市販で買える睡眠薬・睡眠導入剤は催眠鎮静薬といった分類をされており、医師からの処方箋でもらえる睡眠薬・睡眠導入剤とは作用の仕方が異なります。今回は市販の睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)について、種類ごとにその特徴や作用の仕方を確認していきたいと思います。
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市販で買える睡眠薬・睡眠導入剤はジフェンヒドラミン製剤が主流
現在、市販で買える睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)の主流はジフェンヒドラミンという成分が含まれているものとなります。
ジフェンヒドラミンはアレルギーや鼻炎などで使用される抗ヒスタイン薬と言われる成分の一つであり、その副作用である眠気に着目して、睡眠改善薬として使用されるようになった成分です。
したがって、医療用医薬品で使用されている睡眠薬・睡眠導入剤とは作用が異なっており、不眠症の適応はなく、あくまで一時的な不眠の改善に用います。しかし、だからと言って効果が一概に弱いということではなく、個人差はありますが、人によってはかなり高い効果があります。
現在ではこのジフェンヒドラミンが含まれている市販薬が数種類販売されていますので、代表的なものを紹介していきます。
臨床試験の実績があるドリエル
市販の睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)で最も有名なものの一つがドリエルです。ドリエルの効能効果は「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い、眠りが浅い」であり、用法用量は「寝つきが悪い時や眠りが浅い時、次の1回量(15歳以上で2錠)を1日1回就寝前に水又はぬるま湯で服用してください。」です。
ドリエルで眠くなる仕組みは、ジフェンヒドラミン塩酸塩がヒスタミンの働きを抑えることによるものです。ヒスタミンは脳において神経細胞を興奮させ覚醒を維持する作用があり、ドリエルの成分であるジフェンヒドラミン塩酸塩はヒスタミンの働きを抑え、覚醒が抑えられ、結果として眠くなる作用がもたらされます。
ドリエルはその効果を確認する臨床試験の実績があります。睡眠障害を訴える173人の患者に対してドリエルを就寝30分前に使用するという臨床試験の内容で、その結果は、医師の評価で睡眠改善効果が82.1%というものでした。8割以上の患者で効果が見られたということになり、非常に高い効果が期待できます。また、ドリエルを使用した患者本人による印象についても、79.2%の人が効果を実感したという結果であり、その効果も自覚しやすいものとなっているようです。
また、副作用についても臨床試験で確認されており、副作用ありが4.6%という結果でした。副作用の内訳は眠気(2例)、悪心(1例)、頭痛(1例)、多夢(2例)、心高部痛(1例)、夢・気分不快(1例)、起床時の頭重感(1例)という内容でした。
このようにドリエルは実際の患者さん使用した高い実績もあり一時的な不眠に対して十分な効果を期待することができます。
ドリエルの効果が出るまでの時間はおよそ30〜60分とされており、寝る30分までに服用するようにしましょう。
早い効果が予想されるアンミナイト
ドリエルと同じくジフェンヒドラミン塩酸塩が成分のアンミナイトですが、ドリエルと異なりドリンクタイプという特徴があります。ドリンクタイプの薬は液体であるため、一般的に吸収が早いとされています。アンミナイトに関しても、ドリエルよりも早く効果が出ることが期待できます。
効能効果と用法用量はドリエルと同じであり、それぞれ「一時的な不眠の次の症状の緩和:寝つきが悪い,眠りが浅い」、「寝つきが悪い時や眠りが浅い時,次の量(15歳以上で1瓶)を1日1回就寝前に服用する。」となります。
他の催眠鎮静成分を含むウット
ジフェンヒドラミン塩酸塩に加えて他の催眠鎮静成分を含む睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)として、ウットがあります。ウットはドリエルなどと比較するとジフェンヒドラミン塩酸塩の量が半分となりますが、他にブロムワレリル尿素とアリルイソプロピルアセチル尿素という成分を含みます。
ブロムワレリル尿素は体内で遊離したブロムが大脳皮質などを抑制することにより催眠鎮静作用を発現します。一般に20〜30分で効果を発揮し始めます。依存性の可能性もあるため気をつける必要があります。
アリルイソプロピルアセチル尿素は脳の興奮を抑える鎮静成分であり、鎮痛剤の作用を増強する目的でも使われます。
ウットはこれらの3つの成分を含むことにより、催眠鎮静効果をもたらし、成分が複数含まれるため、ドリエルなどでもあまり効果が見られなかった場合でも、ウットでは効果がある場合もあります。
しかし、ドリエルよりも依存性などの懸念があるため、用法用量を厳守するようにしましょう。
なお、ウットの効能効果は「頭痛、精神興奮、神経衰弱、その他鎮静を必要とする諸症」となっています。
漢方薬や生薬配合製品も不眠に効果的
漢方薬や生薬なども従来より不眠に対して用いられてきた薬のひとつです。効果が比較的穏やかなものが多いため、ドリエルなどの睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)に対して抵抗がある場合や、高齢の方はまずは漢方薬や生薬を試してみるのもいいかもしれません。
今回は代表的な漢方薬、生薬の睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)を3種類紹介していきます。
酸棗仁湯を含む漢方ナイトミン
酸棗仁湯は心身がつかれ弱って眠れないものに効果がある漢方薬であり、代表的な市販薬に漢方ナイトミンがあります。
漢方ナイトミンの効能・効果は「体力中等度以下で、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの次の諸症:不眠症、神経症」となっており、仕事や家庭のストレスなどで心身が疲れている方に適した薬という特徴となっています。
抑肝散のアロパノール
抑肝散は神経がたかぶった状態の不眠症などに適応があり、代表的な製品にアロパノールがあります。
アロパノールの効能効果は「体力中等度をめやすとして、神経がたかぶり、怒りやすい、イライラなどがあるものの次の諸症:神経症、不眠症、小児夜泣き、小児疳症(神経過敏)、歯ぎしり、更年期障害、血の道症」であり、「朝起きても疲れがとれない」、「ぐっすり眠った感じがしない」という不眠症状に向いています。
4種の生薬を含むノイ・ホスロール
「体力中等度以下で、のぼせや動悸があり神経がたかぶるものの次の諸症:動悸、精神不安」という効能を持っているノイ・ホスロールは不安感、イライラ感、驚きやすいといった不快な自覚症状を改善し、正常な状態に戻したい時におすすめの市販薬となります。成分はブクリョウ、ケイヒ、タイソウ、カンゾウという4つの生薬であり、2歳未満でも服用できるという特徴があります。
夜泣きなどで子供が寝てくれない時に使えるものも
市販の睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)には、子供の夜泣きなどで使える成分の薬もあります。上記で紹介したノイ・ホスロールの他、宇津救命丸などが該当します。宇津救命丸について詳細を紹介したいと思います。
子供の夜泣き、かんむしなどに使える宇津救命丸
宇津救命丸の効能は「小児の疳、かんむし、夜泣き、ひきつけ、下痢、消化不良、食欲不振、胃腸虚弱、乳はき」となります。宇津救命丸は8種類の生薬を含んでおり、配合生薬の作用により、乳幼児特有の「疳」といわれている症状に効果を発揮します。3ヶ月から15歳未満で使用でき、年齢に応じて用量が異なります。
なお、ひきつけ、下痢、消化不良、乳はきに関しては5~6回の服用、小児の疳、かんむし、夜泣き、食欲不振、胃腸虚弱に関しては1ヶ月間服用しても症状がよくならない場合は医師や薬剤師などに相談が必要となるため、ご注意ください。
終わりに
今回は市販の睡眠薬・睡眠導入剤(催眠鎮静薬)について、確認してきました。市販薬で対処できるものは一時的な不眠症状ですが、自分の症状をしっかり見極めて、適した成分を使用することにより、市販薬でも十分な効果が期待できます。正しい用法用量で快適な睡眠を得るようにしましょう。
薬を使用する際には必ず添付文書を確認し、決められた用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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