イナビルの解熱時間は?効果や効果時間、授乳への影響、タミフルとの違いなど

イナビルのインフルエンザに対する効果や効果時間、解熱時間、効かない場合の確認事項、吸入の方法や吸入後に関する事項、副作用、異常行動、薬価、授乳への影響、タミフルやリレンザとの違いや使い分けなどについて添付文書等から解説します。

イナビルの特徴|日本の第一三共が開発

イナビルはラニナミビルを成分とするインフルエンザの治療薬です。日本の製薬会社である第一三共株式会社が開発した日本発の薬であり、同社が製造販売している製品です。

イナビルの最大の特徴として、1回の吸入のみで治療が完了する点が挙げられ、同じ抗インフルエンザ薬であるタミフルやリレンザよりも使い勝手が良い薬と言えます。

インフルエンザの治療のほか、インフルエンザの予防にも使用出来る薬であり、家族などの身近な人がインフルエンザにかかった場合は、医師の判断により予防に使用されるケースもあります。

イナビルの効果や作用機序、効果時間|効かない場合は

イナビルはインフルエンザの治療や予防に効果が認められている吸入薬です。インフルエンザウイルスのA型、B型いずれに対しても効果があるとされています。

イナビルの効能効果の詳細は以下の通りです。

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防

イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書

イナビルの作用機序はノイラミニダーゼ阻害

イナビルの作用機序はウイルスが持つノイラミニダーゼの阻害です。

ノイラミニダーゼは、ウイルスが感染した人の細胞内で複製したのちに細胞から遊離する際に必要となる酵素です。イナビルはこのノイラミニダーゼを阻害することにより、ウイルスの増殖を防ぐことでインフルエンザに対する効果を発揮します。

ただし、遊離されたウイルス自体を死滅されるわけではないため、ウイルスが増殖しきる前、具体的にはインフルエンザの症状発現から48時間に使用することが必要となります。

イナビルはインフルエンザの予防でも使用出来る

イナビルは前述の効能効果のとおり、インフルエンザの治療のみならず、予防でも使用することができます。

なお、予防に使用する場合、従来は2日間に分けてイナビルを使用する必要がありましたが、2016年8月より、1日のみの使用方法も認められました。

イナビルをインフルエンザの予防に使用する場合については、以下の記事で詳細を解説しています。

イナビルの予防投与|2016年8月より1日1回のみでOK!保険適用の有無、予防の効果や期間、自費の2016-2017シーズンの価格

イナビルの効果はタミフルと同等以上

イナビルの効果は、臨床試験で確認されており、同じインフルエンザ薬のタミフルと比較されてた結果がいくつかあります。

その結果からイナビルはタミフルと同等以上の効果が期待でき、インフルエンザに対して効果的な治療薬と考えられます。

日本及び海外で実施された1000例程度の臨床試験において、イナビルはタミフルの成分であるオセルタミビルリン酸塩と比較し、非劣性の効果があることが確認されています1)

この臨床試験では、インフルエンザ罹病時間の中央値が、イナビルが73.0時間、オセルタミビル75mg群が73.6時間という結果であり、インフルエンザの治療までにかかる時間がほぼ同じであることが確認されています。

また、3~9歳の小児において比較した臨床試験も国内で行われており、その結果もイナビルはタミフルに劣らない結果となっています2)

この臨床試験では国内の3〜9歳の小児を対象としており、インフルエンザの罹病期間はイナビルを使用した群では56.4時間、タミフルの成分であるオセルタミビルを使用した群では87.3時間という結果であり、イナビルにおいて高い治療効果が確認されています。

1) Watanabe A, et al.:Clin Infect Dis. 51(10):1167-1175, 2010
2) Sugaya N, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 54(6):2575-2582, 2010

イナビルの効果時間|解熱時間は24時間後から

イナビルが効果が発揮するまでの時間は臨床試験の結果が参考となります3)

イナビルの第Ⅲ相国際共同試験ではイナビルを使用してから体温が平熱(36.9℃以下)に回復するまでの時間を調査しており、その結果はイナビル使用の24時間前後から解熱し始め、平熱に下がるまでの時間は55時間程度という結果が得られています。

したがって、イナビルの効果時間は使用して1日前後から効果が出始め、2日と数時間程度で平熱まで下がるのが一般的と考えられます。

また、同じ臨床試験でイナビルを使用したときのインフルエンザ罹病期間は73時間という結果もあり、このことからイナビルを使用して3日程度で、熱以外の症状も含めインフルエンザから完全に回復するということが想定されます。

3) イナビル 総合製品情報概要

イナビルが効かないと感じる場合は

イナビルが効かないと感じる場合にはまずは前述の効果時間を確認しましょう。

イナビルは解熱剤ではないので、熱に関しても使用して1〜2時間後に急に下がることはあまりありません。最低でも1日程度はかかることが一般的と理解しましょう。

また、熱を少しでも早く下げたいような場合は医師に相談することでアセトアミノフェン製剤(カロナールなど)をはじめとした解熱剤も併せて処方してもらえるケースがあります。発熱以外の症状に関しても完全に回復するには前述の通り3日程度はかかるのが一般的です。

上記の効果時間を経過しても効果を感じない場合に関しては、インフルエンザにかかってからイナビルを使用するまでの時間が長かった(48時間以上経過していた)ためにイナビルが無効であった可能性や、別の疾患を合併しているといったケースも考えられます。症状が悪化するような場合は改めてクリニックや病院を受診するようにしましょう。

イナビルの使い方と吸入方法

イナビルは大人では通常、1回に2キットを、10歳未満は1キットを吸入します。

タミフル、リレンザなどの他のインフルエンザとは異なり、1回の治療のみでインフルエンザに効果があるとされています。

イナビルの吸入は、1回の治療において1キットにつき4回吸入、2キットでは合計8回吸入することになります。

吸入方法は以下のような手順となります。

1. 吸入器の胴体部分の薬剤トレー①をスライドさせる
2. 吸入口をくわえ大きく息を吸う
3. 薬剤トレー②をスライドさせる(①の反対側にスライド)
4. 吸入口をくわえ大きく息を吸う
5. 吸い残しがないように、1.〜4.を再度繰り返す
6. 10歳以上の場合は、2キット目で1.〜5.を繰り返す

上記のようにキットの胴体部分をずらし、右にずれた状態と左にずれた状態で合計2回ずつ吸入することになるため、2キット使用の場合は合計8回吸入します。

なお、イナビルの用法用量の詳細は以下の通りです。

1. 治療に用いる場合
成人:ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。
小児:10歳未満の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを単回吸入投与する。
10歳以上の場合、ラニナミビルオクタン酸エステルとして40mgを単回吸入投与する。

2. 予防に用いる場合
成人及び10歳以上の小児:ラニナミビルオクタン酸エステルとして20mgを1日1回、2日間吸入投与する。

イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書

イナビルの吸入後はうがいは不要、飲食は問題なし

イナビルの吸入後は特にうがいをする必要はないとされています。

また、逆にうがいをしても問題はなく、使用後は飲食の制限も特にありません4)

小児では吸入後にむせてしまうケースもあるため、必要に応じて水分を取りながらの使用も検討しましょう。

4) 第一三共インフル・ニュース イナビルQ&A

イナビル使用後の出席停止期間を確認

イナビルを使用したあとに解熱をした場合でも、小児においては学校保健安全法において出席停止期間が定められています。

インフルエンザ後の出席停止期間は幼稚園・保育園の幼児と、小学生以上で基準が異なっており、幼稚園・保育園の幼児の場合は、インフルエンザを発症した後5日を経過、かつ解熱した後3日を経過しないと登園することができません。

小学生以上ではインフルエンザを発症した後5日を経過、かつ解熱した後2日を経過している必要があります。

 区分 基準と期間
出席
停止
期間
幼稚園・
保育園の
幼児
発症した後5日を経過
かつ
解熱した後3日を経過
小学校
以上
 発症した後5日を経過
かつ
解熱した後2日を経過

発症後と解熱後のカウントの仕方は、発症後とは発熱した日の翌日を1日目、解熱後とは解熱した日の翌日を1日目とカウントします。

小学生以上の学生よりも、解熱後の出席停止期間が1日長い理由は、低年齢者ほどウイルス排泄が長期に及ぶという点から指定しています。

ただし、症状によっては医師の判断で感染の恐れがないとした場合は、この期間よりも早く出席できることがあります。

幼児 例1
通算 発症 解熱 登園可否
day1 発症日 ×
day2 1日目 ×
day3 2日目 解熱日 ×
day4 3日目 1日目 ×
day5 4日目 2日目 ×
day6 5日目 3日目
day7 6日目 4日目
day8 7日目 5日目
小学生 例1
通算 発症 解熱 登園可否
day1 発症日 ×
day2 1日目 ×
day3 2日目 ×
day4 3日目 ×
day5 4日目 解熱日 ×
day6 5日目 1日目 ×
day7 6日目 2日目
day8 7日目 3日目

イナビルの副作用|飲み合わせについても

イナビルの主な副作用は下痢や悪心(吐き気)、胃腸炎、ALT(肝機能の検査値)上昇などとされています5)

その他にも頭痛やめまい、ただしこれらの副作用に関しても頻度としては数%もしくは1%以下の頻度となっており、全体的に副作用が出る確率は低く安全な薬と言えます。

生理への影響、味覚異常、低体温、幻覚、不眠などの副作用は現時点ではあまり報告がなく、イナビルとは無関係の可能性が高いと言えます。

イナビルは飲み合わせに注意が必要な薬はなし

また、イナビルは飲み合わせで注意が必要な薬もありません5)解熱剤のカロナール、咳止めのメジコン、アストミン、アスベリン、痰切りのムコダイン、ムコソルバンなどと一緒に処方されるケースもありますが、同じタイミングで使用しても問題ありません。

5) イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書

イナビル使用後でも異常行動が稀に報告がある

過去に抗インフルエンザ薬のタミフルにおいて、小児での使用後の異常行動が話題になりましたが、イナビルにおいても因果関係は不明であるものの、報告があります。ただし、これらの異常行動はインフルエンザの薬というよりも、インフルエンザへの感染自体が影響している可能性もあり、薬を使わなくても異常行動を起こすケースもあるとされています6)

したがって、特に10代の小児に関しては、インフルエンザ感染後は薬の使用の有無にかかわらず、異常行動に関しても多少の注意を払うようにしましょう。

因果関係は不明であるものの、本剤を含む抗インフルエンザウイルス薬投薬後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、1)異常行動の発現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状があらわれるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

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6) 厚生労働省 インフルエンザQ&A Q15

イナビルの薬価|自己負担は1500円前後

イナビルの薬価は2016年4月の改定(2018年3月まで)では1キットあたり、2139.9円となります。

インフルエンザの治療では大人の場合は通常2キット使用するため、1回のインフルエンザの治療では
2139.9 × 2 = 4279.8 円 の薬価がかかることとなります。

通常は3割負担であるため、薬代としては1300円程度かかり、他の薬剤がなければ薬局では調剤基本料など含め1500円前後の自己負担額となります。

イナビルとタミフル、リレンザの違いを比較

イナビルと同じインフルエンザの薬として、タミフルリレンザがあります。イナビルとタミフル、リレンザの違いや使い分けを確認していきましょう。

イナビルとタミフルの違いや使い分け

イナビルと同じ抗インフルエンザ薬としてタミフルがあります。

イナビルとタミフルの違いとして最初に挙げられるのがその用法です。タミフルは1日2回、5日間飲み続ける必要があるのに対し、イナビルは1回吸入することのみで効果を発揮します。この点がイナビルの最大の特徴と言えます。薬価(価格)についてはイナビルの方が新しい薬ということもあり、1回のインフルエンザ治療でかかる金額はイナビルの方が高価となります。

また、タミフルは過去に服用後の異常行動に関して注意喚起された経緯があり、10代の未成年においては特別な理由がない限りは使用しないことが原則となっています。したがって、10代の未成年に対してはイナビルもしくは別のインフルエンザ治療薬であるリレンザが使用されることになります。

一方、イナビルの吸入薬という点で、考慮すべきこともあり、気管支喘息などの満鮮呼吸器疾患の患者さんにおいては、患者さんの状態を十分に観察しながら使用する必要があるとされています。

インフルエンザウイルス感染症により気道過敏性が亢進することがあり、類薬において、吸入剤の投与後に気管支攣縮や呼吸機能の低下がみられた例が報告されている。気管支喘息及び慢性閉塞性肺疾患等の慢性呼吸器疾患の患者では、患者の状態を十分に観察しながら投与すること。

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作用機序はイナビルとタミフルで違いはありません。どちらもノイラミニダーゼ阻害であり、同時に使用しても相乗効果は見込めないため、イナビルとタミフルを併用することは通常はありません。

イナビルとタミフルではその効果は大きな差はないとされています。イナビルの臨床試験ではタミフルを対照薬として効果が調査されており、薬を使用後のインフルエンザの罹病期間、体温が平熱に回復するまでの時間はイナビルとタミフルで差がないという結果が確認されています3)

イナビルとタミフルの比較をまとめると以下のようになります。

比較項目 イナビル タミフル
一般的な用法 1回2容器
吸入のみ
1日2回
5日間
薬価(価格)
1回の治療分
4279.8 2830
作用機序 ノイラミニダーゼ阻害 ノイラミニダーゼ阻害
インフルエンザ罹病期間3) 73.0時間 73.6時間
平熱回復までの時間3) 55.3時間 54.7時間

3) イナビル 総合製品情報概要

イナビルとリレンザの違いや使い分け

イナビルと同じ抗インフルエンザ薬のリレンザについても違いを比較していきましょう。

イナビルとリレンザに関しても、大きな違いとしてあげられるのが用法です。

イナビルとリレンザは同じ吸入薬という共通点がありますが、リレンザは1日2回、5日間吸入を続ける必要があるのに対し、イナビルは1回吸入することのみで効果を発揮します。この点がイナビルの最大の特徴と言えます。

薬価(価格)についてはイナビルの方が新しい薬ということもあり、1回のインフルエンザ治療でかかる金額は簡易的な計算ではイナビルが4279.8円、リレンザが3058円となり、イナビルの方が高価となります。

作用機序はイナビルとリレンザで違いはありません。どちらもノイラミニダーゼ阻害であり、同時に使用しても相乗効果は見込めないため、イナビルとリレンザを併用することは通常はありません。

薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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