カロナールの生理痛や頭痛、歯痛などへの効果と効き目の強さ、効果が出るまでの時間や効果が続く時間、連続で使用する際に空けるべき間隔の時間などについて解説していきます。
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カロナールの頭痛、歯痛、生理痛などへの効果
カロナールは生理痛(月経痛)の他、頭痛や歯痛、風邪を引いた時などの解熱に効果があるとされています1)。
カロナールの効能効果の詳細は以下のとおりです。
1.下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛,耳痛,症候性神経痛,腰痛症,筋肉痛,打撲痛,捻挫痛,月経痛,分娩後痛,がんによる疼痛,歯痛,歯科治療後の疼痛,変形性関節症
2.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
3.小児科領域における解熱・鎮痛カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナールが生理痛、頭痛、歯痛などの痛みや熱に対して効果がある仕組みは、脳において痛覚閾値(痛みの感じにくさ)を高めることや、体温調節中枢に作用して皮膚の血管を拡張させて体温を下げるためと考えられています1)。
また、ロキソニンなどのNSAIDsと呼ばれる解熱鎮痛薬のグループとは異なり、シクロオキシゲナーゼ阻害作用と言われる作用はほとんどないとされています2)。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
2) 第十六改正日本薬局方解説書(廣川書店):C-116~120(2011)
カロナールの効果は59.4〜90.6%の有効率
カロナールの頭痛や歯痛などの痛みや熱などに対する効き目は59.4〜90.6%の有効率であることが確認されています1)。
感冒(風邪)による発熱及び頭痛、耳痛、咽頭痛等を有する患者さんへの有効率は、解熱が71.4%、鎮痛が70.6%という結果でした。
一方、歯科領域においては歯痛、抜歯後疼痛における患者さんに対して、「有効」以上では59.4%という結果であったものの、「やや有効」も含めると90.6%という結果であり、9割以上の患者さんで多少たりとも効果が確認できたという結果になっています。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナールの効果が出るまでの時間はおよそ30分
カロナールの効果が出るまでの時間の目安はおよそ30分と言えます。
その根拠はカロナールの説明文書である添付文書に記載があります。
実際の患者さんにカロナールを使用した臨床試験では、15分後に効果が出てた人が37.5%、30分後に効果が出てた人は68.8%、60分後には87.5%という結果でした1)。
7割近くの人が飲んでから30分経てば効果が実感できるという結果ですので、効果が出るまでの目安としては30分程度、早い人は15分後から、遅くても60分後には9割近くの人が効果を実感できると言えるでしょう。
カロナール錠200/300/500 添付文書より
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナールの効果は2〜6時間続く
カロナールの効果が続く時間は2〜6時間とされています。
この根拠もカロナールの添付文書に記載されています。
添付文書では実際の患者さんでカロナールを飲んでから痛みの再発が見られた人が48%であり、その再発時間から推測した鎮痛効果の持続時間は2〜6時間と記載されています1)。
一度カロナールを使用すれば2〜6時間程度効果が続くと考えましょう。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナールは最低でも4時間の間隔をあけて使用を
カロナールの成分であるアセトアミノフェンは比較て安全な薬と言われていますが、それでも誤った使用をすると副作用などの危険性が高まります。
特に血中でのカロナールの濃度が極端に高くなると、肝臓の障害が起きるとされています3)。
これらの副作用を防ぐためにもカロナールの使用間隔を守ることが大切です。
カロナールは血中での濃度が高くなってから、その濃度が半分になるまでがおよそ3時間、薬が血中からほぼ無くなるのが使用してから12時間後と言われています3)。
上記のような点も考慮され、カロナールの添付文書では「投与間隔は4~6時間以上とする」という記載があります1)。
以上のことから、カロナールは最低でも4時間の間隔を空けるようにしましょう。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
3) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 インタビューフォーム
市販薬のアセトアミノフェン製剤も同様に
カロナールは処方薬で医師の診察の元、処方してもらう必要がありますが、市販薬としても同じ成分の薬を買うことができ、その代表的な薬がタイレノールAなどです。
タイレノールに関しても成分はカロナールと同じアセトアミノフェンですので、タイレノールの効果が出るまでの時間や、効果が続く時間は基本的にカロナールと同じと言えます。
服用間隔については、タイレノールの説明文書で4時間以上と定められていますので、必ず守るようにしましょう4)。
4) タイレノールA 添付文書
カロナールの効き目の強さとロキソニンとの比較
カロナールがどの程度効き目が強いのかはロキソニンとの比較した調査5)が参考になります。
埋伏智歯(いわゆる親知らず)の抜歯後の痛みに対するカロナールの効果を確認した調査では、患者さん40名程度にカロナール800mg(200mg錠を4錠相当)もしくはロキソニン120mg(60mg錠を2錠相当)を使用し、その効果をみています。
効果の指標はVAS(Visual Analogue Scale)という痛みに対してよく持ちられる指標を使っています。VASは10cmの黒い線を患者さんにみてもらい、現在の痛みがどの程度(左端が痛みなし、右端が想像できる最高の痛み)かを示してもらうという手法です。
この結果はカロナールの成分であるアセトアミノフェンを使用した患者さんでは、薬の使用前の痛みの指標であるVASの平均が6.5であったのが、薬使用後30分では4.0、60分後には1.9まで下がっており、痛みの程度が1/3以下まで下がっていたと解釈できます。この結果からはかなりの鎮痛効果が期待できます。
同じ調査でロキソニンの成分であるロキソプロフェンを使用した患者さんでは薬の使用前の痛みの指標であるVASの平均が7.6であったのが、薬使用後30分では3.6、60分後には0.8まで下がっているという結果でした。したがって、鎮痛効果はカロナールよりもやはりロキソニンの方が強いことが想定されます。
しかし、この調査のロキソニン(ロキソプロフェン)の用量は使用出来る範囲の最大用量である120mgであったのに対し、カロナール(アセトアミノフェン)は800mgであり、カロナールの最大使用量である1000mgを使用した場合はさらに強い効果も期待できると考えられ、そう考えるとカロナールはロキソニンにもあまり劣らない効き目が得られる可能性があります。
5) 朝波惣一郎ほか.2012 72(7):149- 152.
カロナールの副作用
カロナールの副作用についても確認していきましょう。
カロナールは副作用が少ない薬です。同じ解熱鎮痛薬に分類される薬の中でも最も安全性が高い薬の一つであり、インフルエンザの時や授乳中、子供に対してもよく使われる薬です。
その中でも可能性がある副作用として下痢や腹痛、吐き気などが挙げられます。下痢や腹痛に関しては高用量での使用時に可能性が高くなるため、注意するようにしましょう。子供に関しても同様の副作用が現れる可能性がありますが、やはり頻度としてはさほど高くないと考えられるので、大きな心配をする必要はないと言えるでしょう。
そのほか重大な副作用として、肝障害が知られています。こちらは用量に依存する傾向もあり、長期で使用する場合などで少し注意するようにしましょう。
カロナールの副作用の詳細については別の記事でも解説しています。
カロナールの副作用について症状別に解説
おわりに
今回は解熱鎮痛剤で非常によく使われる薬の一つ、カロナールについてその効果や効果が出るまでの時間や効果が続く時間、使用する間隔などについて解説してきました。
カロナールは市販でもタイレノールや小児用バファリンという販売名で同じ成分が販売されている薬で実際に使用する機会も多い成分の一つです。
効果や効果時間、使用間隔に関することが気になった際に今回の記事を参考にしていただければと思います。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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