ロペミンの効果や副作用|効かない場合の確認点、即効性、過敏性腸症候群の使用など

ロペミンカプセルの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

ロペミンカプセルの特徴

ロペミンカプセルはロペラミドを成分として含み、下痢に対して効果がある薬です((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書))。
ロペミンカプセルの特徴は、急性及び慢性の下痢症のいずれも改善し、下痢の主要な原因である「腸管粘膜での水分の吸収・分泌異常」と「腸管の運動異常」の両面を是正し、すぐれた止瀉作用を有する点です((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% インタビューフォーム))。
比較的多くの疾患に伴う下痢に使用され、下痢型の過敏性腸症候群などにも使用されるケースがあります。ただし、感染症の下痢に対しては治療期間を延長する可能性があるため、基本的は使用しません。また、出血性大腸炎の患者対しては禁忌(使用できない)とされています。
ロペミンにはカプセルの他、大人でも使用される粉薬のロペミン細粒0.1%、主に子供で使用されるロペミン小児用細粒0.05%の種類があります。
今回は主にロペミンカプセルについて確認していきます。

ロペミンカプセルの効果

ロペミンカプセルは様々な疾患に伴う下痢に対して使用されます。
ロペミンカプセルの効能効果は以下の通りとなります。


【効能・効果】
下痢症

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書


ロペミンカプセルは下痢型の過敏性腸症候群に対しても|感染症では使用しない

ロペミンカプセルは様々な疾患の下痢に対して使用され、近年では下痢型の過敏性腸症候群に対しても使用され、効果が認められている薬です((Pocket Drugs 2017, 医学書院))。
ただし、感染症に伴う下痢に対しては原則禁忌とされており、基本的に使用されません。この理由は下痢を止めることによって感染源である菌などを体内に止めてしまう可能性があるためです。
また、特にO157等による出血性大腸炎にの患者には禁忌となっており、使用してはいけない扱いとなっています。


禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.出血性大腸炎の患者[腸管出血性大腸菌(O157等)や赤痢菌等の重篤な感染性下痢患者では、症状の悪化、治療期間の延長を来すおそれがある。]
 
原則禁忌(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
1.感染性下痢患者[治療期間の延長を来すおそれがある。]

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書


ロペミンの作用機序

ロペミンの主な作用機序は下痢の主要な原因である「腸管粘膜での水分の吸収・分泌異常」と「腸管の運動異常」の両面の是正によるものです((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% インタビューフォーム))。
下痢は腸管において水分が過剰になっていたり、腸管の運動が活発すぎることが原因の一つとなっており、ロペミンはこれらの要因を抑えることにより下痢を改善します。

ロペミンの効果時間|適度な即効性の薬

ロペミンは適度な即効性と持続性が期待できる薬です。
ロペミンの効果時間は動物実験の結果が参考となります。
マウス小腸輸送能に及ぼすロペラミドの影響をみた動物実験ではロペラミド塩酸塩経口投与後30,60,120,240および360分に餌(charcoal meal)を与えて、その移行率を測定しており、ロペラミド使用後30分より、各種薬剤濃度で移行の変化(移行が遅くなる)が認められています((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% インタビューフォーム))。
また、ラットにおけるヒマシ油誘発下痢に対する止瀉作用をみた動物実験では、ヒマシ油投与 1 時間後における下痢を阻止するロペラミド塩酸塩のED50値は0.082mg/kg、8 時間後まで下痢発現を阻止するED50値は3.54mg/kg であり、この止瀉活性は塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、硫酸アトロピンより高かったとさています((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% インタビューフォーム))。
上記の結果からもロペミンは適度な即効性と持続性を持っている薬と考えられます。

ロペミンの実際の患者に対する効果

ロペミンの実際の原理の患者さんに対する効果は、臨床試験の結果が参考となります。
二重盲検比較試験を含む総計1,288例について実施された臨床試験の成績は、下痢に対する改善率が76%(984/1,288)であったとされており、下痢の経過分類では、急性の場合の改善率は89%(440/492)、慢性は68%(501/733)であったとされています((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書))。

ロペミンカプセルの使い方

ロペミンカプセルは通常1回に1カプセルを1日に1〜2回や症状に合わせて1カプセルを頓服で使用するのが一般的な使い方です。
ロペミンカプセルの用法用量の詳細は以下の通りです。


ロペラミド塩酸塩として、通常、成人に1日1~2mgを1~2回に分割経口投与する。
なお、症状により適宜増減する。

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書


ロペミンカプセルが効かない場合は

ロペミンカプセルが効かない場合はまずは正しい用法用量で使用できているか確認しましょう。ロペミンカプセルは最大で1回2カプセル使用されるケースもある薬であり、1回の使用量が2カプセルの場合で1カプセルしか使用してない時は効果が弱いために効かない可能性があります。
また、用法用量以外では、同じ下痢止めのケイ酸アルミニウム(製品名:アドソルビンなど)やタンニン酸アルブミン(製品名:タンナルビンなど)などと併用することにより、ロペミンが吸着され効果が落ちるケースもあります。
上記のような注意点に該当せずロペミンが効かないという場合は、症状に対して薬があっていない可能性も考えられるため、再度医師の診察を受けるようにしましょう。

ロペミンカプセルの副作用

ロペミンカプセルの主な副作用は、発疹(0.11%)、腹部膨満(0.32%)、腹部不
快感(0.06%)、悪心(0.02%)、腹痛(0.05%)等とされています((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書))。
また、下痢を止める薬であるため、効果が強く出すぎて便秘になる副作用の報告もあります。
上記のような副作用が見られた場合に様子をみて症状が強い場合にはロペミンカプセルの使用を中止し、医師の処置を受けるようにしましょう。

ロペミンカプセルの飲み合わせ

ロペミンカプセルには併用禁忌でないものの、飲み合わせに注意が必要なものがいくつかあります((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書))。
ロペミンカプセルとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
ケイ酸アルミニウム
タンニン酸アルブミン
アドソルビン、タンナルビン
リトナビル
キニジン
ノービア、キニジン
イトラコナゾール イトリゾール
デスモプレシン(経口) ミニリンメルト

このうち特に同じ下痢止めであるアドソルビンやタンナルビンは一緒に使用されるケースもあり、ロペミンカプセルの効果が弱まる可能性が懸念されます。対処法としてそれぞれの薬の服用時間をずらすことある程度影響を少なくすることができるため、服用時間の調節をするようにしましょう。

ロペミンカプセルの授乳中の使用

ロペミンカプセルは、授乳中に使用する場合、授乳を避けることが推奨されています。


授乳中の婦人には本剤投与中の授乳は避けさせること。[ヒトで母乳中に移行することが報告されている。]

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書


上記のような注意喚起がされている理由として、人の乳汁中にロペミンの成分が移行することが確認されているためです。
ただし、専門家による見解の中には問題なく使用出来るというものもあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、母乳中への移行量は少ないため、授乳婦にも使用可能という内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、移行量は少ないが、処方は最小限に止めるという内容であり、「限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる / 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない」という見解です((大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。


経口吸収率が悪いので、母乳中への移行は少なく、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)



移行量は少ない。哺乳児への影響は知られていないため処方は最小限に努める必要あり。

母乳とくすりハンドブック


実際に授乳中にロペミンカプセルを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ロペミンカプセルに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ロペミンカプセルの妊娠中の使用

ロペミンカプセルの妊娠中の使用に関しては、使用しないことが推奨されています。


妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% 添付文書


ただし、動物における生殖発生毒性試験では妊娠中における明確なリスクは認められておらず((ロペミンカプセル1mg/ ロペミン細粒0.1% インタビューフォーム))、特別な危険性があるわけではありません。
実際に妊娠中にロペミンカプセルを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ロペミンカプセルに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ロペミンカプセルの薬価、ジェネリック

ロペミンカプセルの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1カプセルあたり47.5円となっています。
ロペミンカプセルにはジェネリック医薬品が販売されており、カグダリンカプセル、ロペカルドカプセル、ロペナカプセル、ロペラミド塩酸塩カプセルなどの名称で販売されています。
ロペミンカプセルのジェネリック医薬品の薬価はいずれも1カプセルあたり8.5円となっており、ロペミンカプセルよりもかなり安価な薬価が設定されています。

ロペミンカプセルの市販での購入

ロペミンカプセルの成分であるロペラミドは市販薬でも販売されている成分であり、市販でも買うことができます。
ロペミンの成分を含む代表的な市販薬はトメダインコーワ錠、ピタリット、ロペラマックサットなどがあり、いずれも1錠中にロペラミドの成分を0.5mg含みます。処方薬のロペミンカプセルではロペラミドを1mg含むため、市販の薬では1回の成分量が半分となる点にご注意ください。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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