メイアクトの小児の使用|下痢や眠気の副作用、使用する量、味の特徴、咳や鼻水への効果の有無など

メイアクトの特徴、小児の使用、錠剤の使用、年齢別の量、小児での副作用などについて添付文書等から解説していきます。

メイアクトMSの特徴と小児の使用

メイアクトMSはセフジトレンを成分とする抗生物質であり、中耳炎や副鼻腔炎、膀胱炎、風邪が悪化した際の咽頭・喉頭炎などに使用される薬剤です((メイアクトMS錠100mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/780009_6132015F1037_1_08.pdf))。
メイアクトの特徴は溶連菌や肺炎球菌などを含む幅広い菌に効果が期待でき、小児に対しても使用できる安全面などが挙げられます。
メイアクトには錠剤のメイアクトMS錠100mg、主に子供で使用されるメイアクトMS小児用細粒10%の種類があります。

メイアクトMSの小児への適応、効果|溶連菌などへの使用も

メイアクトは小児にも使用される薬です。ただし、メイアクトの錠剤は15歳未満の小児に対する具体的な用量は設定されていません。
小児の場合はメイアクト細粒を使用するケースが多いと言えます。
メイアクトの適応は菌種として溶連菌を含むレンサ球菌属や肺炎球菌、インフルエンザ菌など幅広く、疾患としては中耳炎や副鼻腔炎、膀胱炎、風邪が悪化した際の咽頭・喉頭炎など様々です。小児と15歳以上の成人とでは適応症が少し異なり、胆嚢炎、胆管炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、歯冠周囲炎などは15歳以上の成人のみ、逆に猩紅熱、百日咳は15歳未満の小児のみの適応となります。
メイアクト、メイアクト細粒の効能効果の詳細は以下の通りです。

<適応菌種>
セフジトレンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、アクネ菌
<適応症>
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

メイアクトMS錠100mg 添付文書

小児
<適応菌種>
セフジトレンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、百日咳菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、アクネ菌
<適応症>
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、顎炎、猩紅熱、百日咳

メイアクトMS小児用細粒10% 添付文書

メイアクトMSは咳や鼻水を抑える薬ではない

メイアクトは抗生物質であり、その効果は菌が増えるのを防ぐ作用です。急性疾患に伴う咳や鼻水、熱などに対して直接鎮める作用はありません。症状に対しては咳に対しては鎮咳薬、鼻水に対しては抗アレルギー薬、熱や痛みに対しては解熱鎮痛薬が併用されることがあります。
ただし、メイアクトは疾患を引き起こす原因である菌に対して作用する原因療法であるため、効果が得られた場合は、副次的にそれらに伴う症状(咳、鼻水、熱、痛みなど)を改善していくため、間接的にこれらの症状に効果があるとも言えます。

メイアクトMSの小児の用量|年齢別の使用量、錠剤の使用は

メイアクトは錠剤はメイアクトMS錠100mg、粉薬のメイアクトMS小児用細粒10%があります。それぞれの用量を確認していきます。

メイアクトMS錠剤の小児の用量

メイアクトの錠剤は前述の通り、小児に対する具体的な用法用量は設定されていませんが実際には錠剤が使用されるケースもあります。
メイアクト細粒の用量を参考にすると、体重kgあたり3mgを1回量として使用するため、33kg以上であれば1回量はほぼ100mgとなり、成人の用量と変わらなくなります。このような場合は錠剤を使用しても安全性はあまり問題ないと言えるでしょう。

メイアクトMS細粒の小児の用量

メイアクト細粒は体重別に用量が設定されています。
通常は体重kgあたり1回3mgを使用します。メイアクト細粒は1gあたり100mgの成分を含むため、10kgであれば1回0.3g、20kgであれば0.6g、30kgであれば0.9gを通常使用します。なお、症状に応じて最大で体重kgあたり1回6mgの倍量まで増量するケースがあります。

通常、小児にはセフジトレン ピボキシルとして1回3mg(力価)/kgを1日3回食後に経口投与する。
なお、必要に応じて1回6mg(力価)/kgまで投与できるが、成人での上限用量の1回200mg(力価)1日3回(1日600mg(力価))を超えないこととする。

メイアクトMS小児用細粒10% 添付文書

メイアクトMS細粒の新生児の使用

メイアクト細粒は安全性が高い薬のひとつですが、新生児に対しては安全性は確立されていないとされています。
実際には使用される可能性はありますが自己判断で使用するようなことは避けましょう。

小児等への投与
低出生体重児、新生児に対する安全性は確立していない。

メイアクトMS小児用細粒10% 添付文書

メイアクトMS細粒の小児の飲ませ方|味はバナナ味|飲み物、食べ物に混ぜるのは

メイアクト細粒はバナナの味がついており、小児でも比較的飲みやすい味となりますが、もともとは苦みがある成分のため、飲ませ方にも注意しましょう。
一般的な飲ませ方として、小児が好きな飲み物や食べ物に混ぜて飲ませる飲ませ方があります。メイアクトは粉のまま飲むよりも、水などに混ぜたほうが甘みが増し、苦味が感じにくくなるとされており((メイアクトMS小児用細粒10%のじょうずな飲ませ方))、水などに混ぜる飲み方が勧められます。
水に混ぜる場合は小さなカップに少量の水を入れ(20cc前後)、一回分の薬を加えてよくかき混ぜた後、そのまま、またはスプーンをすくって飲ませます。
その他、アイスクリーム、牛乳、ヨーグルトなどの乳製品や、オレンジジュース、番茶、麦茶、烏龍茶、緑茶、紅茶などのお茶類に混ぜても問題ありません。
なお、いずれのケースもに混ぜたあと、苦味が出てくるようなことがあるので時間をおかずに飲むようにし、混ぜた薬を保存しておくようなことは避けましょう。

メイアクトMSを小児に使用する場合の時間、間隔は

メイアクトの一般的な用法は1日3回食後に使用となりますが、小児の場合は食事が不規則であったり、決まった時間に服用できないこともあります。その場合、4時間程度の間隔を設ければ比較的安全に使用できると言えるでしょう。
なお、メイアクトは食事の影響を受け、食後のほうが血中の濃度が高くなるとされています。す((メイアクトMS インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/780009_6132015C1103_1_01A_1F))。したがってメイアクトを服用する際は少量でも何か摂取してから服用するのが良いでしょう。

メイアクトMSの小児の副作用|下痢の症状、眠気の有無など

メイアクトの小児における副作用に関して、メイアクト旧細粒剤の市販後の使用成績調査における結果が参考となります。
メイアクト旧細粒剤を使用した5,821例(15歳以上を38例含む)のうち、副作用の発現率は2.34%とされています。
最も注意するべき副作用は下痢、軟便などの消化管障害であり、頻度として2. 08%であったとされています。
メイアクトで下痢が出てしまう理由は、メイアクトの成分であるセフジトレンが体内の細菌に対して殺菌的な効果を発揮する際、腸内の環境を整えている細菌に対しても影響を及ぼしてしまうことがあるためです。従って、メイアクトの投与により下痢が起こることはやむを得ない面もあり、基本的にはメイアクトの使用を止めればほとんどのケースで回復するため、大きな心配は要りません。
ただし、あまりに症状がひどい下痢が続く場合は医師に相談し、服薬を継続するか判断を仰ぎましょう。また、日常的に腸が虚弱な体質の方などでは医師に相談するとビオフェルミンRなどの整腸剤を予め処方してもらえるケースもありますので、必要に応じて相談しましょう。
なお、特に3歳未満において高用量の1回6mgで使用した場合に下痢・軟便の発言頻度が高くなることが注意喚起されていますメイアクトMS小児用細粒10% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/780009_6132015C1103_1_08.pdf。3歳未満の小児に使用する場合は特に下痢に注意して様子を見るようにしましょう。
その他、眠気の副作用に関しては、使用成績調査の中では認めれず、添付文書上でも副作用として注意喚起はありません。メイアクトは小児において眠気の副作用はまずないと言えるでしょう。
その他、注意が必要な副作用として、低カルニチン血症に伴う低血糖が挙げられます。
低カルニチン血症はメイアクトを含む、ピボキシル基を有する抗生物質を乳児に投与した症例に対して、投与期間が短い症例においても低カルニチン血症に伴う低血糖の報告が集積されており、比較的近年、注意喚起されている副作用です。
メイアクトを含めたピボキシル基を有する抗菌薬は、消化管吸収を促進する目的で、活性成分本体にピバリン酸がエステル結合されています。これらの薬は吸収後、代謝を受けてピバリン酸と活性本体になり、ピバリン酸はカルニチン抱合をうけピバロイルカルニチンとなり、尿中へ排泄されます。この結果、血清カルニチンが低下することが知られています。カルニチンは、ミトコンドリア内での脂肪酸β酸化に必須な因子です。空腹、飢餓状態では通常、脂肪酸β酸化によって必要なエネルギーを確保し、糖新生を行います。しかし、カルニチン欠乏状態だと脂肪酸β酸化ができず、糖新生が行えないため、低血糖を来たします((PMDAからの医薬品適正使用のお願い 2012年4月))。
また、重要な基本的注意として、血清カルニチンが低下する先天性代謝異常であることが判明した場合には投与しないよう注意喚起されています((メイアクトMS小児用細粒10% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/780009_6132015C1103_1_08.pdf))。
低血糖の症状であるふるえや痙攣、意識障害などの症状が見られた場合はすぐに医師の診察を受けるようにしましょう。
 
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました