ラピアクタ(一般名:ペラミビル)はインフルエンザの治療に使用される注射薬です。ラピアクタの添付文書などから特徴や効果、作用機序、使い方、腎機能に応じた使用量、予防投与の可否、副作用、薬価などについて解説します。
ラピアクタの一般名、効果と作用機序、特徴など
ラピアクタは一般名をペラミビルといい、シオノギ製薬が製造販売しているインフルエンザに対して効果のある注射薬です。インフルエンザウイルスのA型、B型に効果があります。添付文書の記載の効能効果は以下の通りです。
A 型又は B 型インフルエンザウイルス感染症
ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/
ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg 添付文書
ラピアクタの作用機序はインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ阻害によるものです。ノイラミニダーゼはインフルエンザウイルスが感染した人の細胞内で複製したのちに細胞外に遊離する際に必要となる酵素であり、ラピアクタはこの酵素を阻害することでインフルエンザウイルスの増殖を抑制します。
現時点ではノイラミニダーゼ阻害薬の抗インフルエンザ薬としては唯一の注射薬となり、また、1回の注射でインフルエンザに対する効果が期待できる特徴があります。同じインフルエンザ治療薬のタミフルやリレンザは1日2回、5日間の使用が必要となるため、ラピアクタには飲み忘れなどのリスクが少ないというメリットがあります。
ラピアクタの使い方|腎機能に応じた使用量
ラピアクタの使い方は1回15 分以上かけて点滴をします。医師の判断により症状に応じて連日反復投与も可能となります。
ラピアクタの用法用量の詳細は以下の通りです。
成人:通常,ペラミビルとして300mgを15分以上かけて単回点滴静注する。
合併症等により重症化するおそれのある患者には,1日1回600mgを15分以上かけて単回点滴静注するが,症状に応じて連日反復投与できる。
なお,年齢,症状に応じて適宜減量する。
小児:通常,ペラミビルとして1日1回10mg/kgを15分以上かけて単回点滴静注するが,症状に応じて連日反復投与できる。投与量の上限は,1回量として600mgまでとする。ラピアクタ点滴静注液バッグ300mg/
ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg 添付文書
ラピアクタは腎臓から排泄される薬であり、腎機能が低下している場合には用量を減らして使用する必要があります。腎機能の指標にはクレアチニンクリアランス(Ccr)という指標が用いられます。クレアチニンクリアランスは腎臓が身体の老廃物を排泄する能力と考えることができ、ラピアクタはこのクレアチニンクリアランスに基づいて使用量が調整されます。
Ccr (腎機能) |
1回投与量 | |
通常 | 重症化する恐れ がある患者 |
|
50≦Ccr | 300mg | 600mg |
30≦Ccr<50 | 100mg | 200mg |
10≦Ccr<30 | 50mg | 100mg |
出典:ラピアクタ 添付文書
また、ラピアクタはインフルエンザの予防投与に対しては適応がありません。添付文書では「本剤の予防投与における有効性及び安全性は確立していない。」と警告されており、基本的には予防投与には向いていない薬となります。
ラピアクタの副作用
ラピアクタの主な副作用は下痢や悪心(吐き気)、嘔吐などの消化器症状や、好中球減少、蛋白尿などとされています。全体的な副作用の頻度は高いとは言えませんので、あまり過度な心配はせず使用できるといえるでしょう。
ただし、ラピアクタは発売後にアナフィラキシーという重大な副作用が稀に起こることが報告されています。アナフィラキシーは薬の使用後に血圧低下、顔面蒼白、冷汗、呼吸困難、蕁麻疹などが起こる一種のショック状態です。中には死亡に至るケースもあり、残念ながらラピアクタでもアナフィラキシーによる死亡例が報告されています。頻度としては非常に稀と言えますが、このような副作用の可能性も起こりうることを知っておき、上記のような症状が複数観察されるような場合には直ちに医師の処置を受けましょう。
ラピアクタの薬価
ラピアクタの薬価はラピアクタ点滴静注液バッグ300mgが6216.0円、ラピアクタ点滴静注液バイアル150mgが3338.0円となります。
通常は300mgを1回という使い方が一般的となりますので、インフルエンザ1回の治療で6216.0円の薬価となります。この薬価は飲み薬の抗インフルエンザ治療薬と比較するとやや割高となります。
主なインフルエンザ治療薬との薬価の比較は以下の通りです。
薬剤名 | 薬価 | インフルエンザ 治療の薬価 |
ラピアクタ(300mg) | 6216.0 | 6216.0 |
タミフルカプセル | 283.0 | 2830 |
リレンザ | 152.9 | 3058 |
イナビル | 2139.9 | 4279.8 |
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。
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