フルオメソロン点眼液について特徴、効果、使い方、副作用、市販での購入、フルメトロンとの違いなどについて添付文書等から解説していきます。
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フルオメソロンの特徴
フルオメソロン点眼液はフルオロメトロンの成分を含むステロイドの目薬であり、眼瞼炎や結膜炎などの炎症に対して効果があります((フルオメソロン0.1%点眼液 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530304_1315704Q3045_1_07.pdf))。
フルオメソロン点眼液には成分の濃度の違いにより、フルオメソロン点眼液0.02%、フルオメソロン点眼液0.05%、フルオメソロン点眼液0.1%の3種類の製品があり、効能効果がそれぞれ少し異なります。
フルオメソロン点眼液のよく使われるケースの一つに花粉症などのアレルギー性結膜炎(充血している状態)があり、このようなケースでは通常は抗ヒスタミン薬を使用し、症状が特にひどい場合にフルオメソロン点眼液などのステロイド性点眼液を使うことがあります。このようにフルオメソロン点眼液は比較的症状が強い時でも効果が期待できるという特徴があります。
なお、ステロイド点眼液の中ではフルオメソロン点眼液は比較的作用が穏やかであり、子供でもよく使用されることがある目薬です。フルオメソロン点眼液よりも効果が強いステロイド点眼液ではリンデロンなどがあります。
フルオメソロンはフルメトロンのジェネリック
フルオメソロン点眼液はフルメトロン点眼液のジェネリック医薬品です。
共にフルオロメトロンの成分を含んでおり、フルオメソロンとフルメトロンは基本的に同じ効果が期待出来る薬です。
フルメトロンとフルオメソロンの大きな違いの一つは薬の価格である薬価です。
ジェネリック医薬品であるフルオメソロンの方が薬価が安く設定されており、0.02%製剤はではフルオメソロンが1mLあたり17.6円、フルメトロンが39.5円、0.1%製剤ではフルオメソロンが1mLあたり22.5円、フルメトロンが62.9円となっており、フルオメソロンの方が経済的と言えます。
また、フルオメソロンの特徴として、フルオメソロンのみ0.05%製剤が販売されており、これは先発医薬品のフルメトロンにはない濃度の製剤となります。
フルオメソロンの効果
フルオメソロン点眼液の効果は、結膜炎や眼瞼炎をはじめとした外眼部、前眼部(フルオメソロン0.05、0.1のみ)の炎症性疾患の改善です。
よく使われるケースの一つはアレルギーなどにより充血が起きている状態の結膜炎等です。
フルオメソロン点眼液の効能効果の詳細は以下のとおりです
外眼部の炎症性疾患(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎等)
フルオメソロン点眼液0.02% 添付文書
外眼部及び前眼部の炎症性疾患の対症療法(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症)
フルオメソロン点眼液0.05% 添付文書
外眼部及び前眼部の炎症性疾患(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ブドウ膜炎、術後炎症等)
フルオメソロン点眼液0.1% 添付文書
フルオメソロンの作用機序
フルオメソロン点眼液の作用機序はステロイドにより抗炎症作用です。
炎症は本来は身体において必要な反応の一つですが、過剰な炎症が継続するような場合は身体に負担がかかるケースもあり、そのような場合にステロイドの抗炎症作用は有用となります。
専門的な作用機序ではフルオメソロンの先発医薬品であるフルメトロンの情報が参考となり、フルオロメトロンがマクロファージや白血球などに作用するとリポコルチンという物質が合成され、このリポコルチンが炎症を引き起こす原因となるホスホリパーゼA2という酵素を阻害し、結果として炎症反応が抑制される、とされています((フルメトロン点眼液0.1%/フルメトロン点眼液0.02% インタビューフォーム))。
フルオメソロンの実際の患者さんに対する効果
フルオメソロン点眼液はジェネリック医薬品であるため、実際の患者さんに対する臨床試験の結果などはあまりありませんが、同じ成分を含む先発医薬品のフルメトロン点眼液の臨床試験の結果が参考となります。
フルメトロン点眼液0.02では著効、有効、やや有効を含めた臨床効果は76.3%、フルメトロン点眼液0.1では外眼部疾患に対する著効、有効、やや有効を含めた臨床効果は87.8%、前眼部疾患では81.7%とされています((フルメトロン点眼液0.1%/フルメトロン点眼液0.02% 添付文書))。
フルメトロン点眼液0.02の臨床効果(%)
著効 | 有効 | やや 有効 |
不明/ 無効 |
|
外眼部 疾患 |
7.5 | 48.8 | 20.0 | 23.7 |
フルメトロン点眼液0.1の臨床効果(%)
著効 | 有効 | やや 有効 |
不明/ 無効 |
|
外眼部 疾患 |
15.9 | 49.5 | 22.4 | 12.1 |
前眼部 疾患 |
6.7 | 51.9 | 23.1 | 18.3 |
術後 炎症 |
13.3 | 55.2 | 26.7 | 4.8 |
フルオメソロンの使い方
フルオメソロン点眼液の使い方は1回に1〜2滴を1日に2〜4回(フルオメソロン点眼液0.05%のみ3〜5回)使用します。
フルオメソロン点眼液の用法用量の詳細は以下のとおりです。
用時よく振り混ぜた後、通常1回1~2滴、1日2~4回点眼する。
年齢、症状に応じ、適宜増減する。
フルオメソロン点眼液0.02%/フルオメソロン点眼液0.1% 添付文書
用時よく振り混ぜた後、通常、1回1~2滴、1日3~5回点眼する。
なお、症状により適宜増減する。
フルオメソロン点眼液0.05% 添付文書
フルオメソロンを使用する時はよく振ってから
フルオメソロン点眼液はは懸濁点眼剤であるため、使用する時は振ってから使用する必要があります((フルオメソロン0.1%点眼液 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530304_1315704Q3045_1_07.pdf))。
懸濁液とは個体粒子が液体に分散している状態であり、長時間保存していると個体粒子が均等に分散していない可能性があるため、必ずよく振ってから使用しましょう。
フルオメソロンの副作用
フルオメソロン点眼液は副作用の頻度が高い目薬ではありません。ステロイドと聞くと危険性を心配する人もいるかと思いますが、ステロイドで注意が必要なのは全身に影響を及ぼす飲み薬などであり、点眼液などの局所に作用するものは使い方を誤らなければあまり副作用の心配はいりません。
フルオメソロン点眼液はジェネリック医薬品であるため、副作用の頻度の調査などはあまり実施されていませんが、同じ成分を含む先発医薬品のフルメトロンの副作用頻度が参考となります。
フルメトロン点眼液の副作用の頻度はフルメトロン点眼液0.02で0.04%、フルメトロン点眼液0.1で0.24%とされています((フルメトロン点眼液0.1%/フルメトロン点眼液0.02% 添付文書))。
主な副作用の種類は、フルメトロン点眼液0.02で眼圧上昇(0.03%)、アレルギー性結膜炎の悪化(0.01%)、フルメトロン点眼液0.1で眼圧上昇(0.13%)、眼刺激感(目がしみる)・結膜充血(0.05%)、眼脂(0.04%)とされており、ともに眼圧の上昇や眼刺激(目がしみる)に注意が必要と言えますが、頻度としてはいずれも1%にも満たないものとなります。
念のため緑内障に注意
フルオメソロン点眼液は前述の通り、副作用の頻度が高いわけではありませんが、重大な副作用として緑内障も報告されている点眼液です。
緑内障は眼圧が高くなった状態が続き視神経に影響が出ている状態です。頻度としては決して高くないものの、フルオメソロンの使用期間が長いような場合は特に注意が必要であり、定期的に眼内圧検査などをするのが良いと言えるでしょう。
なお、緑内障の自覚症状としては、「目の充血」、「目の痛み」、「目のかすみ」、「頭痛・吐き気」などが挙げられています((重篤副作用疾患別対応マニュアル 緑内障))。これらの症状を同時に経験するような場合はすぐに医師の処置を受けるようにしましょう。
フルオメソロンの併用
フルオメソロン点眼液は併用に注意が必要な薬はありません((フルオメソロン0.1%点眼液 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/530304_1315704Q3045_1_07.pdf))。
基本的にどのような薬と合わせて使用しても問題ないと言えるでしょう。
ただし、同じステロイド点眼液のリンデロン点眼液などとは基本的に同じ効果しか期待できません。こられの目薬とは医師からの特別な指示があるようなケースを除き、自己判断で併用することは避けましょう。
なお、フルオメソロン点眼液の他に目薬を併用する場合、基本的により効果を重視したいものを後に点眼します。また、フルオメソロン点眼液は懸濁性点眼液に該当しますが、懸濁性点眼薬や油性点眼薬は、水性点眼薬よりも後にさす方が良いとされています。
比較的併用することが多いものに、アレルギー性結膜炎の点眼液であるリボスチン、パタノール、アレジオン点眼液などがあります。この場合は先にリボスチン、パラノール、アレジオン点眼液を使用し、5分程度の間隔を空けてフルオメソロン点眼液を点眼するようにしましょう。
その他、抗菌剤の目薬とも併用されるケースも多い薬です。クラビットやガチフロなどの抗菌点眼剤と一緒に処方された場合も、先にクラビットやガチフロを使用し、5分程度の間隔を空けてフルオメソロン点眼液を点眼するようにしましょう。
フルオメソロンの授乳中、妊娠中の使用
フルオメソロン点眼液の授乳中、妊娠中の使用について確認していきます。
フルオメソロン点眼液の授乳中の使用
フルオメソロン点眼液の授乳中の使用に関しては、製薬会社から特別な注意喚起はされていません。基本的には授乳中でも使用出来る薬と言えます。
専門家による見解でも問題なく使用出来るというものがあり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、フルオロメトロンの成分は目薬であり局所での作用であるため、使用できるという見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。また、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでも、目からの吸収は少ないため、1週間程度の使用なら影響がないという内容であり、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です(( 大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。
局所作用なので、使用可能と考えられる。
適切な点眼方法の指導を行う。
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
眼からの吸収は少ないため、1週間を目安に長期間使用しなければ影響はない。
母乳とくすりハンドブック
実際に授乳中にフルオメソロン点眼液を使用するかは、処方医の先生の判断となります。フルオメソロン点眼液に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
フルオメソロン点眼液の妊娠中の使用
フルオメソロン点眼液の妊娠中の使用に関しては禁止はされていないものの、長期的な使用や頻繁な使用を避けるよう注意喚起されています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には長期・頻回投与を避けること。
[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]
フルオメソロン点眼液 添付文書
上記のような注意喚起がされている理由は妊産婦への使用経験が少なく、安全性が確立されていないためとされています。
専門家による見解でも、フルオメソロン点眼液は妊娠をしている場合でも使用できるという内容であり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、フルオロメトロンの成分について目薬であり局所での作用であるため、血中への移行もわずかであり、使用できるという見解です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。
局所作用であり、血中への移行がわずかである。妊婦に使用可能と考えられる。適切な点眼方法を指導
「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)
実際に妊娠中にフルオメソロン点眼液を使用するかは、授乳中と同様に処方医の先生の判断が必要です。フルオメソロン点眼液に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
フルオメソロンの薬価
フルオメソロン点眼液の2016年4月改定(2018年3月まで)の薬価は、フルオメソロン点眼液0.02では1mLあたり17.6円であり1本5mLでは88円、フルオメソロン点眼液0.05では1mLあたり20.3円であり1本5mLでは101.5円、フルオメソロン点眼液0.1では1mLあたり22.5円であり1本5mLでは112.5円とされています。
フルオメソロンの市販での購入
フルオメソロン点眼液の成分を含んだものは市販薬としては販売されていません。また、ステロイドの成分を含んだ目薬自体が市販薬としては販売されていません。
ステロイドの目薬は非常に高い効果を期待できると同時に、少なからず緑内障などのリスクも伴う目薬です。ステロイドの点眼液を使いたい場合は医師の診察を受けた上で処方してもらうようにしましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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