SG配合顆粒について、その効果、使い方、副作用、妊婦・授乳への影響、飲み合わせ、薬価、ジェネリック、市販での購入などについて添付文書等から解説していきます。
Contents
SG配合顆粒の特徴
SG配合顆粒は風邪をひいたときの解熱や頭痛、生理痛などの痛みに対して使用される解熱鎮痛薬の配合剤です。
その特徴として複数の成分を含み、解熱鎮痛成分のイソプロピルアンチピリンとアセトアミノフェン、鎮静成分のアリルイソプロピルアセチル尿素、鎮痛作用の増強が期待できる無水カフェインの4成分が含まれることにより、効果的な解熱鎮痛作用が期待できます1)。
成分・含量(1g 中)
イソプロピルアンチピリン 150mg
アセトアミノフェン 250mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg
無水カフェイン 50mgSG配合顆粒 添付文書
1) SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の英語表記は
SG配合顆粒の英語表記としては、「くすりのしおり」の英語版において、商品名(Brand name)として、「SG Combination Granules」の表現が用いられています2)。
2) SG配合顆粒 くすりのしおり 英語版
SG配合顆粒の効果
SG配合顆粒は風邪の解熱のほか、頭痛、生理痛(月経痛)、喉の痛み(咽喉痛)、耳の痛み(耳痛)、歯の痛み(歯痛)に対しても効果がある薬です。
SG配合顆粒の効能効果の詳細は以下のとおりです。
感冒の解熱,耳痛,咽喉痛,月経痛,頭痛,歯痛,症候性神経痛,外傷痛
SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の作用機序
SG配合顆粒の作用は、イソプロピルアンチピリンとアセトアミノフェンによる中枢性の解熱鎮痛作用と、アリルイソプロピルアセチル尿素の鎮静作用、カフェインによる脳血管収縮作用によってもたらされます。
薬理作用
1) 解熱鎮痛剤であるイソプロピルアンチピリンとアセトアミノフェンは,体温調節中枢に作用して皮膚血管を拡張し,熱の放散を盛んにして解熱効果を示す。
2) アリルイソプロピルアセチル尿素は穏和な鎮静薬で,痛みに伴う不安,不快感,恐怖心等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和するとともに,鎮痛薬の作用を増強する。
3) イソプロピルアンチピリンとアセトアミノフェンの配合により,鎮痛作用は増強される。
4) カフェインの中枢神経興奮作用は神経機能を活発にして,不快感等の疼痛反応を除去することにより疼痛を緩和し,更に血管性頭痛に対しては脳血管を収縮して鎮痛作用を示す。SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の効果時間
SG配合顆粒の効果発現時間や効果の持続時間に関しては、製薬会社の資料には明記されていませんが3)、個々の成分ごとで確認していくと、解熱鎮痛作用があるアセトアミノフェンは総合感冒薬のPL配合顆粒における成分としても含まれており、外国人のデータとして、1~3時間後から効果が発現し、3~4時間の効果持続時間とされています4)。
3) SG配合顆粒 インタビューフォーム
4) PL配合顆粒 インタビューフォーム
SG配合顆粒の臨床成績
SG配合顆粒の実際の効果は臨床試験によって確認されています。
SG配合顆粒と同じ成分を含む錠剤での臨床試験では、全体の有効率が77.0%、痛みの種類別では、頭痛に対して74.5%、生理痛に対して83.5%、歯痛に対して90.0%であったとされています1)。
1) SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒は偏頭痛(片頭痛)の薬ではない
SG配合顆粒は厳密には偏頭痛(片頭痛)に使用するのは向いていません。
偏頭痛の治療には通常の鎮痛剤よりも頭蓋血管に作用すると考えられているイミグランやマクサルトといった薬が効果的と考えられています。
前述のとおり、SG配合顆粒の効能効果には片頭痛の記載はなく、医師からの特別の指示があるようなケースを除き、自己判断では使用しないようにしましょう。
SG配合顆粒の使い方
SG配合顆粒は通常は1回に1g(1包)を1日に3〜4回使用します。症状が出たときだけ使用する場合は1回に1〜2包使用しますが、連続で使用する場合には最低でも4時間の間隔を空けるように注意喚起されています。
通常,成人1回1g(分包品1包)を1日3~4回経口投与する。
頓用の場合には,1~2g(分包品1~2包)を服用させるが,追加するときは少なくとも4時間以上経過後とする。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
ただし,1日最高4g(分包品4包)までとする。SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の副作用
SG配合顆粒は副作用の頻度が明確になるような調査を実施していませんが、参考になるデータとして同じ成分を含む薬剤のセデス・ハイでの臨床試験における結果があります。その結果では、主な副作用として、眠気が7.9%、「ボーっとする」が4.5%、胃部不快感、倦怠感」が各2.6%とされています3)。
3) SG配合顆粒 インタビューフォーム
SG配合顆粒の一般的な副作用
SG配合顆粒の前述した以外の一般的な副作用として、以下のような副作用が報告されています1)。
種類 | |
過敏症 | 発疹,紅斑,そう痒等 |
血液 | 血小板減少,顆粒球減少,溶血性貧血等 |
肝臓 | 肝機能障害 |
腎臓 | 腎障害 |
消化器 | 悪心・嘔吐,腹痛,食欲不振,腹部膨満感,胃不快感, 便秘,下痢,口内炎等 |
精神神経系 | 眠気,ふらつき,めまい,頭痛,しびれ感等 |
その他 | 発汗,熱感,全身倦怠感,脱力感,肩こり等 |
1) SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の重大な副作用
頻度はごく稀であると考えられるものの、SG配合顆粒の使用で重大な副作用の報告もあります5)。
万が一、以下のような自覚症状を複数重なるような場合はすぐに医師の処置を受けましょう。
重大な副作用 | 主な自覚症状 |
血小板減少 | 鼻血、歯ぐきの出血、あおあざができる、皮下出血、出血が止まりにくい |
溶血性貧血 | からだがだるい、ふらつき、疲れやすい、立ちくらみ、めまい、頭が重い、白目が黄色くなる、動く時の動悸や息切れ、皮膚が黄色くなる、褐色尿 |
中毒性表皮壊死融解症 (TEN) |
からだがだるい、関節の痛み、全身の赤い斑点と破れやすい水ぶくれ(水疱)、発熱、食欲不振 |
皮膚粘膜眼症候群 (スティーブンス-ジョンソン症候群) |
からだがだるい、高熱、発熱、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、食欲不振、赤い発疹、中央にむくみをともなった赤い斑点、陰部の痛み |
急性汎発性発疹性膿疱症 | からだがだるい、高熱、皮膚の広い範囲が赤くなる、赤くなった皮膚上に小さなブツブツ(小膿疱)が出る、食欲不振 |
ショック | 冷や汗、めまい、意識がうすれる、考えがまとまらない、血の気が引く、息切れ、判断力の低下 |
アナフィラキシー | からだがだるい、ふらつき、意識の低下、考えがまとまらない、ほてり、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、息苦しい、息切れ、動悸、じんましん、判断力の低下 |
喘息発作 | ヒューヒュー音がする、息をするときヒューヒューと音がする、息苦しい、息切れ |
間質性肺炎 | 発熱、から咳、息苦しい、息切れ |
間質性腎炎 | 関節の痛み、発熱、頭痛、膨れあがる感じ、血尿 |
急性腎不全 | からだがだるい、からだのむくみ、疲れやすい、意識の低下、頭痛、眼がはれぼったい、息苦しい、尿がでない、尿量が減る |
劇症肝炎 | 発熱、意識がなくなる、意識の低下、考えがまとまらない、頭痛、白目が黄色くなる、吐き気、嘔吐、食欲不振、羽ばたくような手のふるえ、皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる、判断力の低下 |
肝機能障害 | からだがだるい、白目が黄色くなる、吐き気、嘔吐、食欲不振、かゆみ、皮膚が黄色くなる、尿の色が濃くなる |
黄疸 | 白目が黄色くなる、皮膚が黄色くなる、尿が褐色になる |
5) SG配合顆粒 患者向医薬品ガイド
SG配合顆粒の飲み合わせ
SG配合顆粒は飲み合わせに注意が必要な薬は基本的にはありません。
ただし、SG配合顆粒に含まれる成分の一つであるアセトアミノフェンを含む薬との併用は、アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現する可能性があることから、併用を避けるように警告されています1)。
アセトアミノフェンを含む薬として、処方薬ではカロナールやコカール、PL配合顆粒、トラムセットなどが挙げられます。また、アセトアミノフェンは市販薬としても多くの薬に含まれており、代表的な製品は解熱鎮痛薬のタイレノール、総合感冒薬のルルやパブロンシリーズの中でもアセトアミノフェンが含まれる製品があるため、注意が必要です。
また、薬以外でアルコールとの飲み合わせには、アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ肝不全を起こしたとの報告がある、とのことから併用注意とされています1)。
SG配合顆粒を使用中は基本的にアルコールを控えるようにし、どうしても外せないお酒の咳があるような時は予め対処法(その日は薬を使用しない、時間を空けて使用する、など)を医師に確認しておくのが良いでしょう。
1) SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の妊婦、授乳への影響
SG配合顆粒は妊娠中、授乳中では使用に注意が必要となります。
SG配合顆粒の妊娠中の使用は注意が必要
SG配合顆粒は妊娠中の使用に関しては、治療の有益性が危険性を上回る場合のみ使用と注意喚起さており、医師の判断によっては使用できるケースがあります1)。ただし、特に妊娠後期においては動物実験でのリスクも確認されており、特に注意が必要な期間となります。
(1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[動物試験(マウス)でイソプロピルアンチピリンの類似化合物(スルピリン)に催奇形作用が報告されている。]
(2)妊娠後期の婦人へのアセトアミノフェンの投与により胎児に動脈管収縮を起こすことがある。
(3)イソプロピルアンチピリン又はアセトアミノフェンを妊娠後期のラットに投与した試験で,弱い胎児の動脈管収縮が報告されている。SG配合顆粒 添付文書
専門家による見解のひとつとして、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きがあり、この中では危険なデータはないものの他の製剤への変更も検討するという内容です6)。
ヒトでの催奇形性、胎児毒性を示すデータはなし。他剤(アセトアミノフェン)への変更も考える。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
実際に妊娠中にSG配合顆粒を使用するかは処方医の先生の判断が必要です。SG配合顆粒に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) SG配合顆粒 添付文書
6) 愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)
SG配合顆粒を使用する場合は授乳の中止が安全策
SG配合顆粒を授乳中に使用する場合は、その期間は授乳を避けることとされています1)。
授乳中の婦人には,本剤投与中は授乳を避けさせること。[本剤中の成分は母乳中に移行する。]
PL配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の成分は乳汁中に移行することが確認されており、乳児が母乳経由で成分を摂取してしまう可能性があります。ただし、その量は非常に少量であるとも言えます。
乳汁への移行性
1) イソプロピルアンチピリン:該当資料なし
2) アセトアミノフェン 母親に本剤 650 mg を単回投与したとき,乳汁中の濃度は 1 ~ 2 時間後に最高 10 ~ 15 μg/mL となったが,乳児の尿中には未変化体及びその代謝物も検出されなかった。乳汁中の半減期は 1.35 ~ 3.5 時間である。(外国人データ)
3) アリルイソプロピルアセチル尿素:該当資料なし
4) 無水カフェイン:該当資料なし
〔参 考〕 カフェイン 授乳を行っている女性2例に配合鎮痛剤(1錠中,アスピリン454 mg,フェナセチン324 mg, カフェイン 64 mg,コデインリン酸塩 60mg)2 錠を投与したときの母乳中へ移行する割合 は,投与量の 0.66%(12 時間後),2.3%(48 時間後)であった。(外国人データ)PL配合顆粒 インタビューフォーム
実際に授乳中にSG配合顆粒を使用するかは、やはり処方医の先生の判断となります。前述のとおり、実際に乳汁中に移行する薬の成分量は多いとは言えず、先生によってはそのまま授乳を続けても問題ないという判断をするケースも有りえます。妊娠中の使用と同様、SG配合顆粒に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
1) SG配合顆粒 添付文書
SG配合顆粒の薬価とジェネリック
SG配合顆粒の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は1g(1包)あたり10.8円とされています。
また、SG配合顆粒のジェネリック医薬品に該当するような薬はありません。
SG配合顆粒の市販での購入
SG配合顆粒を市販で購入したい場合は、全く同じ成分が含まれているセデス・ハイ、セデス・ハイGが代替薬の候補となります。
セデス・ハイはSG配合顆粒と全く同じ成分が含まれており、1回に2錠を使用することで、SG配合顆粒の1包と全く同じ成分量を摂取することになります。製薬会社も同じ塩野義製薬が製造販売しており、効能効果もほぼ同じ内容になっています。
1錠中の成分と分量
イソプロピルアンチピリン 75mg
アセトアミノフェン 125mg
アリルイソプロピルアセチル尿素 30mg
無水カフェイン 25mgセデス・ハイ 添付文書
効能・効果
頭痛・月経痛(生理痛)・歯痛・神経痛・腰痛・外傷痛・抜歯後の疼痛・咽喉痛・耳痛・関節痛・筋肉痛・肩こり痛・打撲痛・骨折痛・捻挫痛の鎮痛,悪寒・発熱時の解熱
セデス・ハイ 添付文書
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
コメント