インフルエンザに漢方は効く?麻黄湯や葛根湯の効果

インフルエンザに使用される漢方薬について麻黄湯や葛根湯などを解説していきます。

インフルエンザへの効果が確認されているのは麻黄湯

インフルエンザで漢方を使用する場合に、現在最も使われ効果が確認されているものは麻黄湯と考えられます。

ツムラの処方薬の麻黄湯には、効能効果として「インフルエンザ」の記載があり、実際に使用されることも多く、子供に対しても使用されることがあります。

悪寒、発熱、頭痛、腰痛、自然に汗の出ないものの次の諸症:
感冒、インフルエンザ(初期のもの)、関節リウマチ、喘息、乳児の鼻閉塞、哺乳困難

ツムラ麻黄湯エキス顆粒(医療用) 添付文書

麻黄湯はタミフルよりも解熱が早い可能性

麻黄湯のインフルエンザに対する効果を確認した臨床試験では、麻黄湯がタミフルよりも早く解熱効果が得られるという結果もあります1)

この臨床試験では、麻黄湯とインフルエンザ薬であるタミフルの成分であるオセルタミビル、リレンザの成分であるザナビビルの効果を比較しており、薬の投与開始から解熱までの時間は、麻黄湯を使用した患者さんがオセルタミビルを使用最多患者さんよりも早く、麻黄湯とザナビビルでは同程度であったという結果が得られています。その他の鼻腔内のウイルス消失率と、血清中の炎症サイトカインの測定結果は、いずれの薬剤でも同程度であったとされています。

上記の通り、麻黄湯はタミフルやリレンザなどのインフルエンザ薬と遜色ない結果が期待でき、解熱効果についてはタミフルよりも早く得られる可能性もあると言えます。

1) Nabeshima S, et al; J Infect Chemother 18; 529-533, 2012

柴胡桂枝湯と竹茹温胆湯にもインフルエンザの適応がある

麻黄湯以外では、処方薬の漢方薬においては柴胡桂枝湯竹茹温胆湯にもインフルエンザに対する効能効果が明記されており、効果が期待できます。

柴胡桂枝湯と竹茹温胆湯の効能効果の詳細は以下のとおりです。なお、柴胡桂枝湯は「流感」の記載がインフルエンザに該当します。

発熱汗出て、悪寒し、身体痛み、頭痛、はきけのあるものの次の諸症
感冒・流感・肺炎・肺結核などの熱性疾患、胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆のう炎・胆石・肝機能障害・膵臓炎などの心下部緊張疼痛

ツムラ柴胡桂枝湯エキス顆粒(医療用)

インフルエンザ、風邪、肺炎などの回復期に熱が長びいたり、また平熱になっても、気分がさっぱりせず、せきや痰が多くて安眠が出来ないもの

ツムラ竹茹温胆湯エキス顆粒(医療用)

柴胡桂枝湯は亜急性期、竹茹温胆湯は亜急性期〜回復期に使用

麻黄湯は抗インフルエンザ薬と同様にインフルエンザの初期治療(急性期)に使用されることが多い漢方薬ですが、柴胡桂枝湯は感染からやや時間が経過した亜急性期、竹茹温胆湯は亜急性期〜回復期に使用することが向いている漢方薬とされています2)

インフルエンザの亜急性期〜回復期に使用されるいわゆる西洋薬はあまりないため、これらの漢方薬はインフルエンザに対する比較的貴重な薬と言えます。

2) 内藤俊夫; 順天堂医学 58(5); 397〜402, 2012

麻杏甘石湯+銀翹散でも効果がが確認されている

海外での報告では、漢方薬である麻杏甘石湯銀翹散を併用することで、タミフルにも劣らない効果があるとされています3)

この調査ではインフルエンザ患者400名程度に対して、薬の非投与群、タミフルの成分であるオセルタミビルの使用群、麻杏甘石湯+銀翹散の使用群、オセルタミビル+麻杏甘石湯+銀翹散の使用群に分けて、効果を比較しています。

その結果はオセルタミフル群の解熱が薬の非投与群に比較し34%の短縮、麻杏甘石湯+銀翹散の使用群が37%の短縮、オセルタミビル+麻杏甘石湯+銀翹散の使用群が47%の短縮という結果であり、漢方薬の麻杏甘石湯+銀翹散を使用することで、タミフルと同程度の解熱時間短縮効果と、タミフルと併用することでさらなる解熱時間の短縮効果も期待できるという結果でした。

3) Wang C, et al; Ann Intern Med; 155(4):217-25, 2011

葛根湯に似た成分も効果があると報告

漢方薬の代表格である葛根湯に比較的近いAntiweiという漢方薬ではインフルエンザに対して効果があることが示唆されています。

Antiweiはインフルエンザ症状の患者に対して、プラセボ(偽薬)を使用した患者と比較し、有意に回復を早め、重症度も50%改善したとされています4)

Antiweiはマオウ、カッコン、ショウキョウ、カンゾウなど葛根湯と共通の生薬が含まれており、葛根湯でも比較的近い効果が得られる可能性があります。

ただし、葛根湯でインフルエンザに効果があるというエビデンスは現時点ではあまりないため、自己判断で葛根湯を使用するのは控えた方が良いでしょう。

4) Wang L, et al; Respir Med; 104(9):1362-9, 2010

市販で買える漢方は?

前述の漢方薬のうち、麻黄湯、柴胡桂枝湯、竹茹温胆湯、麻杏甘石湯、銀翹散、葛根湯は市販で買うこともできるものです。

しかし市販の漢方薬は一般的に処方薬と比較し用量が少なくなっています。また、麻黄湯、柴胡桂枝湯に関しても、処方薬の効能効果にはインフルエンザの記載があるものの、市販の麻黄湯では適応がありません。竹茹温胆湯に関しても、市販薬ではインフルエンザの適応はありますが、あくまで回復期のみの効能効果とされており、インフルエンザの初期治療では使用できません。

インフルエンザの治療には医師による適切な診断と処方が必要であり、適切な処置を受けなければ感染源としてインフルエンザを広めてしまう可能性があります。したがって、自己判断で市販薬で治療するようなことは避け、インフルエンザが疑われる場合は必ず医師の診察を受けましょう。

薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。

今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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