エバスチンの花粉症や蕁麻疹への効能|od錠や市販・otc薬、先発品、薬の強さも

エバスチンの特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、薬価、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

エバスチンの特徴

エバスチンは抗アレルギー・抗ヒスタミン成分であり、蕁麻疹や花粉症を含むアレルギー性鼻炎、湿疹などに効果がある薬剤です((エバステル錠5mg/エバステル錠10mg/エバステルOD錠5mg/エバステルOD錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400093_4490019F1028_2_21.pdf))。エバスチンを成分として含む薬剤の代表例としてエバステル錠の他、ジェネリック医薬品であるエバスチン錠があります。
エバスチンの特徴は、効果の強さと眠気の出にくさのバランスがよく使いやすい点が挙げられ、また、1日1回の使用で効果が現れるという点があります。

エバスチンの種類とOD錠

エバスチンの製剤には通常の錠剤である10mg錠、5mg錠の他、水なしで飲める口腔内崩壊錠(OD錠)の10mg、5mgがあります。
OD錠は水なしで口腔内で溶けるため、嚥下困難(錠剤が飲み込めない)患者でも使用できる点、水を飲まなくても良い点から服用場所を選ばないメリットもあります。

エバスチンの強さは中程度

エバスチンは、アレグラ、タリオン、アレロック、アレジオン、クラリチン、ジルテックなどの第2世代の抗ヒスタミン成分の中では抗アレルギー作用は中程度くらいとされており、眠気の副作用も比較的抑えられている薬の一つです。
エバスチンはジルテック、アレロック、ザイザルほどは効果が強くないとされているものの、アレグラやクラリチンよりは効果が強いとされており、アレジオンやタリオンなどと同程度の強さに分類されることが一般的です。
エバスチンを実際の患者さんに使用した時の効果は先発医薬品であるエバステル錠の臨床試験によって確認されています((エバステル錠5mg/エバステル錠10mg/エバステルOD錠5mg/エバステルOD錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400093_4490019F1028_2_21.pdf))。
それぞれの疾患に対する改善率は、慢性蕁麻疹に対しては75%、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚瘙痒症に対しては71%、アレルギー性鼻炎のうち通年性アレルギー性鼻炎に対しては54%、スギ花粉症に対しては50%という結果でした。

エバスチンはエバステル錠のジェネリック医薬品もしくは成分名を指す

「エバスチン」には2種類の意味があり、
①エバスチンのジェネリック医薬品を指す場合
②エバステルの成分名(一般名)を指す場合
があります。
近年ではジェネリック医薬品の販売名は、薬の成分名で統一させる方針となっており、成分名がそのままジェネリック医薬品の販売名となります。
したがって、エバスチンとはエバステルのジェネリック医薬品の販売名もしくはエバステルの成分名を指すことになります。

エバスチンの先発医薬品はエバステル錠|エバスチンとエバステルの違いは

エバスチンの成分を含む先発医薬品はエバステル錠となります。
前述の通り、エバスチンはエバステル錠のジェネリック医薬品もしくは成分名を指すため、エバスチンとエバステルの違いは
①ジェネリック医薬品と先発医薬品の違い
②成分名(一般名)と販売名の違い
と言えます。
なお、ジェネリック医薬品の場合は、厳密にはエバスチンの成分の後に製薬会社名が販売名として加えられるため、エバスチン錠10mg「サワイ」、などがジェネリック医薬品の正式な販売名となります。

エバスチンの効能効果|花粉症や皮膚疾患にも

エバスチン錠は蕁麻疹、花粉症を含むアレルギー性鼻炎(鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状)、湿疹・皮膚炎などに伴うかゆみに対して効果がある薬剤です。
エバスチン錠の製品例の効能効果は以下の通りです。

蕁麻疹
湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症
アレルギー性鼻炎

エバスチン錠5mg「サワイ」/ エバスチン錠10mg「サワイ」/ エバスチンOD錠5mg「サワイ」/ エバスチンOD錠10mg「サワイ」 添付文書

エバスチンの作用機序

エバスチンの主な作用機序はアレルギーを引き起こす原因物質であるヒスタミンに対しての拮抗作用です((エバステル錠5mg/エバステル錠10mg/エバステルOD錠5mg/エバステルOD錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400093_4490019F1028_2_21.pdf))。
花粉などやアレルギーなどでアレルギー原因物質が体内に取り込まれると、体の防御反応が働き体内で免疫反応が起こりますが、この反応が過剰になってしまっているのがアレルギー状態であり、この際にヒスタミンが過剰に放出されることが知られています。
エバスチンなどの抗ヒスタミン薬はこれらのヒスタミンの受容体(ヒスタミンが作用する部分)を阻害することによってヒスタミンの作用を抑制します。これにより鼻水・鼻づまり・くしゃみなどが症状となるアレルギー性の鼻炎や蕁麻疹、皮膚炎などの症状が和らぎます。

エバスチンの効果時間

エバスチンの効果時間に関しては、効果が出るまでの時間(効果発現時間)が4時間後、効果が持続する時間(効果持続時間)は24時間とされています((久木田 淳, ほか:臨床医薬, 10 (Suppl.1) : 103, 1994))。
効果が出るまでの時間が4時間というのは、他の抗ヒスタミン薬と比較すると早い方ではありませんが、その分持続時間も長いといった位置付けになります。24時間持続するため、1日1回の使用で済む点もエバスチンの特徴の一つです。

エバスチンの使い方

エバスチンはエバスチン錠5mgもしくは10mgを1回1錠、1日1回使用するのが一般的な使い方となります。
エバスチンの製品例の用法用量の詳細は以下のとおりです。

通常、成人には、エバスチンとして1回5~10mgを1日1回経口投与する。
なお、年齢・症状により適宜増減する。

エバスチン錠5mg「サワイ」/ エバスチン錠10mg「サワイ」/ エバスチンOD錠5mg「サワイ」/ エバスチンOD錠10mg「サワイ」 添付文書

エバスチンの副作用

エバスチンの副作用頻度して参考になるのが先発医薬品であるエバステルの結果です。
エバステルの臨床試験と市販後の調査で得られた副作用の頻度は全体で3.1%の患者に副作用がみられたとされており、そのうち主な副作用は眠気は1.7%、口渇(口の渇き)が0.4%、倦怠感(疲れた感じ、だるい感じ)が0.3%、胃部不快感が0.2%とされています((エバステル錠5mg/エバステル錠10mg/エバステルOD錠5mg/エバステルOD錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400093_4490019F1028_2_21.pdf))。
エバスチンなどの抗ヒスタミン薬で眠い状態になっていまう理由は、ヒスタミンが脳の覚醒に影響する作用をもっており、そのヒスタミンの作用を阻害してしまうためとされています。
エバスチンを服用する際に一番注意が必要なものはやはり眠気であり、車の運転などに関して注意喚起されています。

重要な基本的注意
眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意させること。
エバスチン錠5mg「サワイ」/ エバスチン錠10mg「サワイ」/ エバスチンOD錠5mg「サワイ」/ エバスチンOD錠10mg「サワイ」 添付文書

エバスチンの飲み合わせ

エバスチンには併用禁忌でないものの、飲み合わせに注意が必要なものがいくつかあります((エバステル錠5mg/エバステル錠10mg/エバステルOD錠5mg/エバステルOD錠10mg 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/400093_4490019F1028_2_21.pdf))。
エバスチンとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
エリスロマイシン エリスロシン
イトラコナゾール イトリゾール
リファンピシン アプテシン

この中では一般の方でも比較的使用する可能性があるエリスロマイシンに関してはエバスチンの代謝物の血中濃度を上昇させ、効果が強く出る可能性が指摘されています。イトラコナゾールも同様に血中濃度の上昇、リファンピシンについては逆に血中濃度の低下の可能性が考えられています。
いずれも服用している場合は医師、薬剤師に伝えておくようにしましょう。

エバスチンの薬価

エバスチンのジェネリック医薬品の薬価はエバスチン錠10mgで41.6〜54.2円、エバスチン錠5mgで26.8〜41.1円とされており、メーカーによって薬価が異なります。
なお、エバスチンの先発医薬品であるエバステルでは、エバステル10mgで91.7円、エバステル錠5mgで69.5円とされており、いずれもエバスチンのジェネリック医薬品を使用した方が経済的と言えます。

エバスチンの市販、otcでの購入

エバスチンの成分はOTC薬として市販でも買うことができます。
市販の代表的な製品としてエバステルALが販売されています。
処方薬のエバスチン先発薬であるエバステルと市販薬のエバステルALの違いとして、市販薬のエバステルALでは鼻炎症状のみに適応があり、蕁麻疹などの皮膚の症状に対しては効能効果がありません。

エバステルAL 効能・効果
花粉,ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻水,鼻づまり,くしゃみ

エバステルAL 添付文書

市販薬のエバステルALも処方薬のエバスチン製剤と全く同じ成分が含まれているため、実際には蕁麻疹などのへの効果も期待できますが、基本的には蕁麻疹や皮膚のかゆみについては、医師の診断を受けて処方薬を処方してもらうようにしましょう。
また、市販のエバステルALの成分量は、1錠あたりエバスチンを5mg含んでいます。処方薬のエバスチン製剤では成分を5mg含んだものの他に10mg含んだ錠剤もあり、1日10mgを使用するケースも多いですが、市販のエバステルALはあくまで1日5mgまでです。このように市販のエバステルALには用量の違いもあり、高用量を使用できるのは医師の診断の基づいて処方される処方薬のみとなっています。
価格に関しては、エバステルALの6錠入りがメーカー希望小売価格で1400円、12錠入りが2000円とされています。
診察料や調剤料がかかるため、単純に処方薬とは比較できませんが、一般的に1割〜3割負担となる処方薬と比較し、市販薬のはかなり割高という印象になります。
市販のエバステルALを使用するのはあくまで一時的な位置付けとし、慢性的な鼻炎などで使用する場合には定期的に医師の診断を受けながら処方薬を処方してもらうのが、安全面でも経済面でも合理的と言えます。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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