シマロン軟膏のステロイドとしての強さ、ジェネリットと先発、薬価など|虫刺されなどへの効果も

シマロン軟膏の特徴、効果、使い方、副作用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

シマロン軟膏の特徴とステロイドの強さ

シマロン軟膏はステロイドの成分であるフルオシノニドを含んだ外用剤であり、湿疹、皮膚炎など幅広い皮膚疾患に対して効果を有している薬です((シマロンゲル0.05%/シマロンクリーム0.05%/シマロン軟膏0.05% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/480115_2646708M1232_1_03.pdf))。
シマロン軟膏のステロイド外用剤としての強さは上から2番目の強さであるⅡ群(verystrong)に分類され、効果が強い部類に入ります。
ステロイドの外用剤は効果の強さにより、Ⅰ〜Ⅴ群に分類されます。Ⅰ群(Strongest)が最強であり、数が大きくなるにつれ効果が弱くなり、Ⅴ群(Weak)が最も弱い分類となります。
シマロン軟膏はかなり効果が強い部類に入るため、使い方には注意が必要となるものの、高い効果が期待できる外用剤と言えます。
シマロンには軟膏の他にシマロンクリーム、シマロンゲルがあり、患部の状態は好みによって使い分けることがあります。

シマロン軟膏はジェネリック|先発はトプシム軟膏

シマロン軟膏はジェネリック医薬品に分類される薬であり、同じくフルオシノニドの成分を含む先発医薬品として、トプシム軟膏があります。
シマロン軟膏の薬の価格である薬価は、2018年4月改定時点で1gあたり15.3円であり、先発医薬品のトプシム軟膏の22.0円より安価であるため、ジェネリック医薬品のシマロン軟膏の方が経済的と言えます。

シマロン軟膏の効果

シマロン軟膏は湿疹や皮膚炎など幅広い皮膚疾患に対する効能を有する薬です。
シマロン軟膏の効能効果の詳細は以下の通りです。

湿疹・皮膚炎群 (進行性指掌角皮症,女子顔面黒皮症,ビダール苔癬,放射線皮膚炎,日光皮膚炎を含む),痒疹群 (蕁麻疹様苔癬,ストロフルス,固定蕁麻疹を含む),乾癬,掌蹠膿疱症,円形脱毛症 (悪性を含む),尋常性白斑

シマロンゲル0.05%/シマロンクリーム0.05%/
シマロン軟膏0.05% 添付文書

シマロン軟膏の作用機序

シマロン軟膏が湿疹、皮膚炎などの皮膚疾患に対して効果を示すのは、ステロイド成分による抗炎症作用が働くためです。
ステロイドの成分は一般的に抗炎症蛋白のリポコルチンを産生を促進させ、ホスホリパーゼA2を阻害し、結果として抗炎症作用を示すとされています。

シマロン軟膏の実際の効果

シマロン軟膏の実際の患者さんに対する効果の参考になるものとして、同じフルオシノニドの成分を含むトプシムの臨床試験の結果が参考となります。
湿疹・皮膚炎群、痒疹群、乾癬、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、尋常性白斑を対象とした臨床試験において、トプシム軟膏0.05%は有効率81.4%、トプシムクリーム0.05%は有効率80.1%であったとされています((トプシムクリーム0.05%/トプシム軟膏0.05% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400315_2646708M1216_1_05.pdf))。

シマロン軟膏はヘルペスや水虫には基本的に使用しない

シマロン軟膏に含まれる成分はステロイドであり、ウイルスの感染に対しては基本的に効果は期待できません。
ヘルペスなどもウイルスが原因の感染症であり、シマロン軟膏には適さない皮膚疾患です。医師から特別に指示された場合を除き、自己判断で使用することはやめましょう。
その他、皮膚の疾患の代表的なものにかゆみを伴う水虫がありますが、基本的にシマロン軟膏の成分は水虫の原因には効果がありません。ステロイドによって免疫が低下して逆に悪化するような可能性もあり、シマロン軟膏は積極的に水虫に使用する薬でありません。シマロン軟膏を自己判断で水虫に使用するのは避けましょう。

シマロン軟膏はニキビには基本的に使用しない

シマロン軟膏の効能効果としてニキビは含まれず、基本的には使用しません。炎症を鎮める意味では効果があるケースも考えられますが、ステロイド外用剤には一般的に痤瘡様疹(ニキビのような状態)の副作用の可能性が知られており、ニキビが悪化してしまうケースもあります。従って自己判断でニキビに使用するのは避けましょう。

シマロン軟膏の虫刺されの使用は

シマロン軟膏の効能効果として、虫刺されは明記されていませんが、実際には効果がみられるケースもあり、医師からの指示であれば使用して問題ないでしょう。同じステロイドの強さであるマイザー軟膏などは効能効果として虫刺されも認められています((マイザー軟膏0.05%/*マイザークリーム0.05% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400315_2646725M1201_1_03.pdf))。ただし、自己判断で虫刺されにシマロン軟膏を使用するのは避けるようにしましょう。

シマロン軟膏の使い方

シマロン軟膏は1日1〜3回患部に塗って使用します。
シマロン軟膏の用法用量の詳細は以下の通りです。

1日1~3回、適量を患部に塗布する。

シマロンゲル0.05%/シマロンクリーム0.05%/シマロン軟膏0.05% 添付文書

シマロン軟膏の顔や陰部への使用

シマロン軟膏は比較的皮膚が厚い部分(腕、脚、背中など)に使用することが多いステロイドであり、顔や陰部などの粘膜は薬の吸収率が高くなるため、シマロン軟膏のような作用の強いステロイドはあまり使用されません。
医師から指示されているケースを除き、自己判断でシマロン軟膏を顔や陰部などのデリケートな部分に使用するのは避けるようにしましょう。

シマロン軟膏の副作用

シマロン軟膏はステロイドの一つであり、副作用が心配という人もいるかと思いますが、正しい使用法で使用する分にはあまり心配は必要ないと言えます。
副作用の頻度として参考になるものとしてシマロン軟膏と同じ成分を含む先発医薬品のトプシムの副作用頻度が挙げられます。
トプシムクリームを例に挙げると、皮膚刺激感1.19%、皮膚乾燥0.56%、発赤・腫脹・皮膚炎0.43%などとされています((トプシムクリーム0.05%/トプシム軟膏0.05% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400315_2646708M1216_1_05.pdf))。
起こりうる副作用は基本的には塗布した部分におけるものがほとんどであり、塗った部位を様子を見ながら使用すれば副作用が問題になるようなことはあまりないと言えるでしょう。
なお、頻度はまれですが、報告されている重大な副作用として目に関わる副作用もあり、眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障が報告されています。これらは目の周辺に使用した場合や、特に長期にステロイドを使用している際に可能性があるため、目の周辺や長期で使用しているような場合は念のため、定期的に目にも異常がないか確認するようにしましょう。
その他、ステロイドは免疫を弱めてしまう傾向があるため、皮膚の感染症を起こしてしまうリスクが共通してあることも念のため覚えておきましょう。

シマロン軟膏の薬価

シマロン軟膏の薬価は、2018年4月の改定時点で、1gあたり15.3円とされています。
なおシマロン軟膏の先発医薬品であるトプシム軟膏は1gあたり22.0円であるため、ジェネリック医薬品であるシマロン軟膏の方が経済的と言えます。

シマロン軟膏の市販での購入

シマロン軟膏は前述の通り、効果がかなり強いステロイドであり、市販で販売されている薬には含まれていない成分となります。基本的にシマロン軟膏、もしくはシマロン軟膏と同じ成分の代替薬を市販で買うことはできません。
市販で販売されている薬の中で最も効果の強いステロイド外用剤は、シマロン軟膏のⅡ群よりも一段階弱いⅢ群(strong)に分類されるベタメタゾン吉草酸エステルを成分として含んだ薬となります。
ベタメタゾン吉草酸エステルを含む市販薬としてベトネベートクリームSベトネベートN軟膏ASがあり、ベトネベートクリームSはステロイドの成分のみ、ベトネベートN軟膏ASはステロイドの他に抗菌薬が含まれているため、患部が化膿しているような場合に適している薬です。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
 

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