メトレートの効き目や副作用、飲み忘れた時の対処、葉酸やステロイドの併用、薬価などについて添付文書などから解説していきます。
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メトレートのリウマチなどに対する効き目
メトレートはリウマチに対して高い効き目を示します。
メトレートは葉酸という免疫細胞のDNA合成に必要な物質の活性化を阻害することで免疫の異常の一つであるリウマチに対して効き目をもたらします。
メトレートの効き目は通常は1〜2ヶ月程度使用することで現れますが、早い場合は2週間程度で効果を実感できる場合もあるようです。いずれにしても飲み続けることで効果を発揮する薬なので、正しい用法で継続して使用することが大切です。
メトレートは使用した6割〜8割程度の人に効き目があるとの報告があります。メトレートの成分であるメトトレキサートの臨床試験では関節リウマチの患者さんに対して、60.4%で中等度〜著明な改善、軽度の改善も含めると84.9%の人で効き目が見られた結果となっています1)。この結果はリウマチ薬の中ではかなり高い効き目を示す結果であり、メトレートなどのメトトレキサート製剤は関節リウマチに対して使われる薬の中でも最も使われている薬と言えます。
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メトレートの副作用と葉酸の併用
メトトレキサートはその作用メカニズムよりいくつか特徴的な副作用があります。
比較的よく見られるものとしては、吐き気や口内炎、倦怠感(だるいと感じる)、脱毛、ALT(GPT)・AST(GOT)等の肝機能検査値の上昇などです。これらの症状は軽度でしたらメトレートを継続して使用することもできますが、必ず医師に上記のような副作用と思われる症状が出た旨を伝えるようにしましょう。
その他にも注意が必要な副作用として間質性肺炎や感染症などがあります。
間質性肺炎は肺の間質と言われる部分に炎症が起き、時に命に関わる疾患です。多くのリウマチ薬で起きる可能性のある副作用であり、関節リウマチの患者さんではしばしば問題になることがあります。頻度は決して高い副作用ではありませんが、間質性肺炎の副作用が出てしまった場合には迅速な処置が必要となるため、咳や息切れ、呼吸がしにくいなどの症状が現れた場合は注意が必要です。
感染症も注意が必要な副作用です。メトレートは免疫を抑制する作用がある薬のため、通常の人では問題にならないような病原体でも、リウマチの治療をしている人は感染してして病気を患ってしまうケースがあります。肺炎や敗血症などは重大な副作用と言えますので、発熱や倦怠感(だるさ)を感じる時は感染症の副作用であるケースも疑うことが重要です。
葉酸は副作用を予防したり治療の効果がある
メトレートは前述のとおり、葉酸の活性を阻害することによりリウマチなどに効果を示す反面、この作用によって起きる副作用も多くあるとされています。したがって、メトレートを使用する際にはフォリアミンなどの葉酸製剤も使用する患者さんが多くいます。
ただし、この葉酸は摂取するタイミングや量を間違えるとメトレートの効果に影響を及ぼす(効果を弱める)ことがあるため、正しい使い方をする必要があります。通常はメトレートを最後に使用した翌日もしくは翌々日に使用することが一般的です。
なお、近年は葉酸のサプリメントも数多く発売されており、これらのサプリメントもフォリアミンなどの葉酸製剤に近い効果がある場合があります。メトレートを使用している場合には葉酸のサプリメントは基本的には避ける方が良いと言えるでしょう。継続したい場合は医師に相談の上、使用するようにしましょう。
また、葉酸が含まれている食べ物に関しては、過剰に摂取することを除けばそこまで注意する必要はないとされています。アスパラガス、ほうれん草、ブロッコリー、枝豆などの野菜やレバーなどに多くの葉酸が含まれていますが、あまり気にせず摂取して良いと言えるでしょう。
メトレートの使い方と飲み忘れたときの対処法
メトレートの用法用量は以下の通りです。
関節リウマチ
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして6mgとし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。
なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減するが、1週間単位の投与量として16mgを超えないようにする。
関節症状を伴う若年性特発性関節炎
通常、1週間単位の投与量をメトトレキサートとして4~10mg/m2とし、1週間単位の投与量を1回又は2~3回に分割して経口投与する。分割して投与する場合、初日から2日目にかけて12時間間隔で投与する。1回又は2回分割投与の場合は残りの6日間、3回分割投与の場合は残りの5日間は休薬する。これを1週間ごとに繰り返す。
なお、患者の年齢、症状、忍容性及び本剤に対する反応等に応じて適宜増減する。メトレート錠2mg 添付文書
上記の通り、メトレートは通常、1週間に1日もしくは2日間のみ使用し、その以降の6日間もしくは5日間は薬を飲みません。1週間で使用する回数は1〜3回となり、いずれも12時間間隔で使用するため、3回使用する場合のみ、2日間に渡って使用することになります。
このようにメトレートは特徴的な使い方をする薬であり、飲み忘れなどを防ぐためにもカレンダーなどを用いて薬を飲む日を確認しておくのが良いと言えるでしょう。
メトレートを飲み忘れてしまった場合は
メトレートを飲み忘れてしまった場合、2回分を一度に使用するのは絶対にやめましょう。1回の摂取量が増えると意図しない副作用などが現れる可能性が高くなります。
対処法は基本的は主治医の先生に連絡を取り、指示を仰ぐことになりますが、翌週から適切な量を使用するケースが一般的と言えます。リウマチの治療は長期戦となることが多いため、正しい使用方法で継続することが重要です。
メトレートとステロイド
メトレートはDMARDsと言われる抗リウマチ薬のグループに属しており、ステロイドではありません。
ステロイドは強い抗炎症作用があり、関節リウマチの関節破壊を抑える作用が期待できます。
代表的な薬にプレドニンなどがあります。
ステロイドは副作用も多いため、近年は可能な場合は減量したり中止をする傾向がありますが、それでもその高い効果から使用するケースは少なくありません。
メトレートはステロイドとは作用が異なるため、両薬剤を併用することでリウマチに対してより高い効果を期待することもでき、メトレートとプレドニンを併用しているというケースもよくみられます。
医師の適切な診察のもとに、メトレートの他にステロイドも処方された場合は、両薬剤を併用して使用するようにしましょう。
メトレートの薬価
メトレートの薬価は1錠あたり166.6円です。
1週間で使用する量は3錠〜8錠が一般的ですので、1ヶ月では12錠〜32錠、薬価に直すと約2000円〜5300円程度になります。実際には端数の計算のルールがあったり、クリニック、薬局で別途料金がかかりますが、薬だけの値段で考えると上記のような金額が目安になります。
メトレートとリウマトレックスの違い
メトレートと同様に関節リウマチの治療で使用されるメトトレキサートを成分とする薬でリウマトレックスがあります。メトレートとリウマトレックスは錠剤とカプセル剤という点を除くとほとんど同じ薬であり、効き目などに差はあまりないと考えられます。また、先発医薬品(先に発売された医薬品)とジェネリック医薬品という分け方をすると、リウマトレックスが先発医薬品、メトレートがジェネリック医薬品となります。ジェネリック医薬品の方が通常は安く購入でき、リウマトレックスの薬価は258.9円に対して、メトレートは166.6円となっており、メトレートの方が安価で手に入ります。
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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