インフルエンザ治療薬のタミフルについて、授乳や妊婦への影響を確認していきます。
Contents
タミフルの授乳中の使用と授乳への影響
授乳中におけるタミフルの使用と、授乳への影響について確認していきます。
タミフルを授乳中に使用する場合は授乳を中断する
添付文書では授乳中にタミフルを使用する場合は、授乳を中断する旨の注意喚起がされており、注意が必要となります。
授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。
[ヒト母乳中へ移行することが報告されている。]タミフルカプセル75 添付文書
タミフルは乳汁に移行することが確認されている
タミフルで授乳中に注意が必要な理由として、授乳への影響が考えられており、乳汁中に移行することが確認されています。
オセルタミビル 75mg を 1 日 2 回 5 日間服用した授乳婦の乳汁中にオセルタミビル及びRo64-0802が検出されたことが報告されている。
〈参考/ラット〉
授乳ラットに[14C]オセルタミビル 10mg/kg を単回経口投与したところ、放射能は速やかに乳汁中に移行し投与後 1 時間で最高濃度に達した。その後血漿中とほぼ同様な推移で消失したが、乳汁中/血漿中濃度比は常に乳汁中において高かった。タミフルカプセル75 インタビューフォーム
タミフル使用後の授乳再開は2日後から
タミフルを使用してから授乳を再開するまでの日数の目安として、製薬会社からは48時間(2日)空けると安全とアナウンスしています1)。
1) 中外製薬ホームページ
専門家の見解では授乳中でも問題ないという意見も
専門家の見解では授乳中でも問題なく使用できるという意見もあります。
愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、「母乳への移行は少なく、授乳婦に使用可能と考えられる」とされています。また、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、「ヒトにおける検討は少ない。母乳中の量は母親の体重換算量の0.5%であったとする情報あり。」としており、見解としては「○」のカテゴリー(限られた授乳婦で研究した結果、乳児へのリスクは最小限と考えられる薬剤 授乳婦で研究されていないが、リスクを証明する根拠が見当たらない)とされています。
医師に授乳中である旨を伝えた上で、タミフルが処方された場合はその指示にしたがって問題ないと考えられます。
タミフルの妊娠中の使用と妊婦への影響
妊娠中におけるタミフルの使用について、妊婦さんへの影響とともに確認していきます。
タミフルは妊娠中でも禁止はされていない
添付文書では妊娠中におけるタミフルの使用は、「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」とされており、推奨はされていないものの、禁止はされておらず、医師の判断により使用することができます。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。]
タミフルカプセル75 添付文書
タミフルの妊娠中の使用は学会からは推奨されている
妊娠中にインフルエンザに感染した場合には、タミフルをはじめとした抗インフルエンザの使用が、日本産婦人科学会からも推奨されています2)。
2) 日本産婦人科学会ホームページ
タミフルの妊婦や胎児への影響は認められていない
製薬会社における妊婦におけるタミフルの使用の調査結果、流産率や心形態異常、その他の形態異常、早産、低出生体重児、胎児発育不全児などの増加は認められなかったとされています1)。
1) 中外製薬ホームページ
タミフルは注意点を守れば安全に使用できる薬
タミフルは前述の通り、授乳中は念のため授乳を中断するのが安全とされていますが、妊娠中はむしろ使用することが推奨されています。タミフルは正しく使用すれば安全使用できる薬であり、インフルエンザの症状を和らげるのに非常に有効な薬と言えます。
授乳中と妊娠中においては通常よりも特に体調の変化に気を使い、インフルエンザが少しでも疑われる場合にはなるべく早く医療機関を受診することが重要です。タミフルなどのインフルエンザ治療薬は一般的に発症から2日以内に使用しないと効果がないとされており、早期の治療開始が重要となります。
インフルエンザが疑われる場合は、早めの受診を心がけ、正しく安全にタミフルなどの抗インフルエンザ薬を使用しましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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