの使い方は、鎮痛目的で使用する場合に2錠使用するケースもありますが、解熱目的では基本的に1回1錠になります。


1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
2.手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
通常、成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、原則として1日2回までとし、1日最大180mgを限度とする。また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書


なお、市販のロキソニンSでは解熱でも頭痛などの鎮痛でも1回1錠となります。


次の量を,水又はお湯で服用して下さい。
[年齢:1回量:1日服用回数]
成人(15歳以上):1錠:2回まで。
症状があらわれた時,なるべく空腹時をさけて服用して下さい。
ただし,再度症状があらわれた場合には3回目を服用できます。
服用間隔は4時間以上おいて下さい。
15歳未満:服用しないで下さい。

ロキソニンS 添付文書


ロキソニンの使用間隔は最低4時間以上空ける

ロキソニンを解熱の頓服で使用する場合に、1回使用した後に連続で使用する場合の間隔は、最低4時間以上空けるようにしましょう。
一般的に解熱剤は3〜4時間以上空けることが必要とされており((新困ったときのくすりQ&A, 大阪府病院薬剤師会))、医師によっては6時間以上空けるように指示するケースも多くあります。
また、市販薬のロキソニンSでは用法用量に4時間以上の間隔を空けるよう明記さています((ロキソニンS 添付文書))。
以上のことから、ロキソニンを使用する際の間隔は医師から指示されている場合はその時間を守り、特に指示がない場合や市販薬のロキソニンSを使用する場合は、最低4時間以上、できれば6時間程度の間隔を空けるようにしましょう。

ロキソニンを解熱で使うときは何度以上で使う

ロキソニンを解熱剤として頓服の処方を出された場合に、何度以上で使用するかの目安ですが、一般的には38.5℃以上の場合に使用するケースが多いとされています((新困ったときのくすりQ&A, 大阪府病院薬剤師会))。
ただし、医師から明確に何度以上の際に使用するか指示を受けている場合にはそれに従いましょう。また、38.5℃未満においても症状が辛かったり大量の汗をかいたり体力が低下している場合は無理に我慢せず、服用しましょう。ただし、前述の服用間隔を守り、数回服用しても全く効果がない場合は再度医師の診察を受けるようしましょう。

ロキソニンはインフルエンザの解熱で使用されることも

ロキソニンなどのロキソプロフェン製剤のインフルエンザに対する使用は、推奨も特別な注意喚起もされていません。積極的な使用は望まれませんが、明確に避ける理由もないと言えるでしょう。
通常はインフルエンザにおける解熱ではカロナール、コカール、アンヒバ、アルピニーなどのアセトアミノフェン製剤が用いられますが、医師によってはロキソニンをはじめとしたロキソプロフェン製剤を使用するケースもあり、医師が処方した場合には使用することで問題ないと考えられます。
ただし、小児に関しては、ロキソニンは推奨されません。ロキソニン自体がそもそも小児に使われる薬ではないからです。インフルエンザの時に使用する解熱剤として、小児での使用も含め最も推奨されるのはカロナール、コカール、アンヒバ、アルピニーなどのアセトアミノフェン製剤、続いてブルフェンなどのイブプロフェン製剤と言えるでしょう。
インフルエンザに使える解熱剤は?ロキソニンやカナロールなどインフルエンザの解熱剤の注意点も解説

ロキソニンの解熱使用での副作用

ロキソニンを解熱目的で使用する際にも、鎮痛目的で使用する場合と同様の副作用について注意が必要となります。
ロキソニンの臨床試験、製造販売後調査を合わせた結果では、比較的頻度の高い副作用は胃の不快感腹痛吐き気嘔吐食欲低下などの消化器症状です。これらは頻度が2.25%とされており((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書))、最も経験する可能性が高い副作用と言えます。
大半の解熱鎮痛剤はNSAIDsと言われる種類の解熱鎮痛剤であり、ロキソニンもNSAIDsに分類されます。胃の痛みなどの副作用はこのNSAIDsに共通して見られるものであり、ある程度は予想できるため、胃腸が弱い方は予め医師に相談しておくと、ムコスタなどの胃腸に効果の有る薬も一緒に処方してもらえるケースもあります。
その他にも副作用としてむくみ(0.59%)や発疹蕁麻疹(0.21%)、眠気(0.10%)などがあります((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書))。いずれも頻度としては高くありませんが注意しましょう。

ロキソニンの解熱使用での飲み合わせ

ロキソニンを解熱目的で使用する場合にも他の薬の飲み合わせとはいくつか注意が必要です。
まず、ロキソニンには併用禁忌(絶対に併用できない)薬はありません。ロキソニンの飲み合わせで気をつけるものは全て併用注意のレベルとなります。
ロキソニンとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
クマリン系抗凝血剤 ワーファリン
スルホニル尿素系血糖降下剤 アマリール
ニューキノロン系抗菌剤 クラビット、ジェニナック
メトトレキサート リウマトレックス
リチウム製剤 リーマス
チアジド系利尿薬 フルイトラン
降圧剤 インヒベース、オルメテック、ディオバン

上記のうち、クラビットやジェニナックをはじめとしたニューキノロン系薬剤は風邪をはじめとした上気道炎などでも使用されるケースがあり、解熱目的で使用するロキソニンと使用するタイミングが重なるケースがあります。併用注意の理由として、痙攣を誘発する可能性があるためであり注意が必要となりますが、実際には併用されるケースもあり、医師の判断の上で併用をする場合はあまり心配はいらないでしょう。ただし、自己判断でキノロン系薬剤とロキソニンを併用するのは避けましょう。
その他の併用注意薬剤については降圧剤や糖尿病治療薬、ワーファリンなど長期に使用するものがほとんどであり、一時的にロキソニンを併用する分にはあまり問題にならないことが多い薬剤ですが、これらの薬剤についても念のため、自己判断は極力避け、医師の判断の上で併用するようにしましょう。

ロキソニンの授乳中の解熱の使用

ロキソニンは解熱に使用する場合にも、基本的に授乳中の使用は避け、止むを得ず使用する場合は、授乳を中止するよう注意喚起されています。


授乳中の婦人に投与することを避け、やむをえず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。]

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書


上記の注意喚起がされている理由として、動物実験で授乳中への移行が確認されているためです。ただし、人においてはロキソプロフェン投与の1~6時間後の乳汁中の濃度は測定限界以下(測定できないほど成分が少ない)であったという報告もあり、実際の影響は限定的と想定されます((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% インタビューフォーム))。
専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、母乳中への移行性が少ないため、授乳婦に使用可能と考えられるという内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、移行の量がすくないため、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です((大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。


ヒトでの授乳中移行が少ないので、授乳可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)



限定された情報ではあるが移行の程度は微量。未変化体・代謝物共に半減期は短く、蛋白結合率は高い。

母乳とくすりハンドブック


実際に授乳中に解熱目的でロキソニンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ロキソニンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ロキソニンの妊娠中の解熱の使用

ロキソニンの妊娠中における解熱目的の使用に関しては、妊娠末期の妊婦に限っては禁忌に設定されており、使用することはできません。妊娠末期以外の妊婦では、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。


(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
(2)妊娠末期の婦人には投与しないこと。[動物実験(ラット)で分娩遅延が報告されている。]
(3)妊娠末期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている。

ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% 添付文書


上記のような注意喚起がされている理由として、ロキソニンの成分が胎盤を通過する点や生殖発生毒性試験等において、特に周産期にて一定のリスクが認められているためです((ロキソニン錠60mg/ロキソニン細粒10% インタビューフォーム))。
専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでも、妊娠中の使用は推奨されていません((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。


継続服用により動物での動脈管収縮が報告されている。通常は妊娠末期の投与は行わない。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)


妊娠末期以外においても実際に妊娠中の解熱目的にロキソニンを使用するかは、処方医の先生の判断が必要です。ロキソニンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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