ソレトン錠80について、特徴、効果、使い方、副作用、飲み合わせ、授乳中・妊娠中の使用、薬価、ジェネリック、市販での購入、カロナールとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。
Contents
ソレトンの特徴
ソレトン錠80はザルトプロフェンを成分とし、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類される解熱鎮痛薬の一つです。
関節リウマチ、腰痛症、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)などの痛みに使用される痛み止めです1)。
NSAIDsの一般的な作用であるプロスタグランジン生合成阻害の他に、ブラジキニンを強く抑える作用も確認されており2)、痛みに対して非常に強い効果が期待できるという特徴があります。
また、比較的COX-2選択性質が高く、消化管障害の副作用が少ないことが想定される薬です3)。
1) ソレトン錠80 添付文書
2) ソレトン錠80 インタビューフォーム
3) 医学書院 Pocket Drugs 2017
ソレトンの効果
ソレトン錠80は関節リウマチ、腰痛症、肩関節周囲炎(五十肩)、頸肩腕症候群(肩こり)などの痛み止めとして効果がある薬です。
ソレトンの効能効果の詳細は以下の通りです。
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群
手術後、外傷後並びに抜歯後の消炎・鎮痛ソレトン錠80 添付文書
ソレトンの作用機序
ソレトン錠80の主な作用機序はプロスタグランジン生合成の抑制です1)。
ソレトンはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害し、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の生合成を阻害することによって鎮痛効果がもたらされます。
また、ソレトンにその他に発痛物質であるブラジキニンを抑制する効果も確認されており、この作用は痛み止めの定番であるロキソニンやボルタレンの成分よりも強いことが確認されています2)。
1) ソレトン錠80 添付文書
2) ソレトン錠80 インタビューフォーム
ソレトンの効果は26.9〜98.1%の改善
ソレトン錠80の効果は実際の人に対する臨床試験によって有効性が確認されています。
代表的な疾患に対する有効性として、やや改善以上の割合は、関節リウマチに対して54.8%、腰痛症に対して87.5%、肩こり(頸肩腕症候群)に対して85.6%、抜歯後の痛みに対して98.1%など有効性が挙げられます1)。
疾患名 | 改善以上(%) | やや改善以上(%) |
関節リウマチ | 90/334 (26.9) |
183/334 (54.8) |
変形性関節症 | 144/229 (62.9) |
193/229 (84.3) |
腰痛症 | 120/168 (71.4) |
147/168 (87.5) |
肩関節周囲炎 | 71/120 (59.2) |
93/120 (77.5) |
頸肩腕症候群 | 81/118 (68.6) |
101/118 (85.6) |
手術後・外傷後 | 173/210 (82.4) |
202/210 (96.2) |
抜歯後 | 195/214 (91.1) |
210/214 (98.1) |
- 1) ソレトン錠80 添付文書
ソレトンの使い方
ソレトン錠80は通常、1回に1錠、1日3回使用します。なお、症状が出た時に使用する頓服の場合は、1回に1〜2錠を使用します。
ソレトンの効能効果の詳細は以下の通りです。
通常、成人に1回1錠(ザルトプロフェンとして80mg)、1日3回経口投与する。
頓用の場合は、1回1~2錠(ザルトプロフェンとして80~160mg)を経口投与する。ソレトン錠80 添付文書
ソレトンの副作用
ソレトン錠80の主な副作用は、胃不快感、胃痛、嘔気、下痢、胸やけ等の消化器症状(3.48%)、発疹、皮疹等の過敏症(0.45%)などとされています1)。
胃腸障害や胃部不快感などはソレトンのシクロオキシゲナーゼ(COX)阻害作用のうち、COX-1を阻害することによってもらたらせると考えられています。COX-1は胃粘膜保護に関連しているため、COX-1を阻害すると胃荒れを引き起こすことにつながります。
なお、薬の副作用の定番と言える眠気に関しては、ソレトンでは0.09%の頻度とされており2)、実際に経験することはあまりないと言えます。ソレトンの成分はいわゆる眠気を引き起こす成分とは言えないため、基本的には眠気に関する心配は必要ないでしょう。
1)ソレトン錠80 添付文書
ソレトンの飲み合わせ
ソレトン錠80は他の薬との飲み合わせに関して、併用に注意が必要な薬がいくつかあります1)。
併用注意が必要なものは以下の通りです。
成分名等 | 代表的な薬剤 |
ニューキノロン系抗菌剤(エノキサシン等) | クラビット、ジェニナック |
クマリン系抗凝血剤 (ワルファリン等) |
ワーファリン |
スルホニル尿素系血糖降下剤 (トルブタミド等) |
アマリール、オイグルコン、グリミクロン |
チアジド系利尿剤 (ヒドロクロロチアジド等) |
ヒドロクロロチアジド、フルイトラン |
リチウム製剤 (炭酸リチウム) |
リーマス |
メトトレキサート | リウマトレックス |
上記の中で比較的注意が必要なものとして、ニューキノロン系抗菌剤が挙げられます。ニューキノロン系抗菌剤は特別な疾患を持っていない場合でも、膀胱炎や気管支炎、副鼻腔炎などの急性疾患で一般の人でも使用するケースがあります。ニューキノロン系抗菌剤との併用で注意が必要な理由として、まれに痙攣を誘発することが指摘されているためです。ソレトンを使用している場合に他のクリニックにかかる場合などは、必ずソレトンを使用している旨を医師や薬剤師に伝えておくようにしましょう。
1) ソレトン錠80 添付文書
ソレトンの授乳中・妊娠中の使用
ソレトン錠80は授乳中、妊娠中の使用についてそれぞれ注意喚起されています。
ソレトンの授乳への影響
ソレトン錠80の授乳中の使用は、製薬会社からは避けることが望ましいとされており、授乳中に使用する場合は授乳を注意するよう注意喚起されています。
授乳婦への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]ソレトン錠80 添付文書
その理由として、ソレトンの成分は母乳中に移行することが確認されています。
(3)乳汁への移行性:
該当資料なし
〈参考〉
乳汁中への移行性(ラット)
授乳中のラットに 14C 標識ザルトプロフェンを 2mg/kg 単回経口投与した結果、乳汁中放射能濃度は投与 2 時間後に最高値(母獣全血中放射能濃度の約 1/2)を示し、それ以降の消失はほば母獣の全血中放射能濃度の消失と平行していた。ソレトン錠80 インタビューフォーム
実際に授乳中にソレトンを使用するかは、処方医の先生の判断となります。ソレトンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
ソレトンの妊娠中の使用
ソレトンの妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、実際に使用するかは医師の判断となります。
1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
2.妊娠末期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている。ソレトン錠80 添付文書
ソレトンは動物実験において胎盤関門の通過性が確認されていますが、胎児への毒性は特別なものは認められていないとされています。
分布
(2) 血液-胎盤関門通過性
該当資料なし<参考>
胎仔の組織内濃度(ラット)
妊娠 17 日目のラットに 14C 標識ザルトプロフェンを 2mg/kg 単回経口投与した結果、胎児中の放射能濃度は、投与 4 時間後に最高値(母獣血清放射能濃度の約 1/3)を示し、投与 24時間後では 4 時間値の約 1/10 まで低下した。毒性試験
(3) 生殖発生毒性試験
1) 妊娠前・妊娠初期投与試験
ラットに 10、20、 30mg/kg/日の用量で雄には 6 週齢より交配開始までの63 日間と交配期間中、雌には 13 週齢より交配開始までの 14 日間と交配期間中および妊娠 7 日まで経口投与した結果、20mg/kg/日以上の投与で母動物に着床数の減少がみられたが、胎児に異常はみられなかった。2) 器官形成期投与試験
ラットに 10、20、30mg/kg/日の用量で妊娠 7 日より 17 日までの 11 日間経口投与した結果、催奇形性及び新生児の成長・発達に異常はみられなかった。3) 周産期・授乳期投与試験
ラットに10、20、30mg/kg/日の用量で妊娠17日より分娩後21日まで経口投与した結果、20mg/kg/日以上の投与で、一部の母動物に消化管障書に基づく哺育不良がみられたが、新生児の成長・発達に異常はみられなかった。ソレトン錠80 インタビューフォーム
実際に妊娠中にソレトンを使用するかについても、授乳中と同様、処方医の先生の判断となります。ソレトンに限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
ソレトンの薬価、ジェネリック
ソレトン錠80の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1錠あたり17.5円となっています。
なお、ソレトンにはジェネリック医薬品が販売されており、ソレング錠80、ペレトン錠80mg、ザルトプロフェン錠80mgなどの製品名で販売されています。薬価は1錠あたり9.9円とされており、ソレトン錠80よりも安価で手に入るケースがあります。
ソレトンの市販での購入
ソレトンの成分であるザルトプロフェンは市販薬の成分としては販売されておらず、市販では購入できません。
痛み止めを市販で購入したい場合はロキソニンの成分であるロキソプロフェン、それに近い成分であるイブプロフェン、カロナールの成分であるアセトアミノフェンなどを含んだ市販薬が一般的となります。
ソレトンとカロナールの違い
解熱鎮痛薬としてよく使われる薬の一つにカロナールが挙げられます。
ソレトンとカロナールの違いは、痛み止めとしての効果の強さ、解熱剤としての使用の有無、安全性、子供への使用などが挙げられます。
ソレトンはNSAIDsの一つに分類される薬ですが、カロナールは厳密にはNSAIDsとは別の解熱鎮痛薬となります。カロナールには抗炎症作用はほとんどなく、痛み止めとしての強さはカロナールよりもソレトンの方が一般的には強いとされています。また、カロナールは痛み止めの他、解熱剤としてよく使われますが、ソレトンは解熱剤としての効能効果は正式には認められていないという違いもあります。
安全面に関しては、ソレトンよりもカロナールの方が一般的には副作用が少ないとされており、その点からも子供でもよく使われるのはカロナールです。一方、ソレトンは基本的には大人に対して使用される痛み止めと言えます。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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