ヘキサトロンの特徴や副作用|先発のトランサミンとの違い、花粉症や肝斑への使用、薬価も

ヘキサトロンカプセル250について、特徴、先発薬、トランサミンとの違い、効果、使い方、花粉症や肝斑への使用、副作用、飲み合わせ、薬価、市販での販売などについて添付文書等から解説していきます。

ヘキサトロンの特徴|日本新薬が製造販売

ヘキサトロンはトラネキサム酸を成分とし、風邪などでの抗炎症作用や出血傾向に対する止血作用の効果がある薬です((ヘキサトロンカプセル250mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530263_3327002M1273_1_05.pdf))。
また、近年は適応外で肝斑(いわゆるシミ)に対して使用されることもある薬です。
日本新薬株式会社が製造販売を行っている製品です。
 

ヘキサトロンの先発はトランサミン|トランサミンとの違いは?薬価についても

ヘキサトロンの成分であるトラネキサム酸を含む薬としてトランサミンもあります。
ヘキサトロンはジェネリック医薬品に該当する薬剤であり、ヘキサトロンの先発として該当するものがトランサミンです。
ヘキサトロンとトランサミンは同じ成分であるため、その効果に違いはありません。また、薬の価格である薬価に関しても、ヘキサトロンカプセル250とトランサミンカプセル250では、2018年4月改定時点では違いがなく、共に1カプセルあたり9.9円という薬価になっています。
ヘキサトロンとトランサミンの違いとしてあげられるのは、250mgカプセルに含まれる添加物の違い、販売されている規格の違いが挙げられます。添加物は薬の薬効には基本的に影響を与えませんが、人によっては使用感の違いを感じるケースなどがあるとされています。また、販売されている剤型は、ヘキサトロンはカプセル剤のみであるのに対し、先発医薬品であるトランサミンにはカプセル、注射剤の他、錠剤や散剤、シロップ剤がある点が特徴です。

項目 ヘキサトロン トランサミン
250mgカプセルの薬価 9.9円 9.9円
250mgカプセルの添加物 トウモロコシデンプン、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウムを含有し、カプセル本体に酸化チタン、青色1号、黄色4号(タートラジン)、ラウリル硫酸ナトリウム、ゼラチン トウモロコシデンプン、ステアリン酸マグネシウム
カプセル: ゼラチン、ラウリル
硫酸ナトリウム、黄色 5 号
カプセル以外の剤型 なし 錠剤、散剤、シロップ、注射

ヘキサトロンの効果|花粉症の症状にも

ヘキサトロンカプセル250にはいくつかの効果があり、代表的なものは扁桃炎、咽喉頭炎(いわゆる風邪など)における喉の痛み、赤み、腫れなどに対する抗炎症作用と、鼻出血などの出血や再生不良貧血などにおける出血傾向に対する止血作用、さらに蕁麻疹などに対する抗アレルギー作用です。その他口内炎や花粉症のアレルギー症状、皮膚症状などに対しても使用されます。
ヘキサトロンカプセル250の効能効果の詳細は以下の通りです。

〇全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向
(白血病、再生不良性貧血、紫斑病など及び手術中・術後の異常出血)
〇局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血
(肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血)
〇湿疹及びその類症・蕁麻疹・中毒疹・薬疹における紅斑・腫脹・そう痒などの症状
〇扁桃炎・咽頭炎・喉頭炎における咽頭痛・発赤・腫脹・充血などの症状
〇口内炎における口内痛と口内粘膜アフター

ヘキサトロンカプセル250mg 添付文書

ヘキサトロンは肝斑にも使用される

近年、ヘキサトロンは肝斑(いわゆるしみ)に対して、美白・美容目的で使用されるケースがあります。
ただし、これらの使用はヘキサトロンの効能効果には含まれておらず((ヘキサトロンカプセル250mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530263_3327002M1273_1_05.pdf))、保険適応外の使用となります。クリニックなどで依頼すれば実際にヘキサトロンをこれらの目的で処方してもらえるケースもありますが、美白・美容目的で使用する場合は基本的にすべて自己負担となることを理解しておきましょう。
なお、ヘキサトロンの成分であるトラネキサム酸の肝斑に対する効果は多くの報告があり、実際に市販薬ではトランシーノIIなどで正式な効能効果として認められています((トランシーノII 添付文書))。また、肝斑に対する効果の発現は4週程度で見られるのが一般的です((東 禹彦; 皮膚, 30(5); 676-680, 1988))。

ヘキサトロンの作用機序

ヘキサトロンの作用機序は幾つかあり、風邪などに対する抗炎症作用や蕁麻疹などに対する抗アレルギー作用は、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変の原因になっているキニンやその他の活性ペプタイド等のプラスミンによる産生を抑制することでもたらされるとされています。プラスミンとは通常は血栓を溶かす役割を果たす血中のタンパク分解酵素であり、ヘキサトロンはこの酵素に作用します。
また、鼻出血などに対する止血作用はプラスミンによるフィブリン分解を阻害し止血作用を示すとされています。フィブリンは血液の凝固に関わるタンパク質です。

ヘキサトロンの使い方

ヘキサトロンカプセル250は用量に幅があり、用量は処方医の判断となります。
少ない用量ではヘキサトロンカプセル250を1回に1カプセル、1日3回使用、多い用量では1回に2カプセル、1日3〜4回使用するのが一般的です。
ヘキサトロンカプセル250の用法用量の詳細は以下の通りです。

トラネキサム酸として、通常成人1日750~2,000mgを3~4回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

ヘキサトロンカプセル250 添付文書

ヘキサトロンを肝斑で使用する場合の用法用量

ヘキサトロンカプセル250を肝斑に対して使用する場合も風邪などの抗炎症作用や止血作用を目的とする場合と同程度の用法用量で使用するのが一般的です。
1日量としては1500mgを使用するケースが多いようですが、750mgで使用するケースも報告としてあります((東 禹彦; 皮膚, 30(5); 676-680, 1988))。
なお、肝斑治療薬として市販されているトランシーノIIではトラネキサム酸の1日量として750mgを使用することになります((トランシーノII 添付文書))。

ヘキサトロンの副作用

ヘキサトロンはジェネリック医薬品であるため、副作用の頻度が明確になる調査などは実施されていませんが、参考になるデータとして、ヘキサトロンの先発医薬品であるトランサミンの調査の結果があります。
トランサミンの主な副作用は食欲不振(0.61%)、悪心(0.41%)、嘔吐(0.20%)、胸やけ(0.17%)、そう痒感(0.07%)、発疹(0.07%)等とされており、頻度として高い副作用はあまりありません((トランサミン錠250mg/トランサミン錠500mg/トランサミンカプセル250mg/トランサミン散50% 添付文書))。
また、眠気に関しても報告はあるものの、その頻度は0.1%未満とされており、可能性はかなり低いと考えられます。ヘキサトロンを含めた複数の薬を服用して眠気を感じる場合は他の薬に原因がある可能性があります。併用されることが多い薬として、咳止めの薬であるフスコデ、メジコン、アスベリン、アストミンなどのほか、鼻水に対して処方される抗ヒスタミン薬のアレロック(オロパタジン)、ポララミン、ザイザル、タリオン、アレジオンなどはヘキサトロンよりも眠気の副作用がでる頻度が高く、これらの薬が眠気の原因の可能性があります。

ヘキサトロンの飲み合わせ

ヘキサトロンカプセル250は他の薬との飲み合わせに関して、併用禁忌の(併用できない)薬と併用注意の薬がいくつかあります。

ヘキサトロンの併用禁忌の薬

ヘキサトロンカプセル250はトロンビン製剤と併用禁忌とされています((ヘキサトロンカプセル250mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530263_3327002M1273_1_05.pdf))。
トロンビンは血栓形成を促進する作用があり、止血作用のあるヘキサトロンと併用することでり血栓形成傾向が増大するため、一緒に使用することはできません。

ヘキサトロンの併用注意の薬

ヘキサトロンと併用に注意が必要な薬として以下のものが挙げられます1)

成分名等 代表的な薬剤
ヘモコアグラーゼ レプチラーゼ注
バトロキソビン デフィブラーゼ点滴静注
凝固因子製剤
エプタコグアルファ等
ノボセブンHI静注用

風邪などの際に使用される解熱鎮痛剤のロキソニン、カロナール、ボルタレン、咳止めのメジコン、アストミン、フスタゾール、フスコデ、アスベリン、痰切りのムコダイン(カルボシステイン)、ムコソルバン(アンブロキソール)、鼻水を止める抗ヒスタミン薬のアレロック、アレグラ、ザイザル、タリオン、総合感冒剤のPL配合顆粒など、これらはいずれも飲み合わせ問題ありません。
 
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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