マクサルトについてその種類やrpd錠の特徴、片頭痛に対する効果と使用するタイミング、副作用、通販や市販での購入、薬価とジェネリック医薬品の有無、イミグランとの違いや併用について添付文書などから解説します。
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マクサルトの種類とRPD錠の特徴
マクサルトは成分としてリザトリプタンを含む片頭痛の治療薬です。通常の錠剤であるマクサルト錠10mgと水なしで服用できる口腔内崩壊錠のマクサルトRPD錠10mg(Rapid Dissolutionの略)が販売されています。
マクサルトのRPD錠は口に入れると瞬時に崩壊する特徴を持っており、水なしでも使用することができます(水で飲んでも問題ありません。)。マクサルトは片頭痛の痛みが始まる前に飲んでも効果が薄く、痛みが始まってから30分以内に服薬すると最も効果が高いと言われいるため、水がすぐに飲めない状況でも使用出来るRPD錠は非常に使い易い薬であると言えます。水で飲まない時は唾液で飲むようにしましょう。また、RPD錠はその性質から錠剤が砕けたり割れたりしやすくなっていますが、効果には影響がないため、そのまま飲んで問題ありません。
マクサルトの効果と使用するタイミング
マクサルトは片頭痛に対して効果がある薬です。その作用機序は脳におけるセロトニン受容体の刺激です。片頭痛の原因は脳におけるセロトニンの異常放出による血管収縮後のセロトニン枯渇による血管拡張とされていますが、マクサルトはセロトニンを作動させる働きをすることによって拡張した血管を収縮させるものとされています。
マクサルトの使い方は頭痛発現時に1錠使用します。効果が不十分な場合(十分に効かない場合)はもう1錠追加で使用出来るとされていますが、その場合は1錠目を飲んでから2時間以上あける必要があります。1日で最大で使用出来る使用量は20mgであるため、最大でも1日2錠までとなります。なお、予防で使用しても効果はないとされているため、必ず片頭痛の発作が出てから飲むようにしましょう。
通常、成人にはリザトリプタンとして1回10mgを片頭痛の頭痛発現時に経口投与する。
なお、効果が不十分な場合には、追加投与することができるが、前回の投与から2時間以上あけること。
ただし、1日の総投与量を20mg以内とする。マクサルト錠10mg/マクサルトRPD錠10mg 添付文書
マクサルトは使用するタイミングが非常に重要と言えます。前述の通り、頭痛が出る前に服用しても効果はなく、また、片頭痛の症状が出てから30分以内に服薬すると最も効果が高いとされているため、使用するのが遅すぎても効果が薄れてしまいます。頭痛が軽度のうちにマクサルトを使用した場合、2時間後には70%の患者さんで頭痛が消失したという結果も得られていますので1)、薬をより効果的に使用するために、頭痛が出て早いタイミングで使用するにしましょう。
1) Ninan T. M. et al.:Headache, 44 669 (2004)
マクサルトの副作用
マクサルトの主な副作用は傾眠(眠気)、倦怠感(だるい感じ)、 めまい、口渇 (口の渇き)、脱力 、悪心(吐き気)、感覚減退などとされています。
特に眠気に関しては、頻度として7.7%とされており、製薬会社からは車の運転などはしないように注意喚起されていますので、気をつけるようにしましょう。
片頭痛あるいは本剤投与により眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械操作に従事させないよう十分注意すること。
マクサルト錠10mg/マクサルトRPD錠10mg 添付文書
マクサルトの通販や市販での購入
マクサルトの成分であるリザトリプタンは市販されておらず、市販薬としては買うことはできません。また、処方箋医薬品という分類になり、必ず医師の処方箋が必要となる薬のため、調剤薬局などで特別に販売してもらうこともできません。
ロキソニンSやタイレノールといった市販の痛み止めに含まれている成分とマクサルトとは、作用機序が全く異なるため、これらの市販薬を使用してもあまり片頭痛にはあまり効かない場合があります。
マクサルトを通販(個人輸入)で購入する方法もありますが、この手段は品質の保証が不明確、重い副作用が出たときの国からの救済が受けられない可能性、価格が不当に高い可能性などのリスクがあり、推奨はできません。
やはり医師の診察に基づき、処方箋を発行してもらうことが安全で確実な方法といえるでしょう。
マクサルトの薬価とジェネリックの有無
マクサルトの薬価はマクサルト錠10mgが1錠945.5円、マクサルトRPD錠10mgが1錠945.1円となっています。
仮に10錠処方してもらうと薬の価格だけで3割負担で2800円程度となり、薬局ではこのほかに調剤料や管理料が多少かかります。
マクサルトには現在はジェネリック医薬品は販売されておらず、リザトリプタンの成分を含んでいる薬はマクサルトのみとなります。
マクサルトとイミグランの違いや併用
マクサルトはトリプタン系という片頭痛治療薬のグループに分類されます。同じトリプタン系の代表的な薬としてイミグランがありますが、基本的には同じ効果が期待出来る薬です。マクサルトとイミグランの違いをあえて挙げると、①効果時間の違い、②1日に使用出来る錠数の違い、③販売されている剤型の違い、④薬価の違いなどがあります。
①の効果時間はマクサルトの方がより早く効いて効果時間も短いことが予想されます。その理由は薬の半減期(薬の濃度が半分になるまでの時間)がマクサルトの方が速いためです。ただし、その違いはあまり大きいものではないため、多少マクサルトの方が速く効くことが期待出来る程度となります。
②1日に使用出来る錠数はマクサルトが最大2錠であるのに対し、イミグランは1日最大4錠まで使用出来るため、イミグランの方が調節して使用できる幅が広いと言えます。
③はマクサルトは錠剤とRPD錠、イミグランは錠剤、点鼻薬、注射、自己注射があり、それぞれ特性があるため、患者さんごとに向いている剤型によって使い分けることができます。
④薬価はマクサルト(10mg錠が945.5円)よりもイミグラン(50mg錠が763.9円)の方が安く、また、イミグランにはジェネリック医薬品があり、もっとも安価なもので329.8円のスマトリプタン錠50mgが販売されており、より経済的な面を重視する場合はイミグランないしはそのジェネリック医薬品が選択肢になりうると言えます。
なお、マクサルトとイミグランの併用は禁止されています。同じ作用により効果が増強され、血圧上昇や血管の過度な収縮により脳に血液が流れにくくなる可能性があるからです。ひとつのトリプタン系の片頭痛薬を使用していた場合、別のトリプタン系薬剤を使う場合は24時間以上空けて使用することになっていますので注意しましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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