ムコスタとムコスタ点眼液の授乳中、妊婦・妊娠中の使用|授乳や妊娠への影響、胃痛に使う胃薬の使用について

ムコスタ、ムコスタ点眼について、授乳中、妊婦・妊娠中の使用について確認していきます。

ムコスタ、ムコスタ点眼の特徴|胃痛などに使う胃薬とドライアイに使う目薬|ロキソニンとの併用も

ムコスタはレバミピドを成分として含む薬剤であり、錠剤や顆粒の飲み薬は胃潰瘍や胃炎、目薬はドライアイに効果が認められている薬です((ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180078_2329021D1020_1_10.pdf))((ムコスタ点眼液UD2% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180078_1319760Q1029_1_05.pdf))。
ムコスタの飲み薬の特徴は胃粘膜の炎症を制御し、粘膜機能を改善する点であり、作用も穏やかな分、特徴的な副作用もなく使いやすい薬のひとつです。ロキソニンをはじめとした胃を荒らす解熱鎮痛剤と併用されることも多く、一般の人でも比較的馴染みのある薬です。
また、同じ成分を含む目薬としてムコスタ点眼液も販売されており、こちらはドライアイの治療薬として用いられています。

ムコスタ、ムコスタ点眼の授乳中の使用

ムコスタ、ムコスタ点眼液はいずれも授乳中の使用に関して、製薬会社からはムコスタを使用する場合は授乳を避けるよう注意喚起されています。

授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。]

ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% 添付文書
ムコスタ点眼液UD2% 添付文書

上記のような注意喚起がされている理由として、動物実験においてムコスタの成分が乳汁中に移行することが報告されており、授乳への影響を考慮したためと考えられます。

ムコスタの授乳中の使用に関する専門機関の見解は

上記の通り、製薬会社からはムコスタ、ムコスタ点眼の授乳中の使用は注意喚起されていますが、専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、乳児への有害事象の報告が見当たらず使用可能と考えられる、という見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

ヒト母乳への移行データがない。授乳による乳児への有害事象の報告が見あたらず、授乳婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

ムコスタ、ムコスタ点眼を実際に授乳中に使用するかは、最終的には処方医の先生の判断となります。ムコスタ、ムコスタ点眼に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

ムコスタで授乳を中止した際の再開する時間は

ムコスタの飲み薬に関して、処方医の先生がムコスタ使用中の授乳中止を判断した場合、授乳を再開する時間に関しても先生に確認しておくようにしましょう。
参考になるデータとして、ムコスタの薬物動態のデータがあり、ムコスタの飲み薬は薬物の血中の濃度が半分になる時間である半減期(t1/2)が約2時間となっています((ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180078_2329021D1020_1_10.pdf))。体内から薬がなくなる目安が半減期の4〜5倍とされているため、ムコスタの飲み薬の服用から10時間程度経てばムコスタの成分は体内にほとんど残っていないと考えられます。ただし、上記は血中濃度の指標であり、乳汁中のデータとは異なる点は注意が必要です。ヒトでのデータでなく、動物実験のデータとなりますが、分娩後 10 日前後の哺育中ラットにムコスタの成分を使用した結果、乳汁中濃度は同時に測定した血漿中濃度より高く、投与後 2 時間では3.5倍、8時間では6.3倍、投与後24時間以降はいずれも検出限界以下であった((ムコスタ点眼液UD2% インタビューフォーム
http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/180078_1319760Q1029_1_005_1F))、とされています。この点から1日以上空けるのがより安全とも考えられます。
また、ムコスタ点眼に関しては半減期が11時間程度と飲み薬よりも長い半減期となりますが((ムコスタ点眼液UD2% 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/180078_1319760Q1029_1_05.pdf))、ムコスタ点眼液はそもそも血中に移行する濃度が極端に低く、乳汁中へ移行したとしても非常に少量であると考えらます。一般的にムコスタ点眼で授乳を避ける必要性は低いと考えられますが、処方医の先生の指示を優先するようにしましょう。
 

ムコスタ、ムコスタ点眼の妊婦・妊娠中の使用

ムコスタ、ムコスタ点眼液はいずれも妊婦・妊娠中の使用に関して、治療上のメリットが危険性を上回る場合に使用するとされており、実際に使用するかは処方医の先生の判断となります。

妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% 添付文書
ムコスタ点眼液UD2% 添付文書

上記のような注意喚起がされている理由として、ムコスタの飲み薬、ムコスタ点眼液ともに妊婦に使用した経験がないためとされています。
参考になる動物実験のデータとして、妊娠ラットにムコスタの成分であるレバミピドを経口投与したときの胎盤通過性試験では、投与後15分の胎児への分布は母体血漿中濃度に比較して約10%であり、その消失は速やかであった((ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/180078_2329021D1020_1_014_1F))、とされており、実際の影響は限定的と想定されます。
また、妊娠前、妊娠初期のラットに対する生殖発生毒性試験においても、特別なリスクは確認されておらず((ムコスタ錠100mg/ムコスタ顆粒20% インタビューフォーム http://www.info.pmda.go.jp/go/interview/1/180078_2329021D1020_1_014_1F))、この点からも妊娠中のムコスタの使用に関する特別なリスクは少ないと考えられます。

ムコスタの妊婦・妊娠中の使用に関する専門機関の見解は

上記の通り、製薬会社からはムコスタ、ムコスタ点眼の妊婦・妊娠中の使用は注意喚起されていますが、専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、リスクを示唆するデータがないため、妊婦に使用可能と考えられる、という見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

動物及びヒトでの催奇形性を示唆するデータなし。妊婦に使用可能と考えられる。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

また、その他の見解として、虎の門病院「妊娠と薬」相談外来における相談事例では、「限られた情報ではあるが、本剤暴露群の児の出産結果は国内における自然奇形発生率を上回る変化とは考えられない」と結論付けています((株式会社じほう 実践 妊娠と薬 第2版))。
ムコスタ、ムコスタ点眼を実際に妊婦・妊娠中に使用するかは、最終的には処方医の先生の判断となります。ムコスタ、ムコスタ点眼に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中、妊娠している可能性がある旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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