リンラキサーの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から確認していきます。
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リンラキサーの特徴
リンラキサーはクロルフェネシンを成分として含み、腰痛や肩こりなどの症状をはじめとした腰背痛症、椎間板ヘルニア、頸肩腕症候群などに効果が認められている薬剤です((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書))。
リンラキサーの特徴は、種々の運動器疾患に基づく躯幹筋の過緊張の緩解、筋痛の軽減、運動
制限の改善などの多面的作用により症状を緩解し、上位中枢抑制作用を発現しないことによる精神神経系の副作用が少ない点などがあります((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg インタビューフォーム))。
リンラキサーにはクロルフェネシンカルバミン酸エステルの成分を125mg含むリンラキサー錠125mgと250mg含むリンラキサー錠250mgの2種類があります。
リンラキサーとミオナールの違いや併用
リンラキサーと同じ中枢性筋弛緩薬のうち、ミオナール(成分名:エペリゾン)は比較的よく使われる薬の一つです。
リンラキサーとミオナールは比較的作用が近い薬剤であり、効能効果に多少の違いがあります。
いずれも腰痛や肩こりなどに使われますが、ミオナールはこれらに加え、脳血管障害や術後後
遺症などの痙性麻痺にも使われます。
それぞれの作用機序については、いずれも主に脊髄にて作用を発揮し、リンラキサーは脊髄における多シナプス経路の介在ニューロンの選択的抑制、ミオナールは脊髄反射及びγ-運動ニューロン自発発射を抑制することで筋弛緩作用を発揮します。
リンラキサーとミオナールは併用するケースあまりありません。医師からの特別な指示がある場合を除き、自己判断で併用するようなことは避けましょう。
リンラキサーとデパスの違い
リンラキサーと同様に筋緊張に使われる薬としてデパス(成分名:エチゾラム)もありますが、リンラキサーとデパスは作用の仕方が異なります。
リンラキサーは脊髄におけるシグナル伝達を抑制することで筋緊張を和らげますが、デパスはベンゾジアゼピン受容体への作用を介し抗不安、鎮静効果の他、筋緊張緩解作用も発揮します。
リンラキサーとデパスは作用機序が異なるため、併用されるケースもありますが、デパス自体は向精神薬に分類され取り扱いに注意が必要な薬であるため、自己判断での併用は避けるようにしましょう。
リンラキサーの効果
リンラキサーは腰痛や肩こりなどに対して効果がある薬剤です。
リンラキサーの効能効果の詳細は以下の通りです。
運動器疾患に伴う有痛性痙縮:
腰背痛症、変形性脊椎症、椎間板ヘルニア、脊椎分離・辷り症、脊椎骨粗鬆症、頸肩腕症候群
リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書
リンラキサーの作用機序
リンラキサーの主な作用機序は脊髄における多シナプス経路の介在ニューロンの選択的抑制です((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書))。
筋肉の緊張は脳から脊髄を経由し各組織にシグナルが伝わりますが、リンラキサーは主に脊髄レベルで作用し、筋肉の緊張を抑制し、肩こり、腰痛などに効果を示します。
リンラキサーの効果時間
リンラキサーの効果発現時間は、薬物動態のデータから推測すると比較的速く効果が現れると想定されます。
リンラキサーの最高血中濃度到達時間(Tmax)は1hrとされており((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書))、同系統の代表的な薬剤であるミオナールの1.6〜1.9時間よりも速い結果となっています((ミオナール錠50mg/ミオナール顆粒10% 添付文書))。
リンラキサーの臨床成績
リンラキサーの実際の患者さんに対する効果は、一般臨床試験及び市販後の調査にて確認されています。
これらの結果の例をあげると、腰痛などの腰背痛症に対しては68.3%の有効率、肩こりなどの頸肩腕症候群に対しては60.4%の有効率となっています((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書))。
疾患名 | 有効率(%) 【有効以上】 |
腰背痛症 | 68.3(3267/4786) |
変形性脊椎症 | 57.5(2695/4689) |
椎間板ヘルニア | 60.3(1425/2363) |
脊椎分離・辷り症 | 58.9(458/778) |
脊椎骨粗鬆症 | 55.0(516/939) |
頸肩腕症候群 | 60.4(1349/2232) |
リンラキサーの使い方
リンラキサーは250mg錠を1回1錠、1日3回使用するのが一般的な使い方となります。
リンラキサーの用法用量の詳細は以下の通りです。
通常、成人にはクロルフェネシンカルバミン酸エステルとして1回250mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書
リンラキサーの副作用
リンラキサーの作用は脊髄ヘの間接的なものであり、他の中枢性筋弛緩剤に比較して精神神経系の副作用が少ないという特性があります。主な副作用は、腹痛0.66%、消化不良0.38%、発疹0.28%、嘔気0.27%とされており((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg インタビューフォーム))、頻度が特別に高いような副作用はありません。
リンラキサーの飲み合わせ|ロキソニンは
リンラキサーは併用禁忌(併用できない)薬はないものの、併用に注意が必要な薬がする数種類あります((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書))。
リンラサキーの併用注意の薬剤として以下の薬が挙げられています。
成分名等 | 代表的な薬剤等 |
フェノチアジン系薬剤 | コントミン、ヒルナミン |
中枢神経抑制剤 | フェノバルビタール |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | セレギリン |
アルコール |
上記で挙げられているもの以外は原則として併用が可能です。解熱鎮痛剤などの薬も基本的には併用して問題ありません。痛み止めとして最も使われている薬の一つであるロキソニンなども、痛みを止める目的としてリンラキサーと重なるケースがありますが、痛みを止める機序はロキソニンとリンラキサーで異なるため、併用自体は問題ありません。
リンラキサーとアルコール
リンラキサーと併用に注意が必要なものとして、アルコール(お酒)は最も身近なもののひとつです。アルコールと併用することで眠気などが強く出る可能性があるので、リンラキサーを使用している期間は、アルコール(お酒)を飲むのは極力控えるようにしましょう。
リンラキサーの授乳中の使用
リンラキサーは授乳中の場合は使用しないことが推奨されています。
授乳中の婦人には、投与しないことが望ましい。
リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書
実際に授乳中にリンラキサーを使用するかは、処方医の先生の判断となります。リンラキサーに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
リンラキサーの妊娠中の使用
リンラキサーの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起されており、実際に使用するかは医師の判断となります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
リンラキサー錠125mg/ リンラキサー錠250mg 添付文書
上記の注意喚起がされている理由として、妊娠中の人に対する明確な安全性が確認されていたいためです。
なお、動物実験による生殖試験では、催奇形性、生殖能試験において、いずれの投与量においても異常は認められない((リンラキサー錠125mg/ リンラキサー250mg インタビューフォーム))、とされており、明確な危険性は確認されていません。
実際に妊娠中にリンラキサーを使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。リンラキサーに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
リンラキサーの薬価、ジェネリック
リンラキサーの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はリンラキサー錠125mgで1錠あたり9.9円、リンラキサー錠250mgで15.2円とされています。
リンラキサーにはジェネリック医薬品(後発品)があり、クロルフェネシンカルバミン酸エステル錠の販売名で販売されています。これらの薬価は125mg錠、250mg錠で共に6.2円となっており、リンラキサーよりも安価な薬価となっています。
リンラキサーの市販での購入
リンラキサーの成分を含む薬は市販では購入することができません。また、リンラキサーと比較的成分が近いものや、代替となるような薬も市販では買うことはできません。
リンラキサーの成分を使用する場合には、必ず医師の適切な診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
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