インフルエンザで熱がでないケースや微熱しかでないケースについて解説していきます。
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インフルエンザでも熱が出ないことがある
インフルエンザとはインフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。
その症状としては、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も認められます1)。
インフルエンザでは通常は上記のような症状が見られ、特に発熱の症状にてインフルエンザに感染したことを自覚するケースが多いとされていますが、中にはインフルエンザになっても熱がでないというケースがあります。
パターン①:症状が出る前にインフルエンザと診断される
インフルエンザで熱が出ないケースの理由のひとつに、インフルエンザと診断された時期が早く、まだ症状が出る前であったという可能性があります。
この場合は症状がで始めた時点でタミフルやイナビルなどの治療薬を使用することでインフルエンザによる症状に悩まされることが少なく、回復させることができるケースと言えます。
パターン②:症状がでないままインフルエンザが回復する
インフルエンザで熱が出ない別のケースに、感染の最初から最後まで本当に熱が出ないというパターンもあります。
この場合は、インフルエンザになっても自覚症状がなく、感染した本人にとっては不利益なることが少なくあまり問題がないと言えますが、感染した本人に自覚がないまま、周りの人にインフルエンザウイルスを感染させてしまう可能性があります。
1) 厚生労働省ホームページ インフルエンザQ&A
インフルエンザで微熱、無熱のケースは実際の調査でも確認されている
インフルエンザで熱が出ない、もしくは微熱で終わるというケースの存在は、実際のインフルエンザの患者を対象にした調査で確認されています。
2007〜2010年にカナダで行われた調査では、インフルエンザウイルスが検出された238人のうち、10%にあたる23人において、インフルエンザの症状が認められなかったとされています2)。
また、2007年に香港で行われた調査では、インフルエンザウイルスが確認されている59人のうち、14%にあたる59人に、何も症状がなかったことが確認されています3)。
このように、実際のインフルエンザ患者において、10%程度は症状が出ず、熱も出ない可能性が考えられます。
2) Loeb M, et al.; J Infect Dis 206; 1078-1084, 2012
3) Lau LL, et al.; J Infect Dis 201; 1509-1516, 2010
インフルエンザのB型では特に発熱が少ない可能性
インフルエンザで熱が出ないケースは、特にインフルエンザB型で多い可能性が考えられます。
その理由として、健康成人に対しインフルエンザウイルスを感染させ、その経過を確認した調査において、インフルエンザB型に感染させたケースでは、A型と比較し、発熱が見られる確率が特に低かったことが確認されています3)。
その結果として、発熱が見られた率は、A型のH1N1で37%、A型のH3N2で40.6%、B型で7.5%という結果であり、A型とB型で非常に大きな差があると言えます。なお、この結果は健康成人を意図的にインフルエンザウイルスに感染させた結果であり、実際の自然感染ではより高い確率でインフルエンザの発熱症状は出ると考えられます。
3) Carrat F, et al.; Am J Epidemiol 167; 775-785, 2008
微熱や熱がなくてもインフルエンザの感染拡大に注意
前述の通り、インフルエンザに感染しても熱が出ない場合や、微熱で終わるケースがあります。
このような場合は、感染した本人はあまり問題がないと言えますが、本人にインフルエンザの自覚がないと、無意識のうちに人に移したり、公共の場で感染を拡大させたりしてしまう恐れがあります。インフルエンザで熱が出ないケースはその人のみのである可能性も高く、その人が別の人に感染させた場合、その感染した人では高熱や他の症状がでるということが十分に考えられます。
インフルエンザの流行シーズンやインフルエンザ患者と接触を持った場合は、熱がなくてもインフルエンザに感染している可能性を疑い、マスクや手洗い、他の人にウイルスを移さない処置などを心がけるようにしましょう。また、微熱が出ている場合や発熱以外のインフルエンザの症状が一つでもある場合にも念のためインフルエンザ感染の可能性を疑い、可能であれば医療機関の受診を、最低でも他人に感染させないような処置をやはり行うべきと言えるでしょう。
インフルエンザは自分が感染するのももちろん大変ですが、周りに移してしまうのも非常につらいものです。少しでもインフルエンザが疑われる場合は最大限の注意をはらい、他人に移さないことを心がけましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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