インフルエンザ治療で処方されるタミフルの予防投与について、予防の効果や保険適用の有無、自費での金額、処方される日数、子供での使用、飲酒の可否などについて解説していきます。
タミフルの予防投与とは|保険は効く?自費?
インフルエンザシーズンに家族のインフルエンザの看病をしているケースや後日インフルエンザを発症した患者さんの近くで作業をしていたケースなど、インフルエンザの感染のリスクが高いケースにおいて、自分もインフルエンザにかかることを予防する手段としてタミフルの予防投与があります。
タミフルはインフルエンザの予防にも処方してもらえる薬
タミフルはインフルエンザの治療だけでなく予防でも使用出来る薬です。
タミフルの効能効果にはインフルエンザの予防が明記されており、予防する際の用法用量も設定されています。
【効能・効果】
〇A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
【用法・用量】
2.予防に用いる場合
(1)成人 通常、オセルタミビルとして1回 75 mg を1日1回、7~10 日間経口投与する。
(2)体重 37.5kg 以上の小児 通常、オセルタミビルとして1回 75 mg を1日1回、10 日間経口投与する。タミフルカプセル75 添付文書
子供でも予防投与で使用出来る
また、タミフルは子供でも使用出来る薬であり、粉薬のタミフルドライシロップが販売されています。タミフルドライシロップに関しても予防に関する効能効果と用法用量の設定がされており、ここぞという場面で予防目的で使用することができます。
ただし、子供の使用に関しては、10歳以上の場合、薬との関連性は不明なものの異常行動のリスクから、近年では使用するケースは減っています。
【効能・効果】
○A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防【用法・用量】
2.予防に用いる場合
(2)幼小児 通常、オセルタミビルとして1回2mg/kg (ドライシロップ剤として 66.7 mg/kg) を 1日1回、10 日間、用時懸濁して経口投与する。ただし、1回最高用量はオセルタミビルとして 75 mg とする。タミフルドライシロップ3% 添付文書
実際に処方してもらえるかは医師の判断|原則は患者の家族
タミフルを予防で処方してもらえるかは、実際には医師の判断によるところがあり、原則はインフルエンザウイルス感染症患者の同居家族である点など、幾つかの条件があります。
個人の意思によって無条件に処方してもらえるというわけではないので注意しましょう。
予防に用いる場合には、原則として、インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする。
(1)高齢者(65歳以上)
(2)慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
(3)代謝性疾患患者(糖尿病等)
(4)腎機能障害患者(<用法・用量に関連する使用上の注意>の項参照)タミフルカプセル75 添付文書
インフルインザの人と接触後2日以内が有効、予防効果は服用中のみ
タミフルの予防投与で注意するべき点として、インフルエンザの患者さんと接触した2日以内でないと効果が確認されていない点、インフルエンザに対する予防効果はあくまで薬を使用している期間にしか効果が期待できないという点に注意が必要です。
特に2点目に関しては、インフルエンザの予防接種のように1回打つとシーズンを通して効果が期待できる点と異なるため、注意が必要です。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
2.予防に用いる場合には、次の点に注意して使用すること。
(1)インフルエンザウイルス感染症患者に接触後2日以内に投与を開始すること(接触後 48 時間経過後に投与を開始した場合における有効性を裏付けるデータは得られていない)。
(2)インフルエンザウイルス感染症に対する予防効果は、本剤を連続して服用している期間のみ持続する。
タミフルカプセル75 添付文書
タミフルの予防では健康保険は使えないので全額自費となる
残念ながらタミフルを予防投与で使用した場合は保険適応とはなりません。一般の方でしたら3割負担のところ、10割負担となります。また、乳幼児の医療証に関しても適応外となるため、小さい子供でも自費の費用負担が発生します。
【保険給付上の注意】
本剤は「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の発症後の治療」の目的で使用した場合にのみ保険給付されます。タミフルカプセル75 添付文書
タミフル予防投与の自費の金額
タミフルが予防投与で処方された場合にかかる自費の金額はおおよそ5000円〜10000円となると予想されます。
はっきりとした金額にならないのは保険適用にならない自費の場合はクリニックも薬局も比較的自由に価格を設定できるため、一律の金額になりません。
ただし、薬の価格に関しては国が価格を決めている薬価というものがあり、この価格を基準にしているケースが多いと言えます。
タミフルの場合は予防で使用する場合、1カプセルの値段が283.0円、10カプセル使用するとして、2820円となります。薬局によってはこの価格を何割か増しにしたり、他にも調剤料やクリニックの受診料がかかるため、安くても5000円程度、一般的には6000円〜7000円くらいになるケースが多いようです。ただし、子供の場合は、薬剤の価格がより安くなるため、多少これらの金額より安くなると考えられます。
詳細な金額を把握したい場合は、事前にかかる予定のクリニックと薬局に金額を確認しておくと良いでしょう。
タミフルの予防の効果
タミフルを予防投与した時の結果が製薬会社より公表されています。
タミフルを予防で使用した場合の発症率は1%程度に
タミフルを予防で使用した時の効果は、インフルエンザの発症率が1.3%まで低下する結果が得られています1)。
タミフルの予防効果をプラセボ(偽薬)を比較した調査では、プラセボを投与された患者さんのインフルエンザ発症率が8.5%であったのに対し、タミフルを使用した患者さんではインフルエンザの発症率が1.3%であったという結果が確認されています。
上記の結果の通り、タミフルの予防投与は非常に高い効果が期待できます。
1) タミフルカプセル75 添付文書
タミフルの予防投与の日数|飲酒の可否は?
実際にタミフルを予防投与で使用する時の使い方や飲酒の可否などの注意事項も確認していきたいと思います。
タミフルを予防で使用する場合は7〜10日飲む
タミフルの予防投与は大人の場合は7〜10日間、子供の場合は10日間、1日1回飲み続けます。
前述の通り、タミフルの予防効果は薬を飲んでいる期間のみ有効とされており、また、使用する日数が少ないと体の中に残っているウイルスが増殖する可能性があるため、必ず決められた期間を飲み切るようにしましょう。
タミフルを予防で使用する場合も飲酒は禁止されていないが・・・
タミフルを予防で使用する場合も飲酒に関する注意喚起はされてなく、飲酒自体は禁止されてはいません。
しかし、決して推奨されるものではなく、タミフルに対しては影響はあまりない場合でも、摂取する量や体質によっては身体に負担がかかることも否定できませんし、結果としてインフルエンザにかかりやすくなる可能性や、タミフルの副作用が増長されたりといった可能性もゼロではありません。タミフルをインフルエンザの予防目的で使用している期間は飲酒をする場合でも量や時間を少し加減する、可能なら飲酒を控えるのが安全といえるでしょう。
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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