葛根湯の授乳中と妊婦・妊娠中の使用|ツムラやクラシエの製品、市販の製品について、乳腺炎への効果も

葛根湯について、授乳中、妊婦・妊娠中の使用について確認していきます。

葛根湯の特徴

葛根湯は7種類の生薬(カッコン、タイソウ、マオウ、カンゾウ、ケイヒ、シャクヤク、ショ
ウキョウ)を含む漢方薬であり、頭痛、風邪、鼻風邪、肩こり、乳腺炎などに効果が認められている薬です((ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用) 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/460026_5200013D1123_1_12.pdf))。
葛根湯の特徴は発熱などの熱性疾患においては比較的初期に向いている薬であり、漢方薬の中でも最も使われている薬の一つです。市販薬としても多くの種類が販売されており、身近な漢方薬の一つと言えます。
葛根湯の処方薬では代表的なものとしてツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)、クラシエ葛根湯エキス細粒、コタローかっ根湯エキス細粒、オースギ葛根湯エキスG、テイコク葛根湯エキス顆粒などがあります。
市販の葛根湯に関しても代表的なものとして、ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒、クラシエのカンポウ専科シリーズの葛根湯エキス顆粒Aクラシエなどがあり、数多くの葛根湯製剤が販売されています。

葛根湯の授乳中の使用|乳腺炎への効果は

葛根湯は処方薬においては製薬会社の添付文書では授乳中の使用に関する特別な注意喚起はなく、授乳中でも使用されるケースがある薬です((ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用) 添付文書 http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/460026_5200013D1123_1_12.pdf))。
専門家による見解の例では、乳児の状態に注意するという条件付きで使用するという見解があり、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、経験的に使用するが、乳児の状態に注意する、という内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。また、大分県「母乳と薬剤」研究会が作成している母乳とくすりハンドブックでは、生薬のマオウを含む薬剤として言及されており、マオウの成分であるエフェドリンの移行量が少量であるため、乳児の状態をみて使用できるとし、「多くの授乳婦で研究した結果、安全性が示された薬剤 / 母乳への移行がないか少量と考えられ乳児に有害作用を及ぼさない」という見解です((大分県「母乳と薬剤」研究会 母乳とくすりハンドブック(2010)))。

経験的に使用される。個々の患者への必要性を検討する。投与する場合、乳児の症状に注意する。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

乳児の睡眠状態をモニターすれば、安全に使用できる。葛根湯においてエフェドリンの母乳移行は極少量しか認められていない。

母乳とくすりハンドブック

処方薬の葛根湯に関しては、実際に授乳中に使用するかは、処方医の先生の判断となります。葛根湯に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は授乳中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。
なお、葛根湯は乳腺炎に対する効果が認められている薬です。処方薬の葛根湯は乳腺炎を含めた炎症性疾患に効果があり使われている薬です。

葛根湯の授乳中における市販での購入|使用は大丈夫か?

葛根湯の授乳中の使用に関して、前述の通り、処方薬に関しては特別な注意喚起はなく、医師が授乳中の旨を承知の上での処方であれば服用は問題ないと考えられます。
市販の葛根湯に関しても、代表的な製品において授乳中の使用に関する特別な注意喚起はありません((葛根湯エキス顆粒Aクラシエ 添付文書))((ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒 添付文書))。
市販の葛根湯に関しては比較的安全に使用できると考えられますが、漢方薬の一般論として母子の状態も含め、念のため専門家に相談するのが確実と言えます。カンポウ専科シリーズなどを販売しているクラシエのQ&Aサイトでも以下のような回答があるため、可能であれば個人で大丈夫と判断せず、専門家に相談の上、使用するようにしましょう。

Q. 授乳中ですが、漢方薬を飲んでもよいですか?
A. 薬の種類、服用期間、お母さん及び赤ちゃんの状態などを総合的に考慮する必要があります。お母さんが漢方薬を飲むと、成分によっては母乳に移行するものもあり、その授乳を受けた赤ちゃんに影響が現れる場合もあります。服用に際しては、医師、薬剤師又は登録販売者にご相談下さい。

クラシエの漢方 かぜシリーズ Q&A

なお、市販の葛根湯に関しては、乳腺炎に対する効能効果は明記されておらず、適応の範囲外となります((葛根湯エキス顆粒Aクラシエ 添付文書))((ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒 添付文書))。処方薬の葛根湯で乳腺炎の効能効果が認められている点から実際には効果があることが予想されますが、自己判断で市販の葛根湯で乳腺炎の対処をするのは避けるようにしましょう。

葛根湯の妊婦・妊娠中の使用

葛根湯は処方薬においては製薬会社の添付文書では、治療上のメリットが危険性を上回る場合に使用するとされており、実際に使用するかは処方医の判断となります。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用) 添付文書

専門家による見解の例として、愛知県薬剤師会が作成している「妊娠・授乳と薬」対応基本手引きでは、麻黄の成分を含んでいるため長期の使用は避ける、という内容です((愛知県薬剤師会 「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)(2012)))。

妊婦に使用可能と考えられるが、麻黄含有のため長期使用は避ける。

「妊娠・授乳と薬」対応基本手引き(改訂 2 版)

 
処方薬の葛根湯に関しては、実際に妊娠中に使用するかは、処方医の先生の判断となります。葛根湯に限らず、クリニックや病院で薬を処方してもらう場合は妊娠中である旨を必ず伝えるようにし、自己判断で使用するようなことは避けましょう。

葛根湯の妊婦・妊娠中における市販での購入

葛根湯の妊婦・妊娠中の使用に関して、前述の通り、処方薬の場合は処方医の先生の判断となります。
市販の葛根湯に関しては、「妊婦または妊娠していると思われる人。」は「相談すること」の対象となっており、医師、薬剤師または登録販売者に相談する必要があります(葛根湯エキス顆粒Aクラシエ 添付文書))((ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒 添付文書))。
市販の葛根湯の効能効果は風邪の症状や頭痛、肩こりなどであり、他の薬でも代用が効くような症状がほとんどであるため、無理に葛根湯を使う必要はなく、最も確実な方法は産科の主治医の先生の判断を仰ぐことです。自己判断では妊娠中は使用しない方が良いでしょう。
カンポウ専科シリーズなどを販売しているクラシエのQ&Aサイトでも以下のような回答があるため、妊娠中の自己判断での使用は避けるようにしましょう。

Q. 妊娠中に漢方薬を飲んでもいいですか?
A. 妊娠中は特別なお体の状態ですので、必ず医師にご相談ください。

クラシエの漢方 かぜシリーズ Q&A

 
薬を使用する際には必ず薬の説明書や添付文書を確認し、医師や薬剤師から指示された用法・用量で使用してください。また、違和感や副作用と思われる兆候を感じた場合は医師・薬剤師に相談してください。
今回紹介した内容はあくまで一例であり、必ずしも当てはまらないケースがあります。予めご承知ください。

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