ミオリラークの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から確認していきます。
Contents
ミオリラークの特徴
ミオリラーク錠はエペリゾンを成分として含む筋緊張改善剤であり、肩こりや腰痛などに効果がある薬です1)。
ミオリラーク錠は脊髄において単及び多シナプス反射を抑制するとともに、c-運動ニューロンの自発発射を減少させ、筋紡錘の感度を低下させることで、骨格筋弛緩作用も発揮し、脊髄レベルにおける鎮痛作用も有します2)。
また、多面的に骨格筋での悪循環を断ち、肩こり・頸部痛、頭痛、腰痛、手足のつっぱり・こわばりなどの筋緊張症候を改善するという特徴もあります3)。
1) ミオリラーク錠50mg 添付文書
2) ミオリラーク錠50mg インタビューフォーム
3) ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% インタビューフォーム
ミオリラークはミオナールのジェネリック医薬品
ミオリラーク錠はジェネリック医薬品に分類される薬であり、同じエペリゾンの成分を含む先発医薬品として、ミオナール錠があります。
ミオリラークはミオナールよりも薬価が低く設定されているため、より経済的と言えます。
ミオリラークとデパス
ミオリラークと同様に筋緊張に使われる薬としてデパスもありますが、ミオリラークとデパスは作用の仕方が少し異なります。
ミオリラークは脊髄からのシグナルを抑制することで筋緊張を和らげますが、デパスはGABA受容体への作用を介し抗不安、鎮静効果の他、筋緊張緩解作用も発揮します。
ミオリラークとデパスは作用機序が異なるため、併用されるケースもありますが、デパス自体は向精神薬に分類され取り扱いに注意が必要な薬であるため、自己判断での併用はさけるようにしましょう。
ミオリラークの効果
ミオリラーク錠は頸肩腕症候群(肩こり)、肩関節周囲炎(五十肩)、腰痛症の他、痙性麻痺にも効果がある薬です。
ミオリラーク錠の効能効果の詳細は以下の通りです。
下記疾患による筋緊張状態の改善
頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症
下記疾患による痙性麻痺
脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、筋萎縮性側索硬化症、脳性小児麻痺、脊髄小脳変性症、脊髄血管障害、スモン(SMON)、その他の脳脊髄疾患ミオリラーク錠50mg 添付文書
ミオリラークの作用機序
ミオリラーク錠の作用機序は脊髄における筋緊張シグナルの抑制による筋緊張の緩和です。
筋肉の緊張は脳から脊髄を経由し各組織にシグナルが伝わりますが、ミオリラークは主に脊髄レベルで作用し、筋肉の緊張を抑制し、肩こり、五十肩、腰痛などに効果を示します。また、血管にも作用し血管拡張、血流増加の作用も認められています。
ミオリラークの効果時間
ミオリラークは効果発現時間(作用発現時間)が15分、効果持続時間(作用持続時間)が5〜7時間とされています2)。
比較的早く効果が発揮され、1日3回の使用で効果がほぼ1日中持続すると考えられます。
2) ミオリラーク錠50mg インタビューフォーム
ミオリラークの実際の患者に対する効果
ミオリラークの実際の患者さんに対する効果として、同じエペリゾンの成分を含む先発医薬品のミオナールの臨床試験結果が参考となります。
ミオナールは頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腰痛症の肩こり、腰痛などの症状に対しては、52.1%(やや改善以上を含めると80.4%)の有効率が確認されています。また、痙性麻痺に関しては、脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症等に対して有用性が認められており、つっぱり、こわばりに対する改善率はそれぞれ42.3%、45.1%であった、とされています4)。
4) ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% 添付文書
ミオリラークの使い方
ミオリラーク錠は1回1錠を1日3回、食後に使用するのが一般的な使い方です。
ミオリラーク錠の用法用量の詳細は以下の通りです。
通常成人には1日量として3錠を3回に分けて食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
ミオリラーク錠50mg 添付文書
ミオリラークの副作用|頭痛や眠気の報告も
ミオリラークの副作用頻度としては、同じエペリゾンの成分を含むミオナールの結果が参考となります。
ミオナールは全体で3.38%の副作用頻度とされており、0.1%以上の頻度とされているものが、悪心・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹痛、下痢、便秘、口渇などの消化器症状、脱力感、ふらつき、全身倦怠感の全身症状、発疹などの過敏症、眠気、不眠、頭痛、四肢のしびれの精神神経症状、その他、ほてりがあります4)。
頭痛に関しては、抑制の効果が期待できる一方、副作用としても報告があり、ミオリラークの使用が適している頭痛がどうかは医師による慎重な判断が必要と言えます。
また、薬の副作用の定番と言える眠気に関しては、ミオリラークでも報告があり、その頻度はミオナールの累計で0.19%(傾眠)とされています3)。眠気の副作用は高頻度とは言えないものの、ミオリラークは緊張を緩和する薬であり、重要な基本的注意としても注意喚起されており、使用中は十分に注意が必要となります。
重要な基本的注意
本剤投与中に脱力感、ふらつき、眠気等が発現することがあるので、その場合には減量又は休薬すること。なお、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること。ミオリラーク錠50mg 添付文書
3) ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% インタビューフォーム
4) ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% 添付文書
ミオリラークの飲み合わせ
ミオリラーク錠は飲み合わせに注意が必要な薬としてメトカルバモールの成分を含む薬が挙げられています1)。
メトカルバモールを含む薬には、ミオリラーク錠と同じく肩こり、腰痛などに使用されるロバキシン顆粒があります。注意喚起されている理由としては、メトカルバモールの類似薬であるトルペリゾン塩酸塩で、眼の調節障害があらわれたとの報告があるためです。
併用が禁止されているわけではありませんが、同時に使用する場合には十分に注意が必要となります。
メトカルバモール以外では飲み合わせに注意喚起されている薬はなく、鎮痛薬のロキソニンなどとも作用機序が異なるため、併用できる組み合わせとなります。
1) ミオリラーク錠50mg 添付文書
ミオリラークとアルコールの飲み合わせ
ミオリラークとアルコールの飲み合わせは特別な注意喚起はなく、併用自体は大きな問題はないと言えますが、一般的に薬を使用している期間は、アルコールによる影響が全くないとは言い切れない面もあり、アルコールが薬にではなく、疾患に影響する可能性も否定できません。
ミオリラークに限らず、可能であれば薬を使用中の期間はアルコールを極力控えるようにした方が賢明と言えるでしょう。あらかじめお酒の席が予定されているような場合は、処方医の先生に事前に相談し、対応方法などを話し合っておくのも良いでしょう。
ミオリラークの授乳中の使用
ミオリラーク錠は授乳中に使用する場合は基本的に授乳を中止するよう注意喚起されています。
授乳中の婦人に投与することは避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合には、授乳を避けさせること。
〔動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。〕ミオリラーク錠50mg 添付文書
上記の注意喚起がされいる理由として、動物実験においてミオリラークの成分が乳汁中へ移行することが確認されているためです2)。
実際に授乳中にミオリラークを使用するかは処方医の先生の判断が必要です。ミオリラークに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
2) ミオリラーク錠50mg インタビューフォーム
ミオリラークの妊娠中の使用
ミオリラーク錠の妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。〕ミオリラーク錠50mg 添付文書
上記の注意喚起がされている理由として、妊娠中における使用の安全性が明確に確認されていない点が挙げられます。
なお、動物実験では、生殖発生毒性試験の周産期・授乳期投与試験において新生児に軽度の発育遅延を認めた以外には特別なリスクは確認されていません3)。
実際に妊娠中にミオリラークを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。ミオリラークに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
3) ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% インタビューフォーム
ミオリラークの薬価
ミオリラーク錠の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1錠あたり5.6円とされています。
ミオリラーク錠の先発医薬品であるミオナール錠は1錠あたり17.1円とされており、ジェネリック医薬品であるミオリラークを使用するほうがより経済的と言えるでしょう。
ミオリラークの市販での購入
ミオリラーク錠の成分を含む薬は市販では購入することができません。また、ミオリラーク錠と比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
ミオリラーク錠は中枢神経にも作用する薬であり、必ず医師の適切な診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
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