イナビルの副作用|異常行動、めまい、吐き気、蕁麻疹、頭痛、低体温、いつまでかを確認

イナビルの副作用について、異常行動やめまい、頭痛などの精神神経系、下痢、吐き気、腹痛など消化器系、蕁麻疹、発疹などの過敏症、低体温の有無、いつまで注意が必要かなどを確認していきます。

イナビルの主な副作用

イナビルの副作用は臨床試験や製造販売後の使用成績調査などで頻度や種類が確認されています((イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書))。
国内・海外の臨床試験では1571例中159例(10.1%)に副作用が認められています。主な副作用は、下痢(4.7%)、悪心(吐き気)(0.8%)、ALT(GPT)上昇(0.8%)、胃腸炎(0.7%)等とされています。
また、製造販売後の臨床試験においては、総症例102例中14例(13.7%)に副作用が認められています。主な副作用は下痢(2.9%)等とされています。
製造販売後の使用成績調査では、総症例3,542例中50例(1.4%)に副作用が認められています。主な副作用は、下痢(0.31%)、めまい(0.11%)、悪心(吐き気)(0.08%)、蕁麻疹(0.08%)、発熱(0.08%)等とされています。
このように、イナビルの副作用はそれぞれの頻度は高くないものの、下痢、めまい、吐き気、蕁麻疹などが一般的な副作用なとなります。

0.1%以上 0.1%未満 頻度不明
過敏症 蕁麻疹 発疹 紅斑、そう痒
消化器 下痢、胃腸炎、悪心、嘔吐、腹痛、口内炎 腹部膨満、食欲減退、腹部不快感
精神神経系 めまい、頭痛
血液 白血球数増加
肝臓 ALT (GPT) 上昇、AST (GOT) 上昇、γ-GTP上昇 肝機能異常
泌尿器 尿蛋白
その他 CRP上昇、尿中ブドウ糖陽性

イナビルと異常行動

インフルエンザ治療薬の異常行動についてはタミフルが有名ですが、イナビルでも同様の異常行動が見られるケースが報告されています((イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書))。
因果関係は不明とされていますが、イナビルにおいても注意喚起されており、特に小児・未成年者では、転落等を防ぐために少なくとも2日間は一人にしないよう保護者が配慮するよう注意喚起されています。


因果関係は不明であるものの、本剤を含む抗インフルエンザウイルス薬投薬後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、1)異常行動の発現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状があらわれるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書


イナビルのめまい、頭痛など精神神経系

イナビルの精神神経系の副作用はめまい、頭痛などが報告されています。
副作用の頻度は、浮動性めまいが承認時の臨床試験で0.32%、体位性めまいが承認時の臨床試験で0.06%、頭痛が承認時の臨床試験で0.13%とされています((イナビル吸入粉末剤20mg インタビューフォーム))。
これらの副作用はいつまで続くのかなどは個人差がありますが基本的一過性であり、長引くケースはあまりありません。

イナビルの下痢、吐き気、腹痛など消化器系

イナビルの消化器系の副作用では下痢、吐き気、腹痛などの副作用が報告されています。
これらの頻度は、下痢が承認時の臨床試験で4.71%、吐き気(悪心)が承認時の臨床試験で0.83%、腹痛が承認時の臨床試験で0.13%とされています((イナビル吸入粉末剤20mg インタビューフォーム))。
消化器系の副作用はイナビルの副作用の中でも比較的頻度が高い方ですが、これらの副作用も基本的には一過性であり、期間が経てば回復すると考えられます。また、消化器系の症状は他の薬剤でもよく見られるものであり、さらにインフルエンザ自体がこれらの症状の原因にもなりうるため、消化器系の副作用では厳密にイナビルの副作用か判断するのは難しい面もあります。

イナビルの蕁麻疹、発疹などの過敏症

イナビルの過敏症の副作用では蕁麻疹、発疹などが報告されています。
これらの頻度は、蕁麻疹が承認時の臨床試験で0.25%、発疹が承認時の臨床試験で0.06%とされています((イナビル吸入粉末剤20mg インタビューフォーム))。
過敏症の副作用は、成分自体が体にあってないケースが多く、次回以降は禁忌(使用できない)となるため、イナビルで過敏症があったことを覚えておき、医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。

イナビルと低体温

イナビルを使用して低体温になったという報告もありますが、頻度は非常に稀です。
承認時の臨床試験や製造販売後臨床試験では低体温の副作用は報告されておらず、製造販売後の使用成績調査において1例報告されているのみであり、その頻度は0.03%です((イナビル吸入粉末剤20mg インタビューフォーム))。
イナビル自体は抗ウイルス薬であり、体温を下げる効果はなく、同時に解熱鎮痛剤などの併用薬を使用しているようなケースでは、解熱鎮痛剤や他の薬が低体温の原因の可能性も考えられます。

イナビルの副作用はいつまで注意が必要

イナビルはインフルエンザの治療に使用する際は、1回の吸入で治療が完了する薬であり、副作用に注意が必要な期間も数日以内と考えられます。
ただし、異常行動のに関しては製薬会社より2日間は一人にしないよう保護者が配慮するように注意喚起されているため、子供や未成年者が使用した場合には2日間は注意をするようにしましょう((イナビル吸入粉末剤20mg 添付文書))。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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