アンタゴスチンの効果や副作用|セルベックスやムコスタとの違いは

アンタゴスチンについて、その特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、市販での購入、ムコスタとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。

アンタゴスチンの特徴

アンタゴスチンはテプレノンを成分に含み、胃潰瘍、急性胃炎や慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)に効果がある薬です1)
アンタゴスチンの成分であるテプレノンの特徴として胃粘膜の再生・保護作用があり、胃炎・胃潰瘍における粘膜の欠損を修復することが期待できます2)
アンタゴスチンは単独で使用されるケースの他、解熱鎮痛剤などによる胃荒れを改善するためにロキソニンなどの解熱鎮痛剤と一緒に処方されるケースも多い薬です。
アンタゴスチンにはテプレノンの成分を50mg含むカプセル剤のアンタゴスチンカプセル50mgと、粉薬であるアンタゴスチン細粒10%の2種類が販売されています。
1) アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書
2) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% インタビューフォーム

アンタゴスチンはセルベックスのジェネリック医薬品

アンタゴスチンはジェネリック医薬品であり、同じテプレノンの成分を含むセルベックスが先発医薬品に該当します。
ジェネリック医薬品のアンタゴスチンは先発医薬品のセルベックスよりも薬価が低く設定されているため、アンタゴスチンの方が経済的と言えます。

アンタゴスチンの効果

アンタゴスチンは胃潰瘍、急性胃炎や慢性胃炎の急性増悪期における胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)に対して効果がある薬です。
アンタゴスチンの効能効果の詳細は以下の通りです。

○下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
○胃潰瘍

アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの作用機序

アンタゴスチンは様々な作用機序によって胃腸障害を改善します。
アンタゴスチンの先発医薬品であるセルベックスの情報では、作用機序は主に8種類報告されており、抗潰瘍作用、胃粘液増加作用、胃粘膜プロスタグランジン増加作用、胃粘膜保護作用などによって胃潰瘍や胃炎の症状を改善することが確認されています3)。また、熱ショック蛋白を誘導する作用機序からロキソニンなどのNSAIDsによる胃腸障害に対しても効果か期待できます。
3) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの症状に対する実際の効果

アンタゴスチンの実際の患者さんに対する効果は、テプレノンを含む先発医薬品のセルベックスの臨床試験データが参考となります。
セルベックスでは急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期に対して68.6%の有効率、潰瘍に対しては81.0%の有効率が確認されています3)
3) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの使い方

アンタゴスチンは1回1カプセルを1日3回食後に使用するのが一般的な使い方です。また、細粒の場合は1回0.5gを使用します。

カプセル50mg:
通常成人、3カプセル(テプレノンとして150mg)を1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
細粒10%:
通常成人、細粒1.5g(テプレノンとして150mg)を1日3回に分けて食後に経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書

アンタゴスチンは食後に使用する

アンタゴスチンは通常は食後に使用します。
この理由として食事をしていないとは吸収が低下することが確認されているためであり2)、食後でないと効果が出にくくなる可能性があるためです。
食事の影響を確認した試験では、薬の血中での動きの指標となる血漿中濃度曲線下面積(AUC)の値が、30分投与を100%とすると、食後 1 時間投与では変化なし、食後 3 時間投与では約23%低下した3)、という結果が確認されています。薬の食後の使用は基本的に食後の30分以内をさすため、特別な理由がない限りは食後30分程度で使用するようにしましょう。
2) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% インタビューフォーム
3) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの副作用

アンタゴスチンは副作用の心配はあまり必要ない薬です。
アンタゴスチンの副作用の頻度として参考になるのが、先発医薬品であるセルベックスのデータであり、0.48%という結果が報告されています3)
頻度が高い副作用は、肝機能の指標となる臨床検査血のAST(GOT)、ALT(GPT)の上昇であり、それぞれ0.12%、0.20%となっており、それ以外の副作用は全て0.1%未満の頻度となります2)
この報告からアンタゴスチンを使用する場合は副作用はほとんど経験することはないと考えられます。
2) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% インタビューフォーム
3) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの飲み合わせ

アンタゴスチンは飲み合わせが悪い薬は基本的にありません。
製薬会社からも併用禁忌や併用注意に該当する薬剤は注意喚起されておらず1)、基本的にはどの薬とも併用することが可能と言えます。
併用されることがある例としてロキソニンをはじめとする解熱鎮痛剤などは、胃荒れを引き起こすことがある代表例であり、ロキソニンの胃荒れをアンタゴスチンで抑制するといった使い方もよく見られるケースと言えます。
1) アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの授乳中の使用

アンタゴスチンは授乳中の使用に関しては特別な注意喚起はされていません1)
基本的には授乳中でも使用できる薬と言えるでしょう。
専門家による見解も以下の通り、授乳中の使用は問題ないという内容のものがあります4),5)

授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらず、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

乳児に悪影響のあった報告は見当たらない。蛋白結合率が高く、乳汁への移行は少ないと予想される。

母乳とくすりハンドブック

実際に授乳中にアンタゴスチンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。アンタゴスチンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
5) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)

アンタゴスチンの妊娠中の使用

アンタゴスチンは妊娠中の使用に関して、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕

アンタゴスチンカプセル50mg/アンタゴスチン細粒10% 添付文書

アンタゴスチンの成分は血液-胎盤関門通過性を確認した動物実験では胎児へ移行することが確認されており、また、非常に高用量の動物実験では新生児の生後発達に対して、副腎の組織変化が認められた2)、とされています。

ただし、実際には妊娠中の使用おいても重大なリスクはあまり報告されておらず、専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、催奇形性を示すデータがなく、妊婦にも使用可能という内容です4)

動物及びヒトでの催奇形性を示唆するデータなし。妊婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

実際に妊娠中にアンタゴスチンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。アンタゴスチンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

2) セルベックスカプセル50mg/セルベックス細粒10% インタビューフォーム

アンタゴスチンの薬価

アンタゴスチンの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は、アンタゴスチンカプセル50mgで1カプセルあたり6.2円、アンタゴスチン細粒10%で1gあたり11.9円となっています。

アンタゴスチンの市販での購入

アンタゴスチンの成分であるテプレノンは市販薬にも含まれている成分であり、アンタゴスチンと同じ似た効果がある薬を市販で購入したい場合はセルベールなどの市販薬が候補となります。
市販薬のセルベールは、処方薬の先発医薬品であるセルベックスの製造販売会社であるエーザイが製造販売している薬であり、高い品質も期待できる薬です。
注意点としてセルベールはテプレノンの成分が1日量で112.5mgであり、アンタゴスチンの150mgより少なくなる点、また、ソウジュツやコウボクなどの生薬成分が含まれている点があります。
セルベールには通常のセルベールの他、錠剤であるセルベール整胃錠、生薬に加え消化酵素が含まれる新セルベール整胃〈細粒〉、新セルベール整胃〈錠〉などの種類があります。
セルベールの効能効果は以下の通りとなっています。

胃もたれ,胸やけ,食べ過ぎ,飲み過ぎ,胃部・腹部膨満感,食欲不振,吐き気(むかつき,嘔気,悪心),嘔吐,胸つかえ

セルベール 添付文書

アンタゴスチンとムコスタの違い

アンタゴスチンと同じく胃粘膜の防御因子増強、粘膜修復促進をする薬剤の代表例としてムコスタ(一般名:レバミピド)があります。
アンタゴスチンとムコスタは比較的近い作用機序があり、同じような効果が期待できる薬といえます。アンタゴスチンとムコスタは明確な使い分けがあるほどの違いはありません。
ただし、アンタゴスチンとムコスタの違いとして、ムコスタは食事の影響を受けにくく寝る前などの食後以外でも使用されます。一方、アンタゴスチンは前述の通り食後でないと吸収が悪くなり、効果が低下する可能性があるため、食後に使用するのが一般的です。
他にもアンタゴスチンとムコスタの違いは市販で販売されているかどうかもあります。アンタゴスチンの成分であるテプレノンは市販で販売されているのに対し、ムコスタの成分であるレバミピドは市販では販売されていません。
なお、アンタゴスチンとレバミピドは基本的に併用することはあまりありません。自己判断で併用するのはやめましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

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