スリノフェンの効能、頭痛や生理痛、歯痛に対する効果、ロキソニンとの違い、授乳中の使用、眠気などの副作用、飲酒の影響などについて解説していきます。
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スリノフェンの特徴とロキソニンの違い
スリノフェンはロキソプロフェンという解熱鎮痛成分を主成分とする解熱鎮痛薬です。非ステロイド性抗炎症薬というグループに分類され、スリノフェンは比較的強い効果を発揮し、副作用も少ない非常に使い易い薬の一つです。スリノフェンは錠剤の飲み薬で、ロキソプロフェンの成分が1錠中60mg含まれています。
同じロキソプロフェンを成分として含む薬の代表的な製品にロキソニンがあります。スリノフェンとロキソニンとの違いは①ジェネリック医薬品と先発医薬品の違い、②薬の価格である薬価の違い、③販売されている剤型の違い、④含まれる添加物の違い、などがあります。
①はスリノフェンはロキソニンのジェネリック医薬品です。従って②の薬価はロキソニンの1錠15.9円に対し、スリノフェンは1錠9.6円であり、スリノフェンの方が安価で買えます。③はスリノフェンがスリノフェン錠60mgだけであるのに対し、ロキソニンは錠剤以外にも細粒の他、テープ、パップ、ゲンなど外用剤も販売されています。④はスリノフェン錠60mgとロキソニン錠60mgの同じ錠剤でも含まれている添加物に若干の違いがあり、人によっては使用感が異なると感じる可能性もあります。
しかし、スリノフェンとロキソニン錠60mgの比較に限っては、その使い方や効能効果に違いはなく、基本的には同じ効果が期待できる薬と言えるでしょう。
比較項目 | スリノフェン | ロキソニン |
先発/ジェネリック | ジェネリック | 先発 |
薬価(円) | 9.6 | 15.9 |
剤型 | 錠剤のみ | 錠剤、細粒、テープ、パップ、ゲル |
添加物 (錠剤) |
三二酸化鉄,ステアリン酸マグネシウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,トウモロコシデンプン,乳糖水和物 | 低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、三二酸化鉄、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム |
スリノフェンの効能と生理痛や頭痛、歯痛などに対する効果
スリノフェンは歯痛や腰痛、肩こり(頸肩腕症候群)、風邪をひいたとき(上気道炎)の熱や痛みに対して効能があります。スリノフェンの効能及び効果の詳細は以下の通りです。
1.下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ,変形性関節症,腰痛症,肩関節周囲炎,頸肩腕症候群,歯痛
通常,成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg,1日3回経口投与する.頓用の場合は,1回60~120mgを経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい.
2.手術後,外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎
通常,成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mg,1日3回経口投与する.頓用の場合は,1回60~120mgを経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい.
3.下記疾患の解熱・鎮痛
急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)
通常,成人にロキソプロフェンナトリウム(無水物として)1回60mgを頓用する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.ただし,原則として1日2回までとし,1日最大180mgを限度とする.また,空腹時の投与は避けさせることが望ましい.スリノフェン錠60mg 添付文書
用法用量は、上記の通り通常は1回1錠使うケースが多いですが、歯痛などの痛みに対して屯用(症状が出ているときに使用)の場合は2錠まで使用できることがあります。この点は医師からの指示に従うようにしましょう。
また、頭痛や生理痛に関してはスリノフェンの効能効果には明記されていませんが、その作用機序からは頭痛や生理痛に対しても効果があると考えられます。スリノフェンの成分であるロキソプロフェンはシクロオキシゲナーゼという酵素を阻害することによって痛みや熱の元となるプロスタグランジンという物質の産生を阻害します。この作用によってスリノフェンは解熱鎮痛作用を発揮しますが、頭痛や生理痛においてもプロスタグランジンが関連しており、同様に効果があると考えられます。
なお、市販薬でロキソプロフェンを成分として含んでいるロキソニンSなどはその効能効果として頭痛や生理痛が明記されています。
○頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・腰痛・関節痛・神経痛・筋肉痛・肩こり痛・耳痛・打撲痛・骨折痛・ねんざ痛・外傷痛の鎮痛
○悪寒・発熱時の解熱ロキソニンS 添付文書
スリノフェンの副作用と眠気
スリノフェンの主な副作用は胃荒れ(胃部不快感)、腹痛、吐き気、食欲不振などの消化器症状と、むくみや皮膚症状とされています。特に胃荒れなどに関してはNSAIDsに共通した副作用であり、食後での使用、多めの水での使用、ムコスタなどの胃粘膜保護薬との併用である程度対処することが可能です。
その他にも眠気の副作用も報告されています。しかし、一般に言われている眠くなる成分はスリノフェンには含まれておらず、眠気がでる頻度は非常に低いと言えます。スリノフェンの先発医薬品であるロキソニンでは眠気の副作用の頻度は0.1%とされており1) ほとんど起きないと考えられるため、あまり心配する必要はないでしょう。
1) ロキソニン錠60mg 添付文書
スリノフェンの授乳中の使用
スリノフェンは授乳中の使用は推奨されておらず、「授乳中の女性に投与することを避け,やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること」と注意喚起されています2)。
ただし、実際には授乳中でも処方されるケースもあり、医師が授乳中である旨を知った上で処方することを判断した場合は使用しても問題ないでしょう。
なお、スリノフェンの先発医薬品であるロキソニンのメーカーからの情報では、ロキソニンを飲んでから母乳中のロキソニンの濃度を確認した結果、ロキソニンの濃度は検出できないくらい少量だったという報告があり3)、実際は授乳中に服用してもほとんど影響がないことが予想されます。
2) スリノフェン錠60mg 添付文書
3) ロキソニン錠60mg インタビューフォーム
スリノフェンと飲酒|アルコールの影響は?
スリノフェンとアルコールでは相互作用の注意喚起はされておらず、スリノフェンは飲酒の影響も受けにくいと考えられます。
しかし、基本的に薬とアルコールの飲み合わせは良いものではなく、飲酒することで薬の効果が強く出てしまったり、副作用が出やすくなるようなことが薬によってはあるとされています。
スリノフェンに関してもアルコールによって思わぬ作用が引き起こされる可能性もありますので、スリノフェンを使用する時は極力飲酒を避ける、薬と飲酒の時間をなるべく空けるなど心がけましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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