スチブロンの特徴、効果、使い方、副作用、授乳中・妊娠中の使用、薬価、市販・通販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
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スチブロンの特徴
スチブロンはジフルプレドナートというステロイド成分を含み、かゆみなどを伴う湿疹や皮膚炎に対して効果がある外用薬です1)。ステロイドとしての強さは上から二番目に強いとされるⅡ群(VeryStrong)に分類され、比較的強い抗炎症効果が期待できる薬です。
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群(Strongest)が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群(Weak)が最も弱い分類となります。
スチブロンには塗り薬の一般的な剤型である軟膏の他に、クリーム、ローションがあり、成分は同じですが、用途によって使い分けされることがあります。軟膏、クリーム、ローションの使い分けの例として以下のような特徴があります。
剤型 | メリット | デメリット | 向いている ケース |
軟膏 | 保湿性が高く、刺激が少ない | ベタベタし使用感がイマイチ | 傷があったり、ジュクジュクしている部分 |
クリーム | 軟膏よりもベタつかず、吸収も良い | 軟膏よりも効果が低い可能性、刺激を感じることも | 乾燥している部分、皮膚が厚い部分 |
ローション | 吸収が最も速く、使用感も良い | 最も刺激を感じやすく、効果が続かない | 頭部への使用 |
1) スチブロン 添付文書
スチブロンはマイザーのジェネリック医薬品
スチブロンと同じジフルプレドナートを成分とするステロイド剤としてマイザーが挙げられます。スチブロンはマイザーのジェネリック医薬品に該当します。したがって、スチブロンは先発医薬品であるマイザーよりも薬価が低く設定されており、安価に入手することができます。
また、スチブロンの特徴として、先発医薬品であるマイザーでは販売されていないローションの剤型がある点が挙げられます。
スチブロンの効果
スチブロンは様々な効能効果があります。代表的なものはかゆみなどを伴う湿疹、皮膚炎の他、虫刺され、やけどの後の肥厚性瘢痕・ケロイドなどにも使用されます。
スチブロンの効能効果の詳細は以下の通りです。
湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬、脂漏性皮膚炎、放射線皮膚炎、日光皮膚炎を含む)、痒疹群(じん麻疹様苔癬、ストロフルス、固定じん麻疹、結節性痒疹を含む)、虫さされ、乾癬、掌蹠膿疱症、扁平紅色苔癬、ジベルばら色粃糠疹、薬疹・中毒疹、慢性円板状エリテマトーデス、紅斑症(多形滲出性紅斑、ダリエ遠心性環状紅斑、遠心性丘疹性紅斑)、特発性色素性紫斑(マヨッキー紫斑、シャンバーク病、紫斑性色素性苔癬様皮膚炎)、紅皮症、肉芽腫症(サルコイドーシス、環状肉芽腫)、円形脱毛症、アミロイド苔癬(斑状アミロイドーシスを含む)、肥厚性瘢痕・ケロイド
スチブロン 添付文書
スチブロンの作用機序
スチブロンが湿疹、皮膚炎などの皮膚疾患に対して効果を示すのは、ステロイド成分による抗炎症作用が働くためです。
ステロイドの成分は一般的に抗炎症蛋白のリポコルチンを産生を促進させ、ホスホリパーゼA2を阻害し、結果として抗炎症作用を示すとされています。
スチブロンの効果は88.2〜92.1%の改善度
スチブロンの実際の患者さんに対する効果として、ローション剤における臨床試験の結果が参考となります。
スチブロンローション剤は国内8施設において臨床試験が実施され、72例について効果が判定されてます。最終全般改善度は、改善以上が湿潤型湿疹・皮膚炎では92.1%(35/38)、苔癬型湿疹・皮膚炎では88.2%(30/34)であったとされており1)、実際の患者さんにいても効果があることが確認されています。
1) スチブロン 添付文書
スチブロンの使い方
スチブロンは1日1〜数回患部に塗って使用します。
スチブロンの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常1日1~数回適量を患部に塗布する。
なお、症状により適宜増減する。スチブロン 添付文書
スチブロンの使用部位|顔や唇、陰部などにはあまり使用しない
スチブロンはその作用の強さから比較的皮膚が厚い部分に使用することが多いステロイドであり、顔や唇、陰部などの粘膜は薬の吸収率が高くなるため、スチブロンのような作用の強いステロイドはあまり使用されません。
医師から指示されているケースを除き、自己判断でスチブロンを顔や唇、陰部などのデリケートな部分に使用するのは避けるようにしましょう。
スチブロンの副作用
スチブロンはステロイドの一つであり、副作用が心配という場合もあるかと思いますが、正しい使用法で使用する分にはあまり心配は必要ないと言えます。
副作用の頻度として参考になるものとして、スチブロンローションの臨床試験の結果があり、その結果では解析対象93例中5例(5.4%)に副作用が見られ、その内訳は毛包炎2件(2.2%)、皮膚の乾燥・かさつきが4件(4.3%)であった1)、とされています。
起こりうる副作用は基本的には塗布した部分におけるものがほとんどであり、塗った部位を様子を見ながら使用すれば副作用が問題になるようなことはあまりないと言えるでしょう。
なお、頻度はまれですが、報告されている重大な副作用として目に関わる副作用もあり、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障が報告されています。これらは目の周辺に使用した場合や、特に長期にステロイドを使用している際に可能性があるため、目の周辺や長期で使用しているような場合は念のため、定期的に目にも異常がないか確認するようにしましょう。
その他、ステロイドは免疫を弱めてしまう傾向があるため、皮膚の感染症を起こしてしますリスクが共通してあることも念のため覚えておきましょう。
1) スチブロン 添付文書
スチブロンの授乳中・妊娠中の使用
スチブロンの授乳中・妊娠中の使用についてそれぞれ確認していきます。
スチブロンの授乳中の使用
スチブロンは授乳中の使用については、メーカーから特別な注意喚起はされてなく1)、基本的にはあまり気にせず使用できると言えるでしょう。
実際に授乳中にスチブロンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。スチブロンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) スチブロン 添付文書
スチブロンの妊娠中の使用
スチブロンの妊娠中の使用に関しては、大量又は長期にわたる広範囲の使用は避けるよう注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避けること。[動物実験(ウサギ)で催奇形作用が報告されている。]
スチブロン 添付文書
上記のような注意喚起がされている理由として、動物実験にてにスチブロンの成分を皮下投与した試験で、ウサギの器官形成期投与において口蓋裂等の奇形が観察された報告などが挙げられます2)。ただし、この内容は皮下投与の結果であり、実際の使用法である皮膚に塗布した場合とは異なる可能性が考えられ、また高用量での結果です。
実際には皮膚に塗布する外用剤では影響は大きくないと考えられ、専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでも、スチブロンの成分は大量、長期の使用でなければ使用可能という見解です3)。
局所作用であり、大量、長期でなければ使用可能
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
実際に妊娠中にスチブロンを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。スチブロンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) マイザー軟膏0.05%/*マイザークリーム0.05% インタビューフォーム
3) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
スチブロンの薬価
スチブロンの薬価は、2016年4月の改定時点(2016年4月〜2018年3月まで)で、軟膏、クリーム、ローション共通して1gあたり7.3円とされています。軟膏やクリームでは1本あたり5gであり1本あたり36.5円、ローションでは1本10gあたり73円となります。
この薬価はスチブロンの先発医薬品であるマイザーの1gあたり20.8円よりも安価であり、ジェネリック医薬品であるスチブロンを使用する方が経済的と言えます。
スチブロンの市販・通販での購入
スチブロンなどの処方薬(医療用医薬品)は、処方せん医薬品と、処方せん医薬品以外の医薬品に分類され、スチブロンは処方せん医薬品以外の医薬品となります。
このため、法律上は処方箋がなくても医療用医薬品を扱っている薬局などでスチブロンを購入することが可能となります。
しかし、実際にはスチブロンを売ってもらえるケースは稀であり、その理由として、医療用医薬品は処方せんに基づいて調剤してから患者さんに販売することが原則であるため、薬局には処方せんがない患者さんには販売の応需義務がないからです。
従って、処方せん医薬品以外の医薬品と言えども薬局で処方箋なしで購入するのはあまり現実的とは言えず、基本的には医師に処方してもらった上で入手することになります。
別の手段として、スチブロンを通販などで個人輸入することも法律上は可能です。
厚生労働省のサイトにおいても、一部の医薬品を除き、海外から個人輸入で医薬品を買うことは認められています。スチブロンは個人輸入することが可能な医薬品に該当し、インターネット上でも通販として個人輸入を実施するサイトがあります。
しかし、この方法にはいくつかのリスクがあり、リスクの一つとして、海外の医薬品であるため、品質が粗悪な可能性があります。また、価格についても適正価格でない可能性があるというリスクや万が一重い副作用などが出てしまうケースの場合、国から受けれられる救済が受けられいない可能性があるというリスクもあります。
その他の手段として、スチブロンと同じ成分が含まれる市販薬で代用するという方法も考えられますが、残念ながらスチブロンと同じ成分を含む市販薬は販売されていません。市販で販売されている最も強いステロイドはⅢ群(Strong)に分類されるベタメタゾン吉草酸エステルの成分を含むベトネベートです。Ⅱ群に分類されるスチブロンよりも強さが一段階弱いステロイドです。
以上の点から、スチブロンの最も合理的な入手方法はやはり医師の診察を受けて処方せんを発行してもらうことと言えます。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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