アシノンの効能効果、副作用|唾液の分泌や飲み合わせ、市販での購入も

アシノンについて、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。

アシノンの特徴

アシノンはニザチジンを成分として含み、胃痛などの症状が現れる各種疾患の、胃潰瘍、逆流性食道炎、胃炎などに対して効果がある薬です((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書))。胃酸を抑える薬の中でもH2ブロッカーに分類される薬であり、市販薬でも有名なガスターなどと同じグループに分類されます。
アシノンの特徴は、他のH2ブロッカーと同様の酸分泌抑制作用に加え、消化管運動促進作用ならびに唾液分泌促進作用を示す点が挙げられます((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg インタビューフォーム))。
アシノンにはニザチジンの成分を75mg含むアシノン錠75mgと、150mgの成分量のアシノン錠150mgの2種類があり、それぞれ効能効果が異なるという特徴もあります。

アシノンの効能効果|胃痛などを引き起こす疾患に

アシノンは150mg錠は、胃痛など症状を引き起こす各種疾患、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎に対して効果があり、75mg錠ではこれに加え、急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪に対しても効能が認められています。
アシノンの効能効果の詳細は以下の通りです。


75mg
150mg
胃潰瘍,十二指腸潰瘍,逆流性食道炎
下記疾患の胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善
急性胃炎,慢性胃炎の急性増悪期

アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書


アシノンの作用機序|唾液の分泌作用も

アシノンの主な作用機序はH2受容体と呼ばれる胃酸分泌を促進する受容体の阻害によるものです。
胃ではヒスタミンなどの物質により胃酸が分泌されます。アシノンはヒスタミンが結合するH2受容体を阻害することで胃酸が出ることを抑える作用があります。
また、アシノンには唾液の分泌促進作用がある点も特徴の一つです。

アシノンの効果時間

アシノンの効果時間は健康人男子を対象とした検討で確認されています。
アシノンの夜間酸分泌抑制作用を検討した結果は、寝前1回150mg経口投与により薬剤投与後1~9時間の夜間8時間の総酸分泌量は89.8%抑制され、酸分泌抑制作用(抑制率80%以上)は8時間持続することが認められた((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg インタビューフォーム))、とされています。
この点から、アシノンは使用後1時間程度から効果があり、8時間以上効果が持続することが想定されます。

アシノンの臨床成績

アシノンの実際の患者さんに対する効果は、各種臨床試験によって確認されています。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対しては、1回150mg1日2回投与の臨床試験では胃潰瘍8週時及び十二指腸潰瘍6週時の自他覚症状改善率(中等度改善以上)は97.7%、98.0%であり、内視鏡判定による治癒率は82.0%、87.8%、内視鏡判定及び自他覚症状を総合的に勘案した全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ95.7%、95.6%であったとされています。
逆流性食道炎に対しては、一般臨床試験において8週時の自他覚症状改善率(中等度改善以上)は、94.7%であり、内視鏡判定による治癒率は77.8%、内視鏡判定及び自他覚症状を総合的に勘案した全般改善率(中等度改善以上)は97.2%であったとされています。
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期に対しては、一般臨床試験及び二重盲検比較試験において、2週時の自他覚症状改善率(中等度改善以上)は87.1%であり、内視鏡判定による改善率(中等度改善以上)は80.1%、内視鏡判定及び自他覚症状を総合的に勘案した全般改善率(改善以上)は83.8%であったとされています((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書))。

アシノンの使い方

アシノンは使用する疾患によって使い方が変わる薬剤です。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎では150mg錠を1日2回、朝食後、就寝前に使用、胃炎では75mg錠を1日2回、朝食後、就寝前に使用するのが一般的な使い方です。また、逆流性食道炎では150mg錠を1日1回2錠、就寝前に使用する使い方もあります。


胃潰瘍,十二指腸潰瘍
通常,成人にはニザチジンとして1回150mgを1日2回(朝食後,就寝前)経口投与する。また1回300mgを1日1回(就寝前)経口投与することもできる。なお,年齢,症状により適宜増減する。
逆流性食道炎
通常,成人にはニザチジンとして1回150mgを1日2回(朝食後,就寝前)経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。
下記疾患の胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善
急性胃炎,慢性胃炎の急性増悪期
通常,成人にはニザチジンとして1回75mgを1日2回(朝食後,就寝前)経口投与する。なお,年齢,症状により適宜増減する。

アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書


アシノンの副作用

アシノンの副作用として、総症例14,592例中主な副作用は発疹・皮疹等の過敏症状0.22%,便秘0.14%,下痢0.09%、臨床検査値では、肝機能異常0.14%〔ALT(GPT)上昇0.05%,AST(GOT)上昇0.02%,γ-GTP上昇0.02%等〕等がみられた((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書))、とされています。
全体的にあまり頻度が高い副作用は少なく、使いやすい薬の一つと言えます。

アシノンの飲み合わせ

アシノンには併用禁忌でないものの、飲み合わせに注意が必要なものがいくつかあります((アシノン錠75mg/アシノン錠150mg 添付文書))。
アシノンとの飲み合わせに注意が必要な薬(併用注意薬)は以下の通りです。

成分名等 代表的な薬剤
ゲフィチニブ イレッサ
合成抗菌剤
プルリフロキサシン
スオード
硫酸アタザナビル レイアタッツカプセル

上記の薬剤はいずれもアシノンと併用すると濃度が低下する可能性があるため、作用が低下する可能性があります。使用している薬がある場合は必ず医療機関に申し出るようにしましょう。

アシノンの薬価、ジェネリック

アシノンの2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は150mg錠で1錠あたり33.0円、75mg錠で20.9円となっています。
アシノンにはジェネリック医薬品が販売されており、150mg錠ではニザチジン錠150mg「YD」の製品名で販売されています。薬価は12.2円であり、アシノン錠150mgよりも安価となっています。また、剤型が異なりますがニザチジンを150mg含んだカプセル剤も各種販売されており、ニザチジンカプセル150mg、ニザノンカプセル150の名称で販売されています。薬価は12.2〜23.1円となっており、こちらもアシノン錠150mgよりも安価となっています。
アシノン錠75mgの錠剤のジェネリック医薬品は販売されていませんが、剤型違いのカプセルではニザチジンカプセル75mg、ニザノンカプセル75の名称で販売されています。薬価は9.9〜15.2円となっており、アシノン錠75mgよりも安価となっています。

アシノンの市販での購入

アシノンの成分であるニザチジンは市販でも購入できる成分であり、市販薬として販売されている成分となります。
ニザチジンの成分を含む代表的な市販薬はアシノンZであり、処方薬と同じくゼリア新薬が販売している製品となります。
市販薬のアシノンZにはカプセル、錠剤、液剤の3種類があり、それぞれ1カプセル、1錠、1回量がニザチジン75mgのため、処方薬のアシノン錠75mgを1錠使用した場合と同様の効果が期待できます。
ただし、市販薬のアシノンZの効能効果は「胸やけ,むかつき,胃痛,もたれ」とされており、これ以外の症状では使用しないようにしましょう。
 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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