テノーミンの特徴、効果、副作用、使い方、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、メインテートとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。
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テノーミンの特徴
テノーミンはアテノロールを成分・一般名とする高血圧、狭心症、不整脈に対して効果がある薬です1)。
テノーミンの特徴として、1日1回の使用で効果があり、いわゆるβ遮断薬の中でもβ1に対して比較的高い選択性を持ったβ遮断薬とされています。
テノーミンにはアテノロールの成分を50mg含むテノーミン錠50と25mg含むテノーミン錠25があります。
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンは不整脈薬として使用する場合はハイリスク薬に該当
テノーミンは使用する目的の応じてハイリスク薬(特定薬剤)に該当する薬剤です。ハイリスク薬は、副作用や取り扱いに特に注意が必要であり、特に安全管理が必要な医薬品です。
テノーミンを不整脈の治療薬として使用する場合はハイリスク薬に該当することになり、特定薬剤管理指導加算の対象となります。
テノーミンの効果
テノーミンは高血圧、狭心症、不整脈に対して効果がある薬です。
テノーミンの効能効果の詳細は以下の通りです。
本態性高血圧症(軽症~中等症)
狭心症
頻脈性不整脈(洞性頻脈、期外収縮)テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの作用機序
テノーミンの作用機序は交感神経のβ受容体遮断作用によるものです。
β受容体には主に3種類あり、β1、β2、β3と分類されます。この中でβ1が主に心臓にあり、β2は血管平滑筋や気管支平滑筋にあります。
β1を阻害すると心臓の働きを抑えることができ、脈拍を抑え、結果として不整脈や狭心症、高血圧の治療につながります。
一方、β2を阻害すると気管支の拡張が阻害され、喘息発作を誘発するような可能性もあります。
テノーミンはβ遮断薬の中でも比較的β1に対して高い選択性を持っており、副作用が抑えられている薬の一つです。
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの効果時間と半減期
テノーミンの成分であるアテノロールはし1日1回の連投与により24時間にわたって安定した降圧作用を示すことが確認されており1)、1日1回の使用で1日中効果が持続する薬です。
テノーミンの薬物動態に関して、半減期は50mgを使用した場合は10.8±2.7hr、25mgを使用した場合は7.88±3.52 hrとなっています。
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの効果は58.4%〜84.9%の有効率
テノーミンの効果は実際の患者さんに対する臨床試験によって確認されています。
高血圧に対しては59.9%の有効率、狭心症に対しては61.7%、不整脈のうち期外収縮に対しては58.4%、洞性頻脈に対しては84.9%の有効率であったことが確認されています1)。
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの使い方
テノーミンは通常1日1回、1錠(テノーミン25の場合は2錠)を使用するのが一般的な使い方となります。
テノーミンの用法用量の詳細は以下の通りです。
テノーミン錠50の場合:
通常成人には1錠(アテノロールとして50mg)を1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により、適宜増減できるが、最高量は1日1回2錠(100mg)までとする。
テノーミン錠25の場合:
通常成人には2錠(アテノロールとして50mg)を1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により、適宜増減できるが、最高量は1日1回4錠(100mg)までとする。テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの副作用
テノーミンの主な副作用は徐脈1.57%、徐脈を含む心拍数心リズム障害1.69%、めまいなどの中枢神経系障害0.84%、倦怠感などの一般的全身障害0.65%とされています1)。
テノーミンで徐脈の副作用が起きる理由はテノーミンの作用機序であるβ遮断によるものです。β遮断の作用を発揮することにより、心臓の働きを抑制するため、結果として脈が遅くなり徐脈の副作用につながることがあります。
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
テノーミンの飲み合わせ
テノーミンは他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)。
併用注意が必要なものは以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
交感神経系に対し抑制的に作用する他の薬剤 レセルピン、β遮断剤(チモロール等の点眼 剤を含む)等 |
アポプロン、アーチスト |
血糖降下剤 インスリン、トルブタミド、アセトヘキサミド 等 |
アマリール、ジャヌビア |
カルシウム拮抗剤 ベラパミル、ジルチアゼム、ニフェジピン等 |
ワソラン、ヘルベッサー、アダラート |
クロニジン | カタプレス |
クラスI抗不整脈剤 ジソピラミド、プロカインアミド、アジマリン等 クラスIII抗不整脈剤 アミオダロン等 |
アンカロン、リスモダン |
麻酔剤 セボフルラン等 |
|
ジギタリス製剤 | ジゴキシン |
非ステロイド性抗炎症剤 インドメタシン等 |
ロキソニン、ブルフェン |
交感神経刺激剤 アドレナリン等 |
|
フィンゴリモド | イムセラ |
1) テノーミン錠50/テノーミン錠25 添付文書
これらの薬の中で比較的多くの人に該当する可能性があるのがロキソニン、ブルフェンなどの非ステロイド性抗炎症剤です。併用注意とされている理由はテノーミンの降圧作用が弱くなる可能性があります。併用注意のため、絶対に使用できないというわけではありませんが、自己判断で使用することはやめましょう。
テノーミンを使用している場合は必ずその旨を医師や薬剤師に伝えておきましょう。
テノーミンの薬価、ジェネリック
テノーミンの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価はテノーミン錠25で1錠あたり50.6円、テノーミン錠50で85.4円となっています。
なお、テノーミンにはジェネリック医薬品が販売されており、アルセノール、アルマイラー、クシセミン、テノミロール、アテノロールの製品名で販売されています。薬価は1錠あたり25mg錠で5.8円、50mg錠で5.9円とされており、テノーミン錠よりも安価で手に入ります。
テノーミンの市販での購入
テノーミンの成分であるアテノロールは市販薬の成分としては販売されておらず、市販では購入できません。
一般的にテノーミンのような循環器に影響を与えるような薬は市販で購入することはできないため、必ず医師の診察を受けて処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
テノーミンとメインテートの違い
テノーミンと比較的近い効果がある薬にメインテートがあります。
メインテートとテノーミンではメインテートの方がよりβ1選択性が高いとされています2)。
2) メインテート 添付文書
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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