ホスミシンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
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ホスミシンの特徴
ホスミシンはホスホマイシンを成分とするホスホマイシン系に分類される抗生物質の一種です。幅広い効能を有しており、泌尿器領域の膀胱炎や腎盂腎炎、眼科領域の涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、耳鼻科領域の中耳炎、副鼻腔炎、さらに感染性腸炎に対しても効果がある抗生物質です1)。
ホスミシンの特徴として作用機序がユニークであり、細菌の細胞壁合成の初期段階を阻害するため、他の抗生物質と交差耐性を示さない点が挙げられます2)。
また、近年増加する多剤耐性菌の一つであるESBL(基質特異性拡張型βラクタマーゼ)産生腸内細菌に対する効果も示唆されています3)。
ホスミシンには通常の錠剤であるホスミシン錠250、ホスミシン錠500、粉薬であるホスミシンドライシロップ、耳科用のホスミシンS耳科用3% 、注射や点滴の数種類があります。
今回は主にホスミシン錠について確認していきます。
1) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
2) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 インタビューフォーム
3) Pocket Drugs 2017 医学書院
ホスミシンの略語はFOM
ホスミシンをはじめとした抗生物質には略語が決められており、ホスミシンの略語は成分のホスホマイシン(fosfomycin)から「FOM」となっています。
ホスミシンの効果
ホスミシンは様々な領域の感染症に効果がある薬です。代表的な効能は感染性腸炎の他、膀胱炎、麦粒腫(ものもらい)、中耳炎、副鼻腔炎などです。
ホスミシンの効能効果の詳細は以下の通りです。
深在性皮膚感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、感染性腸炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎
ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンの作用機序
ホスミシンの作用機序は最近の細胞壁の生合成を阻害することによって細菌を死滅させます1)。
ペニシリンなどのβ-ラクタムと言われる抗生物質は細胞壁の整合性の最終段階を阻害するのに対し、ホスミシンは細胞壁合成の初期段階を阻害するという違いがあり、このため他の抗生物質に対して耐性がある細菌に対しても効果があるケースがあります。
1) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンは90.5〜100%の有効率
ホスミシンの実際の患者さんに対する効果は臨床試験によって確認されています。
ホスミシンの効果は尿路感染症、眼科領域で100%、耳鼻科領域では90.5%の有効率が確認されています1)。
1) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンの使い方
ホスミシンは1日に2〜3gを3〜4回にわけて使用します。ホスミシン錠500であれば、1回2錠を1日3回、1回1錠を1日4回などの使い方が一般的です。
ホスミシン錠の用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、成人はホスホマイシンとして1日量2~3g(力価)を3~4回に分け、小児はホスホマイシンとして1日量40~120mg(力価)/kgを3~4回に分け、それぞれ経口投与する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンの副作用
ホスミシンの主な副作用は下痢、軟便、胃部不快感などの消化器症状とされています。その頻度は0.1〜5%とされています。その他、発疹等も頻度が0.1〜5%とされており、これらが比較的頻度の高い副作用です1)。
下痢などの消化器系の副作用に関しては、ホスミシンは体内の細菌に対して殺菌的な効果を発揮しますが、腸内の環境を整えている細菌に対しても影響を及ぼすことがあり、下痢が起こることはやむを得ない面もあります。ホスミシンの使用を止めればほとんどのケースで回復するため、大きな心配は要りません。
ただし、あまりに症状がひどい下痢が続く場合は医師に相談しましょう。また、日常的に胃腸が虚弱な体質の方などでは医師に相談すると整腸剤を処方してもらえるケースもあります。必要に応じて医師に相談しましょう。
1) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンの飲み合わせ
ホスミシンは飲み合わせが悪い薬は基本的にありません。
製薬会社からも併用禁忌や併用注意に該当する薬剤は注意喚起されておらず1)、基本的にはどの薬とも併用することが可能と言えます。
1) ホスミシン錠250/ ホスミシン錠500 添付文書
ホスミシンの薬価・ジェネリック
ホスミシン錠の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はホスミシン錠500で1錠あたり62.9円、ホスミシン錠250で1錠あたり39.5円となっています。
なお、ホスミシン錠にはジェネリック医薬品がありません。ホスホマイシンの成分を錠剤で使用したい場合はホスミシン錠を使用する必要があります。
ホスミシンの市販での購入
ホスミシンの成分を含む薬は市販で買うことはできません。必ず処方箋が必要となる薬であるため、医師の適切な診断を受けて処方してもらうようにしましょう。
また、手元にホスミシンが残っているケースや知人や家族からホスミシンをもらって自己判断で使用するのはリスクが高い種類の薬です。自己判断で使用するのはやめましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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