ユリーフの効果や作用機序、副作用、禁忌や注意点、薬価、ハルナールとの違いや併用などについて添付文書等から解説していきます。
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ユリーフは排尿障害に効果がある薬
ユリーフはシロドシンを成分とする排尿障害に効果が有る薬です。
前立腺肥大症に伴う排尿障害に使用され、尿の勢いが弱い、尿が出にくい、尿を出すのに力が必要などの排尿症状や、頻尿などの蓄尿症状にも効果が有るとされています。
ユリーフの効能効果は以下の通りです。
前立腺肥大症に伴う排尿障害
ユリーフ錠 添付文書
ユリーフの作用機序は前立腺のα1阻害
ユリーフの作用機序は、主に尿道を狭くする物質であるアドレナリンがα1受容体に結合するのを阻害し、尿道や前立腺の緊張を和らげることです。
同様の作用機序を有する薬が幾つかありますが、ユリーフはα1受容体の中でも前立腺に多く存在するα1A受容体に選択的に作用することで、他の類似薬よりも汎用障害に対してより強い効果が期待されます。
ユリーフの効果発現時間は服用開始後1日
ユリーフはその効果を実感できるのが比較的早く、効果が発現する時間は、開始してから1日で確認出来ることがあります1)。
薬の効果が実感できるのが早いため、その点でも使用しやすい薬と言えます。
1) 小川毅彦 ほか; 泌尿器科紀要 54(12); 757-764, 2008
ユリーフの副作用は射精障害や血圧に注意
ユリーフの特徴的な副作用として、射精障害が挙げられます。
ユリーフで射精障害が起きる理由として、射精時に膀胱頸部が弛緩しているために精液が膀胱に逆流する減少や、ユリーフの作用点であるα1Aが精嚢や精管にも存在しているために、それらの内圧の低下や収縮抑制を引き起こし精液がでにくくなる可能性が考えられています。なお、これらの射精障害は可逆的であり薬をやめることで回復が見込まれます2)。
また、血圧低下に関してはα1阻害薬に共通した副作用ですが、ユリーフでの頻度はそこまで高いとは言えず、臨床試験での頻度は1%未満とされています。
その他の頻度が高い副作用は、口渇(5.7%)、下痢(4.0%)、軟便(3.9%)、立ちくらみ(3.6%)、鼻閉(3.3%)、めまい(2.6%)、ふらつき(2.5%)、頭痛(2.2%)などがあります。
2) ユリーフを服用される患者さまへ
ユリーフの禁忌や注意点
ユリーフの禁忌(使用できないケース)や注意点を確認していきます。
ユリーフは過去に過敏症が出た場合は禁忌
ユリーフの成分に対し、過敏症の既往歴がある人は禁忌とされ、使用できません。ユリーフに対して、以前にアレルギーのような症状がでた経験がある場合は必ず申し出ましょう。
ユリーフは女性には使用しない
ユリーフは女性に対しては基本的に使用しません。禁忌として明記はされていないものの、効能効果は「前立腺肥大症に伴う排尿障害」であり、前立腺のない女性は適応外となり、保険適応となりません。特別な事情がない限りはまず使用されません。
なお、ユリーフと作用機序が近いものの中で唯一ウラピジル(製品名:エブランチル)のみ女性にも適応があります。
ユリーフ使用中は車の運転に注意
ユリーフは副作用としてめまいが一定の確率で発現するため、車の運転には注意するよう注意喚起がされています。
ユリーフを使用中は十分に注意するようにしましょう。
ユリーフはめまいなどがあらわれることがあるので,高所作業,自動車の運転など危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。
ユリーフ錠 添付文書
ユリーフの薬価
ユリーフの薬価はユリーフ錠2mgで1錠あたり38.7円、ユリーフ4mgで75.5円となります。
また、ユリーフには水なしで服用できるOD錠も販売されており、2mg、4mgの薬価は通常の錠剤と同じとなります。
ユリーフにジェネリックはない
ユリーフは2016年11月現在ではジェネリック医薬品は販売されていません。
シロドシンの成分を使用する場合はユリーフを使用することとなります。
ユリーフとハルナールとの違いや併用
ユリーフと同じ前立腺肥大症の排尿障害に使用される薬にハルナールがあり、作用機序もユリーフと同じα1阻害となります。両者の違いを確認しましょう。
ユリーフの方が作用が強い、ハルナールは1日1回の使用で効果
ユリーフとハルナールの違いとして、ユリーフの方が前立腺に対する選択性が高く、作用も強力とされています。
ユリーフは前立腺に対する選択性が高いために、血管に対する作用が比較的弱いことから、血圧低下やめまいなどの副作用が少ないという特徴があります。一方ではユリーフの特徴的な副作用の射精障害は頻度が高く注意が必要です。
その他の違いとしてユリーフは1日2回使用するのに対し、ハルナールは1日1回の使用という点も挙げられます。
ユリーフとハルナールを併用することはあまりない
ユリーフとハルナールは作用機序がほぼ同じであり、基本的に併用するケースはあまりありません。副作用が出やすくなるような可能性もあり、医師からの指示があるようなケースを除き、自己判断で併用するようなことは避けましょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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