カロナール200について、頭痛や歯痛などに対する効果や使用する錠数、子供の体重別の乗数、副作用、インフルエンザでの使用、カロナール300との違いなどについて確認していきます。
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カロナール200の効果|頭痛、歯痛、生理痛など
カロナール200は解熱鎮痛成分の一つであるアセトアミノフェンを1錠中に200mg含有する薬です。ロキソニンなどのいわゆるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)とは異なる分類をされる成分であり、胃腸障害などの副作用が少ない成分であるのが特徴です。
カロナール200は頭痛、歯痛、生理痛(月経痛)などの痛みや風邪などの急性上気道炎における解熱・鎮痛、小児における解熱・鎮痛などに効果が認められています。
カロナール200の効能効果の詳細は以下のとおりです。
1.下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛,耳痛,症候性神経痛,腰痛症,筋肉痛,打撲痛,捻挫痛,月経痛,分娩後痛,がんによる疼痛,歯痛,歯科治療後の疼痛,変形性関節症
2.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
3.小児科領域における解熱・鎮痛カロナール200 添付文書
カロナール200の有効率は59.4〜90.6%
カロナール200の頭痛、歯痛、生理痛、解熱などに対する効果は、臨床試験の結果が参考となり、59.4%〜90.6%の有効率が確認されています1)。
感冒(風邪)による発熱及び頭痛、耳痛、咽頭痛等を有する患者さんへの有効率は、解熱が71.4%、鎮痛が70.6%という結果でした。
一方、歯科領域においては歯痛、抜歯後疼痛における患者さんに対して、「有効」以上では59.4%という結果であったものの、「やや有効」も含めると90.6%という結果であり、9割以上の患者さんで多少たりとも効果が確認できたという結果になっています。
カロナールの効果の強さは、一般的にロキソニンなどの解熱鎮痛剤よりは弱いと言われていますが、上記のように一定の効果は期待でき、また、非常に安全面で優れている薬とされていますので、大人からお年寄りと子供でも頭痛や解熱目的で使い易い薬の一つとなっています。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナール200の効果発現時間は30分前後、持続は2〜6時間程度
カロナール200は使用してからおそよ30分程度の時間で効果が出始め、2〜6時間程度の効果の持続があるとされています。
こちらも臨床試験の結果から確認されており、効果が出るまでの時間は15分後では37.5%、30分後では68.8%、60分後には87.5%の患者さんで効果が確認されたという結果になっています1)。
効果持続時間は痛みの再発時間から推測されており、その結果が2〜6時間持続とされています1)。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
カロナール200の効果の強さとロキソニンとの比較
カロナールと同じ解熱鎮痛剤の代表的な製品にロキソニンがあります。ロキソニンは効果が出るまでの時間も早く、安全面も比較的高いため、解熱鎮痛剤の中で最も使用されている薬の一つです。
カロナール200とロキソニンでは使う量にもよりますが、ロキソニンの方が効果が強いという認識が一般的です。
いわゆる親知らずを抜歯した後の歯痛に対してカロナール200の成分であるアセトアミノフェンとロキソニンの成分であるロキソプロフェンを比較した結果では、やはりロキソプロフェンのほうが効果が強いという結果が出ています2)。
しかし、この結果ではロキソニンの方が効果が強いものの、カロナールでもかなりの鎮痛効果が出ている結果となり、カロナール200でも使用して30〜60分でロキソニンに匹敵するほどのかなりの効果が得られることが確認できています。
※VAS値:Visual Analog Scaleの略で、患者さんが痛みの程度を指し示し、計測する方法です。痛みの指標としてよく使われています。値が低いほど痛みがない状態です。
2) 日本歯科評論. 72(7);149-152,2012
カロナール200は大人では1回に2錠から5錠を使う
カロナール200は頭痛や歯痛、生理痛などの痛み止めや解熱剤として使用する際は何錠使用するのが適切かという点も確認していきます。
カロナール200は頭痛や生理痛には2〜5錠、解熱では2錠
カロナール200の用法用量を確認すると、頭痛や生理痛などに対しては1回300~1000mg、解熱目的は1回300~500mgとされています。
1.下記の疾患並びに症状の鎮痛
頭痛,耳痛,症候性神経痛,腰痛症,筋肉痛,打撲痛,捻挫痛,月経痛,分娩後痛,がんによる疼痛,歯痛,歯科治療後の疼痛,変形性関節症
通常,成人にはアセトアミノフェンとして,1回300~1000mgを経口投与し,投与間隔は4~6時間以上とする。なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日総量として4000mgを限度とする。また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい。
2.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
通常,成人にはアセトアミノフェンとして,1回300~500mgを頓用する。なお,年齢,症状により適宜増減する。ただし,原則として1日2回までとし,1日最大1500mgを限度とする。また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい。カロナール200 添付文書
カロナール200は1錠中にアセトアミノフェンの成分が200mg含まれていますので、頭痛や歯痛、生理痛などに対しては1回で2錠〜5錠、解熱目的では1回2錠となります。
大人の錠数 (1回) |
頭痛や生理痛 などの痛み |
解熱目的 での使用 |
カロナール200 | 2〜5錠 | 2錠 |
上記は添付文書に記載されている用量であり、実際には自己判断で使用するのではなく、指示された量を使用するようにしましょう。
カロナール200の子供の使用量を体重別に確認
続いてカロナールのこどもでの体重別の使用量も確認していきたいと思います。
こどもの場合の用法用量は、体重1kgあたり1回10~15mgとされています。
3.小児科領域における解熱・鎮痛
通常,幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして,体重1kgあたり1回10~15mgを経口投与し,投与間隔は4~6時間以上とする。なお,年齢,症状により適宜増減するが,1日総量として60mg/kgを限度とする。ただし,成人の用量を超えない。また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい。カロナール200 添付文書
この用量をカロナール200に当てはめるとなると、20kgの場合は1〜1.5錠、30kgの場合は1.5〜2錠となります。
子供の錠数 | 小児領域の解熱・鎮痛 |
10kg | 0.5錠 |
20kg | 1〜1.5錠 |
30kg | 1.5〜2錠 |
実際には小さい子供では、同じカロナールでも粉薬であるカロナール細粒などが使われるのが現実的です。
上記の通り、子供の場合は体重によって使用する錠数変わってきます。使用する場合には注意しましょう。また、こちらも自己判断で用量を決めるのではなく、指示された用量を守って使用しましょう。
カロナール200の副作用
カロナール200は安全性の高い薬であり、副作用の心配はあまり要りません。
報告されている一般的な副作用は、吐き気、食欲がなくなるなどの消化器症状や、過敏症(アレルギー)などがあり、以下の内容が注意喚起されています1)。
血液 | チアノーゼ、血小板減少、血小板機能低下(出血時間の延長等) |
消化器 | 悪心・嘔吐、食欲不振等 |
その他 | 過敏症 |
なお、カロナールは副作用の頻度が明確になるような調査を実施していないため、いずれの副作用も頻度は不明とされています。
そのほかの副作用として、一般的な解熱鎮痛剤ではよく見られる副作用として胃痛や胃が荒れるといったものがありますが、カロナールでは添付文書におていは注意喚起されてなく、ほとんど見られません。
また、カロナール200を使用して下痢や頭痛が出た場合は今まで報告されていない未知の副作用である可能性も否定できませんが、どちらかと言えば疾患による症状が出た可能性の方が高いと考えられます。薬の副作用の定番である眠気に関してもカロナールには基本的に起こらないと言えます。
カロナール200の重大な副作用
前述の一般的な副作用のほか、カロナール200でも重大な副作用がいくつか報告されており、ごく稀に起こる可能性があります。
1. ショック、アナフィラキシー
2. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症
3. 喘息発作の誘発
4. 劇症肝炎、肝機能障害、黄疸
5. 顆粒球減少症
6. 間質性肺炎
7. 間質性腎炎、急性腎不全カロナール 添付文書
重大な副作用の中でも特に気をつけたいものとして、カロナールを大量に使用し続けると肝臓の障害が起きる可能性があることがわかっています。痛みが続くからといって、カロナールを指示された以上の量を使用することは絶対にやめましょう。
また、カロナールに限らず、市販薬でカロナールと同じ成分のアセトアミノフェンを使用している場合や、処方薬のカロナール以外のアセトアミノフェン製剤であるコカールやアンヒバなどを使用している場合は、意図せずアセトアミノフェンを過剰に摂取してしまう可能性もあるため、自分がどのような成分の薬を使用しているか確認しておくと安心と言えるでしょう。
カロナール200とインフルエンザ
カロナール200はインフルエンザの時も解熱目的や頭痛などの痛みに対して使用することができます。
インフルエンザ時の解熱鎮痛薬の使用に関してはインフルエンザ脳症やライ症候群などでリスクが指摘されており、特に小児に関しては解熱鎮痛剤の使用に注意が必要です。
解熱鎮痛薬の中でもジクロフェナクやメフェナム酸はインフルエンザ脳症での使用にて死亡率を上昇させたという報告があります3)。
インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用
全症 例数 |
死亡 者数 |
死亡率 | |
解熱剤を使用せず | 63 | 16 | 25.4 |
アセトアミノフェン (カロナール) |
78 | 23 | 29.5 |
ジクロフェナク | 25 | 13 | 52.0 |
メフェナム酸 | 9 | 6 | 66.7 |
その他の解熱剤 | 22 | 5 | 22.7 |
この結果を受けて、日本小児科学会も以下のような見解を示しており、インフルエンザの時に使用する解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンを含むカロナールなどが推奨されます。
一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。
平成12年11月12日 日本小児科学会理事会
3) 平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」
カロナール200の授乳中も使用可能!妊娠中は少し注意
カロナール200の授乳中と妊娠中の使用についても確認していきましょう。
カロナールの授乳中の使用
授乳中についてはカロナール200は比較的安全に使用できると言えます。
製薬会社からも授乳への影響に関しては特別な注意喚起はありません1)。
また、専門家による見解でも問題ないという見解がいくつかあります4)、5)。
授乳婦に使用可能と考えられる。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
母乳中への移行は極少量で、母乳育児に適している。
母乳とくすりハンドブック
カロナール200の成分であるアセトアミノフェンは、幼い子供でも使用されるような安全な成分ですので、仮に母乳経由で子供が飲んでしまったとしても大きな影響はないと考えられます。
もし医師が授乳中を承知の上でカロナール200を処方した場合は、基本的には問題ないと判断しての処方と考えられますので、指示された通りに使用しても問題ないでしょう。
1) カロナール錠200/カロナール錠300/カロナール錠500 添付文書
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
5) 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)
カロナールの妊娠中の使用
妊娠中のカロナール200の使用に関しては少し注意が必要と言えます。
特に妊娠後期は動物実験では悪影響も確認されていますので、あまり積極的に使用することは推奨されていません。
製薬会社からの添付文書では以下のとおり注意喚起されています。
1.妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
2.妊娠後期の婦人への投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
3.妊娠後期のラットに投与した実験で,弱い胎仔の動脈管収縮が報告されている。カロナール 添付文書
一方で、授乳中の使用に関しても参照した、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは通常量の短期使用では安全という見解もあります。
アセトアミフェンは、胎盤を通過するが、通常量の短期使用では安全であることが知られている。長期の大量服用では、母体の肝障害・腎障害、新生児の腎障害の報告がある。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
短期的には実際に使用されるケースもありますので、こちらも処方医の先生が妊娠中であることと妊娠週数を知った上で処方した場合は、指示通り使用して問題ないと言えるでしょう。
4) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
カロナール200が効かないと思ったら
カロナール200が効かないと思った場合は、まずは正しい用法用量で使用出来るかを確認しましょう。カロナール200の場合は、1回で最大5錠使用出来るケースがあります。指示された量と違った量を使用していないか確認しましょう。
また、効果を実感するまでに時間がかかっている可能性もあります。前述の通り、カロナールの効果は早ければ30分程度で感じることができますが、場合によっては1時間程度はかかる可能性もあるため、少し時間を見てみましょう。
正しい用法用量で使用しており、ある程度の時間が経ってもカロナールが効かないと感じる場合は、痛みに対して薬が合っていない可能性も否定できませんので、様子を見て処方医の先生に再度相談することも検討しましょう。
カロナール200と300との違いは?中身は同じ成分
カロナール200と300との違いについても確認していきたいと思います。
その違いは1錠に含まれている成分量です。名前の通り、カロナール200には成分のアセトアミノフェンが200mg、300には300mg含まれているということになります。
1錠あたりの成分量が違うため、カロナール200と300では1回に使用する錠数も変わってきます。
カロナール300では頭痛や生理痛などに対しては1回で1錠〜3錠、解熱目的では1回1錠となります。
また、こどもの体重別では、カロナール300は10kgの場合は使用不可、20kgと30kgの場合はいずれも1錠となります。
このようにカロナール200と300では含まれる成分量に違いがあるため、1回に何錠使用できるかという点も違ってきます。
おわりに
今回は頭痛や生理痛、風邪などの解熱目的でも使われるカロナール200について確認してきました。
カロナールは比較的効果もしっかり出る割に安全性も高い非常に使い易い薬です。使い方をしっかり確認して効果を最大限に、副作用を最小限にするようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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