エチゾラム(代表的な製品名:デパス)は抗不安薬、不眠症状に対しての睡眠薬としてよく使用される処方薬です。効果や効果時間、副作用や飲み合わせ、市販や通販、個人輸入での購入可否についても確認していきます。
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エチゾラムの効果
エチゾラムは精神安定剤に分類される薬であり、不安を和らげる目的や、睡眠障害に対する睡眠薬としての目的、うつ病や統合失調症の時など、様々な場面で効果が認められています。
エチゾラムの詳細な効能効果は以下の通りです。
●神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
●うつ病における不安・緊張・睡眠障害
●心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・睡眠障害
●統合失調症における睡眠障害
●下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛デパス錠0.25mg/デパス錠0.5mg/デパス錠1mg/デパス細粒1%添付文書
エチゾラムは様々な疾患に対して6〜8割の効果
エチゾラムは様々な疾患に対して6〜8割の効果が確認されています。
それぞれの症状、疾患に対して効果があった割合のデータが製薬会社から公表されており、神経症やうつ病における不安症状や睡眠障害、さらには統合失調症に対しては70%弱の効果、最も効果が高いもので心身症に伴う胃・十二指腸潰瘍に対して85%もの効果が認められています。
このようにエチゾラムは様々な症状、疾患に対してまずますの効果の高さを示すことが確認されています。
各症状、疾患に対する効果の詳細は以下の通りです。
症状・疾患 | 有効率(%) |
神経症 | 67.3 |
うつ病 | 67.8 |
高血圧症 | 79.9 |
胃・十二指腸潰瘍 | 85.2 |
頚椎症 | 69.0 |
腰痛症 | 69.7 |
筋収縮性頭痛 | 73.0 |
統合失調症 | 65.9 |
エチゾラムの効果時間と効き始めの時間
エチゾラムを含む睡眠薬は以下の分類をされており、エチゾラムは②短時間作用型に分類されます。
①超短時間作用型
②短時間作用型
③中間作用型
④長時間作用型
効き始めの時間は一般的に超短時間作用型の睡眠薬が最も速く、長時間作用型が遅いとされており、エチゾラムは比較的即効性があると言えます。
具体的な効き始める時間、効果が出るまでの時間は、速ければ30分程度で効果を感じることができるでしょう。
また、持続時間についても分類に応じて効果が持続する傾向があり、エチゾラムは5〜6時間程度、効果が持続するすると考えられています。
エチゾラムを使用するときは上記の効果発現時間(効き始める時間)と効果持続時間を参考にしていただければと思います。
エチゾラムの副作用
エチゾラムで報告されている副作用のうち、比較的頻度が高いものは眠気、ふらつき、倦怠感、脱力感などです。
眠気に関しては睡眠薬という面も持つエチゾラムとしては仕方がない副作用と言えますし、それにともなうふらつきや倦怠感(だるさ)もある意味では仕方がない面があります。また、エチゾラムは筋の緊張を緩和する作用もあるため、脱力感に関しても出てしまうことは不可抗力かもしれません。これらの副作用はエチゾラムの作用の面からも妥当な副作用と言えますので、注意が必要であるものの極端な症状でなければ問題ないと言えるでしょう。
その他に睡眠薬や抗不安薬に共通して注意が必要な副作用に依存性と離脱症状があります。
エチゾラムの依存性
エチゾラムには依存性の副作用も報告されています。
エチゾラムはベンゾジアゼピン系という系統に分類される薬であり、このベンゾジアゼピン系の薬はエチゾラムに限らず依存性が認められるとされています。
依存性とはその薬がないと落ち着かなくなり、薬を常に欲してしまう状態です。
ただし、この依存性は医師の診察の際に自分の症状や状態を正確に伝え、医師からは必要最低限の適切な処方をしてもらうこと、そしてそれを指示通りに用法用量を正しく守って使用することである程度は防ぐことができます。逆に間違った使い方をしていると依存性の可能性も高くなったりしますので、エチゾラムを使用する際は特に用法用量に注意し、正しい使用法を心がけるようにしましょう。
エチゾラムの離脱症状
薬の依存症になってしまった場合に困る症状として離脱症状があります。
離脱症状はエチゾラムなどの薬を急に中止しり、極端に薬の量を減らすことによって生じる不安や不眠症状、ふるえなどの症状を指します。
この離脱症状を起こさない方法としては、普段から必要以上の回数、必要以上の量のエチゾラムを使用しないことや、自己判断での急な中止、薬の量を減らすなどを行わないことです。薬の使用回数や使用量、中止に関しては必ず医師と相談して決めるようにしましょう。
また、残念ながら離脱症状が起きてしまった時の対処法はエチゾラムを再度飲み始める、薬の量を元に戻す、症状が我慢できる程度であれば様子をみる、などが挙げられます。こちらも医師との細かい相談が必要になるかと思いますので、離脱症状が起きてしまった場合は早めに相談に行くようにしましょう。
エチゾラムと他の薬との飲み合わせ
エチゾラムは飲み合わせに注意が必要な薬がいくつかあります。
統合失調症や神経症に使用するクロルプロマジン塩酸塩(製品名:コントミン)、睡眠薬や鎮静薬として用いられるフェノバルビタール(製品名:フェノバール)、パーキンソン病に使用するセレギリン塩酸塩(製品名:エフピー)、うつ病に使用するフルボキサミンマレイン酸塩(製品名:ルボックス)、そしてアルコールも注意が必要となります。
飲み合わせに注意が必要な薬剤の詳細は以下の通りです。
薬剤名等 | 起こりうる症状 |
中枢神経抑制剤 クロルプロマジン塩酸塩(製品名:コントミン) フェノバルビタール(製品名:フェノバール) など |
眠気、血圧低下、運動失調、意識障害など |
MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩(製品名:エフピー) |
過鎮静、昏睡、痙攣発作、興奮など |
フルボキサミンマレイン酸塩 (製品名:ルボックス) |
エチゾラムの血中での濃度を上昇させることがあり、結果としてエチゾラムが効きすぎる可能性 |
アルコール(飲酒) | 精神機能、知覚・運動機能の低下を起こすことがある |
エチゾラムとアルコールの飲み合わせについて
エチゾラムとアルコールは前述のとおり飲み合わせに注意が必要です。あくまで併用注意という位置付けであり、併用禁忌(絶対にダメ)というわけではないのですが、精神機能、知覚機能、運動機能の低下を起こす恐れがあるとされており、エチゾラムの使用中は極力アルコール(飲酒)を避けるべきと言えるでしょう。
もしどうしても外せないお酒の席がある場合は、可能ならあらかじめ処方医の先生に相談してそのときはエチゾラムを使用を1回飛ばす、アルコールを摂取する時間とエチゾラムを使用する時間を極力空けるなど、可能な限り影響が少なくなるようにしましょう。
もし日常的にエチゾラムとアルコールを一緒使用すると、依存性や耐性(薬が効かなくなること)の可能性が上がるとも言われています。エチゾラムとアルコールの飲みあわせについては安易な考えを持たず、エチゾラムを使用している期間だけはアルコールの摂取を控え、エチゾラムが必要なくなった時に再開するつもりでいるのが安全と言えます。
エチゾラムの市販や通販、個人輸入での入手
エチゾラムは処方箋医薬品に該当するため、市販や通販で入手することはできません。必ず医師の適切な診察のもと、処方してもらう必要があります。
ただし、個人輸入に関しては禁止されている薬剤に含まれず、エチゾラムは個人輸入することは可能です。
輸入が規制されている薬として、麻薬及び向精神薬に分類される薬は麻薬及び向精神薬取締法により規制されており、マイスリーなどの睡眠薬はこれに該当するため、個人輸入も不可能です。一方エチゾラムは麻薬でも向精神薬でもないため、煩雑な手続きをしなくても1ヶ月分程度は輸入が認められています。
しかし、個人輸入には幾つかリスクが伴います。まず第一に品質が低いものである可能性があります。品質が低いものは効果が期待しているほど得られないばかりか、副作用が強く出るという可能性もあります。
また、用量や使用方法が日本で使用されているエチゾラムと同じとは限らず、適正な使用方法がわかりにくいという可能性があります。
価格についても個人輸入は当然保険適用にはならないため、クリニックに行って処方してもらった方が結果的に安くなることも多いと言えます。
そして、万が一重い副作用が出た時に、薬を適正に使用していた場合は医薬品副作用被害救済制度という公的な救済を受けることができますが、個人輸入をした薬ではこの救済を受けることが難しいとされています。
このようにエチゾラムに限らず、薬の個人輸入には様々なリスクがつきまとうため、よほどの事情がない限りはおすすめできません。医師の適切な診察を受けてから処方してもらうのが安全であり、効果も期待でき、経済的でもあると言えるでしょう。
※2016年10月に規制区分の変更により、エチゾラムやデパスは個人輸入が不可となりました。ご注意ください。
エチゾラムの種類とデパスとの違い
エチゾラムは成分の名前であり、代表的な製品には固有の名称がつけらえれていることが多く、それがデパスという名称です。またジェネリック医薬品として発売されている場合は、エチゾラムとメーカーの名称を組み合わせた製品名(エチゾラム「アメル」など)になるのが一般的です。
代表の製品とジェネリック医薬品とは成分が同じため、基本的には同じ効果が出ますが、添加物などが異なっているケースがあるため、微妙に使用感が異なるケースなどもあります。
エチゾラムに関しても同様であり、デパスとエチゾラムの違いは成分名と製品名(商品名)の違いであると言え、また、エチゾラムがジェネリック医薬品の製品名を指している場合は、エチゾラムとデパスの違いはジェネリック医薬品と先発医薬品の違いとも言えます。そして、作用には違いがなく、添加物などの違いであると言えるでしょう。
エチゾラムの主な種類は以下の通りであり、様々な製品が販売されています。
製品名 | 区分 |
デパス錠1mg | 先発医薬品 |
エチゾラム錠1mg「EMEC」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「JG」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「KN」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「NP」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「SW」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「アメル」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「ツルハラ」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「トーワ」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「日医工」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「TCK」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「オーハラ」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「フジナガ」 | ジェネリック医薬品 |
エチゾラム錠1mg「日新」 | ジェネリック医薬品 |
デゾラム錠1mg | ジェネリック医薬品 |
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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