ゾフルーザ錠の特徴|薬価や作用機序は?インフルエンザ新薬の発売日、小児の使用など

ゾフルーザ錠の特徴、効果、作用機序、用法用量、副作用、飲み合わせ、薬価などについて添付文書等から解説していきます。

ゾフルーザ錠の特徴

ゾフルーザ錠はバロキサビルを成分としインフルエンザに効果が認められている薬です((ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6250047F1022_1_01.pdf))。
ゾフルーザ錠の特徴はタミフル、リレンザ、イナビルなど従来のインフルエンザ薬の作用機序と異なり、ウイルスの mRNA 合成を阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制する新しい作用機序を有する抗インフルエンザウイルス剤であり、インフルエンザウイルス感染症患者に対して1回だけの単回経口投与で有効性が期待できる点が挙げられます((ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/340018_6250047F1022_1_002_1F))。
12歳以上であれば小児でも成人と同量の薬剤を使用することができ、12歳未満の小児おいても体重が10kg以上であれば体重に応じた用量が設定されています。
ゾフルーザ錠には通常使用するゾフルーザ錠20mgと主に小児での使用が想定されるゾフルーザ錠10mgの2種類があります。

ゾフルーザ錠の承認と発売日|塩野義製薬が製造販売

ゾフルーザ錠は2018年2月に厚生労働省より承認(承認日:2018年2月23日)され、2018年3月に薬価基準収載と同時に発売(発売日:2018年3月14日)となっています。
製造販売元は日本の製薬会社である塩野義製薬株式会社となっています。

ゾフルーザ錠の効果と作用機序

ゾフルーザ錠はインフルエンザで一般的なA型インフルエンザ、B型インフルエンザに対して効果がある薬です。
ゾフルーザ錠の効能効果の詳細は以下の通りです。

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症

ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書

ゾフルーザの作用機序

ゾフルーザの作用機序はエンドヌレアーゼと呼ばれる酵素の活性を阻害することにより、ウイルスの増殖過程で必要となるmRNAの合成を阻害し、インフルエンザウイルスが増えることを防ぎます。
タミフル、リレンザ、イナビルなどの従来の抗インフルエンザ薬の作用機序であるノイラミニダーゼの阻害よりも、ウイルス増殖過程における上流での阻害薬となり、従来の薬剤とは作用機序が異なる特徴があります。

ゾフルーザの効果時間は

ゾフルーザの効果時間として、平熱に回復するまでの時間が臨床試験で確認されています。
その結果は平熱に回復するまでの中央値が21.4時間とされており((ゾフルーザ錠 社内資料(小児患者対象国内第Ⅲ相オープンラベル試験)))、この点から薬を服用してから1日程度で解熱することが想定されます。

ゾフルーザ錠の用法用量

ゾフルーザ錠は用法用量は、12歳以上であれば、20mg錠を1回に2錠飲むだけで治療が完了となります。ただし、80kg以上の体重では倍量となり、20mg錠を1回に4錠となります。
12歳未満の場合は体重に応じて使用量が異なってきますが、10kg以上の場合から用量が設定されており、10〜20kg未満では10mg錠を1回1錠、20〜40kg未満では20mg錠を1回2錠、40kg以上では成人と同じく20mgを1回2錠となります。
ゾフルーザ錠の用法用量の詳細は以下の通りです。

1.通常,成人及び12歳以上の小児には,20mg錠2錠(バロキサビル マルボキシルとして40mg)を単回経口投与する。ただし,体重80kg以上の患者には20mg錠4錠(バロキサビル マルボキシルとして80mg)を単回経口投与する。
2.通常,12歳未満の小児には,以下の用量を単回経口投与する。
用法及び用量の表

体重 用量
40kg以上 20mg錠2錠(バロキサビル マルボキシルとして40mg)
20kg以上40kg未満 20mg錠1錠(バロキサビル マルボキシルとして20mg)
10kg以上20kg未満 10mg錠1錠(バロキサビル マルボキシルとして10mg)

ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書

ゾフルーザ錠の小児の使用

ゾフルーザ錠は前述のとおり、体重10kg以上であれば適切な用量が設定されている薬剤です。
小児おいては体重をしっかりと把握した上で適切な用量を使用することが重要です。

ゾフルーザ錠の副作用|異常行動は?

ゾフルーザ錠の副作用は臨床試験において確認されていますが、特徴的な副作用はあまり認められず、下痢や頭痛などの症状が報告されている程度です。
成人及び 12 歳以上の小児を対象とした臨床試験では910 例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は49例(5.4%)に認められ、主なものは、下痢12例(1.3%)、ALT(GPT)増加8例(0.9%)であったとれています。12歳未満の小児を対象とした臨床試験では105例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は 例(3.8%)に認められ、主なものは、下痢2例(1.9%)であったとされています((ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6250047F1022_1_01.pdf))。
なお、ゾルフーザでは臨床試験時には報告はないものの、同じインフルエンザ薬で異常行動の報告があるため、「重要な基本的注意」として異常行動が注意喚起されています。

重要な基本的注意
1.因果関係は不明であるものの,抗インフルエンザウイルス薬投薬後に異常行動等の精神・神経症状を発現した例が報告されている。小児・未成年者については,異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として,本剤による治療が開始された後は,(1)異常行動の発現のおそれがあること,(2)自宅において療養を行う場合,少なくとも2日間,保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお,インフルエンザ脳症等によっても,同様の症状があらわれるとの報告があるので,上記と同様の説明を行うこと。

ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書

ゾフルーザ錠の飲み合わせ

ゾフルーザ錠は飲み合わせが悪いために注意喚起されている薬はありません((ゾフルーザ錠10mg/ゾフルーザ錠20mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/340018_6250047F1022_1_01.pdf))。基本的にはどの薬とも併用できます。
ゾフルーザと同じタイミングで比較的よく処方されるものとして、解熱剤のカロナールなどがが想定されますが、これらも飲み合わせは特に問題ありません。指示された通りに服用するようにしましょう。
また、アルコールとの飲み合わせに関しても、ゾフルーザは特に注意喚起はされていません。
しかし、一般的な問題として薬を使用しているときにアルコールを摂取することは推奨されておらず、副作用などが出やすくなる可能性も否定できません。薬とアルコール類は、その成分の吸収や代謝が影響しあったりする可能性があり、その影響により薬によっては悪影響がでることがあります。
そもそもインフルエンザにかかったときに飲酒すること自体があまり望ましいと言えないため、ゾフルーザを服用している期間程度は極力アルコールを控えるようにしましょう。
 

ゾフルーザ錠の薬価、自己負担額、ジェネリック

ゾフルーザ錠の薬価は、ゾフルーザ錠20mgで1錠あたり2394.5円、ゾフルーザ錠10mgで1507.5円となっています。
通常は成人の場合1回で20mg錠を2錠使用するケースが多いため、4789円の薬価が1回の治療でかかるケースが多いと言えます。実際に薬局でかかる費用は1割〜3割負担の割合負担が多く、また、薬局での基本料などもかかるため、自己負担額は3割負担では2000円前後になるケースが多いと考えられます。イナビルなどの従来の抗インフルエンザとも薬価大きく変わりありません。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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