ボルタレンSRカプセル37.5mgについて、その特徴やロキソニンとの違い、腰痛などへの効果、頭痛、歯痛、生理痛などへの使用、用法用量、飲み合わせ、副作用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
ボルタレンSRの特徴
ボルタレンSRカプセル37.5mgはジクロフェナクの成分を含み腰痛や肩こりなどに効果が認められています((ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/480127_1147002N1174_1_08.pdf))。
ボルタレンSRの特徴は徐放性製剤であるため、1日2回の使用で長時間安定した血中濃度が得られ、作用が持続する点が挙げられます((ボルタレン SRカプセル37.5mg インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/480127_1147002N1174_1_001_1F))。
ボルタレンSRとロキソニンの違い
ボルタレンSRカプセル37.5mgと同じ痛み止めの飲み薬の代表的な製品としてロキソニンがあります。
ボルタレンSRとロキソニンとの違いは作用時間、作用の強さ、胃への負担などがあります。
ボルタレンSRは作用時間が持続するのが特徴であり、即効性という点ではロキソニンの方が優れています。作用の強さは一般的にボルタレンの成分の方が強力と言われているため高い効果が期待できますが、胃の負担もロキソニンより大きいとされており、胃痛などの副作用には注意が必要です。
ボルタレンSRの効果
ボルタレンSRカプセル37.5mgは腰痛症や肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)、関節リウマチ、変形性関節症(ひざ関節症など)といった疾患に対して効果がある薬です。
ボルタレンSRの効能効果の詳細は以下の通りです。
下記の疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書
ボルタレンSRの実際の患者さんへの効果
ボルタレンSRカプセル37.5mgの腰痛や肩こりに対する効果に関して、実際の患者さんにおいて臨床効果判定が行われた結果があります。代表的な疾患に対する改善度として、軽度改善以上では腰痛では89.4%、肩こり(頸肩腕症候群)では83.0%という結果です。
ボルタレンSRの疾患別の全般改善度は以下の通りです((ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/480127_1147002N1174_1_08.pdf))。
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症例数 中等度
改善以上軽度
改善以上関節リウマチ 277 91
(32.9)167
(60.3)変形性関節症 161 116
(72.0)144
(89.4)腰痛症 130 104
(80.0)120
(92.3)肩関節周囲炎 113 66
(58.4)94
(83.2)頸肩腕症候群 100 63
(63.0)83
(83.0)数字は累積例数、( )内は累積パーセント
ボルタレンSRの頭痛、歯痛、生理痛などのへの効果は
ボルタレンSRの効能効果に関して、頭痛、歯痛、生理痛などのは厳密には適応の範囲外となります。
ボルタレンSRの作用機序はシクロオキシゲナーゼ(COX)の阻害によるプロスタグランジンの生成抑制です。この作用機序からすると実際には頭痛、歯痛、生理痛などへの痛みにも効果が見られることが予想され、実際にボルタレンの普通錠では歯痛、生理痛などの月経困難症、急性上気道炎の頭痛などの痛みに対しても効能効果として認められています((ボルタレン錠25mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/300242_1147002F1560_1_09.pdf))。
ただし、ボルタレンSRは長時間作用させることを目的にしており、頭痛、歯痛、生理痛などの急性の痛みに対してというよりは慢性的な痛みに対して向いている薬と言えます。
医師からの指示がある場合をのぞき、ボルタレンSRを頭痛、歯痛、生理痛などの痛みに対して自己判断で使用するのは避けましょう。
ボルタレンSRの使い方
ボルタレンSRカプセル37.5mgは1回1カプセルを、1日2回食後に使用するのが一般的な使い方です。
ボルタレンSRの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、成人にはジクロフェナクナトリウムとして1回37.5mgを1日2回食後に経口投与する。
ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書
ボルタレンSRの飲み合わせ|ロキソニンの併用は?
ボルタレンSRカプセル37.5mgと他の薬との飲み合わせの注意点として、絶対に併用できない薬(併用禁忌薬)、併用に注意を要する薬(併用注意薬)があります((ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/480127_1147002N1174_1_08.pdf))。
併用禁忌として注意喚起されている薬はむくみや高血圧で使われる利尿剤のひとつであるトリアムテレンの成分を含む薬(代表製品:トリテレン・カプセル50mg)です。トリアムテレンと併用禁忌とされる理由として、急性腎不全があらわれることがあるためとされており、併用するのは避けましょう。
併用注意として注意喚起されてる薬は数種類あり、以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤等 |
CYP2C9を阻害する薬剤 (ボリコナゾール等) |
ブイフェンド |
ニューキノロン系抗菌剤 (エノキサシン等) |
クラビット |
リチウム 強心配糖体 (ジゴキシン等) メトトレキサート |
リーマス、ラニラピッド、リウマトレックス |
アスピリン | |
非ステロイド性消炎鎮痛剤 | ロキソニン、セレコックス |
副腎皮質ステロイド剤 (プレドニゾロン等) |
プレドニン |
降圧剤 (β-遮断剤、ACE阻害剤 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤 等) |
レニベース、ブロプレス |
利尿剤 (ヒドロクロロチアジド、フロセミド等) |
ラシックス、 |
カリウム保持性利尿剤 (スピロノラクトン、 カンレノ酸) 抗アルドステロン剤 (エプレレノン) |
アルダクトン、セララ |
抗凝血剤及び抗血小板薬 (ワルファリン、レビパリン、クロピドグレル、エノキサパリン等) |
ワーファリン、プラビックス |
シクロスポリン | ネオーラル |
ドロスピレノン・エチニルエストラジオール | プロセキソール |
コレスチラミン | クエストラン |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) (フルボキサミン、パロキセチン) |
ジェイゾロフト、デプロメール |
これらのうち特に他の非ステロイド性消炎鎮痛剤については、ロキソニンやセレコックスなどがありますが、併用してもその作用機序からは相乗的な効果の上乗せは考えにくく、胃への負担が大きくなるため、自己判断では併用しないようにしましょう。
降圧剤や抗凝血剤及び抗血小板薬、精神科・神経内科領域の薬などは実際には併用されるケースも多く、処方医が併用を認識している上での処方であれば併用しても問題ないと考えられますが、こちらも自己判断での併用は避けるようにしましょう。
ボルタレンSRの副作用
ボルタレンSRカプセル37.5mgの副作用として特に注意が必要なのは胃痛などの消化器症状と言えます。
ボルタレンSRの副作用頻度の参考となるものとして、臨床試験時の結果があり、1,121例中、113例(10.08%)に副作用が認められたとされています。症状としては胃痛、胃部不快感、腹痛等の消化器症状80例(7.14%)、浮腫等の一般的全身症状14例(1.25%)、そう痒感、発疹等の皮膚症状6例(0.54%)、頭痛、眠気等の精神神経系症状5例(0.45%)となっており((ボルタレン SRカプセル37.5mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/480127_1147002N1174_1_08.pdf))、その頻度からも胃痛などの消化器症状に注意が必要なことが窺えます。
消化器症状の副作用の対策として、必ず食後に使用する、多めの水で使用するなどのほか、胃が弱い場合などはあらかじめ医師と相談し、胃の粘膜を保護する薬、胃酸を抑える薬も一緒に処方してもらうという方法もあります。
薬の副作用の定番のひとつである眠気についても報告されていますが、前述の通り頻度は高くなく、眠気に関して特別な注意はあまり必要ないと言えます。
ボルタレンSRの薬価・ジェネリック
ボルタレンSRカプセル37.5mgの2018年4月改定時点の薬価は1カプセルあたり16.5円となっています。この薬価は痛み止めの代表製品であるロキソニン錠60mgの14.5円と比較すると少し高い薬価となりますが、ボルタレンSRは1日2回の使用で効果が持続するため、実際には大きな価格差とは言えません。
ボルタレンSRにはジェネリック医薬品が販売されており、サビスミンSRカプセル37.5mg、ジクロフェナクNa徐放カプセル37.5mg「トーワ」、ジクロフェナクナトリウムSRカプセル37.5mg「オーハラ」などがあり、薬価は6.6円となり、ボルタレンSRよりも経済的と言えます。
なお、同じ成分を同じ量含むナボールSRカプセル37.5はジェネリックではなく、ボルタレンSRと同じ先発医薬品であり、薬価も同じ16.5円となります。
ボルタレンSRの市販での購入
ボルタレンSRカプセル37.5mgは処方薬のみであり、基本的に市販で買うことはできません。また、ボルタレンSRの成分であるジクロフェナクを含む市販薬は湿布やテープ剤などの外用薬としては販売されていますが、飲み薬としては販売されていません。
ボルタレンSRを市販薬で代用する場合、比較的作用が近いものはロキソプロフェンの成分を含むロキソニンSやイブプロフェンの成分を含むイブシリーズとなりますが、厳密には異なる薬剤であるため、同じ薬を使用したい場合は必ず医師の診察を受け処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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