アンヒバ坐剤50、100、200の効果や座薬としての特徴、効果時間、体重や年齢別の使い方、使用間隔、期限、副作用、薬価、ジェネリック、ダイアップとの併用、ナウゼリンとの併用、カロナールとの違い、市販での購入などについて添付文書などから確認していきます。
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アンヒバの効果と特徴
アンヒバ坐剤小児用はアセトアミノフェンを成分とする子供用の座薬です。解熱や痛み止めの目的で座薬の中でも最も使われている解熱剤の一つです。
アンヒバは0歳の赤ちゃんでも使用されることがあるくらい安全性が高い点が特徴の一つであり、その効能効果は「小児科領域における解熱・鎮痛」と薬の添付文書に明記されています。
また、インフルエンザでも比較的安全に使用できる解熱剤であり、日本小児科学会からもインフルエンザに伴う発熱に使用する薬としてアセトアミノフェンが推奨されています。
実際のアンヒバの効果の高さは以下の表の通りであり((アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg/ アンヒバ坐剤小児用200mg 添付文書))、感冒や上気道炎などのいわゆる風邪に対しては8割以上の効果があると考えられます。
疾患名 | 有効率(%) |
感冒 | 84.3 |
上気道炎 | 84.8 |
アンギーナ | 74.3 |
咽頭炎 | 86.2 |
扁桃腺炎 | 83.5 |
耳下腺炎,リンパ腺炎 | 66.7 |
肺炎 | 74.8 |
気管支炎,喘息様気管支炎 | 86.3 |
麻疹,発疹症 | 75.0 |
水痘症 | 89.5 |
髄膜炎・脳膜炎 | 80.0 |
熱性けいれん | 80.8 |
胃・腸炎・消化不良 | 79.3 |
川崎病 | 66.7 |
その他 | 80.3 |
合計 | 81.1 |
アンヒバの効果時間
アンヒバは発熱に対して使用してから30分程度で熱が下がり始め、1〜2間後に効果のピークを迎えるとされています。
また、その効果の持続時間は4時間とされています((アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg/ アンヒバ坐剤小児用200mg 添付文書))。
上記の内容からアンヒバは比較的早期に効果を発揮し始め、最低限の必要な投与間隔である4時間程度は効果が持続すると言えます。
アンヒバのインフルエンザでの使用
アンヒバ坐剤はインフルエンザに対する解熱目的や頭痛などの痛みに対しても使用できます。
アンヒバ坐剤の成分であるアセトアミノフェンは、子供におけるインフルエンザの時でも安全に使用できる解熱鎮痛成分として知られており、日本小児科学会も以下のような見解を示し、インフルエンザの時に使用する解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンを含む製剤が推奨されます。
一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。
平成12年11月12日 日本小児科学会理事会
インフルエンザの時に解熱鎮痛剤を使う場合、特に子供においてインフルエンザ脳症やライ症候群などでリスクが指摘されており、解熱鎮痛剤の使用に注意が必要です。
その理由として、ジクロフェナクやメフェナム酸を含む解熱鎮痛剤はインフルエンザ脳症での使用にて死亡率を上昇させたという報告があります((平成11年度厚生科学研究「インフルエンザ脳炎・脳症の臨床疫学的研究班」))。この報告からもインフルエンザの際はアンヒバなどの成分であるアセトアミノフェンを使用することが安全と言えます。
インフルエンザの臨床経過中に発症した脳炎・脳症の重症化と解熱剤の使用
全症 例数 |
死亡 者数 |
死亡率 | |
解熱剤を使用せず | 63 | 16 | 25.4 |
アセトアミノフェン (カロナールなど) |
78 | 23 | 29.5 |
ジクロフェナク | 25 | 13 | 52.0 |
メフェナム酸 | 9 | 6 | 66.7 |
その他の解熱剤 | 22 | 5 | 22.7 |
アンヒバの使い方|体重・年齢と使用間隔
アンヒバの使い方ですが、用法用量は以下の通りであり、1回使用したら間隔を4〜6時間程度空ける必要があります。
通常,乳児,幼児及び小児にはアセトアミノフェンとして,体重1kgあたり1回10~15mgを直腸内に挿入する.投与間隔は4~6時間以上とし,1日総量として60mg/kgを限度とする.なお,年齢,症状により適宜増減する.ただし,成人の用量を超えない。
アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg
/ アンヒバ坐剤小児用200mg 添付文書
また、アンヒバには50、100、200の種類があり、それぞれアセトアミノフェンが50mg、100mg、200mg含まれています。アンヒバは体重ごとに使用する個数の目安が決まっており、年齢の目安はおおよそ以下の通りとなります((アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg/ アンヒバ坐剤小児用200mg 添付文書 一部改変))。例として3歳では平均体重が15kg程度なので、100mg坐剤を1〜2個程度が適切な用量になります。
体重 | 年齢の目安 | 50mg | 100mg | 200mg | アセトアミノフェンの量 |
5kg | 0歳 | 1〜1.5個 | 0.5個 | ー | 50〜75mg |
10kg | 1〜3歳 | 2〜3個 | 1〜1.5個 | 0.5個 | 100〜150mg |
20kg | 4〜7歳 | ー | 2〜3個 | 1〜1.5個 | 200〜300mg |
30kg | 8〜10歳 | ー | ー | 1.5〜2個 | 300〜450mg |
アンヒバは座薬ですのでお尻の穴に入れて使います。上下不対象の形状となっており、太くなっている方から肛門内に挿入します。1/2個を使用する場合は、上下や左右対象に切らずに、斜めに切って使用します。
アンヒバは小児、赤ちゃん用。大人でも使えるか
アンヒバは小児用の座薬であり、小さい子供や赤ちゃんがなどが使用することをメインとしている薬です。仮に大人が使用した場合も、一定の効果は期待することができますが、子供と同じ用量では十分な効果が得られないこともあるため、大人に対してはあまり使用されることはありません。
大人の場合は通常は解熱鎮痛薬は飲み薬が処方されるケースが多く、飲み込む際に問題がるようなケースを覗き、無理に坐剤を使う必要はありません。また、坐剤の高い効果や即効性を期待する場合にはジクロフェナクの成分を含む坐剤のボルタレンサポなどが処方されることがあります。
アンヒバ坐剤は基本的に大人が使用することを想定していないため、医師から特別な指示をされたケースを除き、自己判断で大人が使用することは避けましょう。
アンヒバの使用期限と保存方法
アンヒバの使用期限は以下のように製造から3〜5年となっています。
アンヒバ坐剤小児用 50mg:製造後 3 年
アンヒバ坐剤小児用 100mg,アンヒバ坐剤小児用 200mg:製造後 5 年
アンヒバ坐剤小児用50mg/ アンヒバ坐剤小児用100mg
/ アンヒバ坐剤小児用200mg インタビューフォーム
通常薬局ではある程度期限に余裕がある状態で患者さんに薬を渡すため、基本的には薬を交付されてから1〜2年程度は使用できるケースが多いでしょう。ただし、厳密な使用期限を確認したい場合は薬局から薬をもらう際に確認しておきましょう。
また、保存方法は冷蔵庫などの冷所である必要があります。実際に使用するまでは冷蔵庫で保管しておくようにしましょう。
なお、アンヒバは処方薬であり、医師からの特別な指示があるような場合を除き、基本的に処方薬は備蓄用ではありません。新たな病気にかかった場合は、以前の残り物の処方薬を使用するよりもクリニックや病院を受診し、そのときの疾患に対して最適な薬を処方してもらうのが最も有効かつ安全な手段と言えますので十分にご注意ください。
アンヒバの副作用
アンヒバの成分であるアセトアミノフェンは小児やインフルエンザの時にも使用される安全な薬です。しかし、それでもやはり中には副作用が出てしまうケースがあります。
副作用として比較的頻度が高いものは、皮疹(皮膚の発疹)、食欲不振、下痢、吐き気などです。皮疹が出た場合はすぐに使用を中止するのが安全ですが、食欲不振、下痢、吐き気などは、疾患によるものか薬の副作用であるか見分けがつかないケースもあり、あまりに症状がひどくない場合は少し様子をみてもいいかと思います。しかし、症状がひどい場合は、こちらも薬を中止し、処方医の先生などに相談しましょう。
その他、重大な副作用として、肝障害が出る可能性があります。この副作用はアンヒバの成分であるアセトアミノフェンを過量に服用することによっても起きます。市販薬も含め、アセトアミノフェンは様々な商品名の薬に含まれる成分であり、知らないうちにアセトアミノフェンを過量に摂取してしまうケースもあります。アンヒバを使用している間は、市販薬に関しては極力使用しないことが安全であり、どうしても使用したい場合も自己判断でなく、必ず医師や薬剤医に飲み合わせの確認をするようにしましょう。
アンヒバとダイアップとの併用
アンヒバとともにダイアップという座薬も一緒に処方されるケースがあります。ダイアップはジアゼパムという神経を落ち着ける成分を含んだ座薬です。小児の熱性けいれんやてんかんのけいれん発作に使われる座薬です。
ダイアップは小児でよく使われる座薬の一つであり、アンヒバと併用されるケースも多くありますが、アンヒバとダイアップで使う順番に注意が必要となります。
座薬を使用する順番は、①ダイアップ坐剤、30分以上経ってから②アンヒバ坐剤となります。
この理由は、ダイアップに含まれるジアゼパムの成分は油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているアンヒバの坐剤を先に使ったり間を空けずに使用すると、ダイアップの成分がアンヒバの基剤に吸収されてしまい、ダイアップの効果が発揮されにくくなるためです((沖縄県薬剤師会 http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kodomo/kodo05.html))。
ダイアップは小児の熱性けいれんを防ぐ重要な役割を持った薬のため、十分な効果を発揮される必要があり、必ずこの順番や使用間隔を守るようにしましょう。
アンヒバとナウゼリンの順番、併用
アンヒバと一緒に処方されることが多い座薬のにナウゼリンもあります。ナウゼリンはドンペリドンという吐き気止めの成分を含んだ薬です。風邪を引いたときに吐き気もあるようなケースではアンヒバとナウゼリンは併用されるケースも少なくありませんが、こちらも順番には注意が必要となります。
座薬を使用する順番は、①ナウゼリン坐剤、30分以上経ってから②アンヒバ坐剤となります。
この理由は、ナウゼリンの成分であるドンペリドンは油に溶けやすい性質を持っており、油性の基剤が使われているアンヒバ坐剤を先に使ったり、間を空けずに使用すると、ナウゼリンの成分がアンヒバの基剤に吸収されてしまい、ナウゼリンの効果が発揮されにくくなるためです((沖縄県薬剤師会 http://www.okiyaku.or.jp/0_QA/kodomo/kodo03.html))。
ナウゼリンの吐き気止めの効果を十分に発揮させるために、必ずこの順番や使用間隔を守るようにしましょう。
アンヒバとカロナールの違い
アンヒバと同じくアセトアミノフェンを主成分とする薬にカロナールがあります。成分が同じであるため、基本的には同じ効果があると言えるでしょう。
違いを挙げるとすると、カロナールにはアセトアミノフェンを400mg含んだ400mg製剤の座薬があること、また、飲み薬のアセトアミノフェンでもカロナールという名称が使われていることなどがあります。
アンヒバとカロナールと併用できるか
アンヒバとカロナールを併用できるかという点に関してです。
まず、アンヒバ坐剤とカロナール坐剤を一緒に使用するのは意味がないと言えるでしょう。どちらも同じ成分の坐剤であり、どちらか一つを2倍量使用することと差はありません。
アンヒバ坐剤とカロナールの飲み薬を一緒に使用できるかという点ですが、基本的には避けたほうが良いと言えます。こちらも同じ成分を異なる経路で体内に吸収していることになり、場合によっては過量投与による肝障害などの副作用を引き起こす可能性も否定できません。医師からの適切な処方に基づく併用でしたら話は別ですが、自己判断によるアンヒバ坐剤とカロナールの飲み薬の併用はやめましょう。
アンヒバの薬価、ジェネリック
アンヒバの2018年4月改定の薬価は50mg坐剤と100mg坐剤で1個あたり19.3円、200mg坐剤で1個あたり26.2円となっています。
また、アンヒバ坐剤はいずれの規格でも先発医薬品の扱いとなります。50mg坐剤と100mg坐剤ではアンヒバのジェネリック医薬品に該当する医薬品はなく、アルピニー坐剤やカロナール坐剤、パラセタ坐剤、アセトアミノフェン坐剤はいずれも同じ先発医薬品で同じ薬価となります。200mg坐剤では一部の製品がジェネリック医薬品に分類され、アンヒバ坐剤の他、アルピニー坐剤、カロナール坐剤は先発医薬品、その他はジェネリック医薬品となり、ジェネリックでは薬価は19.9円でアンヒバの薬価より安価に設定されています。
アンヒバの市販での購入
アンヒバ坐剤とおなじ成分を含む坐剤は市販薬としては販売されていません。
アンヒバに限らず市販では解熱鎮痛剤の坐剤は販売されていないため、必ず医師の診察を受けた上で処方してもらう必要があります。
もしアセトアミノフェンの成分を坐剤に限らず市販で購入したい場合はバファリン小児用などがアンヒバと同じ成分のアセトアミノフェンを含む解熱鎮痛剤になります。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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