ロキソニンテープについて痛みに対する効果、肩こりや腰痛などのへの効果の有無、効果時間、光線過敏症などの副作用の有無、授乳中の使用、薬価やジェネリック医薬品、モーラステープとの比較や併用、通販や市販での販売状況について添付文書などから確認していきます。
ロキソニンテープの新たな副作用、ショック、アラフィラキシーについては以下の記事を参照してください。
ロキソニンテープの新たな副作用にショック、アナフィラキシーのリスク
Contents
ロキソニンテープの特徴と使い方
ロキソニンテープにはロキソニンテープ50mgとロキソニンテープ100mgがあり、大きさがそれぞれ7cm×10cm、10cm×14cmです。
ロキソニンテープに使い方は非常にシンプルであり、「1日1回、患部に貼付する」のみとなっています。
ただし、アスピリン喘息になったことがある方は使用できない、気管支喘息の方は注意が必要とされているので該当する方は必ず医師に伝えておきましょう。
それ以外では大きな注意点はありませんので、処方されたら患部に貼るようにしましょう。
ロキソニンテープは1日1回で効果が確認されている
ロキソニンテープは1日1回の使用とされていますが、この点は実際の患者さんでその有効性が確認されています。
1日1回の使用と1日2回使用の調査ではロキソニンテープの成分について、血中での濃度の推移に差は認められていない点、変形性関節症の患者さんに対して1日1回の使用と1日2回使用での調査では、有効性と安全性が同程度ということが確認されたため、1日1回の使用になった経緯があります1)。
したがって、1日2回を使用しても得られる効果は変わりませんので、必ず1日1回の用法を守りましょう。
1) 菅原幸子 ほか:臨床医薬 2006;22(4):279-292
ロキソニンテープの効果|肩こりや腰痛に対しては
ロキソニンテープの効果はいわゆるひざ関節症である変形性関節症や筋肉痛の痛みに対して有効とされています。効能効果の詳細は以下の通りです。
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg 添付文書
なお、ロキソニンテープは肩こり、腰痛などの痛みについて効能効果には記載外ありません。実際に効くか否かでいうと、その作用機序からは効くことが予想されます。
ロキソニンテープの成分であるロキソプロフェンはシクロオキシゲナーゼという酵素を阻害することによってプロスタグランジンという痛みや熱の原因となる物質の産生を抑制することで痛みや熱に対して効果を発揮します。変形性関節症や筋肉痛を始め、腰痛や肩こりの痛みもこのプロスタグランジンが関与しており、ロキソニンテープでこれらの痛みを抑制することが考えられます。
また、ロキソニンの飲み薬の錠剤では、肩こり(頸肩腕症候群)や、腰痛症が効能効果として記載があります。
ロキソニンテープの効果の有効率は75%〜98%
ロキソニンテープは非常に高い効果が確認されており、疾患によって違いがありますが、75%〜98%の有効率とされています2)。
疾患名 | 改善率 |
変形性関節症 | 75.5% |
筋肉痛 | 80.7% |
外傷後の腫脹・疼痛 | 98.1% |
非常に高い効果が期待出来るので正しい使用方法で効果を最大限に発揮させるようにしましょう。
2) 水谷英樹 ほか:臨床医薬 2010;26(10):727-741
ロキソニンテープの効果時間
ロキソニンテープの効果発現時間は1時間以内、効果持続時間は24時間以上と考えられます。それぞれ詳細を確認していきましょう。
ロキソニンテープの効果発現時間は1時間以内
ロキソニンテープの効き目が出始める時間を調査した結果の一つに、動物のラットに対してロキソニンテープを使用した調査があり、その結果は1時間後には痛みを感じる閾値が上昇していた(痛みを感じにくくなった)とされています3)。
この結果からは、ロキソニンテープの効果発現は貼ってから1時間以内に出ると考えられます。
3) ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg インタビューフォーム
ロキソニンテープは20分で効果が現れるという報告も
他の動物実験ではロキソニンテープを使った20分後にはその効果が確認できたという結果4)もあります。
ラットに筋痛を生じさせ、この痛みに対する鎮痛効果を確認した調査では、ロキソプロフェンテープ(ロキソニンテープ)は貼付後20分後以降、薬を使用していない対照群と比較し、統計学的に痛みの程度に有意な差が出たとされており、テープを貼ってから20分で効果が出たと言える結果です。
また、この調査では同時にモーラステープに当たるケトプロフェンのテープ剤、ボルタレンテープにあたるジクロフェナクのテープ剤も同時に調査しており、ロキソニンテープが最も早く効果が現れたという結果になっています。この結果はロキソニンテープが他のモーラステープやボルタレンテープよりも早く効果がでる可能性を示唆しています。
4) 薬理と治療 38(7):597-601.2010
ロキソニンテープの効果持続時間は24時間以上
ロキソニンテープの効果持続時間の参考になるデータとしてロキソニンの飲み薬と効果を比較した結果があります。
その調査では、ロキソニンテープと1日1回使用した場合と、ロキソニン錠を1日3回使用した場合では痛みに対する効果が変わらなかったという結果が出ています3)。
ロキソニン錠を1日3回使用した場合は1日中鎮痛作用がある場合が多く、これと変わりない結果が得られているということは、ロキソニンテープは1日1回で効果が1日中(24時間以上)持続すると考えられます。
3) ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg インタビューフォーム
ロキソニンテープの副作用
ロキソニンテープは副作用は比較的少ないテープ剤と言えます。
ロキソニンテープの副作用の頻度は3.44%とされており、主なものは、接触性皮膚炎(かぶれ)、そう痒症(かゆみ)、湿疹(しっしん)、紅斑(赤み)、皮下出血などとされています5)。
いずれも皮膚のトラブルであり、基本的にはテープを貼り付けた部位に副作用の可能性があります。
これらの副作用を抑える方法としては、まず貼るときに汗などを拭いたり、貼る部位を清潔にしておくことによって副作用を防げる可能性が上がります。
また、ロキソニンテープは剥がした後もある程度効果が持続すると考えられています。主成分のロキソプロフェンの血中の濃度推移から推測すると、12時間貼り付けてから剥がした場合は、血中の濃度が半分になるまでが26時間後とされており、剥がした後も長く効果が持続することが想定されます。
したがって、肌が弱いなどでテープを貼ることによる皮膚のトラブルが気になる場合は、ロキソニンテープを1日中貼らずに半日程度で剥がしてしまうという方法もあり、その場合でも効果はさほど落ちないと考えられます。ただし、そのような方法をとる場合は、なるべく事前に医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
なお、同じ非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるテープ剤のモーラステープで報告されている光線過敏症の副作用はロキソニンテープでは報告されておらず、その成分の特徴からも光線過敏症は起こらないと考えられます。したがって、ロキソニンテープに関しては日光に普段当たる部分に貼っても問題ないと言えるでしょう。
5) ロキソニンテープ50mg/ロキソニンテープ100mg 添付文書
ロキソニンテープの授乳中の使用
ロキソニンテープの授乳中の使用については、特別な注意喚起はなく、使用してもあまり問題ないと考えられます。
ただし、医師に対しては必ず授乳中であることを伝えておきましょう。
ロキソニンテープは成分自体が体内にはあまり移行しないと考えられ、母乳中にも成分はほとんど移行しないと考えられます。口から飲むロキソニンの飲み薬に関しても、授乳中に使用されるケースもあり、体内に移行しにくいロキソニンテープであればより影響は少ない(ほとんどない)と言えるでしょう。
したがって、医師が授乳中であることを知った上で処方されたロキソニンテープは、授乳中でも問題なく使用できると考えられます。
ロキソニンの授乳中と妊娠中の使用について解説!注意点を確認して安全な使用を!
ロキソニンテープの薬価とジェネリック医薬品
ロキソニンテープの薬の価格である薬価はロキソニンテープ100mgが1枚あたり37.90円、ロキソニンテープ50mgが1枚あたり24.70円となっています。
ロキソニンテープはジェネリック医薬品が販売されており、ジェネリック医薬品に変更するとロキソニンテープ100mgが1枚あたり20円程度、ロキソニンテープ50mgが1枚あたり10円程度安くなる可能性がありますので、ジェネリック医薬品を希望する場合はその意思をクリニックや薬局で伝えましょう。
ロキソニンテープとモーラステープの比較や併用は?
非常によく使われているテープ剤としてロキソニンテープの他にモーラステープがあります。
両者の違いはまず、成分が異なっており効果が異なりますが、どちらの方が効き目を強く感じるかは人よって異なるようです。使用方法は共に1日1回であり、違いはありません。
一番の大きな違いはその適応症です。ロキソニンテープは変形性関節症(ひざ関節症)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛のみであるのに対し、モーラステープは腰痛症をはじめとし、肩関節周囲炎(五十肩)、テニス肘、腱鞘炎、関節リウマチにも使用出来る特徴があります。ただし、モーラステープのデメリットの一つに特徴的な副作用である光線過敏症があります。光線過敏症とはモーラステープを貼っていた部分が、紫外線の影響で腫れてしまうような症状です。モーラステープはこの光線過敏症を防ぐために、剥がした後も1カ月くらいは、貼った部位に紫外線があたらないようにする必要があります。
薬価についてはあまり差がないため、経済面ではどちらも大差がありません。
なお、ロキソニンテープとモーラステープを併用する処方をされるケースもなかにはあるかと思います。作用機序の面からはどちらも同じ作用であり、相乗効果は期待できませんが、成分の特製(光線過敏症の有無など)もあるため、基本的には医師からの指示通りに使用すれば問題ないと言えるでしょう。
ロキソニンテープとモーラステープの違いの比較について、詳細は以下の通りです。
ロキソニンテープ | モーラステープ | |
成分 | ロキソプロフェン | ケトプロフェン |
規格 | 10mg 7cm×10cm、20mg 10cm×14cm | 20mg 7cm×10cm、40mg 10cm×14cm |
適応症 |
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛 変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
|
○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎 ○関節リウマチにおける関節局所の鎮痛 |
使用方法 | 1日1回、患部に貼付する。 | 1日1回患部に貼付する。 |
特徴的な副作用 | 特になし | 光線過敏症 |
薬価 | 24.70円(50mg)、37.90円(100mg) | 26.20円(20mg)、40.10円(40mg) |
ロキソニンテープの市販薬と通販
処方薬の効きがいい場合、市販でも手軽に購入できたらと思いますが、ロキソニンテープに関しては現在市販薬としては販売されていません。基本的には医師からの処方せんが必要となります。
ただし、ロキソニンの錠剤が市販で発売されたように、今後はロキソニンテープと同じ成分のものが市販薬として販売される可能性もありますので、期待して待ちましょう。
市販薬でロキソニンテープと近い成分としてはジクロフェナクやフェルビナクの成分が含まれているテープ剤です。これらは市販薬の中ではかなり効果も強い方であり、人によってはロキソニンテープよりも強い効果を感じるケースもあるため、十分代表品になりうる薬と言えます。
また、ロキソニンテープを通販(個人輸入)で購入するという手段も全くないわけではありませんが、こちらはあまりおすすめできません。理由としては品質面での保証がない点、副作用が出た時の救済が受けられない可能性が挙げられます。また、価格も必ずしも適正でないケースがあります。医師から適切な診察を受けた上で使用するのが有効性・安全性・経済性全てで安心と言えるでしょう。
※2016年8月25日追記
ロキソニンテープの市販薬であるロキソニンSテープが発売されました。詳しくは以下の記事をご参照ください。
ロキソニンSテープが発売|ロキソニンテープの市販薬の効果や効果時間、副作用、価格などについて
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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